韓日国際ワークショップ「日本バブル崩壊から25年、住宅政策と教訓」に参加

韓日国際ワークショップ「日本バブル崩壊から25年、住宅政策と教訓」に参加韓日国際ワークショップ「日本バブル崩壊から25年、住宅政策と教訓」に参加

6月23~25日にかけて、韓日国際ワークショップ「日本バブル崩壊から25年、住宅政策と教訓」に参加するために、ソウルに行ってきた。日本の報道から、MERSが大きく暗い影を落とした、閑散としたまちの姿を想像していた。アテンドしてくれたLH土地住宅研究院、ソウル研究院の方は、「怖くないか」と気遣ってくれる。しかし、三日間で感じたのは、活気にあふれた大都市であった。

驚いたことの一つがこのことであるが、もう一つ驚いたのは、この春に香港のテレビ、台湾のテレビから取材を受け、そして今回のソウルでのワークショップを含めたら、3回連続して日本のバブル崩壊に関する情報提供を求められていることである。

アジア諸国は、日本からどんな情報を得ようとしているのだろうか。これらの国と地域では、現在不動産価格が急騰している国もあれば、低迷期にあるとされている国もある。しかし、共通しているのは日本に数十年遅れて人口減少、高齢化を迎えることが確実とされている点であろう。

このような諸国に我々は何を伝えることができるのだろうか。

住宅市場においても、バブル崩壊のショックがあったのだろうか?

日本経済の今を語るときに、必ず言及されるのはバブルの発生とその崩壊である。日本経済は、バブル崩壊後に、長い低迷期に入ったとされる。住宅市場においても、同じようなショックがあったのだろうか。おさらいをしてみよう。

日本の住宅着工戸数は、1980年代後半から1996年ころまでは、概ね150~160万戸台の高水準の着工がみられた。つまり、バブルが崩壊したとされる1992年以降も、しばらく高水準の住宅着工がみられた。
しかし住宅着工戸数は、アジア金融危機のあった1997年以降低下し始め、2008年までは100~120万戸の水準で推移することになる。2008年のリーマンショック以降は、より大きく下振れすることになり、80~100万戸程度の着工しか見られなくなる。

バブルは日本の家計や企業にそれほど大きなショックを与えなかったのだろうか。
最も大きな影響と考えられるのは、巨額のキャピタルゲインとロスの発生であろう。元々土地はキャピタルゲインを発生させてきた資産であった。しかし、1980年代前半にはGDPの0.1~0.4程度のゲインであったが、1980年代後半に急上昇し、1987年にはGDPを超えるまでのキャピタルゲインを生み出す資産となった。しかし2001年以降は一転して、キャピタルロスを生み出す資産となり、1991年、1992年とGDPの0.4程度のキャピタルロスを発生させ、その後もほぼ一貫してキャピタルロスを生じる資産であり続けている。

人口要因から詳細に検証する

しかし、このような環境下でも住宅着工戸数は、急速に低下することなく、1990年代後半まで高い水準を維持し続ける。このことを、人口要因から詳細に検証することとする。具体的には、各世帯主年齢階級別の持家数/各年齢階級別人口(持家需要率)を算出し、次の年齢階級に移動したときの差分を、その年齢階級の新規持家需要(持家需要率)として解釈する。時系列的に持家需要率が安定的だと前提すれば、特定時点のそれを、各年の年齢別人口を乗ずることで、各年の持家需要、借家需要を把握することができるようになるだろう。ここでは、持家需要率として2008年のものを各年に適用して、住宅市場に与える人口要因の大きさを把握し、2008年で指数化(持家需要指数)する。

図においては、1960~2008年の持家需要指数と、2008年を基準とした住宅着工戸数の指数を重ねたものである。必ずしも、1970年代のピークや、バブルのころの住宅着工の上昇のようなサイクルを説明できるものとはなっていない。しかし、1980年代半ばにかけて上昇し、その後低下する大きなトレンドは説明できている。
そのような意味において、持家市場において人口要因は、長期的な着工戸数の方向性を説明していると考えることができるだろう。

これと同じ手法で貸家系の住宅の着工戸数の動きもトレースすることができる。ここから言えるのは、確かにバブルの崩壊は家計に大きなキャピタルロスを与えた。それだけでなく、日本の経済成長率は大きく低下し、人々の所得も同じように伸び悩んだ。

しかし、住宅市場が急速に収縮しなかったのは、確かに経済対策などで住宅着工を刺激したという側面もあろうが、人口要因が下支えしていたということが言えるかもしれない。

持家需要指数と住宅着工戸数</br>注)総務省推計人口、住宅土地統計調査(総務省統計局)、建築着工統計(国土交通省)から作成持家需要指数と住宅着工戸数
注)総務省推計人口、住宅土地統計調査(総務省統計局)、建築着工統計(国土交通省)から作成

2015年 07月24日 11時08分