覚えておきたい『共用部』と『専有部』の違い

筆者が暮らすマンションは築14年。このたび1回目の大規模修繕を迎えることになった。長年住宅ライターとして新築分譲マンションを取材してきたが、『大規模修繕委員』となって初めて知った意外な事実も多々ある。そこで、大規模修繕体験レポート2回目の今回は、買う時には誰も詳しく教えてくれない『専有部』と『共用部』の修繕の違いについてご紹介しよう。

▲住戸の『玄関ドア』はいったい誰のもの?<br />マンション内の空間は『共用部』と『専有部』のふたつに分類される。<br />この違いを区分所有者全員がしっかり理解しておかないと、『大規模修繕』の際にトラブルや混乱を招くことがある▲住戸の『玄関ドア』はいったい誰のもの?
マンション内の空間は『共用部』と『専有部』のふたつに分類される。
この違いを区分所有者全員がしっかり理解しておかないと、『大規模修繕』の際にトラブルや混乱を招くことがある

『共用部』はみんなのもの、『専有部』は自分のもの

▲よく“戸境壁の内側に属するものがすべて『専有部』となる”と例えられるが、よくわかりにくいのが配線や配管部。電話回線や電気配線、給排水菅から枝分かれして室内へと引き込まれた部分は『専有部』とみなされることが多い▲よく“戸境壁の内側に属するものがすべて『専有部』となる”と例えられるが、よくわかりにくいのが配線や配管部。電話回線や電気配線、給排水菅から枝分かれして室内へと引き込まれた部分は『専有部』とみなされることが多い

マンションを購入した経験がある方なら、『共用部』『専有部』という言葉は一度は耳にしたことがあるだろう。

『共用部』というのは、区分所有者全員の持ちものとみなされるスペースで、例えばエントランスホールやエレベーターホール、共用廊下、宅配ボックス、防災センターといったスペースなどが該当する。

『専有部』というのは、所有者個人の持ちものとみなされるスペースで、一番わかりやすいのは自宅住戸内のようなプライベートの空間だ。

ただし、ここでちょっと厄介なのは、『共用部』と『専有部』の“中間”に位置する、『個人の専有使用が認められている共用部』というグレーゾーンが存在すること。

●専用庭・専用駐車場
●バルコニー(ルーフバルコニー)
●アルコーブ
●トランクルーム
●集合ポスト内の個人の郵便受け

などがそれにあたり、グレーゾーンに属する部分の修繕に関しては「大規模修繕費用から捻出すべきか?否か?」で区分所有者の意見が分かれることがあるため、時に大規模修繕委員会において議論となるケースもある。

『専有部』と勘違いしやすいのは、窓・玄関・バルコニー

▲大規模修繕説明会の様子。新築で買ったはずのマンションも、築14年も経てば様々な不具合が生じる。説明会の開催に先駆けて、各住戸で実施したアンケートの回答では「住戸内の不具合に関する相談」も多く挙がっていたが、大規模修繕費用から捻出できるのは『共用部の不具合』に関するもののみとなるので、『専有部の不具合』については個人の蓄えが必要だ▲大規模修繕説明会の様子。新築で買ったはずのマンションも、築14年も経てば様々な不具合が生じる。説明会の開催に先駆けて、各住戸で実施したアンケートの回答では「住戸内の不具合に関する相談」も多く挙がっていたが、大規模修繕費用から捻出できるのは『共用部の不具合』に関するもののみとなるので、『専有部の不具合』については個人の蓄えが必要だ

ちなみに『共用部』と『専有部』の違いについては、各マンションの管理組合によっても解釈が多少異なる場合があるので、正確には売買契約書や管理規約を確認することが必要だが、一般的に勘違いしやすいポイントを以下に挙げてみた。

●玄関ドア
外側は『共用部』、内側は『専有部』。内側に飾り付けをするのは自由だが、基本的には外側には装飾をおこなってはいけない。


●住戸の窓・窓枠
『共用部』。窓ガラスを自分で遮音ガラスにグレードアップするなど、勝手に変えてはいけない。

●住戸内居室の壁クロス
『専有部』。色が褪せた、剥がれてきた等の修繕はすべて個人負担となる。

●戸境壁 
『共用部』。みんなの財産なので勝手に穴を開けたりしてはいけない。

●バルコニー
『共用部』。個人で独占使用するため専有部と勘違いしがちだが、本来は『共用部』となるため、大きな鉢植えや、ウッドデッキ、タイルを設置する等の飾りつけは大規模修繕の時に撤去をめぐって大きな問題になる。修繕工事がスタートした後は、室外機カバーや小型倉庫なども撤去するよう求められるため、バルコニーには入居時から何も物を置かないように心がけることをオススメする。
※大規模修繕の際の撤去費用は自己負担となる。

いかがだろうか?
長年自分の財産であるマンションに暮らしながら“実は、窓やバルコニーや玄関扉が自分のものではなかった”という事実を、今回初めて知った方も多いのではないだろうか?

毎月の修繕積立金と同額の『専有部修繕貯金』のススメ

このように、約12~15年ごとに一度実施される『大規模修繕』は、毎月区分所有者から徴収される『修繕積立金』の貯蓄額から賄われることになるが(1回目の大規模修繕費は平均1戸あたり100万円)、『専有部』の修繕に関しては、言うまでもなく個々で積立てをおこなっておかなくてはならない。

主に、『専有部』内で不具合が発生し、大きな修繕を必要とする箇所は

●給湯器(10~15年が一般的な寿命)………取り替えに約25~35万円程度
●キッチン・洗面の水栓(8~15年が一般的な寿命)………取り替えに5~10万円程度
●壁クロス(8~10年で日焼け・剥がれなど)………1部屋あたり5~10万円程度
※いずれもグレードによって予算は異なります。

などなど。特に給湯器は、冬場に突然故障すると“数日お湯が使えずお風呂に入れない”という悲惨な事態も招く。マンションの大規模修繕の際には『共用部』だけでなく、自宅専有部の大規模修繕が必要となることも想定し、月々の『修繕積立金』と同額を目安にした『専有部修繕貯金』を毎月コツコツ貯えておこう。


さて、次回は『1回目の大規模修繕』で修繕が必要となる『共用部設備のワースト5』についてクローズアップする。

2014年 02月14日 11時01分