地震大国日本。二次災害にも用心を

地震などの自然災害が起こった際は、必ず二次災害にも気を配りたい地震などの自然災害が起こった際は、必ず二次災害にも気を配りたい

昨今、全国各地で自然災害が頻発している。特に大地震に関しては、日本に住んでいればどこででも起こり得るので用心している人が多いのではないだろうか。しかし、二次災害にまで気を配っている人は少ないかもしれない。
二次災害とは、地震の揺れなどによる直接的な災害ではなく、災害が原因となって時間をおいてやってくる災禍だ。たとえば、地震が引き金となるものであれば地割れ、火災、土砂崩れなどがある。このような二次災害を軽減、防止するのに役立つのが、被災宅地危険度判定制度だ。これは大規模な地震や大雨などによって宅地が広範囲に被災した際、要請を受けた被災宅地危険度判定士が各地の危険度を現地で判定し、その結果を表示するもの。判定は都道府県知事などが実施する講習を修了し、認定された土木や建築の技術者が担う。
 
住民の命を守るため、この判定には迅速さが求められる。しかし、大災害は被害が広範囲にわたるため、後手後手になりがちだ。そのため事前に判定態勢を整えておくことが必須である。そこで国土交通省は、2019年8月、「被災宅地危険度判定広域支援マニュアル」を公表した。これは地震発生後、直ちに被災宅地数を推計し、それを基に必要な判定士の数を算定する方法や、判定活動をどのエリアから着手すべきかの判断方法などを示したものだ。本来は自治体向けの資料だが、一般の人が目を通しておけば、二次災害に遭うことを防ぐことにも役立つので、内容を説明しよう。

迅速な被災宅地危険度判定を行うための4つのポイント

今回公表された「被災宅地危険度判定広域支援マニュアル」には、4つのポイントがある。

1.被災地が広域の場合には、国やUR都市機構が広域支援の調整機能を担うこともあり得ることを明記
災害が広範囲で発生し、危険度判定を複数の自治体で行う場合、実施・支援本部間の調整を国やUR都市機構が行うこともある。また、被害状況や自治体の要請によっては、国やUR都市機構が実施・支援本部の役割を担う場合もある。熊本地震はこのケースにあてはまる。ちなみにUR都市機構と聞くと、賃貸住宅を思い浮かべる人がほとんどかもしれないが、実は業務として災害復興も行っている。

2.地震発生後、直ちに被災宅地数を推計する方法を提示
過去のデータから、震度6弱以上の地震が発生した際に広域な宅地被害が生じる可能性が高いことが分かっている。また、震度にかかわらずマグニチュード6.5程度以上の場合も、活断層による被害が生じることがあるため、判定等が必要であると判断される。そのうえで近年の地震において震度5弱以上を観測した市町村での被災宅地(危険または要注意と判定)の割合から、判定が必要な宅地の件数を推定する。

近年発生した熊本地震(2016年)、鳥取県中部地震(2016年)、東北地方太平洋沖地震(2011年)、新潟県中越沖地震(2006年)、新潟県中越地震地震(2004年)の震度別の世帯数と被災宅地数の関係。これらを基に判定必要件数を推定する(出典:「被災宅地危険度判定広域支援マニュアル」)近年発生した熊本地震(2016年)、鳥取県中部地震(2016年)、東北地方太平洋沖地震(2011年)、新潟県中越沖地震(2006年)、新潟県中越地震地震(2004年)の震度別の世帯数と被災宅地数の関係。これらを基に判定必要件数を推定する(出典:「被災宅地危険度判定広域支援マニュアル」)

各Web情報などから優先的に判定を行う区域を絞り込む

3.推計した被災宅地数から、必要な判定士の数を算出する方法を提示
判定は、判定士2~3人を1班として、1日に20宅地前後行う(移動距離などによって異なる)。それらを前提に、推定した被災宅地の数から必要な判定士の数を算出する。被災した自治体では必要な判定士を手配できない場合、近隣自治体に応援を要請することになる。
熊本地震の際には、九州だけでなく近畿地方、関東甲信越地方の自治体からも判定士が派遣されたが、このような場合に国および UR 都市機構が調整役を担うことがある。

4.判定活動をどのエリアから着手すべきかの判断方法を提示
各Web情報などから危険度が高く、優先的に判定を行う必要がある区域を絞り込む。Web情報とは防災科学技術研究所のJ-RISQ地震速報の推計震度分布や、同研究所の暫定版SIP地震被害推定システムによる全壊棟数分布情報などだ。これらの情報を基に、被害が大きいと予想される地域を対象に目視で先行調査を行い、判定の優先度を判断していく。

二次災害の危険性があるエリアには近づかない、近づかせない

肝心の判定結果は、下記の3種類のステッカーを見えやすい場所に表示することで、宅地の使用者だけでなく、付近を通行する人にも分かるようにする。このステッカーには判定結果の説明や二次災害防止のための方法、判定結果の問合せ先なども記載されている。

一般の人でもこのマニュアルを読めば、判定結果が表示されていること自体が二次被害の危険性があるエリアだということがよく理解できるはずだ。理解できていれば、そのエリアに近づかない、または家族や知人を近づかせないことに注意を払えるだろう。二次災害の被害に遭わないために、いざという事態の前に確認しておきたい。

「被災宅地危険度判定広域支援マニュアル」
https://www.mlit.go.jp/common/001303642.pdf

判定結果を示す3種類のステッカー。「危険宅地」は、この宅地に入ることは危険。「要注意宅地」は、この宅地に入る場合は十分注意が必要。「調査済宅地」は、この宅地の被災程度は小さいと判定されていることを示す(出典:被災宅地危険判定連絡協議会HP)判定結果を示す3種類のステッカー。「危険宅地」は、この宅地に入ることは危険。「要注意宅地」は、この宅地に入る場合は十分注意が必要。「調査済宅地」は、この宅地の被災程度は小さいと判定されていることを示す(出典:被災宅地危険判定連絡協議会HP)

2019年 10月30日 11時05分