マンション管理士に聞く『知っておきたい、マンションのウィークポイント』

結婚を機に、某大手マンションデベロッパーの新築分譲マンションを購入した筆者。そのマンションが今年で築15年を迎えるにあたり、現在『1回目の大規模修』に向けて『修繕委員会役員』として活動をおこなっているのだが、“買う時には誰も教えてくれなかった大規模修繕のこと”…いや、もっと正確に表現すると“買う時に説明を受けていたはずなのに、まったく気にしていなかった大規模修繕のこと”が、今になってようやく明らかになってきた。

レポート3回目となる今回は、大規模修繕の監理業務を請け負うマンション管理士に聞く、『いずれ修繕が必要となるマンションの弱点』についてお届けしよう。

▲マンション管理士であり一級建築士の岡本佳久さん(株式会社岡本建築事務所代表)。<br />「同じ経過年数を経ても、新築当時の施工状況によってマンションの“健康状態”はまったく異なります。<br />施工会社が丁寧に作ったマンションか、そうでないかは、大規模修繕の際の現地調査をすればすぐにわかりますね」と岡本さん。<br />こうして考えてみると、改めて分譲時に『施工会社』を確認することも物件選びの重要なポイントだということになる▲マンション管理士であり一級建築士の岡本佳久さん(株式会社岡本建築事務所代表)。
「同じ経過年数を経ても、新築当時の施工状況によってマンションの“健康状態”はまったく異なります。
施工会社が丁寧に作ったマンションか、そうでないかは、大規模修繕の際の現地調査をすればすぐにわかりますね」と岡本さん。
こうして考えてみると、改めて分譲時に『施工会社』を確認することも物件選びの重要なポイントだということになる

1回目の大規模修繕のときに『修繕が必要となるポイント5』とは?

▲タイルの浮きを調べるための器具・打診棒(打診ハンマーとも呼ばれる)。近年は、工場で組み立てたパネル型のタイル外壁を設置するケースも増えているが、タイル職人が手作業で仕上げた箇所はどうしても経年とともに浮きやすくなるそうだ▲タイルの浮きを調べるための器具・打診棒(打診ハンマーとも呼ばれる)。近年は、工場で組み立てたパネル型のタイル外壁を設置するケースも増えているが、タイル職人が手作業で仕上げた箇所はどうしても経年とともに浮きやすくなるそうだ

「国土交通省が推奨している『集合住宅の1回目の大規模修繕時期』は築12年が目安となっていますが、早い物件では10年目から修繕準備を始めます。一般的には築15年以内のうちに1回目の大規模修繕を終えるケースが多いですね」と岡本さん。

多くのマンションで『1回目の大規模修繕』の際に修繕が必要となるポイントは以下の通りだという。

①タイルの浮き
②外壁の塗装
③屋上防水
④バルコニー防水
⑤接合部のシーリング

「一番多いのは『外壁タイルの浮き』です。外から見ている分には感じないのですが、タイルをひとつひとつ叩きながら打診調査をしていくと、音が変わる場所があります。それが“浮き”を示す箇所で、そのまま放置しておくとある日突然タイルが剥がれ、落下して大きな事故につながるケースもありますから早めの修繕が必要です」(岡本さん談)。

“目立ちにくい場所の防水”こそ、マンションの寿命を左右する大切なポイント!

▲普段暮らしていると意外と気づかないものだが、よくよく筆者の住戸の外壁を確認してみると塗装に水漏れの跡が残っていたり、クラックと呼ばれるヒビが入っているのが確認できた。この状態を長年放置すると、ヒビ割れ部分から雨水が侵入し、ますます建物の劣化を早めることになるため、1回目の大規模修繕では必ず補修が必要な箇所となるそうだ▲普段暮らしていると意外と気づかないものだが、よくよく筆者の住戸の外壁を確認してみると塗装に水漏れの跡が残っていたり、クラックと呼ばれるヒビが入っているのが確認できた。この状態を長年放置すると、ヒビ割れ部分から雨水が侵入し、ますます建物の劣化を早めることになるため、1回目の大規模修繕では必ず補修が必要な箇所となるそうだ

「外壁等の『塗装』に関しては、経年と共に紫外線による劣化が進みやすく、新築当初にどの程度のグレードの塗装材を使っていたかによっても修繕レベルが変わってきます。また『屋上防水』も、屋根の形や素材によって各マンションで大きな劣化の差が出るポイントですし、『バルコニー防水』については、どのマンションでも長尺シートの剥がれが目立つようになります。

『シーリング』というのは、窓枠と外壁の間などの各部位の接合部に詰められるゴム状の素材ですが、これも紫外線や風雨にさらされることで劣化が進みます。

1回目の大規模修繕で重要になるのは『防水処理』。定期的にきっちりと防水処理を施すことでマンションの寿命を延ばすことができる=資産価値を維持するための大切な工事なのですが、何といっても『屋上防水』や『シーリング』等は、入居者の方の目につきにくく地味なポイントでもあるので“水漏れしているワケではないのにどうして補修が必要なのか?本当は不要な工事ではないのか?”といった質問を管理組合総会で受けるケースもよくありますね」(岡本さん談)

2回目、3回目の大規模修繕に向けて課題となるポイントは?

▲バルコニーでは、ノンスリップシートと呼ばれる長尺シートが剥がれてきたり、エアコン室外機の排水用の溝が目詰まりを起こしているケースが多いそう。「長尺シートを張り替えるだけで“見た目”がずいぶん変わりますから、入居者の皆さんには“直してもらって良かった!”と喜ばれるポイントです」(岡本さん談)▲バルコニーでは、ノンスリップシートと呼ばれる長尺シートが剥がれてきたり、エアコン室外機の排水用の溝が目詰まりを起こしているケースが多いそう。「長尺シートを張り替えるだけで“見た目”がずいぶん変わりますから、入居者の皆さんには“直してもらって良かった!”と喜ばれるポイントです」(岡本さん談)

筆者が暮らすマンションの『1回目の大規模修繕』では、上記の⑤つのポイントの他に、高齢入居者の方から要望があった『共用部階段手すりの設置』や、防犯性を高めるための『自転車置き場のオートロック化』、近年のゲリラ豪雨を受けて問題となっていた『駐車場床面の水たまりの解消工事』などが提案され、管理組合総会で可決された。

「当然ですが、これらの修繕費用は十数年に渡って積み立てられた管理組合の預貯金から支払うことになっていて、一般的には1回目の大規模修繕にかかる費用は『1世帯あたり100万円』というのが大まかな相場になっています。

しかし、1回目はスムーズにクリアしたとしても、今後2回目、3回目と大規模修繕が発生したときに、当初の長期修繕計画では費用が捻出できなくなるケースも多いのです。そのため2回目の修繕工事を延期したり、修繕コストのかかる『機械式駐車場』を撤去したり…といった新たな課題が出てきます」と岡本さん。


次回【買う時には誰も教えてくれない大規模修繕④】では、2回目、3回目の大規模修繕で課題となるポイントについてレポートする。

■取材協力/AAI 愛知建物監理協同組合・岡本建築事務所
買う時には誰も教えてくれない大規模修繕①
買う時には誰も教えてくれない大規模修繕②

2014年 03月28日 09時46分