【フラット35】と【フラット35】リノベ

【フラット35】の主なプランのひとつである、【フラット35】リノベ。リフォーム工事要件の緩和内容を見ていこう【フラット35】の主なプランのひとつである、【フラット35】リノベ。リフォーム工事要件の緩和内容を見ていこう

マイホーム購入を検討中の皆さまには、すでにおなじみとなっている【フラット35】。筆者が担当する住宅購入相談や住宅ローン相談においても、【フラット35】を一から説明する機会はめっきり少なくなった。今や【フラット35】は長期固定金利住宅ローンの代名詞だといえる。

【フラット35】は、全国300以上の金融機関と住宅金融支援機構が提携して扱う全期間固定金利型住宅ローンだが、その使途は本人や親族が住むための新築住宅の建設資金や購入資金、または中古住宅の購入資金だ。手元資金が少なくても高額な住宅の購入や建築ができるのは住宅ローンのおかげだといえる。

【フラット35】は、当初の金利が完済まで固定される住宅ローンだが、一定の条件を満たすことで当初期間の金利を引き下げることができる。主なものは、下記のプランだ。

・【フラット35】S
・【フラット35】リノベ
・【フラット35】子育て支援型、地域活性化型


【フラット35】の2020年11月度の金利は、1.31%とする金融機関が多い(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付き金利の場合)。【フラット35】リノベを利用すると、【フラット35】の金利から0.5%下がり、当初期間は0.81%となる。引き下げ期間が終了すると元の1.31%に戻り、完済まで固定される仕組みだ。

住宅金融支援機構は、2021年1月以降の物件検査申請分より、【フラット35】リノベのリフォーム工事要件を緩和すると公表している。希望するリフォーム工事が適用になるのかどうか、内容を見ていこう。なお、【フラット35】Sも、同じタイミングで金利引き下げ基準を一部見直すこととなっている。

【フラット35】リノベとは

借り入れの対象となるのは、中古住宅の購入資金とリフォームの工事費だ。借入金に対し、当初期間は通常の【フラット35】よりマイナス0.5%の金利で利用できる。「欲しいエリアに新築住宅がないため、中古住宅をリフォームして住みたい」「希望どおりの住空間に改修して購入したい」「購入物件をより長く快適に暮らせるようにしたい」など、【フラット35】リノベは高まる「中古住宅購入+リフォーム」に対応する住宅ローンだといえる。

借入額は、100万円以上8,000万円以下(1万円単位)で、中古住宅購入価額とリフォーム工事費の合計額以内。借入期間は、15年以上35年以下が基本だが、本人や連帯債務者の年齢によって調整される。そのほか、年収などの要件もある。また、【フラット35】リノベの取り扱いがない金融機関もあるため、利用前の確認は欠かせない。

【フラット35】リノベの特徴の1つは、中古住宅購入時に行われるリフォーム工事が、「性能向上リフォーム」でなければならない点だ。単なるリフォームでは、融資は受けられない。借入要件を満たすリフォーム工事かどうかは、利用の際の「事前確認(リフォーム工事前)」と「適合証明検査※(リフォーム工事後)」で確認される。【フラット35】と【フラット35】リノベの技術基準に適合していることが確認されると「適合証明書」が交付され、【フラット35】リノベの契約手続き、資金実行、入居という流れだ。

※適合証明検査は、適合証明検査機関によって行われる。その際、「中古住宅の維持保全に係る措置」として、①インスペクションの実施、②瑕疵保険の付保等、③住宅履歴情報の保存、④維持保全計画の作成、のいずれかの措置が行われていることの確認も行われる。
なお、【フラット35】リノベは、2つのシーンで利用ができる。一つは、中古住宅を購入後、自ら性能向上リフォーム工事(リフォーム業者に発注するなど)を行う場合。もう一つは、住宅事業者が性能向上リフォーム工事を行った中古住宅を購入する場合だ。いずれも、「事前確認⇒適合証明検査⇒適合証明書の交付」という手順は同じとなる。

次に、要件となるリフォーム工事だが、大きく二つのプランに分類される。どちらの基準を満たすかによって、金利の引下げ期間が異なる。「金利Aプラン」では当初10年間。「金利Bプラン」では当初5年間となるが、期間の差は、求められる基準の差だと心得よう。

では、利息の軽減効果はどれくらいかというと、例えば、借入額4,000万円、35年・元利均等返済、ボーナス併用なしの場合で【フラット35】と比べると、金利Aプランで約181万円、金利Bプランで約98万円を減額できる。当然、毎月返済額も低くなる。性能向上リフォームを行うことで若干工事費が増えても、利息軽減効果と快適な住空間が得られることにメリットがあるならば、【フラット35】リノベも検討したい。現在の低金利を完済まで固定できるのも魅力だ。

2021年1月の制度改正にて、金利Bプランのリフォーム工事の条件緩和などが予定されている。次項で見ていこう。

【フラット35】リノベの金利引下げ期間ほか
【フラット35】リノベの金利引下げ期間ほか

【フラット35】リノベの改正点

【フラット35】リノベの改正点、①リフォーム工事費の要件(最低金額)の新設、②金利Bプランの住宅の要件(リフォーム工事の要件)の緩和ついて情報を収集をし、比較検討したい【フラット35】リノベの改正点、①リフォーム工事費の要件(最低金額)の新設、②金利Bプランの住宅の要件(リフォーム工事の要件)の緩和ついて情報を収集をし、比較検討したい

2021年1月以降の物件検査(事前確認等の所定の手続き)申請分より下記の点が改正される。

①リフォーム工事費の要件(最低金額)の新設
②金利Bプランの住宅の要件(リフォーム工事の要件)の緩和
※金利Aプランでは、リフォーム工事前にすでに住宅要件に適合している場合も利用可とする。


①リフォーム工事費の要件(最低金額)の新設
新たに加わる要件は、工事費の最低金額の設定だ。【フラット35】リノベの住宅要件に係る工事を含むリフォーム工事全体の費用が、「リフォーム工事費の要件」の金額(下記)を上回らなければならない。工事全体費の用が200万円未満だと、利用できないこととなる。

■リフォーム工事費の要件
金利Aプラン:300万円以上
金利Bプラン:200万円以上

②金利Bプランの住宅の要件(リフォーム工事の要件)の緩和
今回の改正では、金利Bプランの住宅要件が緩和される。性能向上リフォームの裾野を広げようという意図だ。住宅の要件となるリフォーム工事は、「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」の4種類。金利Aプランも同じ4種類だが、求められる技術基準が高くなる。

金利Bプランの現行の住宅要件は、全部で10項目あり、いずれか1つ以上の基準に適合する性能向上リフォームを行うこととなっている(下記は一例)。なお、リフォーム工事前に適合していない基準をリフォーム工事によって適合させることが必要だ。

【現行】「金利Bプラン」性能向上リフォームの適合基準(一部抜粋)
・「省エネルギー性」断熱等性能等級4の住宅
・「耐震性」耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅
・「バリアフリー性」高齢者等配慮対策等級3以上の住宅
・「耐久性・可変性」劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅

現行の要件には性能の等級などが定められているが、改正以降は具体的な等級の提示はない。それゆえ、リフォーム工事のプランニングには専門知識が求められる。せっかくの要件緩和だ、余裕を持って情報を収集し専門の会社へ相談したい。プランや費用については相見積もりなど、比較検討が必須だ。

【フラット35】リノベ改正後の住宅の要件

次に改正後の住宅の要件を見てみよう。

【改正後】住宅の要件
次のいずれかのリフォーム工事が行われた住宅であること。
(住宅ローン減税等の対象となるリフォーム工事と同等で住宅金融支援機構が定める工事)
・「省エネルギー改修工事」断熱材の追加・交換工事等
・「省エネルギー設備設置工事」給湯設備や太陽光発電設備の設置・交換工事等
・「耐震改修工事」壁・筋かい等の設置・交換工事等
・「バリアフリー改修工事」手すりの設置・交換工事、通路又は出入り口の幅員拡幅工事等
・「耐久性を向上させる工事」天井・内壁等の壁紙等の交換工事、屋根・外壁の塗装・防水工事等

いかがだろう。対象となる5つの工事に、具体的なリフォーム工事の例を表記したが、いずれも身近な工事の印象ではないだろうか。中古住宅は、新築住宅と異なり、購入時にすでに年月が経過している。長寿社会においては住宅の寿命を延ばすことも重要となっている。安全・安心で快適な住生活を送るために住宅性能向上リフォームは欠かせない。

リフォームは、購入後に生活しながら行うことも可能だ。が、大規模な工事になるほどハードルが高くなる。家具や家電の移動、工事期間の防犯・防災対応、工事による粉塵などの健康への影響など、工事期間中のストレスを覚悟する必要がある。猛暑か厳冬か、季節も考えたい。自分と家族にとって、何が最適か、総合的に判断しよう。

【フラット35】リノベの改正後の要件【フラット35】リノベの改正後の要件

新要件の適用時期

最後に、新要件の適用時期について、見ておく。
新要件は、事前確認検査の申請が令和3年1月1日以降の場合に適用される。よって、現状では、令和2年12月末までに融資申し込みを行って、令和3年1月1日以降に事前確認検査等の申請を行う場合は、旧要件を適用することも可能だ。

マイホームの購入には、場所選び、住宅選びが必要だが、古いからと中古住宅を選択肢から外すのではなく、希望の場所であれば、性能向上リフォームも検討したい。

なお、【フラット35】リノベには予算金額があり、予算金額に達する見込みとなった場合は、受け付けが終了する。受付終了日は、終了する約3週間前までに住宅金融支援機構のサイトで告知される。

【フラット35】及び【フラット35】リノベの技術基準や融資基準の詳細、その他については、【フラット35】サイト(https://www.flat35.com/)を参照のこと。

「新要件が適用できるケース」※「フラット35サイト(https://www.flat35.com/)より「新要件が適用できるケース」※「フラット35サイト(https://www.flat35.com/)より

2020年 12月16日 11時05分