「いくらのマンションが買えますか?」

マンション購入ビギナーからの質問で多いのは、「購入予算について」。あなたの場合は?マンション購入ビギナーからの質問で多いのは、「購入予算について」。あなたの場合は?

住宅購入の相談で多いのは、購入予算について。「いくらのマンションが買えるのか」は誰もが気になるところである。逆に「予算はいくらくらいか」と尋ねると、ほとんどの相談者が「○○千万円くらい」と大よその金額を答える。自ら試算できているのだから素晴らしい。ところが「その根拠は?」とさらに質問を重ねると、「何となく」と急に答えがトーンダウンする。自宅に入っているチラシの住宅価格や住宅雑誌の試算例など、広告に大きく掲載されている住宅価格がいつの間にか無意識に刷り込まれているのかもしれない。自分の数字で試算していない購入予算は他人の予算。信じ込むと危険だ。

「借りられる金額≠返せる金額」の公式は基本中の基本

住宅購入における予算計画の柱は、住宅ローンの借入れ額である。もちろんキャッシュで購入するケースもあるが、やはり主となるのは住宅ローン。「いくら借りられるか」がポイントとなる。ゆえに、先の「いくらのマンションが買えるか」の答えは、「いくらの住宅ローンが借りられるか」。そして、「いくらの頭金が出せるか」となる。あなたの場合はいかがであろうか。

だが、「いくら借りられるか」と尋ねて、「○○万○○千円です」と答えられる人はごくわずかであろう。それこそ試算していないと答えられない数字である。ゆえに「いくら借りられるか」という質問は「毎月いくら返せるか」という質問へ言い換える必要がある。毎月の家計収支(=収入-支出)から、いくらなら無理なく住宅ローン返済に充当できるか。この「毎月返済可能額」こそが、予算計画のベースである。「借りられる金額」と「返せる金額」は同じではないことを肝に銘じておく必要がある。

○借りられる額・・・税込年収を基に計算することが多い
○返せる額・・・手取り収入をベースに家計収支から試算する

試算例

税込年収600万円の場合、借りられる金額は約5,670万円(返済期間35年、固定金利1.54%の場合)。では、返せる額を家計収支に基づいて考えてみよう。可処分所得(手取り年収)が480万円(=600万円×80%)だとする。ボーナスを除いた毎月の手取り収入が30万円。住居費を除く基本生活費が15万円。教育費の積立が2万円。購入するマンションの管理費、積立金、駐車場、固定資産税が4万円。緊急予備資金に1万円。として試算すると、毎月の家計収支は、8万円(=30万円-(15万円+2万円+4万円+1万円))となる。

8万円を毎月返済額として全額住宅ローンに充当した場合、借入可能額は2,590万円。支出を見直して家計収支(毎月返済額)を10万円に増額できれば借入可能額は3,240万円に増える。だが、いずれも年収を基に試算した借りられる金額5,670万円とは大きな差が生じてしまう。これが実態なのだ。家計収支から借入可能額を試算するのではなく、年収から試算した金額で購入してしまうといかに危険であるかがわかるだろうと思う。新生活のスタートが家計破綻への扉を開けることとなるのだ、十分に気を付けたい。そしてさらに「返せる額」は、将来にわたって「返し続けられる額」でなければならない。長期視点とライフプランニングが必要となる。

※返済期間35年、固定金利1.54%の場合
税込年収600万円・・・借りられる額:5,670万円
家計収支8万円・・・返せる額:2,590万円

大切なのは家計収支

家計収支が重要家計収支が重要

筆者は、家計収支から試算した将来にわたって無理のない購入予算の考え方を「自分予算®」と名付け、家計収支及び生涯収支からの住宅予算の試算を提唱している。金融機関は年収を見て融資額を試算する。返し続けられるかを決定する家計収支は、自分で把握し試算しなければならない。あくまでも自己責任だ。ところが、家計簿を付けず、家計の収入、支出、収支を知らずして、購入に臨むケースが多い。これでは、売り手、貸し手の言いなりだ。相手の言葉を検証できる術を備えておく必要がある。提示される金額が自分に合っているかどうかを判断する物差しが必要である。それが、家計収支なのである。

先の試算例で見たとおり、手取り収入が30万円、基礎生活費が15万円だとしても、残額15万円を全額住宅ローンの返済には充当できないことも注意すべき点である。マンションであれば、管理費や修繕積立金、持ち家ゆえの固定資産税・都市計画税、将来のための積立金も原資は家計収支だ。住宅購入の予算計画の前に、家計管理、家計の把握が欠かせない。家計収支から毎月返済可能額を計算し、その数字を基に借入可能額を試算すれば、借り過ぎによる住宅ローン破たんのリスクを軽減することができる。

2015年 05月20日 11時06分