見た目にとらわれ易い借り方、返し方

金利や期間など、住宅ローンを借りるとき、「どっちを選べばよいか?」と悩むことは多いと思う。今回は、そうしたケースごとに「どっちを選んだらより良いか」を解説したい金利や期間など、住宅ローンを借りるとき、「どっちを選べばよいか?」と悩むことは多いと思う。今回は、そうしたケースごとに「どっちを選んだらより良いか」を解説したい

住宅ローンの借り方、返し方については、これをお読みの皆さんも一家言があるのではないか。わずかな差が大きな節約になり、損得に直接結びつくから当然と言えば当然である。ただ、本当にそれでいいのか?と、深く考えられたのかなぁと思いきや「いや、ただ金利が安かったので…」とか、「そういうもんだと思っていましたので…」など見かけや思い込みで決められていることも儘あるようだ。

私も先日、取引を手伝っているお客さんから住宅ローンについて「融資審査の承諾をもらったA銀行よりB銀行の金利が0.2%ほど安いのでそっちに借りる契約をしに行こうと思います」と連絡を受けたので調べたら、その金利優遇はある一定の期間で終わり、その後はA銀行よりも高くなる仕組みであったので、「B銀行だと見た目はともかく総支払額で損をするのでA銀行の方がいいです」と伝えた。お客さんは慌ててローンを借りる契約を止めたが、危機一髪で「金利以外の内容はあまりよく見ずに決めちゃってて助かりました…」とおっしゃった。もう決める前に相談してくださいよ、という話だが、やはり見た目の安さには負けてしまうものである。
また、住宅ローンを返すときもそうで、自分のライフプランと睨めっこしないと結論は出ないのに、金利がもったいないからと返してしまうことがある。それが老後に「お金が足りない…」と大きな過ちにもなるから、住宅ローンの返し方も研究が必要と言えそうだ。

そこで、今回は「住宅ローン、借りて返すなら正しいのはどっち?」を書いてみよう。条件によって答えが変わる内容だが、あくまでも「原則は!」ということで軽く読んでみてほしい。

第1問 住宅ローンは金利が安い方、事務手数料が安い方、お得なのはどっち?

私の答えは「金利が安い方」である。
当然だが、どの金融機関も住宅ローンをうまくつくられていて、金利、事務手数料、保証料、団体信用生命保険料などを総合的に考えれば、見た目以上に各金融機関での差はでないものだ。金利が激安でも、事務手数料が高かったり、逆に金利は少し高いなと思っても、事務手数料がかからない分、よく計算をしてみると、あまり他と変わらなかったということがある。

ポイントは、すべての総支払額を見て、損得を判断すること。
ただ、見た目のインパクトが違うので金利が安い方に目が行きがちだ。「それは正しいの…?」と疑心暗鬼になるが、ご安心を。原則、それは正解である。その分事務手数料が高いと言っても、複利による総支払額を考えたら、金利が安い方が得になることが多いのだ。

但し、この答えは借り換えをしない、期間限定でないが前提になる。
借り換えをすると、事務手数料はそのまま取られ損になる。保証料や団体信用生命保険料なら借り換えと同時に支払い過ぎ分は返金を受けることが多いのだが、事務手数料はあくまでも借りる時の手数料。だから返ってこないのが前提だ。あくまで融資期間の総支払額を考えれば金利が安い方がいいので、転勤が多く家の売買が多い、ライフプランによって借り換えしたい、将来固定に切り変えたいが借りる金融機関には変動しかない。このような方にとっては、事務手数料が安い方が正解になりそうだ。
また、金利が期間限定でないことも確認しよう。一定の期間ものすごく安い優遇金利を受ける商品だが、全期間優遇を受ける金利と比べると総支払額は高くなることがよくある。よく確認しよう。

第2問 住宅ローンは長く借りるのと、短く借りるのと正しいのはどっち?

正解は「長く借りる」である。
ええっー、長く借りると総支払額が増えて損なのでは?とお思いの方、それも正解だ。ただ、損得ではそうでも、リスク面では長く借りる方が正解と言えるだろう。

月の支払額が大きいと滞納をする可能性が高まる。私は住宅ローンの返済額に滞った方の再生も行っている。その方達に共通することがあって、おおむね住宅ローンの月の支払額は10万円以上。多くは20万円以上なのだが、ハッキリ言えることは1つだけあって月の支払いが10万円以下で滞る方は今のところお一人もお会いしたことがない。それだけ、借りた金額の大きさよりも、月の支払額の大きさが住宅ローンの破たんに直結するのである。なので、住宅ローンを借りられるのなら長く借りた方がいい。そのような結論なのだ。

よく「月14万円の支払いなら何とかいけるから期間25年で…」などとお客さんから目一杯の上限を言われるが、ライフプランを聞くと、お子さんの教育費や想定外のリスクは考慮されていないことが多くある。そこで、ライフプランをつくって差し上げると多くの方は「35年でいきます」となる。リスクが目に見えると判断が変わるものだ。
このように、リスクと総支払額を天秤にかけて、月幾らまでなら支払える?という判断が必要になるだろう。
それでも複利による総支払額が増えるのはちょっと…ということであれば、こまめに繰上返済をかけて元金を減らしていくのがいいだろう。つまり、余裕ができたら対応していくのである。私はお子さんが成長期にあるご家族はこの方法が一番安全でいいのではないかと考えている。

金利を考えると「短期間で返済する」方が良いように思える。</br>しかし毎月の支払額の負担を考えると、長期で組み、</br>余裕ができたら繰り上げ返済をしていくほうがリスクを回避するには良いだろう金利を考えると「短期間で返済する」方が良いように思える。
しかし毎月の支払額の負担を考えると、長期で組み、
余裕ができたら繰り上げ返済をしていくほうがリスクを回避するには良いだろう

第3問 住宅ローンは不動産会社を通して申し込むのと、自分で申し込むのは得なのはどっち?

正解は「不動産会社を通す」である。
私が専門家だからそう言っているのでしょ?という声が聞こえそうだが(笑)、そうではなく事実だ。

なぜならその不動産会社と金融機関の関係により優遇金利の幅と審査の結果が違うことがあるからだ。優遇金利とは店頭金利よりもいくら安くしますよというもので、皆さんが平素見る金利は、この優遇金利を目一杯受けた後の金利だ。なので、実際に融資がOKになった後にこのぐらいの金利で~という話が出てきたときに「あれ、HP上の金利と違う」となるのも、この優遇金利をどの程度受けられるかが違うからだ。たとえばあるメガバンクでは、優遇金利は-1.7%まで受けられる。最大限、優遇金利が受けられるとなると、店頭金利が2.475%なら-1.7%を引いた0.775%の金利になる。しかし、それは審査の結果によるので、0.775%の方もいれば1.475%の方もいるのだ。
これが不動産会社を通すと、この優遇金利を最大限受けられる可能性が高まる。その理由はその不動産会社が取引を行うことで「問題ない物件かつ問題ないお客さんである」という保証になるという側面があるからである。
また、審査がボーダーライン上にある方は、不動産会社の一押しで承諾になったりすることもある。金融機関の担当者も次の案件を紹介してもらうため、ここを何とかしようというインセンティブが働くからだ。これが、一見の飛び込み客だと、なかなかそうはいかないことだろう。

ここまで言うと「なら、全て不動産会社にお願いをして~」となるが、注意をしたいのは不動産会社と金融機関の関係。そこまでの深いつながりがなければあまり関係がない話になる。自分で金融機関に融資を申し込みにいっても結果はそう変わらないのだ。また、最近は金融機関のコンプライアンス(法令順守)が厳しくなっており、前に悪さ(内容は書きません…ご想像ください)をした不動産会社を通すとどんな内容が良い顧客でも審査が否決になってしまうこともある。これは都市銀行に多いのだが、実際に私も個別相談をしたお客さんから住宅ローンの話を聞くと、なぜ落ちたのか分からないことがよくある。ただ、仲介をされている不動産会社はあまり良くない形で何かと話題に出るので、たぶんそこに問題があるのだろうな、と思った。このようなら、逆に自分で融資を申し込みに行った方がいいことになる。
そのため、どこの不動産会社でお願いをするのか、というのもこれから必要になる選択だろう。

今回は3つの住宅ローンの借り方について“どっち?”を書いてみた。次回は住宅ローンの返し方の“どっち?”を書こうと思う。

2015年 05月29日 11時08分