愛知県で第2の都市は、豊橋市か
愛知県第1の都市といえば、知名度・人口ともに名古屋市の地位は揺らがない。では「第2の都市とは?」と聞くと、県民でも意見が分かれるのではないか。
歴史的に見れば、県で2番目に市政を施行し、新幹線の停車駅でもある「豊橋市」があげられるだろう。とはいえ2025年の国勢調査によると、人口は県で5位(約36万人)。2005年以降は、トヨタ自動車のおひざ元で県内最大の面積をもつ豊田市に2位の座を譲っている。
歴史と産業に富みながらも、近年は地方都市の宿命とも言うべき「人口減少」「にぎわいの衰退」が課題となっている豊橋市。市では豊橋駅前のさまざまな再開発プロジェクトに取り組んできた。
おりしも2026年は、市政120周年を迎える節目の年。再開発などによる「まちなか居住」は、にぎわいを呼び戻す起爆剤になるのだろうか? 実際にまちなかを歩いて、豊橋市の現在地を見てきた。
豊橋駅前の30年間。百貨店は閉店になったが…
豊橋駅前の中心市街地は、どう変遷してきたのか。ここ30年を振り返ってみると、1996年の市民病院の郊外移転をはじめ、1998年のダイエー、2003年の西武百貨店、2020年には市内唯一の百貨店「ほの国百貨店」が閉店と、大型施設のクローズが続いてきた。
一方でその跡地は再開発が行われ、新たな役目を得ている。
例えば市民病院跡地には、こども未来館「ここにこ」がオープン(2008年)。子どもと他世代の交流施設としてまちに根差している。西武の跡地には、複合商業施設「ココラフロント」が開業(2008年)。ほの国百貨店跡地は、100戸超の分譲マンション(2024年)に生まれ変わった。歩いてみても、空きビルや空地がことさら目立つ印象はなかった。
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民間マンションが続々と誕生し、まちなか居住が加速
さて近年のランドマーク的な再開発といえば、豊橋駅前の複合施設「emCAMPUS」だ。ビルや児童広場などを一体で開発したもので、EAST棟(2021年)とWEST棟(2024年)でツインタワーをなしている。2棟の間には憩いの場となる「まちなか広場」が整備され、市の調査によると面する駅前大通り(南側)では休日の歩行者が増えたという。
豊橋駅のペデストリアンデッキから眺めると、白の瀟洒な2棟はひときわ目立つ。取材当日はまちなか図書館が休館だったため、日常よりもにぎわいが少なかったかもしれないが、1階のフードホールやまちなか広場では会社員やご近所らしき方が思い思いに過ごしていて、街のオアシスのような雰囲気が感じられた。
ちなみにこの「emCAMPUS」2棟の上層階はマンションとなっている。『豊橋市中心市街地活性化基本計画2026-2031』によると、中心市街地ではマンション建設が活況だ。
下記の地図を見ると、市が支援する再開発事業を含めた民間のマンション供給が増えているのは一目瞭然。中心市街地では2016年から2024年にかけて約1200戸が供給され、100戸を超える大規模マンションも4棟にのぼる。この結果、市全体では人口減でも、中心市街地の人口は2021年頃から増加傾向にあるそうだ。
まちなか居住の「これから」を観測する
民間再開発による、まちなか居住の動きは今後も続くようだ。『豊橋市中心市街地活性化基本計画2026-2031』(以下、同計画)によると、2つの再開発プロジェクトが控えている。現地をさっそく見てきた。
豊橋花園・魚町地区優良建築物等整備事業
広小路通りから一本入った低層のエリアで予定されている再開発プロジェクト。同計画によると、住宅80戸×豊橋市の1世帯平均1.93人で、154人の人口増という推計が出ている。(計画段階の想定数)
現地へ訪れると、小ぶりなレトロビルが並ぶ一角がフェンスで囲まれ、解体工事が始まっていた。
建築計画によれば、2029年3月下旬完成を目指して、14階建ての店舗付き共同住宅の新築工事が予定されている。建築主は、豊橋を基盤とするサーラ不動産だ。
解体を控えたタイル張りのビルには、飲食店の看板などの面影が残っていた。昭和の趣が失われるのは惜しい気もするが、レトロビルの老朽化や耐震不足は中心市街地の課題である。店舗付きの再開発によって、居住者以外のにぎわいを呼び込む狙いもありそうだ。
豊橋広小路一丁目北地区第一種市街地再開発事業
続いて訪れたのは、東口の駅前ロータリーからすぐの広小路通り。ときわ通りという商店街と広小路通りに面した約0.7ヘクタールのエリアが、「豊橋広小路一丁目北地区第一種市街地再開発事業」の予定地となっている。
2024年に都市計画決定された大規模プロジェクトだが、現地へ足を運んでみると、まだ再開発の気配は感じられなかった。大型書店や複数のビルが営業していて、建築計画を示す看板も見当たらない。
同計画によると、住宅210戸×1世帯平均1.93人の推計で、405人の人口増が見込まれている。210戸の住宅というと結構な大型物件であり、店舗などを含むタワーマンション計画という情報をいくつか見かけた。
実際のところは、都市計画決定により事業計画の検討や作成が進められている段階で、建物規模や完成時期は未定のようだ。
ときわ通りでは、レトロな建物を生かしたカフェやスイーツ店など、個性的なお店が目を引いた。この一角が高層化して新ランドマークができれば、駅前に活力を与えてくれそうだ。大小複数のビルや店舗がひしめくエリアなので再開発には時間がかかりそうだが、新展開をゆっくりと注視したい。
新たな動き、住民投票で「新アリーナ建設」へ
もうひとつ、市外からの集客につながる大きな動きがある。豊橋市政で初となる住民投票により、豊橋公園で「新アリーナの建設」が再開したのだ。
この「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」は紆余曲折あり、新アリーナ計画中止を公約に掲げた市長が当選して事業が中断。その後、計画の賛否を問う住民投票が2025年7月に行われ、賛成が上回る結果を得て、新アリーナ事業は再開の運びとなった。新アリーナは2029年10月の開業を見据えている。
新アリーナは、Bリーグや大相撲、プロスポーツ、アマスポーツ、コンサート、コンベンション、市民利用などを想定し、来場者数約31万人を目標としている。
豊橋公園までは、豊橋駅から約2キロ、徒歩30分と歩くには少し距離があるのだが、このまちには“市電”というとっておきのアクセスがある。東海エリアで唯一残る路面電車は、市外からの来訪者がまち発見や回遊するチャンスをつくりやすい。その点でも、新アリーナ計画の継続はまちに鮮度をもたらしてくれるはずだ。
進化を止めないまちづくり。子育て世代の居住もカギに
豊橋市のまちなかは衰退という時代の波にもまれながらも、着実に一手を施してきたといえる。『豊橋市中心市街地活性化基本計画2026-2031』では、目指す都市像を下記の通り定め、集う、経済活動、暮らすの3点において、選ばれるまちなかを目指している。
「東三河の玄関口として、多くの人を惹きつけ、選ばれるまちなかの創造」
「暮らす」においては、再開発を含め土地の高度利用によるマンション建設が進んでいる。実際に歩いてみると、「モデルルーム公開中」の垂れ幕を掲げたマンションが次々と目に入った。多少供給が先行しているようなイメージはあるが、まちなか居住が定着し、しかも子育て世帯が増えていけばにぎわいのフックになるだろう。今後の駅前の進化を定点観測していきたい。
参考
豊橋市中心市街地活性化基本計画2026-2031
https://www.city.toyohashi.lg.jp/63966.htm
民間再開発事業の支援(豊橋市まちなか活性課)
https://www.city.toyohashi.lg.jp/17999.htm





















