モデルルームで感じる賃貸併用住宅の魅力
相続税対策としても注目を浴びている「賃貸併用住宅」。賃貸用のスペースをつくるには敷地に余裕がないとできないと思っていたが、最近は15坪~20坪程度の狭小地でも賃貸併用が進んでいるという。
しかも、オーナーが空室リスクや管理の手間を省く、賃貸管理会社への一括委託システムが主流になっているため、賃貸経営の不安もほぼクリアされる。さらには、空室がでないように、パナホームでは魅力的な部屋づくりを提案するなどサポートも充実しているそうだ。
都市型の「賃貸併用住宅」を提案する「パナホーム」では、どのような賃貸併用の住まいが実現できるのか? 前回に引き続き、「パナホーム」の住宅展示場にお邪魔をし、モデルルームを拝見しながら賃貸併用住宅の魅力を紹介する。
デザイナーズルーム並みのポテンシャル
賃貸併用住宅を建てる場合、不安になるのが空室リスク。せっかく家賃収入を得ようとしても、部屋に魅力がなくなり空室が出てしまっては意味がない。もちろんパナホームでは、“一括借り上げシステム”を用意し、オーナーがグループ会社のパナホーム不動産と契約した場合には、常に家賃収入は約束されている。しかし、こうしたシステムばかりでなく、魅力的な部屋づくりにも同社では力を入れている。
前回の記事でも簡単に紹介したが、パナホームでは、女性の視点を盛り込んだ住まいの研究を行っている。2011年には女性専用の短期体験型賃貸住宅を用意し、そこに集まる女性の意見を反映するなどした「ラシーネ」という女性目線のコンセプトを打ち出している。この住宅展示場にもラシーネのモデルルームがある。31m2で、キッチンとリビング、そして寝室に、バス、ウォークスルークローゼットという贅沢な間取りだ。まずは見てみよう。
個室には、壁面収納やスライドで自由に動かせる棚、壁に設置されたパソコンデスクにもなる備え付けの造作が効いていて、まるでデザイナーズルームのようだ。女性の声を活かし、収納が多いのはもちろん、機能とデザイン性を両立している。バスルームを覗いても一人暮らしには贅沢と思えるほどのゆとりスペースで、壁面1面だけの色味を変えるなど視覚的にも洗練されている。足が伸ばせるバスタブや間接照明機器「バスホタル」も設置され、入浴中にアロマオイルを楽しめるという。洗面台もパウダールームと呼びたくなるくらい広々としており、開ければ収納棚にもなる鏡は可愛らしい楕円形のデザイン。とにかくいちいち女心を掴むインテリアだ。バスルームやトイレなどが広々としている分、個室は空間的には広くないが、造作のデザイン性があるため狭さを感じることはない。全体的にコンパクトながら広さを感じられるつくりだ。
そのほか、玄関に折りたたみ式のベンチを置いたり、全身が確認できるトールミラーを置くなど、細やかな配慮が効いている。さらには「ナノイー」機能付部屋干しファンも設置されていて、シングルにつきものの部屋干しの悩みにまで気を配る徹底ぶりだ。しかも、パナソニックグループだけに同社製の設備は通常より割安で提供してもらえるのも魅力的だ。
「こちらの部屋のタイプは20代~30代の女性の方をターゲットに設定しているのですが、このような間取りの工夫と設備等も含め付加価値の高い物件はすぐに埋まります。しかも意外に実際の入居者には独身男性も増えているようです。綺麗な部屋に住みたいというニーズは男女共にあるのでしょう。こうした部屋の場合ですと、築年数が経っても近隣の家賃相場以上の賃料で設定しても入居者が確保できます」(パナホーム 豊洲営業所 店長の阿部亮介氏)
確かにこれだけのデザイン性と機能性があれば、よほどのことがない限り入居者不足に悩まされることはないと思う。
狭小地も余すところなく活かす独自技術
モデルルームを歩いてみて思うのは、実際の平米数よりも広く感じられることだ。独自の鉄骨構造を実現しているため、余計な柱や壁が必要なく大空間が実現できるのだ。しかも、この鉄骨構造により、ハウスメーカーでは唯一7階建ての建物が建てられる。これがパナホームが狭小地にも強いとされる所以だ。都市部で賃貸併用住宅を建てるとなると敷地が限られているため、どこまで階層を重ねられるかも重要というわけだ。
また、パナホームではこのほかにも敷地を無駄にしない施策が多い。ハウスメーカーでは部材を工場で生産するため、モジュールが決まっており小回りはあまり効かない。ところが同社では業界最小モジュール15cmを用意している。この15cmが狭小地や変形地には効いてくる。ムダを出さずに敷地制限ぎりぎりまで建物を建てることが可能になるからだ。階数を高くすれば建築基準法の道路斜線や日影規制をよりシビアに考慮しなければいけなくなるが、こうした時にも15cmの細やかさで柔軟に対応することができるそうだ。
「しかも、弊社では施工技術も工夫を凝らしています。“無足場工法”を実現しているので、足場を組まずに工事を行えます。足場を敷地内に組むと、その分だけ建物は小さくなります。このスペースも馬鹿にはできず、足場を組まないことで狭小地では有効なスペースを確保することができます」
2階に工場をおけるのはパナホームが得意とするところ
もう一つ、パナホームの技術で見逃せないのは、2階以上で「デッキ床」を採用できることだ。デッキ床とは、通常の住宅用のALC床に比べ、鉄板を浪板状にして強度を高めたうえ、コンクリートを流し込むことで強度を確保したもの。パナホームでは2階以上の高層フロアでも採用することが可能だ。
「工業エリアで賃貸併用住宅を建てられる場合には、2階に工場を設計したいといったご要望も多くあります。工場には重機などがあるので、強度の高いデッキ床でないと許可がおりません。2階以上でデッキ床を採用できることでも、お客様のご要望にあわせた柔軟な設計が可能となります」
このほか外壁にも秘密があり、「キラテック」と名付けられた高性能タイルが使われる。これは光触媒技術を用いたもので、太陽光によりタイルが汚れを自動的に分解し、雨水などでセルフクリーニングをするというもの。賃貸物件などのメンテナンス費用として外壁の修復はかなり費用がかかるものだというが、こうした最先端技術の利用によりメンテナンス費用も軽減できるそうだ。
新築の選択肢に“賃貸併用住宅”を!
賃貸併用住宅。はじめは様々なリスクが浮かんでいたが、こうして見てくると魅力的な家をコストパフォーマンス良く実現するよい手法ではないかと思う。リスクを回避するサポートは様々にあるし、魅力的な賃貸の部屋作りのノウハウもある。もちろんそのノウハウは自宅スペースにも活かすことができる。
あとは、敷地が賃貸併用住宅に適したものであるかだ。狭小地でも高さが出せる場合は十分に可能性があるはず。将来のコンバージョンのしやすさを考えても、特に都市部などでは賃貸併用住宅は一考の価値があるだろう。
2015年 01月30日 11時05分