フェンスの主な役割は、境界を明確にすること、侵入者を防ぐこと

フェンスを設置する目的は、周辺環境や敷地条件、建物本体のプランニングなどによって異なるが、一般的には、道路や隣地との境界を明確にすること、外部からの侵入者を防ぐこと、視線を遮りプライバシーを守ることなどが挙げられる。もちろん、住まい全体として、そのイメージを左右する部材のひとつでもあるだろう。

住宅で多く用いられるフェンスは、豊富なバリエーションが揃う建材メーカーの商品。素材としては、アルミニウムや樹脂、スチールなどがみられるが、耐久性に優れ、錆や腐食に強いアルミニウムが一般的だ。成形の方法によって「形材」と「鋳物」に分類することができる。

【主な素材の種類】
■アルミ形材
商品バリエーションが豊富で、比較的手ごろな価格なのも魅力。直線を基調としたシンプルなデザインが多く揃い、形材にラミネートするなどして、木の素材感を表現したタイプなどもみられる。異素材と組み合わせたデザインも。

■アルミ鋳物
複雑な形や模様を生み出すことができるのが特徴。曲線を用いたデザインだけでなく、すっきりとしたシンプルなタイプも。価格的には形材よりも高め。

■樹脂系
ポリスチレンなどの樹脂系素材は、耐候性もあり、メンテナンスも楽。木粉や再生木などを用いた天然木のようなタイプや竹を模した商品などもみられる。

■スチール
強度に優れ加工性に富み価格も安価。メッシュタイプなど、開放感のあるデザインが揃う。

アルミ形材の素材感を活かした飽きの来ないシンプルデザインが幅広い住宅スタイルにマッチするYKK APの「シンプレオ フェンスシリーズ」。全22デザインとカラー全5色。目隠し効果が高い8デザインにT120サイズ(幅1,975mm×高さ1,200mm )を設定。 (上)「シンプレオ」門扉S1型とフェンスSY1型(ピュアシルバー色) (下)「シンプレオ」門扉2型とフェンス2型(プラチナステン色) YKK APアルミ形材の素材感を活かした飽きの来ないシンプルデザインが幅広い住宅スタイルにマッチするYKK APの「シンプレオ フェンスシリーズ」。全22デザインとカラー全5色。目隠し効果が高い8デザインにT120サイズ(幅1,975mm×高さ1,200mm )を設定。 (上)「シンプレオ」門扉S1型とフェンスSY1型(ピュアシルバー色) (下)「シンプレオ」門扉2型とフェンス2型(プラチナステン色) YKK AP

設置する目的に合わせたデザインを選ぶことが重要

フェンスにはさまざまなデザインがあるが、選ぶ際にはフェンスに求める機能、こだわりたい点の優先順位を明確にすることが大切だ。隣地や道路の状況、人通りや視線、周辺の家の窓の位置など確認し、たとえば、境界を明確にしつつ開放感を得たいのであれば、低めのタイプや桟の少ないデザインを。プライバシーを確保しつつ通風を得たいのであればルーバータイプなどが向いている。防犯性を高めるのが目的の場合は、ある程度の高さのあるものや目隠し機能のあるタイプが適しているだろう。

【主なデザインの種類】
■格子タイプ
縦格子や横格子、井桁格子などがある。格子部分や隙間のサイズによって、イメージが異なるだけでなく、視線を遮るなどプライバシーの確保にも影響する。

■ルーバータイプ
角度をつけたルーバー(羽板)で構成されたタイプ。角度によって、視線を遮り、風を取り込むことが可能。

■パネルタイプ
隙間なくパネルを並べるタイプは視線を完全に遮る。ポリカーボネートなどのパネルであれば、視線を遮りつつ光を取り込むことができる。

■メッシュ(ネット)タイプ
開放的で軽やかなデザインが特徴。境界を明確にする目的での設置、生垣と組み合わせて用いることもある。

最近の売れ筋のデザインをメーカーに聞いてみた。YKK APエクステリア本部 エクステリア商品企画部の井上康宏さんは「最近は、横スリットデザインの商品が人気です。スリット部から光と風を通しつつ、ほどよい目隠しが可能なことが魅力。本体中心に縦骨が入らない横ラインが通ったデザイン、道路面は木調カラーで家屋側はシンプルなアルミカラーを採用したタイプなどが好まれています」

また、LIXIL広報 酒井亮介さんは「木の風合いとぬくもりを表現したルーバータイプの商品が注目されています。面材の両面にに丸みをつけ、柱やパネル、フレームに木調ラッピングを施すなどして、木の持つ自然なフォルムを細部にまでこだわり再現したものが人気です。目隠しをしながら風通しや採光を考慮するなどの機能性を両立したタイプが好まれていますね」と話す。

(上)アルミ鋳物の深い質感と優雅なディテールが特徴。連続する美しさが柔らかく境界を作る。「ラフィーネフェンス」 (下)重厚な格子デザインが特徴の高尺フェンス。光と風を取り込みプライバシーや防犯面にも配慮。「プログコートフェンス」 LIXIL(上)アルミ鋳物の深い質感と優雅なディテールが特徴。連続する美しさが柔らかく境界を作る。「ラフィーネフェンス」 (下)重厚な格子デザインが特徴の高尺フェンス。光と風を取り込みプライバシーや防犯面にも配慮。「プログコートフェンス」 LIXIL

倒壊事故が発生したブロック塀に代わる商品も充実してきた

平成30年の地震により、耐震性に問題があるブロック塀が倒壊する事故が発生したことから、ブロック塀の安全確保が重要となってきている。ブロック塀からフェンスへの交換、安全な設置方法などが注目され、それらに対応したフェンス商品なども提案されている。

YKK APでは、「ブロック塀10段分(高さ2000mm)からの改修対応商品である目隠し機能が可能な高尺フェンスを強化しています。商品には、ブロックを2段積んだ上にフェンス柱を施工するタイプと地中に独立基礎を設置してその基礎にフェンスの柱を建てて施工するタイプの2種類があるので条件に合わせて設置が可能です。また、テレビCMやリーフレットで、ブロック塀からより安全なアルミ製の目隠しフェンスへの改修を推奨、提案活動も行っています」(井上さん)

国土交通省からは、既設の塀の点検のチェックポイントが示されるなど、ブロック塀の安全性は強く求められている。チェックポイントは、塀が高すぎないか、厚さが十分か、控え壁があるか(塀の高さが1.2m超の場合)、基礎があるかなど。外観を確認し、ひとつでも不適合がある場合、わからないことがあれば、専門家に相談することが大切だ。

また、ブロック塀等の撤去、フェンスなどへの改修改善については、自治体によって助成金を設定しているケースもみられる。検討の際は事前に住んでいる自治体に確認するようにしたい。

自立建て用スクリーンフェンスやブロック建て用フェンスに、高さと目隠し機能を確保したサイズやデザイン・カラーのバリエーションを拡充。「ステンレス色だけでなく、ブラック色アルミフレームに木調パネルの組合せも多く取り入れられています」(井上さん)
(左)ブロック建て用高尺フェンス_ルシアスフェンスF04型 プラチナステン×ハニーチェリー (右上)自立建て用スクリーンフェンス_ルシアススクリーンフェンスR03型 カームブラック×キャラメルチーク (右下)自立建て用スクリーンフェンスルシアススクリーンフェンスS05型 カームブラック×キャラメルチーク YKK AP
自立建て用スクリーンフェンスやブロック建て用フェンスに、高さと目隠し機能を確保したサイズやデザイン・カラーのバリエーションを拡充。「ステンレス色だけでなく、ブラック色アルミフレームに木調パネルの組合せも多く取り入れられています」(井上さん) (左)ブロック建て用高尺フェンス_ルシアスフェンスF04型 プラチナステン×ハニーチェリー (右上)自立建て用スクリーンフェンス_ルシアススクリーンフェンスR03型 カームブラック×キャラメルチーク (右下)自立建て用スクリーンフェンスルシアススクリーンフェンスS05型 カームブラック×キャラメルチーク YKK AP

災害に配慮した性能を持つタイプも

住まいづくりを進める中で、多発する自然災害への配慮も重要なポイントのひとつだ。最近では、台風時などの強風に対する性能を高めたエクステリア建材は多くみられ、フェンス商品でも耐風圧強度を高めたタイプが充実してきている。

LIXILでは、「新商品では、台風などのリスク対策として、耐風圧強度34m/秒に加え、柱ピッチ1000mm施工時において、耐風圧強度42m/秒相当(一部高さ除く)にも対応しています。住まいと家族を守る強靭さを備えているのが特徴です」(酒井さん)

防犯面やデザイン性だけでなく、設置する地域の特性に合わせた機能を持つ建材商品を選び、適した施工を施すことが重要だ。

近年多発する自然災害により注目を集めているフェンスへのニーズに応え、耐風圧強度の高いタイプをラインアップ。プライバシーに配慮した目隠しデザインが充実。開き門扉と合わせてコーディネート可能。 (上)「フェンスAB」「開き門扉AB」のコーディネート例 (下)家側から見た「フェンスAB」施工例  LIXIL近年多発する自然災害により注目を集めているフェンスへのニーズに応え、耐風圧強度の高いタイプをラインアップ。プライバシーに配慮した目隠しデザインが充実。開き門扉と合わせてコーディネート可能。 (上)「フェンスAB」「開き門扉AB」のコーディネート例 (下)家側から見た「フェンスAB」施工例  LIXIL

住まい全体でトータルに検討を。実物でチェックしたい

フェンスを選ぶ際には、門扉やカーポートなどの外まわりはもちろん、建物本体や庭との調和にも配慮したい。たとえば、建物本体の窓枠やベランダ手すり、玄関扉などとデザインを合わせることでまとまりのある佇まいとなるだろう。新築などの際には、どうしてもエクステリアは後まわしになりがちだが、建物本体と同時にプランニングすることが大切だ。

LIXILの酒井さんは「トレンドのデザインはもとより、住宅の外観との調和などトータルでコーディネートされる方が増えてきています。フェンスやスクリーンは多彩なラインアップが揃っているので、設置場所や機能に合わせて選ぶことが可能です。たとえば、玄関前には高さのあるフェンスを、リビング前の庭まわりはプライバシーを保ちつつ、明るい開放的な空間を実現する半透明のスクリーンを、など様々なプランが考えられるでしょう」と話す。

また、YKK APの井上さんは、「ブロック塀からフェンスへ交換する場合、目隠しフェンスを検討される方が多くみられます。しかし、プライバシー確保のための目隠しを目的としたフェンスにも、完全目隠しタイプや隙間のある半目隠しタイプ、ポリカーボネートパネルを使った採光タイプなど多くの商品が揃っています。フェンスは、一度施工すると長い期間取り換えをすることのないアイテムなので、取付場所や用途に合わせて検討することが肝要でしょう」とアドバイスする。

新築でもリフォームでも、フェンスを選ぶ際には、カタログだけで決定してしまう場合もあるだろう。しかし、可能であれば、ショールームなどで実物のチェックを。エクステリア建材のショールームは多くはないが、できる限り利用し、門扉やカーポートなどと一緒に、高さなどのサイズ、素材感や色味など、実際に確認して選ぶことが大切だ。

取材協力/ LIXIL YKK AP

(左上)アプローチまわりとコーディネートしやすいデザインのフェンス。採光できるポリカーボネートパネルタイプ。「ルシアス フェンス J01型」 (左下)フラットな笠木が印象的な、間仕切柱タイプの連続フェンス。「ルシアス フェンスLite03型」 YKK AP
(右上)木の風合いとぬくもりを再現し、手仕事を思わせる優しいフォルムが特徴。住宅トレンドに調和する「チェリーウッド」「ラスティックオーク」「オーク」の3色を新たに追加、全7色から選べる。「フェンスAA」「開き門扉AA」のコーディネート例。(右下)家側から見た「フェンスAA」施工例 LIXIL 
(左上)アプローチまわりとコーディネートしやすいデザインのフェンス。採光できるポリカーボネートパネルタイプ。「ルシアス フェンス J01型」 (左下)フラットな笠木が印象的な、間仕切柱タイプの連続フェンス。「ルシアス フェンスLite03型」 YKK AP (右上)木の風合いとぬくもりを再現し、手仕事を思わせる優しいフォルムが特徴。住宅トレンドに調和する「チェリーウッド」「ラスティックオーク」「オーク」の3色を新たに追加、全7色から選べる。「フェンスAA」「開き門扉AA」のコーディネート例。(右下)家側から見た「フェンスAA」施工例 LIXIL

2020年 06月25日 11時05分