1回目の大規模修繕…いったい何から手をつければ良いのか?

▲どのマンションにも平等に“経年劣化”は訪れるため、大切なマンションの資産価値を守るために欠かせないのが定期的な大規模修繕だ。新築分譲時には、新築入居後約30年間の大規模修繕計画が提示されるケースが多いが、ほとんどの契約者は“目の前の新居”に夢中で、将来の修繕計画をじっくり検討することなく契約に至っている▲どのマンションにも平等に“経年劣化”は訪れるため、大切なマンションの資産価値を守るために欠かせないのが定期的な大規模修繕だ。新築分譲時には、新築入居後約30年間の大規模修繕計画が提示されるケースが多いが、ほとんどの契約者は“目の前の新居”に夢中で、将来の修繕計画をじっくり検討することなく契約に至っている

筆者が現在暮らしている分譲マンションは、築15年。購入した新築当初はピカピカだったはずのマンションも、経年によってあちこち修繕が必要となってきた。

国土交通省では築12年を目安に1回目の大規模修繕をおこなうことを推奨しているが、その工事計画も『管理会社に丸投げ』とはいかず、マンションの区分所有者である住民たちが修繕責任を果たさなくてはいけない。

とはいえ、突然『大規模修繕』と言われても、一般入居者にとっては何から手をつけて良いやらわからないもの。そこで今回は、1回目の『大規模修繕』を無事着工するまでのステップについて、筆者の“大規模修繕委員”としての実体験を基に手順のポイントをまとめてみることにした。ただし、物件によっては例外のケースも考えられるので、ここに記載する内容はあくまでも一般的な大規模修繕工事のステップの一例として参考にしてみてほしい。

ステップ【1】大規模修繕委員会の発足

▲大規模修繕委員会で検討された内容は、管理組合理事会で報告され、理事会の承認を受けると、総会で組合員の承諾を得ることになる。組合員の中には、大規模修繕工事を他人事と捉えて興味をまったく示さない人もいるため、早くから大規模修繕工事について周知し、組合員の関心を惹くこともスムーズな工事進捗のために欠かせないポイントだ▲大規模修繕委員会で検討された内容は、管理組合理事会で報告され、理事会の承認を受けると、総会で組合員の承諾を得ることになる。組合員の中には、大規模修繕工事を他人事と捉えて興味をまったく示さない人もいるため、早くから大規模修繕工事について周知し、組合員の関心を惹くこともスムーズな工事進捗のために欠かせないポイントだ

新築分譲マンションでは、区分所有関係がスタートすると同時に区分所有者による『管理組合』が発足される。その組合員の代表として理事が選出され、管理会社のサポートを受けながら管理組合業務が運営されていく。

しかし、『大規模修繕』を実施する際には『管理組合』の理事会とは別に『大規模修繕委員会』を立ち上げる事例が多く、特に、マンションの専門知識に長けていると考えられる建設業界や不動産業界の関係者等が、委員に推薦されるケースも多い。

大規模修繕工事を迎えるにあたり、『大規模修繕委員会』と『管理組合理事会』の両者は進捗状況について随時情報共有や報告が必要となるため、『大規模修繕委員』と『管理組合理事』の兼任者が存在することが望ましいだろう。

※ちなみに、筆者は住宅ライターとしてマンション業界に携わっていたため、少しでも役に立つことができれば…と、自ら大規模修繕委員に立候補した。他には、建築士の方や不動産鑑定士の方など『マンションのプロ』が推薦され、大規模修繕委員に名前を連ねているので実に心強い。

ステップ【2】コンサルティング会社の選定

『大規模修繕委員会』が発足した後は、マンションの管理会社と共に、今後の大規模修繕工事に向けての流れを検討しなくてはならない。

最初の議題となるのは『コンサルティング会社』へ委託をするか否か。『コンサルティング会社』というのは、大規模修繕工事の内容が“適正な箇所を、適正な価格によって、適正な工事がおこなわれているか”を第三者的に監理する役割を果たす。もちろん、経費節約のために「自分たちで監理もおこなうので、コンサルティング会社は不要」とすることも可能だが、一般的には委託するケースがほとんどだ。

『コンサルティング会社』の選定には公平性を期すため、建設業界の入札情報が集まる『建通新聞』等の業界紙を通じてマンションの管理組合名で公募するケースが多い。多数の応募があった場合は、各社から見積の提示や過去の実績等に関するプレゼンを受け、最終的には1社に絞り込むことになる。しかし、こうした会社選定の手間を省くために、マンションの管理会社へそのまま『監理』を依頼するケースもある。

ちなみに、『コンサルティング会社』へ監理委託した場合の費用は、1戸あたり3~5万円程度。その費用は、別途各住戸から徴収されるのではなく、修繕積立金から支払われる。

ステップ【3】施工会社の選定

▲筆者が所有するマンションの集会室でおこなわれた施工会社のプレゼンの様子。余談になるが、マンション館内に集会室等を持たない小規模な物件の場合は、近くの公民館や貸し会議室を借りるなどして委員会合やプレゼンの機会を設けなくてはならないため、より手間がかかる。今回、改めて『マンション集会室』が存在することの快適さを痛感することになった▲筆者が所有するマンションの集会室でおこなわれた施工会社のプレゼンの様子。余談になるが、マンション館内に集会室等を持たない小規模な物件の場合は、近くの公民館や貸し会議室を借りるなどして委員会合やプレゼンの機会を設けなくてはならないため、より手間がかかる。今回、改めて『マンション集会室』が存在することの快適さを痛感することになった

コンサルティング会社が決定したあとは、コンサルティング会社の担当者および管理会社担当者、大規模修繕委員が揃って定期的に会議をおこない、修繕箇所の調査確認や工事計画を進めていく。

修繕内容・着工希望時期を決定した後に、再度業界紙等で公募をおこない施工会社を募るのだが、東京五輪の開催や東日本大震災の復興を受けて“建設業界プチバブル”と言われている今、施工会社は人手不足に悩まされているため、公募をおこなっても意外に入札会社が集まらないケースも多い。

実際に、筆者が担当したプレゼン(面接による会社選定)では、応募してきた5社のうち2社から直前になって辞退の申し出があり、その辞退理由は『人手不足により工期が間に合わない可能性がある』といった内容だった。

業界の人手不足=工費の値上がりにも直結するため、大規模修繕工事のタイミングによっては、見積額が大きく変わってくる。せっかくコツコツと積み立てた修繕積立金を無駄にしないためにも、建設業界の動向を確認しながら施工時期を見極めるようにしたいものだ。

また、大規模修繕工事に関しては当然だが『消費税』が発生する。今後、2015年の秋に向けて消費税10%への増税が想定されているため、工事の竣工・引渡し時期によって消費税額が変わることも覚えておきたい。

ステップ【4】管理組合総会での承認を受けて、いよいよ工事着工へ!

こうして、施工会社が決定し、予算や工事のスケジュールがほぼ確定した後は、臨時総会が開かれ組合員の承認を得ていよいよ工事がスタートする。工事着工までには、各住戸の不具合箇所の個別ヒアリングが実施されたり、工事日程や工事内容を入居者へ周知するために施工会社による工事説明会が開催される。

多くの区分所有者・入居者は、この最終段階へ来て初めて“ああ、本当にこれから大規模修繕が始まるんだ…”と、現実を意識するようだ。

次回、【買う時には誰も教えてくれない大規模修繕⑥】は、いよいよ我がマンションでも『大規模修繕工事』がスタート!工事着工後に実際に発生したトラブルや、大規模修繕工事中に入居者が注意すべきポイントについてレポートする。

2014年 08月21日 11時36分