不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME'S不動産売却査定プロが解説!離婚時のチェックポイント離婚慰謝料とは

プロが解説!離婚時のチェックポイント

離婚慰謝料とは

夫婦が離婚する理由には、“相手の浮気”や“相手の暴力”など、自分に非がないものがあります。このような場合、離婚の原因を作った本人は配偶者に、金銭で償う義務があります。この金銭のことを“慰謝料”と言います。“慰謝料”は、離婚の際に最も意見が対立する問題の1つです。ここでは、“慰謝料”の基本から具体的な請求方法などをご説明します。

基本知識

芸能人や海外のセレブが離婚すると、“慰謝料〇億円”などと報道されることがあります。このような話を聞くと、「さすが、セレブは違います」と感心する人が少なくないでしょう。

しかし、このような報道で“慰謝料”と表現されている場合、本来の“慰謝料”に加えて、“財産分与”と“婚姻費用”とを合算した金額が表に出るケースもあるので、注意が必要です。“財産分与”とは、婚姻中に夫婦共同で築いた財産を分けること、“婚姻費用”は夫婦が婚姻中と同じレベルの生活を離婚後も送るために、収入のある配偶者から収入の少ない配偶者へ金銭を支払うことです。

本来の“慰謝料”の意味は、この“財産分与”、“婚姻費用”とは、全く性質が違います。“財産分与”と“婚姻費用”は、離婚原因とは全く無関係で支払われますが、“慰謝料”には一方の配偶者に“不法行為”がなければなりません。

日本の民法では、故意または過失によって相手に損害を与えた(不法行為を行った)場合には、加害者が被害者に損害を賠償するように決められています。故意(わざと)、過失(ついうっかりと)に関係なく、自分の行った行為で、相手が損害を受けたという結果について、責任があるという考え方です。

離婚の原因となる浮気や暴力などを行った配偶者は、離婚の原因を作ったことになりますから、“責任がある”という意味で、“有責配偶者”と言われます。“慰謝料”には2つに意味があります。つまり、有責配偶者の不法行為で損害を受けた配偶者に対して、その償いを行うことと、離婚によって配偶者としての地位を失うことの“精神的苦痛”を償うという意味です。

なお、離婚の“慰謝料”も、民事的な損害賠償の1つですから、いつまでも請求権があるわけではなく、離婚後3年を過ぎると、請求できなくなりますので、注意が必要です。

不貞行為のある時

離婚の際に、“慰謝料”が支払われる最も代表的なものは“不貞行為”、つまり“浮気”です。結婚をすると、 “貞操義務”が生じます。難しい言い方ですが、配偶者以外とは性的関係を持ってはいけない、ということです。

したがって、婚姻中に“貞操義務”を守らなかった、その結果、配偶者に“精神的苦痛”を与えた、そしてそのことが離婚の原因になった、という理由に基づいて、有責配偶者は配偶者に“慰謝料”を支払う義務が生じるのです。

具体的な“慰謝料”の金額ですが、一説には“結婚年数×100万円”という数式が、半ば“都市伝説”的に信じられていますが、これは現実的ではありません。例えば、結婚年数20年の夫婦で、それまで夫に全く不貞行為がなかったのに、ある日魔が差した夫が1回浮気をしてしまいました。その後その女性とは会うことも連絡も取っていない(当然関係は続いていない)、しかし妻は全く許してくれず怒って離婚を言い出しました。この場合でも先程の数式に当てはめれば、“20×100=2,000(万円)”という高額の“慰謝料”を夫が支払うことになってしまいます。

この金額は、誰がどう考えても理不尽で、高額すぎます。実際には、以下の7つの要素を加味して、総合的に“慰謝料”の金額は算定されています。

  1. 婚姻の破綻原因を作った有責性や背信性の度合い
  2. 相手の配偶者の精神的苦痛の度合い
  3. 婚姻期間、両配偶者の年齢
  4. 有責配偶者の社会的地位
  5. 有責配偶者の支払い能力
  6. 未成年の子どもの有無
  7. 支払いを受ける配偶者の離婚後の扶養の必要性

結果的には、有責配偶者が支払える金額と受け取る配偶者が納得できる金額とのせめぎ合いとなります。もし金額の折り合いがつかない場合には、家庭裁判所での調停、審判、そして裁判という流れになります。

不倫・浮気相手への慰謝料の請求

不貞行為が原因の離婚で、“慰謝料”と聞くと、浮気をした配偶者(有責配偶者)が一方の配偶者に金銭を支払うイメージがあります。しかし、浮気をされた配偶者は、有責配偶者の浮気相手にも“慰謝料”を請求できるのです。これは、不貞行為によって婚姻関係を破壊されたことで受けた、“精神的苦痛”に対する損害賠償請求という考え方です。

また、先程ご説明したように、結婚をすると夫婦は“貞操義務”、つまり配偶者以外の異性と性的関係を持たない義務が発生します。つまり、有責配偶者の不倫相手は、夫婦の“貞操義務”を侵害したことになりますから、それについての損害を賠償してもらうという意味も含まれています。このような2つの意味で、不倫相手は責任を負わなければなりません。

具体的な“慰謝料”の金額、支払い方法などは、当事者、つまり不倫相手と不倫された配偶者との話し合いになりますが、不倫相手が認めない、話し合いに応じない、そもそも不倫された配偶者が直接話したくない、というのが一般的ですから、通常は弁護士を代理人として、交渉することになります。

しかし、不倫相手が逃げ回ることも考えられますから、証拠を集めて、裁判所に訴訟を起こすことになります。弁護士が、物的証拠、証言を集め、裁判所に提訴し、相手方に“訴状”が届き、不倫された配偶者が“原告”、不倫相手が“被告”として、裁判が開始されます。

一方で、上記の裁判が始まるころには、結婚生活が実質的に破綻し、夫婦が離婚に向けての話し合いを行っているのが一般的です。しかし、不倫相手に対する“慰謝料”の請求訴訟と、夫婦の離婚調停などは別々に進行します。それは、被告へは“「慰謝料」の請求”であり、有責配偶者へは“離婚のための条件”であって、それぞれ内容と相手が違うためです。

しかし、2つとも元々は有責配偶者と不倫相手との不貞行為が原因ですから、離婚調停などの場で夫婦間の“慰謝料”について協議をする際には、有責配偶者が支払うべき“慰謝料”に、不倫相手に請求する“慰謝料”を上乗せする形で進行する場合が多くあります。その提案に、有責配偶者が同意すれば、不倫相手への訴訟が取り下げられることになります。

慰謝料の請求方法

ご説明したように、“慰謝料”の請求額、支払い方法については、様々な要素を加味して、具体的な金額を算定します。しかし、有責配偶者は“できるだけ低い金額で”、請求する配偶者は“できるだけ高い金額を”と真っ向から意見が衝突する事態が一般的です。また、場合によっては有責配偶者が“不貞行為はしていない”と、離婚の原因となる不貞行為そのものを否定することも考えられます。

そこで、早めに離婚専門の弁護士に依頼をして、細かい事情や証拠品、証言などを提示し、相談を行うことで、早い解決が望めます。弁護士は依頼者の話や証拠品などを確認し、有責配偶者と交渉を行うことになります。

弁護士は、相手方の年収、不貞行為の状況、過去の判例などを参考にして、有責配偶者に具体的な“慰謝料”の金額を提示します。提示された金額に同意すれば、問題ありませんが、もし同意されなければ、家庭裁判所の“調停”の場で話し合うことなります。

もちろん請求された有責配偶者も、専門の弁護士に依頼をして、代理人として相手の弁護士と交渉しても構いません。むしろ、代理人の弁護士同士で交渉した方が、妥当な金額で比較的早く決着が望めます。

“慰謝料”の金額、支払い方法について合意できたら、“離婚協議書”を作成し、両配偶者が合意した事項を記載します。離婚の“慰謝料”は、通常“現金一括払い”です。しかし、どうしても一活払いが難しい場合には、できるだけ短い期間での分割払いもあり得ます。

その場合、途中で支払いが滞る危険性がありますから、基本的には“公正証書”にしておいた方がいいでしょう。“公正証書”とは、契約した内容を公証人に確認してもらい、その公証人に“お墨付き”をもらう制度です。

この“公正証書”の中に、“強制執行認諾約款”を付けておけば、相手が途中で“慰謝料”の支払いをしなかった場合に、給料差し押さえなどの手続きができます。もし“公正証書”にせず、通常の“協議書”のままだと、未払いになった時点で裁判所に申し立てて、“債務名義”を取らなければなりませんから、かなり煩雑になります。

慰謝料の支払い能力

損賠賠償全般に言えることですが、いくら被害者が大きな損害を受けたからと言って、加害者の支払い能力を超えた請求は、基本的にできません。被害者としては、「足りない分は、働いてでも返してください」、あるいは「親から借りてでも返してください」と言いたいところですが、現実にはそのようになっていません。

例えば、巨額の詐欺事件で、詐欺グループから1,000万円騙し取られたとします。騙し取られたのですから、犯人は“詐欺罪”で逮捕され、起訴、裁判、判決、服役という流れになります。これは“刑事事件”としての取り扱いです。

一方、被害者は加害者の不法行為で損害を受けたのですから、“損害賠償請求”を行う権利があります。これは“民事事件”としての扱いです。弁護士に依頼をして、加害者を相手取って、“損害賠償請求”を提訴します。裁判、判決となって、被害者の主張が全面的に認められれば、加害者に1,000万円の支払いを命じる判決が下されます。

ここまでは順調に行きますが、実際加害者に1,000万円に見合うだけの財産、資産が残っていなければ、加害者の支払える範囲で、支払ってもらうことになります。それでは、支払ってもらえない分を親などに請求できるかというと、“損害賠償”の債務はその人固有のものですから、できないことになります。

これと同じように、離婚の“慰謝料”についても、その人の支払い能力、資産、財産の範囲内でしか請求するこことができません。いくら“慰謝料”を請求する配偶者が、「500万円でないと応じません」と言っても、有責配偶者の資力を計算した結果が“200万円程度”だった場合には、両者で話し合って、支払える金額で合意するしかありません。

離婚協議書における慰謝料支払いについて

しかし、そうは言っても、浮気などの不法行為が原因で、離婚せざるを得ない場合、“慰謝料”を請求する配偶者にとっては、納得できる金額を1円でも多く取りたいというのが偽らざる心境です。そこで、“「慰謝料」は基本的に現金一括で”という原則からやや外れた形で、相手方に話を持って行く方法もあります。

例えば、“慰謝料”として300万円を請求したい、しかし相手の有責配偶者は、すぐに支払える現金が100万円しかないとします。請求する側としては、どうしても300万円の“慰謝料”を受け取らないと納得できないという場合、他の財産で補てんするという方法があります。

具体的には、現金の他に有責配偶者所有の固定資産(不動産など)をプラスして“慰謝料”として、支払ってもらうものです。現金と資産価値のある不動産などを合わせて、自分が納得できる金額300万円にするのです。

考え方としては、“現金100万円+不動産200万円”という考え方です。しかし、この方法には問題点が2つあります。

1つは、200万円前後の価値がある不動産がない場合、この方法が取れない点です。例えば、更地であれば、200万円の価値の不動産になるように“分筆”した上で、その土地を受け取るという方法が考えられます。しかしこの方法だと、分筆するための費用と手間がかかります。

もう1つの問題点は、不動産そのものを受け取っても、その後に固定資産税や維持費がかかり、それほどメリットがないということです。昔と比べて土地は確実に値上がりする資産とは言えなくなっていますから、思わぬ“お荷物”になってしまう可能性があります。

そこで、現金で足りない分については、有責配偶者が所有している不動産を売却した上で、補てんしてもらう方法が有効だということがわかります。この方法ですと、“分筆”などの手間がいりませんし、離婚時に希望する“慰謝料”が現金で手に入ることになります。

まとめ

“慰謝料”は、離婚の際に夫婦を悩ませる問題です。少なくとも愛情をもって結婚を決意した夫婦が、最後は“現金”の話をするということになりますから、いかにも味気ない気がします。

しかし、相手方の浮気などの不法行為によって、離婚をせざるを得なかった場合には、当然の権利として主張できますし、専業主婦で幼い子どもをかかえて、今後の生活に不安を持っている状態ならば、“なんとなくお金のことは言いにくい”などと考える余裕はないはずです。

いくら有責配偶者であっても、全面的に納得して、相手が提示した“慰謝料”の額を支払ってくれることは、少ないと言ってもいいでしょう。ここは、専門的な知識を持つ弁護士に依頼をして、慰謝料の相場を知り、早く納得のいく解決方法を選択する方が賢明です。

(2017年11月)

当サービスは、ご本人またはご家族が所有する不動産の売却を希望する、個人のお客様向けサービスです

以下の査定依頼はお断りしています。恐れ入りますがご了承ください。
弁護士、不動産業者など、物件所有者以外からの査定依頼
競売物件の価格調査など、売却を目的としない査定依頼

※査定依頼物件が、依頼者の所有物件ではないと弊社が判断した際、依頼内容を削除する場合があることをあらかじめご了承ください