畳と女房と住まいは新しい方が良い?!
中古住宅の価値意識が先進諸外国に大きく遅れをとる“新品好き”の日本

“お古よりも新品のほうが良い”…これは、多くの日本人にDNAレベルで組み込まれているキレイ好きな感覚だと思われるが、その“新品至上主義”が最も表れやすいのは、畳でも、女房でもなく、『住まい』なのかもしれない。

2013年6月、国土交通省が発表した『中古住宅流通促進・活用に関する研究資料』によると、日本国内における全住宅流通量(中古+新築)に占める中古住宅の流通シェアは約13.5%。これに対してアメリカ・イギリス・フランスなどの欧米先進国における中古住宅の流通シェアは70~90%と高く、私たち日本人の“中古住宅への価値意識”がいかに先進各国から遅れをとっているかがわかる。

そこで、国土交通省は住宅市場の活性化を目的とした国家戦略プロジェクトのひとつとして『2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を倍増させる』ことを目標に掲げ、老朽化マンションの再生やリフォーム市場の環境整備を促している。

家は“中身よりも見た目が命”
流通市場での資産価値維持には『外観・エントランス・管理』が重要!

ではここで、日本の住まいで実施されているリフォーム工事の内容に目を向けてみよう。

同省発表(2010年統計)の資料によると、持ち家(マンション)のリフォーム工事をおこなった部位のベスト10は下表の通り。上位の大半を占めるのが部屋内、特に1位~5位は水まわりの設備に関するリフォーム工事に集中している。

たしかに、キッチンや洗面台の水栓は8~10年、給湯器は10~15年で取り換えが必要となるため、長年住み続けていれば水まわりのリフォームは必須だし、クロスやフローリングなどの内装を美しくすることは、その家で快適に永住するために避けて通れない工事だ。

しかし、いざ持ち家の賃貸運用や売却を目的として流通市場にのせようとした場合は、リフォーム工事に費用をかけるべきポイントが異なってくる。

「中古物件の下見に出かける場合、多くのお客様が重視するのは『外観の存在感』、次に『エントランスの雰囲気』、そしてマンションの場合は『管理状態の良し悪し』です。いくら室内の内装がピカピカにリフォームされていても、外壁が汚れて第一印象が悪かったり、エントランスまわりの手入れが行き届いていないと、契約に至ることが難しいケースが多いので、物件の資産価値を維持するためには『外からの見た目』がとても重要なのです」と教えてくれたのは、ある大手仲介会社の担当者。

確かに中古住宅の流通市場では、外観がキレイな物件のほうが“引き”が強いに決まっているワケで、一戸建て住宅やマンションの資産価値をより高く維持するためには、部屋内よりも『外見のビジュアル重視』で外観リフォームを進めることが勝因となりそうだ。


■リフォーム工事経験者に聞いたリフォームの対象部位

上位10部位中、外まわりは2カ所のみ。現状のリフォーム工事では“見た目”よりも“室内”に対象部位が集中していることが分かるが、流通を視野に入れた場合は『外観』の第一印象が価値を左右するポイントとなる。※国土交通省『中古住宅流通・リフォーム市場の現状レポート』2010年統計資料。
 
1位 浴室
2位 キッチン
3位 トイレ
4位 給湯器
5位 洗面所
6位 床・畳
7位 内壁(クロス)
8位 外壁
9位 リビング・ダイニング
10位 屋根・雨どい
 

築年数が経過して廃盤になった外壁タイルを復元する『復元屋』が登場!

中古住宅や老朽化マンションの資産価値向上を目的とした再生事業が活性化するなかで、いま注目を集めている企業がある。愛知県常滑市に本社を置く株式会社アカイタイルだ。

2012年10月に完成した東京駅丸の内駅舎の『赤レンガの外壁復元工事を請け負った会社』と聞くと、ご存知の方も多いかもしれない。もともとは窯業がさかんな常滑市でタイル製造をおこなってきた創業80年の歴史ある会社だが、2003年に大手タイルメーカーから「大正時代の建物の外壁タイルの復元ができないか?」との依頼を受けたことをきっかけに『タイルの復元屋』としての評判が全国へ知れ渡るようになった。

「一戸建てやマンションなどの建物の外壁に使用されるタイルは、短いものだと3~4年、長いものでも20年ほどで廃盤になってしまうため、築年数が経過した住まいの外壁を修復しようとしたときに、同じタイルが見つからないというケースが多いのです。せっかく修復しようとしても、一部だけ外壁の色が変わってしまうとそこだけが目立ってしまいますから『同じ色、同じ風合いに外壁タイルを復元してほしい』といった依頼が近年増え続けています」と語るのは、3代目の赤井祐仁社長。

“外壁タイルの色だけでなく、長年雨風にさらされて付着した汚れも一緒に再現してほしい”というオーダーを最初に受けたときは、従来のタイル業界の常識では考えられない要望だったため社員一同が戸惑ったそうだが、すでに現存しないメーカー製のタイルや、今は製造されていないタイルを手にして復元作業に取り組むうちに『タイル製造に携わる者の使命』としてやりがいを感じるようになったという。

▲株式会社アカイタイルの社名を全国に知らしめたのが『東京駅丸の内駅舎』の赤レンガ復元工事だ▲株式会社アカイタイルの社名を全国に知らしめたのが『東京駅丸の内駅舎』の赤レンガ復元工事だ

その建物の時代背景を物語る、外壁タイルの色とデザイン
美観の維持には定期点検と早期メンテナンスが大切!

▲タイルの『復元屋』こと、赤井祐仁社長。夢は「世界中の歴史的建造物のタイルを復元すること」だそうだ▲タイルの『復元屋』こと、赤井祐仁社長。夢は「世界中の歴史的建造物のタイルを復元すること」だそうだ

しかし、本来は長く継承されるべき外壁タイルが短いサイクルで廃盤になってしまう理由はどこにあるのだろうか?

「デザインの流行り廃りが一番の理由でしょうね。色合いや形状にも時代ごとにトレンドがありますし、そのトレンドが広がっていくと、今度は“同じものを使いたくない”という設計士やデザイナーの想いが強くなって、新しいデザインのタイルを求めるようになります」と赤井社長。

また、景気が悪くなるとグレー系統の色が増え、好景気になると明るい色が増えてくる傾向があるため、外壁タイルを見るとその建物の時代背景がよくわかって面白いのだそうだ。


最後に“住まいの外壁の美観を維持するためのアドバイス”を赤井社長にうかがってみた。

「タイルというのは元来汚れが着きにくく、高温で焼かれているため退色もしにくく、躯体を風雨や紫外線から守ってくれる非常に耐久性の高い材質ですから、明治から昭和初期のタイル建築が今でも全国に瀟洒な姿を残しています。そんな機能性と意匠性を合わせ持ったタイル建築ですが、やはり長年に渡って美観を保つには定期的に点検を行い、不具合のある箇所は早急に補修し、他の部分に影響が広がらないようにすることが大切です」(赤井社長談)


“住まいの美観の維持には、定期点検と早期の修復が大切”。

人間の健康維持の秘訣である“定期検診と早期発見”にも通じるこの言葉を肝に銘じつつ、住まいの資産性維持につながる『外壁リフォーム』をあなたのお宅でも検討してみてはいかがだろう?


■取材協力:株式会社アカイタイル『復元屋』
http://www.fukugenya.jp/index.html

2013年 11月11日 10時07分