超低金利の住宅ローンでクルマまで買える?

住宅価格より水増しして住宅ローンを借りて、クルマや家具などを購入する「オーバーローン」の問題点とは住宅価格より水増しして住宅ローンを借りて、クルマや家具などを購入する「オーバーローン」の問題点とは

住宅ローンのオーバーローンが問題視されている。オーバーローンとは、本来の借入目的である住宅価格よりも高い金額を住宅ローンで借り入れることだ。

なぜオーバーローンが行われるのか。それは住宅ローンの金利が他のローンと比べて低いからだ。なにしろ固定金利でも1%台、変動金利なら0.5%前後で借りられるケースが多い。しかも最長35年という長い返済期間で借りられるので、毎月の返済負担は極めて軽くなる。そこで住宅ローンを住宅価格より「水増し」して借り、余ったお金で家具や家電、クルマなどを買おうという知恵が働くことになるのだ。

ではどのようにオーバーローンが組まれるのか。たいていの場合、住宅販売会社や不動産会社が顧客に提案する形で進められるようだ。つまり実際の住宅価格より高い金額で見積書や契約書を「偽装」し、銀行の審査を通してしまうのだ。オーバーローンを組んでも住宅会社の利益になるわけではないが、「住宅ローンの金利でクルマも買えますよ」と誘惑すれば契約率が高まると期待してのことだろう。顧客側も「そんなことしていいのかな」と内心思いつつ、そのおトク感に踊らされ住宅会社と口裏を合わせてしまう。

だが、「そんなことをしていい」わけでは決してない。住宅ローンはあくまで自宅を買うために借りることが前提なのだから、オーバーローンは立派な契約違反である。もしも銀行側に発覚すれば、一括返済を求められたり、違約金を請求されることもあり得るのだ。ただでさえ数千万円という住宅ローンを借りることはリスクを伴うのだから、そのような余計なリスクまで背負うことに本当にメリットがあるのか、冷静に判断する必要があるだろう。

住宅購入時の諸費用を含めて借りられるケースは多い

契約違反となるオーバーローンは論外だが、住宅価格以外のお金を住宅ローンで借りることは不可能ではない。住宅を買うときの諸費用を、住宅ローンに含めて借りられるケースは少なくないのだ。住宅の購入諸費用は住宅価格の3~10%程度かかる場合が一般的だ。決して小さくない金額だけに、現金払いではなく住宅ローンと一緒に借りられれば助かるケースも多いだろう。

別表は住宅ローンに含めて借りられる諸費用を明示している銀行の例だ。保証料や保険料、印紙代、登記費用といった住宅ローンの借り入れに必要な費用だけでなく、仲介手数料や引越し費用、マンションの修繕積立基金なども借りられるケースが多い。またフラット35は公的な性格の強い住宅ローンだけに、長期優良住宅の認定費用や瑕疵保険の付保費用、ホームインスペクション(住宅診断)費用といった、国の住宅政策を反映したラインナップとなっている。

また具体的に列挙はしていないものの、「住宅の購入に伴う諸費用」を融資対象に含めている銀行は少なくない。それらの銀行も同様の対応をしてくれると考えられるので、事前に相談してみるといいだろう。

このほか、三井住友銀行や三菱UFJ銀行などのように、「住宅ローン諸費用口」あるいは「住宅諸費用ローン」を別途用意しているケースもある。これは住宅ローンを借りる人専用に用意されたローン商品で、資金使途は上記の諸費用とほぼ変わらない。ただし返済期間は住宅ローンと同じ最長35年だが、店頭金利は5%前後と高めになっている。

主な住宅ローンで借りられる諸費用の例(2019年2月の情報を参照して作成)主な住宅ローンで借りられる諸費用の例(2019年2月の情報を参照して作成)

住宅ローンを必要以上に借りると金利が高くなる

このように住宅を買うときの諸費用であれば、オーバーローンなどという危ない橋を渡らずとも正々堂々と銀行から借りることができる。だからといって、「住宅ローンは超低金利でおトクだから、諸費用も含めてできるだけ多く借りよう」と考えるのが必ずしも正しいとは言えない。

というのも、最近は自己資金の比率、逆に言えば住宅価格に対する借入額の比率(これを融資率と言う)によって金利に差をつける銀行が増えているからだ。自己資金が少なくて融資率の高いケースはそれだけ延滞リスクが高まるのだから、金利を高く設定するのが銀行にとっては合理的といえる。

代表的な例がフラット35で、融資率が9割以下と9割超とでは金利に0.4%以上の差が出るケースが多くなっている。自己資金を手元に置いてローン金利以上の利回りで運用できるのならともかく、高めの金利を覚悟してまで住宅ローンを多く借りるメリットがあるかどうか、こちらも慎重な検討が必要だろう。

ただでさえ最近は不動産向け融資のチェックが厳しくなっている。一部の銀行がアパートローンの不正融資に手を染めていたことが発端であり、住宅ローンのオーバーローンが具体的にやり玉に挙げられているわけではまだない。とはいえ、住宅ローンを本来の目的ではない投資物件の購入に利用したことが問題視されたケースも出ており、今後は銀行による住宅ローン審査も厳しくなることが考えられる。「他の人もしているみたいだから大丈夫だろう」などと油断して、不正なオーバーローンに関与するようなことのないよう、くれぐれも注意しよう。

住宅ローンはリスクを伴う。オーバーローンでさらに余計なリスクを背負う必要があるのか、慎重に検討しよう住宅ローンはリスクを伴う。オーバーローンでさらに余計なリスクを背負う必要があるのか、慎重に検討しよう

2019年 03月05日 11時05分