モデルハウスのキッチンは1,000万円?そのまま建てるのは難しい

住宅展示場全体の情報をとりまとめているクラブハウス。センターハウスとも呼ぶ。展示場の訪問時にはまずはここで受け付けを済ませよう住宅展示場全体の情報をとりまとめているクラブハウス。センターハウスとも呼ぶ。展示場の訪問時にはまずはここで受け付けを済ませよう

家を欲しいと思った人が、必ずと言っていいほど足を運ぶのが住宅展示場だ。最近ではリフォームニーズの増大でリフォームのモデルハウスも登場している。しかし行っても何をどう見ればいいかわからない、営業の人にしつこくされそうでメンドウな気がすると、躊躇している人もいることだろう。

今回は住宅展示場で迷わず、効率よく、必要な情報を得るための秘訣をご紹介しよう。実際に、来場者たちがどんなことに悩み、どうやって成功にこぎつけているのか、みなとみらいにある住宅展示場「横浜ホームコレクション」のベテラン相談員である門田玲子氏に伺った。

門田氏はどこのハウスメーカーにも属さない、展示場運営会社の「住まいづくりコンシェルジュ」という立場にあり、クラブハウスで10年にわたり来場者の相談に乗ってきた。

まずは簡単に住宅展示場の仕組みから説明しよう。展示場は土地の選定や企画などを行う運営会社によって管理されていて、全体のイベントなども執り行っている。そしてそこに各ハウスメーカーが出展者としてモデルハウスを建て、展示を行う。モデルハウスは家づくりの夢を広げる場であり、住み手と作り手の出会いの場でもある。

モデルハウスは、こんな家を作っている、これだけの技術があるということを実際に見てもらうための「メーカーの意思表示」であると門田氏は言う。各社、威信をかけて建てているため、グレードも相当高い。

実際、こちらの展示場の家をそのまま建てようとすると土地は80坪以上は必要になり、床面積も一般的な広さの1.5倍程度はある。内装を見ても天然石貼りのインテリアは当たり前で、1,000万円はするだろうと思われるキッチンが入っているモデルハウスもある。

中にはモデルハウスをそのまま建てる人もいるそうだが、現実的にはなかなか難しいだろう。では住宅展示場では何を見ればいいのだろうか。展示場を効果的に活用するためのポイントを、順を追って紹介していく。

住宅展示場に行くタイミングは?土地探しの意外なポイント

横浜みなとみらいにある住宅展示場「横浜ホームコレクション」で長年、来場者の相談に乗ってきた住まいづくりコンシェルジュの門田玲子氏。どこのハウスメーカーにも属さない中立の立場でアドバイスをする横浜みなとみらいにある住宅展示場「横浜ホームコレクション」で長年、来場者の相談に乗ってきた住まいづくりコンシェルジュの門田玲子氏。どこのハウスメーカーにも属さない中立の立場でアドバイスをする

まずは住宅展示場へ行くタイミングだ。結論を言えばいつでもいい、どのタイミングにおいても役立つ情報を得ることができる。

住宅展示場へ行くには土地を準備してからと思いがちだが、土地がまだ決まっていない段階でも、多くの住宅展示場では土地の販売情報も取り揃えているため、何らかの情報を得ることができる。また土地探しの意外な手として、希望のハウスメーカーが決まっているなら、そこに土地を探してもらうと上手くいくことが多いと門田氏は言う。

ハウスメーカーには様々な構法があるが、土地が接している道路の状況によっては建てられないメーカーもある。地盤改良に関しても、どの程度必要になるかはメーカーによって異なる。土地探しの段階からメーカーに依頼すれば、後になって建てられないといった事態に陥ることがなく、スムーズにことが進みやすいというわけだ。

また来場する人で目立つのは、マンションか一戸建てか、建売りか注文住宅かで悩んでいる人だという。筆者も以前、10年間ほど住宅展示場でセミナーの講師や相談員を務めたことがあるが、すぐに家を建てたい人、いずれは建てたいと思っている人、リフォームか建て替えか悩んでいる人、最初からリフォームと決めている人など、あらゆるタイミングで悩んでいる人たちが来場していた。

展示場では前出の不動産情報をはじめ、ローンや税金に関する情報、注文住宅を建てる際のメリットや具体的な費用、もちろんリフォームについての情報も入手することができるので、これらの悩みの解決に大いに役立つ。

実際、ほとんど建売りに決めていた人が、注文で建てる住宅がどんなものか一応見ておこうと来場したところ、理想の家づくりが注文なら叶うとわかり、注文住宅を建てることにしたケースもある。

リフォームに関して言えば、専用のモデルはまだ少ないが、各モデルハウスでリフォームの相談にも乗ってもらえるので、建て替えかリフォームかといった悩みを抱えている場合も、具体的な比較検討がしやすい。とにかく家のことを考えたら、まずは住宅展示場に足を運べば、何らかの役立つ情報が得られるというわけだ。

効果的な活用手順、事前準備の裏技とは?モデルハウス巡りは1日3棟

それでは住宅展示場をより効果的に活用するための、訪問手順をご紹介しよう。

1. 必要があれば電話やWEBで予約
2. 目当てのハウスメーカーがあったら資料を取り寄せ事前準備
3. 展示場を訪問したら、クラブハウス(センターハウス)で受け付け
4. 展示場は広いので、場内マップで場所の確認
5. モデルハウスを訪問

住宅展示場は思い立ったらふらりと行くのもいいが、目的に合わせて事前準備をしたり、行く時間帯を選んだりすることでより効果が高まる。

まだ計画が具体的でない場合は、予約などは不要で、空いている時間帯を狙っていくといいだろう。混んでいるのは一般的に日曜日の午後で、平日の午前中は比較的人が少ない。しかし平日は各モデルが17時前に閉めてしまうこともあるため、早めの時間の訪問を心がけよう。

計画がある程度具体的になっている場合は、詳細の説明を受けるために、予約してから訪問することをお勧めする。モデルハウスは、ただ見るだけで得られる情報は意外と少ない。説明を受けてこそ役立つ情報を数多く得ることができる。

目当てのハウスメーカーがあるなら、資料は事前に取り寄せておくと見学時に役立つと門田氏が教えてくれた。確かに漫然と見るより、事前に知識を得ておけば、見るべきポイントや質問事項を整理しやすくなる。資料は見学後に貰って帰るのではなく、行く前に貰っておくというのはなかなかの裏技だ。

中には声を掛けられたくない、自分でゆっくり見学したいという人もいるだろう。そういう場合は、「まだ計画が具体的ではないので、今日は見るだけでもいいですか」と聞いてみよう。快く見学させてくれるはずだ。

モデルハウスを見学する際に持参するものとして、メジャー、ペン、メモの他に、筆者は薄手の靴下も加えておくようアドバイスしている。床材の感触、例えば無垢と合板ではどう違うのか、タイルは硬すぎないかといったことは、スリッパ越しではわからない。夏場は素足、冬場は厚い靴下のことが多いので、はき替えて感触を確かめられるようにしておくといいだろう。

モデルハウスを撮影したい場合は、必ず許可を取ってからにしよう。撮影不可のモデルハウスも少なくない。ちなみに1日に見て回れる棟数は3棟ほどが限界だろう。門田氏も、3棟見ると最初の1棟目のことを忘れてしまうくらい情報が入るので、多く見過ぎないことも大事なポイントとアドバイスしている。

場内マップで目当てのハウスメーカーのモデルハウスをチェックしよう。気になる家があったら飛び込みで入るのもあり。いい家との出会いはどこに潜んでいるか分からない場内マップで目当てのハウスメーカーのモデルハウスをチェックしよう。気になる家があったら飛び込みで入るのもあり。いい家との出会いはどこに潜んでいるか分からない

モデルハウスで見るべきポイントは?住宅性能とオリジナル製品をチェック

ではモデルハウスに入ったら、何を見ればいいのだろうか。どうしても印象が強いインテリアの見栄えや間取りの良し悪しに目を奪われがちだが、注文住宅であるなら、正直それらはいかようにもできる。大事なことはそのハウスメーカーならではのものをチェックすることにある。特に住宅性能とオリジナル製品に関しては、その会社独自のものとなり、それが個性となっている。

住宅性能には様々な基準があるが、必ずチェックしておきたいのが、省エネ性能、そして耐震や制震など地震に対する性能だ。基本的には数値での判断となるが、快適性は実際にその場で体感することができ、構造は壁を透明にして中の様子を自分の目で確認できるようになっているモデルハウスもある。

オリジナル製品には床材や壁材、手すり、扉、ステンドガラスなどのインテリア製品から、キッチンや洗面台などの設備機器、外壁材や屋根材、雨どいなどの外装製品、ウッドデッキなどもある。オリジナル製品は、そのハウスメーカーのイメージに合わせたデザインや、構造に合わせたサイズが取り揃えられているので、しっかりチェックしておこう。

忘れがちなポイントに、モデルハウスには雨戸やシャッターがついていないことが多いということだ。実際に建てる際には、取り付けることが多いため、外観デザインのイメージに差異が生まれることを考慮しておこう。

住宅展示場のモデルハウスは一般的に建てられる家に比べてグレードが高く、面積も大きい。またシャッターや雨戸が取り付けられていないケースが多いことを知っておこう住宅展示場のモデルハウスは一般的に建てられる家に比べてグレードが高く、面積も大きい。またシャッターや雨戸が取り付けられていないケースが多いことを知っておこう

アンケートに答えるメリットとは?展示場は人と家、人と人が出会う場

住宅展示場にはローン、相続、税金、土地の情報など住まいづくりに関する様々な情報が集中しているので上手に利用しよう。イベント時には税理士による無料相談会なども開催されている住宅展示場にはローン、相続、税金、土地の情報など住まいづくりに関する様々な情報が集中しているので上手に利用しよう。イベント時には税理士による無料相談会なども開催されている

さてモデルハウスで気になることと言えばアンケートだ。見学するとアンケートへの記入を促されるのだが、書くと営業の人にしつこく訪問されそうと敬遠する人も少なくない。

アンケートについて門田氏に伺うと、ハウスメーカー側の情報収集という意味だけでなく、来場者の本気度を見極める意味合いが強いとのこと。家を建てたいと真剣に考えているなら、アンケートに回答することで本気であるという意思表示になり、相手側も本気で応対、より多くの情報をもらえるようになると言う。

より効率よく情報収集をしたいのであれば、アンケートに答えつつ、電話や訪問をしてほしくない場合はその旨を伝える、資料はメールや郵送にしてもらうように依頼するといいだろう。

この10年で展示場に来場する人たちは大きく変わったと門田氏は言う。以前は、何の情報もなくいきなり訪れて、展示場で情報を収集、それからメーカー選びをする人が多かったが、現在はインターネットでしっかり下調べをしてから来場する人が増えたそうだ。

もちろん事前の情報収集は重要だが、中には情報に振り回されて、営業の人を試してみたり、持論を展開して話を聞かなかったりする人もいると言う。結局、腹の探り合いのような状況が続き、時間ばかり費やしてしまうこともあるそうだ。

住宅展示場は人と家が出会う場であるが、人と人が出会うための場でもある。もっと腹を割ってストレートに要望を伝えたり、要らないものは要らないとはっきり伝えたりといった姿勢でいるほうが、よりよい出会いを生み、チャンスを生かせると思うのだがいかがだろうか。

展示場では四季折々の様々なイベントが行われていて、例えば運動会前にはかけっこ教室や、クリスマスのリーズ作り、工作教室など、親子で参加して楽しめるものも多い。まずはイベントの参加などで展示場を訪問してみるといいだろう。

また展示場のシステムは様々で、こちらの展示場のように中立の立場で相談に乗ってくれるアドバイザーがいるところもあれば、専門家が定期的に相談会を開くなどのシステムを取っているところもあるので、事前に確認してから訪問するといいだろう。住宅展示場を賢く活用して、理想の我が家を実現していただければと思う。

取材協力/横浜ホームコレクション
https://www.yokohama-hc.com/

2019年 02月13日 11時05分