サーフィンや海釣りのポイントとして有名な千葉県外房エリアの例を紹介

株式会社ベストホーム代表 木山博彦氏。25歳で結婚するのを機に、サーフィンのメッカ千葉県一宮町に移住。その後リゾート不動産を学ぶために大手不動産会社に転職。3年間担当した外房エリアでの独立を決め退職。3児の父株式会社ベストホーム代表 木山博彦氏。25歳で結婚するのを機に、サーフィンのメッカ千葉県一宮町に移住。その後リゾート不動産を学ぶために大手不動産会社に転職。3年間担当した外房エリアでの独立を決め退職。3児の父

前回は、田舎暮らしに興味はあるが何から始めればいいか分からない人に向けて、移住のノウハウを書いた。しかし、実際に田舎暮らしを開始すると、壁となる事柄はケース・バイ・ケース。田舎暮らしをする目的によって住みたいエリアは異なり、地域によって土地柄というものがある。そこで今回はサーフィンや海釣りのポイントとして全国的に有名な千葉県外房エリアの例を紹介する。話をお聞きしたのは、同県いすみ市で不動産業を営む株式会社ベストホーム代表の木山博彦氏だ。

求人情報は現地で積極的に収集。受け身では損をする

外房エリアは日本を代表するサーフポイントが点在する。写真は一宮海岸。このエリアにはサーフィンのほか釣り、農業などを目的とした数多くの移住者がいる外房エリアは日本を代表するサーフポイントが点在する。写真は一宮海岸。このエリアにはサーフィンのほか釣り、農業などを目的とした数多くの移住者がいる

―ご自身も移住組だそうですね。
「10年ほど前に千葉市内から長生郡一宮町に引っ越してきました。その前からサーフィンが趣味で毎週一宮に通っていたのですが、結婚して子どもができて、自分も子どもものびのび暮らしたいと考えたのがきっかけです。当時の仕事場は都内でしたが、クルマで1時間半ほどなので、なんとか通勤することができました」

―現在不動産業を営むうえで、顧客ターゲットとなる層はどのような人ですか?
「取扱い物件は、一宮町から館山市のいわゆる外房エリア周辺になります。顧客層はご主人が30代後半から40代のファミリー層が多いですね。場所柄サーフィンを目的に移住される方が中心ですが、そのほか釣りや農業をしたい人も少なくありません」

―移住と聞くと、まず仕事があるのかが気になります。
「外房エリアへの移住を検討するなら、最初に現在の仕事を続けながら移住するのか、それとも移住先で仕事を見つけるのかを決めるべきでしょう。一宮町のJR上総一ノ宮駅からJR東京駅までは乗り換えなしで約1時間20分。JR御宿駅からでも特急を利用すれば約1時間30分です。外房エリアは都内への通勤が十分可能です。実際に私の周りでも都内に通勤する人は多い。とはいえ、毎日2時間前後も電車に乗るのは楽ではありませんから、仕事を続ける場合は、いきなり家を買うのではなく、賃貸の部屋を見つけてそこから通勤できるか試した方がいいと思います。
移住先で仕事を見つける場合は、ハローワークなどでも求人情報を公開しています。しかし、これがすべての情報ではありません。田舎はやはり口コミの社会です。だから早く仕事を見つける方は、地元の不動産会社や馴染み飲食店などに、仕事がないか聞いてまわっています。田舎の人は助け合いの気持ちが強いので、何かしらの情報をくれます。比較的募集が多いのはサービス業や接客業、看護・介護系、そして建築関係ですね。これらの会社に募集がないか直接電話してみてもいいと思います。田舎は公開されない情報も少なくないので、受け身では損をします」

不動産情報も現地で収集。地元の名士と顔なじみになることも大事

海から徒歩圏にある中古住宅の例。築20年、土地70坪、建物30坪で800万円前後海から徒歩圏にある中古住宅の例。築20年、土地70坪、建物30坪で800万円前後

―住む場所に関して田舎ならではの探し方はありますか?
「不動産情報もインターネットなどで公開されているのがすべてではないと考えた方がいいでしょう。田舎の不動産会社の中には、いまだにインターネットが得意ではない会社もあります。だからネットなどである程度の情報を得たら、そのエリアの取扱い物件が多そうな不動産会社に直接行って、希望の条件を伝えてみましょう。意外な掘り出しものが見つかるかもしれません。これは賃貸でも売買でも同じです。
外房エリアの家賃は、1ルームで3万5000円、戸建ての3LDKなら6万円くらいからです。中古の戸建てを購入するなら500万円くらいからありますが、この価格帯では海まで5㎞以上離れてしまいます。海まで徒歩10分以内なら800万円以上となるでしょう(2014年12月現在)。
また、地元に強い不動産会社と仲良くなることは、後々までいいことがたくさんあります。このような不動産会社の社長は、地元の名士が多い。だからその土地に住むうえでの注意点を丁寧に教えてくれるし、地元の人とトラブルなどがあった場合は仲裁に入ってくれることもあります」

積極的な人づきあいは必要不可欠

近所の移住者が集まったバーベキュー大会。事前に用意をすることなく、そのときの雰囲気で開催する。楽しいのはもちろん、大事な情報交換の場でもある近所の移住者が集まったバーベキュー大会。事前に用意をすることなく、そのときの雰囲気で開催する。楽しいのはもちろん、大事な情報交換の場でもある

―トラブルがあるということは、やはり田舎の人づきあいは難しいのでしょうか?
「これも地域によって様々です。基本的に最近になって分譲されたエリアは、移住者が多く住んでいるので、特別なことはほとんどありません。一方で何百年も前から人が住んでいる地域は、人間関係が濃密です。定期的な草刈りや祭りのための会合出席は当たり前。ある30世帯ほどの集落では、お葬式のときにすべての世帯から手伝いに行くのが習慣になっています。
もちろんこのような習慣が苦手でなければ、どのエリアに住んでも問題ないでしょう。逆に「人間関係が煩わしいから田舎に」という人は、どの地域を選んでもつらいと思います。先ほど話したように田舎は受け身の姿勢で暮らしていると、何も情報が入ってきません。たまに都会で引きこもり気味だった人が、移住してくることがあります。ところがこちらに来ても引きこもってしまうので、ほとんどが孤立して居場所がなくなり去っていきます。たとえ昔ながらの習慣がない移住者が集まるエリアであっても、積極的な人づきあいは必要不可欠です」

―ほかにも田舎暮らしの注意点はありますか?
「都会と比べて不便に感じるのは交通の便ですね。電車の本数は少ないし、路線バスも通っていないエリアばかりです。だから一家に複数台のクルマが必要です。クルマさえあればスーパー、飲食店、コンビニ、病院など生活に必要なほとんど施設へ15分以内で行けます。私のお客さんの奥さんは50代ですが、移住後に免許を取りました。
また子どもがいる場合は、教育に関して悩むことがあります。周辺に進学塾が少ないのです。積極的に受験を考えている親は、千葉市内の塾へ時間とお金をかけて通わせています」

田舎は助け合いの社会。誰かが助けてくれる

―そのような不便さがあっても田舎暮らしを続ける魅力はなんですか?
「サーフィンができる、釣りができる、といろいろありますが、結局は自然が身近ということだと思います。夜は手でつかめそうなほど多くの星がまたたきます。山の色彩は毎日変化します。このような環境だから近所の人とは「きのうの夕日はきれいだったね」といった言葉が当たり前のように交わされます。価値観が似ているからすぐに仲良くなれるんですよ。逆に自然に興味がない人が移住してきても不便なだけでしょうね」

―最後に田舎暮らしに憧れる人にアドバイスをお願いします。
「恐れることはなにもない、と伝えたいですね。田舎は本当に助け合いの社会です。受け身ではなく、自分からSOSを出せば誰かが何とか助けてくれます。各自治体も積極的にバックアップしていますし安心して飛び込んで来て欲しいと思います」

取材協力:株式会社ベストホーム
http://rinove.jp/

外房エリアは海岸から数分歩けばのどかな田園風景が広がる。この環境を美しいと思えるかどうかが移住成功を左右する外房エリアは海岸から数分歩けばのどかな田園風景が広がる。この環境を美しいと思えるかどうかが移住成功を左右する

2014年 12月29日 13時22分