増える生活提案や体験型の展示、実際にお風呂に入れるショールームも

皆さんは住宅設備や建材のショールームに、どんなイメージをお持ちだろうか。最近のショールームは多様化し、まるでアミューズメントパークのような楽しさがある。単に商品が展示されている実物大カタログと考えているのであれば、一度訪問するとかなり認識が変わることだろう。

住宅における設備建材は暮らしを支える大切な要素であり、どんな製品を選ぶかで生活の仕方が変わる。しかし製品を並べ、その良さをいくら力説されても、それが暮らしにどう生きるのかは伝わりにくい。

以前のショールームはまさに商品を見るための場だったが、昨今は暮らしそのものを提案する展示や、製品を実際に使った生活体験ができる仕組みが目立つようになってきた。その製品を取り入れることで暮らしがどう変化するのか、そこを伝えたいというメーカーの意欲が感じられる作りが増えている。

例えば、炊事をしながら洗濯をする間取りを再現し、家事のしやすさを体感できる展示や、新製品のコンロで実際に料理をしながらその手間を確認し、味を確かめるための試食ができるコーナー、中にはシステムバスに実際にお湯を張ってお風呂に入れるショールームもある。以前、筆者もミストサウナやテレビがついたシステムバスに実際に入り、お湯を張った気泡浴槽にのんびり浸かるという体験をしたことがあるが、それは楽しく夢が広がるひと時だった。

住宅関連のショールームには、キッチンやバス、洗面台、便器、手洗い器などの水まわり設備や、フローリングやドア、収納、窓などの建材、照明やカーテン、家具などのインテリア、外壁材や屋根材、フェンスなどのエクステリアまで幅広くある。また複数のメーカーが集まった複合型ショールームもあり、あちこちをまわらなくても一か所でまとめて見ることができるようになっている。

ショールームは各メーカーが販売促進や自社製品の満足度を向上させるための展示場であり、上手に活用すれば家づくりに大いに参考になる場所なのだが、何となく敷居が高い、行ってみたいがどこをどう見ればいいかわからないという声を聞くことも多い。そこで今回は、ショールームをもっと上手に使いこなす活用方法をご紹介しよう。

水まわり商品のショールーム。写真はTOTOのシステムキッチン「ザ・クラッソ」<br>
人気の対面キッチンのそばには洗濯機などの家事コーナーが設えてある。<br>
単なる商品展示ではなく、新しい暮らし方を提案している水まわり商品のショールーム。写真はTOTOのシステムキッチン「ザ・クラッソ」
人気の対面キッチンのそばには洗濯機などの家事コーナーが設えてある。
単なる商品展示ではなく、新しい暮らし方を提案している

ショールームへ行くタイミングは2回。計画が具体的でなくてもOK

では実際にどんな人たちがショールームに来場しているのか。水まわり総合メーカーのTOTO株式会社、金沢ショールームのリーダーアドバイザーの中山智子氏に伺った。

ショールームに来場する人は、大きく2グループに分かれる。1つめのグループは新築やリフォームなど家づくりの計画がある程度進み、商品の具体的な選定や、選んだ商品の現物を確認しに来る人たちだ。その際、半分強の人は工事会社の担当者と一緒に来場し、バスやキッチンなどの実物を確認しながら商品を決定していく。

もう1つのグループは、計画がまだ具体的ではない人たち、何となくリフォームに興味がある、計画はあるけれど何も決まっていないといったような検討段階の人たちだ。中にはどこかの帰りにふらりと立ち寄ってくれる人もいると言う。

筆者は長年リフォームの仕事に携わってきたが、その中で施主とショールームに同行するのは大切な仕事のひとつだった。現物の確認はもとより、検討段階にキッチンやバスなどの実機に触れることで、曖昧な要望が整理され、プランを具体的に考えることができるようになる。

ショールームでは、プランやCGによるイメージ画像を無料で作成してくれたり、価格もグレード別に算出してくれたりするので、予算に合わせて計画が立てやすくなる。また新製品情報や、現在の売れ筋商品、人気色のチェックもでき、比較検討がしやすいので、後になってこっちにすればよかったというような後悔が少なくなる。

中山氏によると、土日は家族そろって来場される方が多く、平日は奥様一人で見てまわる人も少なくないそうだ。また以前は、新築のお客様が多かったが、現在はリフォームを検討する人が半分以上を占めているとのことだった。

このようにショールームは、計画が具体化していない検討段階と、プランが決まった後の商品の選定や現物確認の段階の2つのタイミングで大いに役立つため、リフォームを含め、家づくりの際には、ぜひ2回以上行くことをお勧めする。ただし段階によって、事前準備や当日の行動が異なるので、次はそのあたりについてご紹介しよう。

プランやCGによるイメージ画像を無料で作成してくれるショールームもある。<br>
価格もグレード別に出してくれるので、予算に合わせた計画が立てられる<br>
(撮影:TOTO金沢ショールーム)プランやCGによるイメージ画像を無料で作成してくれるショールームもある。
価格もグレード別に出してくれるので、予算に合わせた計画が立てられる
(撮影:TOTO金沢ショールーム)

計画が具体的でなくても恐れず予約をしよう

ひとつ目のタイミングである、計画が具体的でない段階では、事前の予約無しに、気軽に立ち寄るのもいいだろう。大規模なショールームの場合、入り口に受け付けがあるので、そこで案内図を貰おう。のんびり見てまわるだけでも、新しい暮らしへのイメージが沸いてくる。

計画が未定なので予約をするのに抵抗がある、リフォームなどを勧められても困ると言う人もいるが、今回取材をしたTOTOをはじめ、住宅設備建材のショールームの多くは基本的に販売は行っていないので、その場で何かを売り付けられるといった心配はない。

また、ある程度リフォームの箇所が決まっているなら、事前にホームページなどで展示商品をチェックしておき、見たいものの当たりを付けておくといいだろう。ショールームは見どころが多く、全て見てまわるとなると相当の時間が掛かる。いきなり訪問しても、時間が掛かり過ぎて、とりあえず全部見たけれども、あまり記憶に残っていないと言うことになりかねない。

さらに事前に予約をしておけば、担当者が要望に合わせた製品や、暮らし方に合わせた生活展示などへ案内してくれるので、短時間で効率よく見ることができる。

見て欲しい物があったら、品番を控えておいて、馴染みの工務店に取り寄せてもらって取り付けしてもらうもよし、依頼先の当てがない場合は工事店を紹介してくれるサービスを行っているところもあるので利用するといいだろう。

まずは受付で案内図を貰おう。<br>
見たい商品があるなら事前にホームページで展示商品のチェックを。<br>
事前に予約をしておけば効率よく見てまわることができる<br>
(撮影:TDY金沢コラボレーションショールーム)まずは受付で案内図を貰おう。
見たい商品があるなら事前にホームページで展示商品のチェックを。
事前に予約をしておけば効率よく見てまわることができる
(撮影:TDY金沢コラボレーションショールーム)

商品選定を行うならしっかり事前準備を。予算オーバーにも要注意

ふたつ目のタイミングである、商品の具体的な選定や現物確認の段階では、工事会社が同行する場合は担当者が予約をしてくれる。工事会社が同行しない場合は、ぜひ予約をしてから行くこと、そしてしっかりとした事前準備をしていくことが必須だ。予約は電話やホームページなどから行える。

予約をすれば、担当者がマンツーマンで付いてくれて、商品の説明はもとより、希望に合わせた商品の選定やプラン図の作成、商品の見積書を作成してくれる。また気付きにくい点や、迷った時に専門家の目から見たアドバイスも貰うことができる。

そのためには事前準備をしておくことが肝心で、キッチンなら幅、奥行き、高さ、天井の高さ、部屋の広さや窓の位置などをメモして持っていこう。図面があれば尚良い。リフォーム後も使いたい冷蔵庫や家具があったら、サイズをメモしておくのも忘れずに。デジカメやスマホで写真を撮って持参するのも役立つ。我が家の状況確認をしないまま行って、取り付けられるかもよくわからず二度手間になるケースもあるので、ここはしっかりと準備していこう。

さてショールームへ行くと、概して予算オーバーになりがちだ。ショールームには素晴らしい商品がたくさん展示してあり、良い物を見ればそちらが欲しくなるのが人情で、当初の計画より金額がアップしてしまうことが少なくない。

ショールームアドバイザーとしてベテランの中山氏も、ショールームへ来場すると、キッチンなら扉材のグレードアップ、食器洗い機や換気扇など機器類の機能アップがしたくなる人が多く、トイレなら当初はタンク有りの標準品で計画していたものが、実物を見るとタンクレスタイプが欲しくなる人が多いとのことだった。予算オーバーを防ぐためにも、まずは予算の幅を事前にしっかり確認し、家族で優先順位を話し合っておこう。

ショールームを1日に何社か巡る場合、商品の比較をしっかりと行いたいのであれば、1日2社程度が限度だろう。同じメーカーでも様々な商品があるため、1社だけでもかなり時間が掛かる。

その際は、自分がこだわる部分、例えばシステムバスなら排水掃除の仕方、キッチンなら収納の引き出しの作りなど、比較したいことをリストアップして、気になった点、気に入った点をリストに沿ってメモしておくと、後で比較がしやすいだろう。

ずらりと並んだ便器。右下は最新のウォシュレット®一体形便器「ネオレストNX」<br>
それぞれ座り心地も異なるので、実際に腰を掛けて体感してみよう。<br>
トイレも面積別に空間展示がしてあり、我が家の場合にあてはめて考えやすい<br>
(撮影:TOTO金沢ショールーム)ずらりと並んだ便器。右下は最新のウォシュレット®一体形便器「ネオレストNX」
それぞれ座り心地も異なるので、実際に腰を掛けて体感してみよう。
トイレも面積別に空間展示がしてあり、我が家の場合にあてはめて考えやすい
(撮影:TOTO金沢ショールーム)

当日の行動の注意点、入り口近くの展示を要チェック!

ショールームに行く際の持ち物や服装、当日の行動についてもご紹介しておこう。持っていくと便利な物として、まずはスケールやコンベックスといった寸法を測るもの、メモ帳、ペン、電卓、カタログが重いので肩から下げられる大きめのトートバッグなどがある。

服装は動きやすいものであることが大切だ。住宅設備は長く使う物であり、そうそう交換ができないものだからこそ、実際に体感してみることが肝心で、例えば便器なら座ってみる、浴槽なら身体を入れてみる、床が柔らかいユニットバスルームもあるので靴を脱いで踏んでみる、キッチンなら靴を脱いでスリッパでカウンター高さを確認しつつエアクッキングをしてみるのもお勧めだ。ショールームには鍋や皿などもあるので、実際に鍋を持ちあげたり、皿を出し入れしたりすることで、使い勝手がよくわかる。

他にも、フローリングなら肌触り、温もりなど実際に触れることで、無垢と合板、プリントと木の違いがわかる。中山氏によると、冬はブーツを履いて来場するお客様も多いが、脱ぐのが大変なため、つい体感が疎かになりがちなので気を付けて欲しいとのことだった。

注意したいのが、ショールームと家では色や大きさの見え方が異なる点だ。ショールームは広く、天井が高く、間仕切り壁が無いので、商品が小さく感じられる。また明るい照明器具で商品をライトアップしているので、色も明るく見える。家に設置してみたら、思ったより大きく圧迫感がある、思ったより色が暗いと言うことが無いよう、見え方の違いは頭に入れておこう。

さてショールームへ行った時、一番お勧めのブースはと聞くと、入り口近くにある展示を紹介されることが多い。中山氏によると、ショールームではたいてい入り口近くにお勧めのプラン、理想のプランが展示してあるそうだ。つまりそのメーカーの方向性や実力を見るなら、入り口近くの展示をチェックすると良さそうだ。

筆者も何社かショールームの監修を行ったが、商品がもたらす暮らしの変化が見える作りであることにこだわった。家の中に気になることがあったらまずは足を運び、ぜひこれらをじっくり体感して欲しい。ショールームは行くたびに新しい発見があり、何度行ってもわくわくする。楽しみながら、新しい住まい作りに上手に活用して頂ければと思う。
(取材協力:TOTO金沢ショールーム)

実際に水を流し排水の様子を確認できるシンク、引き出し式収納の使い勝手が体感できるキッチン。<br>
右は複合型コラボレーションショールーム内のYKK APのサッシの断熱レベルを体感できるブース<br>
(撮影:TDY金沢コラボレーションショールーム)実際に水を流し排水の様子を確認できるシンク、引き出し式収納の使い勝手が体感できるキッチン。
右は複合型コラボレーションショールーム内のYKK APのサッシの断熱レベルを体感できるブース
(撮影:TDY金沢コラボレーションショールーム)

2017年 10月27日 11時05分