住宅侵入盗の件数は前年比で26.9%減も、5年連続ワースト1位に…

名古屋市における2014年1~12月の犯罪認知件数の統計が発表された。強盗、恐喝、侵入盗、自動車盗、オートバイ盗、自転車盗、部品ねらい、車上ねらい、ひったくり、自動販売機ねらいの10罪種を重点罪種とし、全国に20市ある政令指定都市でそれぞれの件数が発表されているのだが、2014年の重点罪種の総認知件数のワースト1位は大阪の32,944件で、2位が名古屋16,850件ということに(ちなみに3位福岡、4位横浜)。名古屋市民にとってなんとも不名誉なことだが、住まいに注目すると、侵入盗のうち住宅対象の侵入盗ではワースト1位となってしまっている。前年比では26.9%の減少となっているのだが、それでも2位の大阪と比べると約1.6倍もある。

実は、名古屋市の住宅対象侵入盗がワースト1位なのは5年連続。名古屋市では、これまでの結果を受けて、政令指定都市ワースト1位罪種返上に向けた対策に取り組み、市民が安心して暮らせる街づくりを目指している。そこで今回は、住宅対象侵入盗対策でどんな取り組みがされているのかを取材してきた。

平成26年1~12月の名古屋市内の犯罪認知件数(名古屋市発表の参考資料より)平成26年1~12月の名古屋市内の犯罪認知件数(名古屋市発表の参考資料より)

防犯の“特効薬”がないなかで、3年前から取り組む対策

名古屋市市民経済局地域振興部 地域安全推進課 生活安全担当の山中知子さん名古屋市市民経済局地域振興部 地域安全推進課 生活安全担当の山中知子さん

今回取材に応じてくださったのは、名古屋市市民経済局地域振興部 地域安全推進課 生活安全担当の山中知子さん。「2012年度に市民の身近にある犯罪、街頭犯罪とも呼びますが、住宅対象侵入盗、自動車盗、部品ねらい(自動車に取り付けてある、カーナビやカーオーディオなどの部品を盗む犯罪)、車上ねらい、ひったくりの5つの罪種についてワースト1位返上に向けての取り組みをはじめました」と、まず教えてくれた。

基本対策としては、防犯ネットワークを活用した防犯情報の提供やメディアへの啓発活動など市民の防犯意識を高めるもの、そして防犯カメラなどの普及促進など地域の防犯力の向上を促すもので、さらに罪種別に応じた地道な対策を進めることで、前項の表にもあるように、本年度までに部品ねらい、車上ねらい、ひったくりに関しては、ワースト2位ではあるものの、返上している。だが、住宅対象侵入盗に関しては、2013年には2,536件と前年より21.6%の増加で、1日に約7件発生し、年間の被害総額は約21億6,000万円にも及ぶという結果に。そこで最重要罪種と位置づけた。だが、2014年の発生件数は前年比26.9%の減少ではあるが、残念ながらワースト1位の返上とはならなかったのだ。

「警察の方にお伺いしても、道路の幅が広くてアクセスしやすいとか、家と家の間の距離が広いからなど推測もいろいろあるでしょうが、名古屋がなぜこんなにも多いのかということは明確にはわかりません。“特効薬”というのがない難しいなかですが、私どもは生活安全運動の推進を地道に行っております」と山中さん。

市民の防犯意識を高める生活安全運動

生活安全運動の推進とは、名古屋市役所および区役所の啓発活動のこと。街頭犯罪などを抑止するためのさまざまな取り組みだ。
「年間4期(春・夏・秋・年末)に10日間ほど集中的に運動期間を設け、各区役所がキャンペーンなどを行っています。例えば、ショッピングセンターで呼びかけたり、町内会と組んで戸建ての家を回って補助錠を配ったりと、さまざまな活動をしています」。

そのほかの取り組みとして、街頭犯罪防止1・2・3作戦がある。1は住宅対象侵入盗など、2は自転車盗、3はひったくりを対象とした啓発活動だ。住宅対象侵入盗では2014年度は、あらたに防犯リーダー講座を11月に全4回実施。町内会など地域活動をしている人を対象に、犯罪状況を伝えて防犯活動の注意点などを伝え、役立ててもらうことを目的とするもので、約70名が参加し、注目を集めた。

また、地域安全指導員の活動も行っている。これは、県警OB2名を地域安全指導員とし、青色回転灯車で不審者情報のあった地域や犯罪多発地域などを中心に週5日程度巡回。そのほか、町内会など地域住民が10人以上集まればその会場に指導員が出向き、無料で防犯市民講座を実施するなど、地域の自主的な防犯活動を支援するものだ。

地域安全指導員による防犯市民講座の様子。その地域に多い犯罪についてなど、より身近な問題を知ることができ、年間50回ほど行われている地域安全指導員による防犯市民講座の様子。その地域に多い犯罪についてなど、より身近な問題を知ることができ、年間50回ほど行われている

若い世代の力も借り、犯罪を監視する“目”を光らせる

防犯パトロール協力企業は、営業車のドアにマグネットシールを貼っている。犯罪の抑止のほか、子どもたちにも目を向けるなど、安全な街づくりにつながる防犯パトロール協力企業は、営業車のドアにマグネットシールを貼っている。犯罪の抑止のほか、子どもたちにも目を向けるなど、安全な街づくりにつながる

名古屋市内の企業に協力してもらう活動もある。営業車で市内を回るときに、どこかであやしい動きがあれば通報してもらうというものだ。その防犯パトロール協力企業は、現在120社ほどで300台くらいの車で活動している。

また、最近は大学生への参加の呼びかけもしているという。「地域の方に夜にパトロールをしていただいたりもしていますが、そこに大学生の方に参加を呼びかけました。地域活動というと60~70代の方が中心ですが、若い方が加わると喜んでいただけます」。

名古屋市立大学で昨年試行開始となった「名市大 S-Keyシステム」など大学の取り組みにも期待が高まる。「名市大 S-Keyシステム」は大学の自主的なものだが、学生が防犯パトロールや地域イベント支援など地域貢献活動をするとポイントがたまり、クーポンなどと交換できるようにするという仕組み。部活動のランニング中に空き巣など見守り活動に役立てるようなコース設定をしたりもあるそうだ。

「名古屋市は地域の活動もわりと熱心だといいます。企業の方、若い方を含め、地域の方に協力していただき、地域になにがしかの“目”があるということを促進していくことが大事かなと思っています。今後の課題としては、例えば防犯カメラの設置と防犯灯のLED化はニーズが高いのですが、予算もありますので、これをいかに計画的、効率的にしていくかということがあります。ただ、防犯というのは地道に、着実にやっていくことだと思うんです。今後も啓発し続け、防犯意識を高めていきたいです」。

市民ひとりひとりの防犯意識を高めることが抑止力につながる。家の鍵をかけ忘れないなど自分でできることはもちろん、地域とつながって街を守り、安全に暮らせる名古屋市となることを期待したい。

2015年 03月26日 11時07分