不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME'S不動産売却査定プロが解説!離婚時のチェックポイント離婚時の問題点

プロが解説!離婚時のチェックポイント

離婚時の問題点

よく「離婚は結婚の数倍エネルギーが必要です」と言われます。結婚はお互いが相手に惹かれて決意をし、周りが祝福してくれることもあって、勢いでしてしまう傾向にあります。しかし離婚は、今まで一緒に暮らしていた夫婦が離れて、全く違う道を歩むために、色々なことを考えた上で決断することになり、精神的負担が多いのです。また、協議や調停で多くの問題点をクリアしなければなりません。どのような問題点があるか、詳しく説明します。

財産分与について

夫婦になると、同居して婚姻費用(生活費)を分担し、協力し合う義務を負います。つまり、夫がサラリーマン、妻が専業主婦でも、夫が稼いできた給料は、自分のものでなく、夫婦のものとなるのです。

離婚の際の“財産分与”は、この考え方がベースになります。基本的に婚姻中に、夫と妻が稼いだお金は、離婚の際に夫と妻で折半しなければなりません。例えば、結婚20年間で、夫が働いて貯めた貯金が2,000万円、妻が1,000万円あったします。つまり、夫婦で婚姻中に“計3,000万円”の財産を築いたことになり、これを夫婦で1,500万円ずつに分けることになります。

以上が、“財産分与”の基本ですが、いくつか注意する点があります。

まず1つ目が、“財産分与”の対象は、夫婦が婚姻した後で築いた財産が対象だということです。例えば、夫が結婚前から持っていて、婚姻前に既にローンの支払いが終わっている車は、夫固有の財産になりますから、“財産分与”の対象から外れます。

2つ目が、結婚後に購入した夫、又は妻名義の財産の扱いです。例えば、婚姻後に夫がマンションを購入し、夫の単独名義にしているとします。しかも、妻が専業主婦で、夫の給料からローンを支払っている場合には、夫の固有財産のように思われがちです。

しかし、夫が会社員として働けるためには、その裏で妻が家庭を支えていることを評価しなければなりません。従って、いくら夫名義で、夫の給料からローンが支払われていても、これは夫婦共同の財産であり、“財産分与”の対象とすべきなのです。

そして3つ目は、“退職金”です。すでに夫が定年退職をして、退職金が支払われている場合には、基本的に“財産分与”の対象となります。しかし、夫が婚姻前から働いていた会社の退職金の場合、全額が対象とならずに、あくまでも婚姻中に勤務していた期間が対象となります。

婚姻費用分担調停申立について

夫が会社員、妻が専業主婦の場合、夫が全く給料を家に入れてくれなかったり、あるいは夫が婚姻中にもかかわらず、家を出てしまい、全く生活費を渡さなかったりした場合、妻はたちまち生活に困窮してしまいます。

先程ご説明したように、夫婦は結婚すると、婚姻費用(生活費)を分担し、協力する義務を負います。したがって、妻は生活費を渡してもらうように、要求する権利があるのです。これを“婚姻費用”の分担請求と言います。

具合的な手続き方法としては、夫婦が同居している場合は住んでいる住所地の家庭裁判所、夫が別居している場合は夫が住んでいる住所地の家庭裁判所に、“調停”を申し立てます。費用としては、収入印紙代(1,200円)、切手代(裁判所によって異なる)です。提出する書類は、申立書、夫婦の戸籍謄本、収入を示す資料(源泉徴収票、給料明細書など)です。

この調停では、夫婦の収入、資産、家庭の状況などについて、双方の当事者が事情を話し、場合によっては他にも書類を提出した上で、解決策を提示されたり、助言をもらったりして、お互いが納得いくように、話し合います。

しかし、この“調停”はあくまでも当事者同士の話し合いの場なので、一方が納得できなかったり、欠席したりした場合には、不調ということになって、次に“審判手続き”に移っていきます。この“審判”では、裁判官が必要な審理を行った上で、“審判”を下します。

慰謝料について

“慰謝料”と聞くと、浮気した夫が妻に金銭を支払うイメージですが、支払う原因は“浮気”だけとは限りません。

民法という法律では、相手の故意または過失による不法行為によって、損害を受けた人は、その相手方に“損害賠償”を請求することができます。“故意”というのは、“わざと”という意味で、“過失”は“ついうっかり”という意味です。

つまり法律では、相手をケガさせようと思っていても、また思っていなくても、結果的にケガをさせるような行為を行った場合には、相手の損害について償わなくてはいけないということです。

これを離婚の場合に当てはめてみると、夫が浮気や暴力によって、妻を精神的、肉体的に傷つけ、それが離婚の原因になった場合、夫は妻に損害を賠償しなければなりません。これを一般的に“慰謝料”と呼んでいるのです。

ここでポイントなのが、あくまでも離婚の原因を作った配偶者(これを“有責配偶者”と言います)が慰謝料を支払うという点です。例えばはっきりした理由がなく、お互いが相手を嫌になって“離婚したい”という気持ちになった場合、どちらかが離婚の具体的な原因を作ったわけではありませんから、“慰謝料”の問題は生じません。

また、“慰謝料”の額についてはっきりと決まりがあるわけではありません。“慰謝料”とは文字通り、相手に謝り相手の気持ちを慰めるものです。つまり、被害を受けた配偶者が、「〇万円だったら、納得できます」という金額になるのです。

したがって、個々の離婚の事情、離婚原因を作った配偶者の収入、離婚原因の種類、不法行為の内容などを総合的に判断して、具体的な金額が決められます。なお、有責配偶者に“慰謝料”が請求できるのは、離婚から3年以内です。

不動産について

離婚の際に頭の痛い問題の1つに、“不動産”があります。具体的に2点、ご説明します。

まず“財産分与”の問題です。先程ご説明したように、婚姻中に築いた財産は、基本的に夫婦の“共有財産”とみなされ、2分の1ずつに分けなければなりません。しかし、家やマンションを購入して、その不動産が“共有財産”となった場合、夫婦で分けることは事実上不可能です。

そうなると、不動産を一方の配偶者が受け取り、その不動産の価格の半分を現金で相手方に渡す方法を取るしかありません。この方法が最も分かりやすく、お互い異論が出にくいはずです。しかし不動産を受け取った側に、それに見合う現金がないと実現できません。

また、住宅ローンが完済していればいいのですが、まだローンが残っている場合には、その残りのローン(“残債”と言います)をどちらがどのような割合で負担するかという問題が出てきます。

例えば、不動産の時価と残債を比較した場合、不動産の価値が勝っている時(“アンダーローン”と言います)には、その不動産を売却して残債を精算し、残ったお金を夫婦2人で、折半する方法があります。その不動産に引き続き住むことができず、他に家やマンションを探さなければなりませんが、残債と財産分与の2つの問題が1度で解決できます。

しかし、不動産の時価と残債を比較した場合、残債の額が勝っている時(“オーバーローン”と言います)は、色々と困った問題が出てきます。もし不動産を売却して残債を精算しても、残債が消えず、不動産に設定してある“抵当権”が消えませんから、売却はできないことになります。

そうなると、残債を夫婦がそれぞれ負担しなければなりません。つまり、離婚と同時に“借金”を背負うことになるのです。このような場合は、住宅ローンを組んだ債権者と金融機関とが話し合い、返済しきれないローンを残したまま“抵当権”を解除してもらう“任意売却”という方法が有効です。

この方法をとれば、競売に比べて高値で売却できる可能性があります。また、残ったローンの返済については、毎月の返済額、返済期間を計画的に組むことができます。さらに、売却する不動産の引き渡し時期の調整ができ、その後の生活設計を立てやすいというメリットがあります。

2点目は、不動産の“名義”の問題です。例えば、婚姻後にマンションを購入、名義人が夫、妻が連帯保証人で、離婚後に“財産分与”として妻にマンションを譲ったとします。この場合、妻がマンションに住み続け、夫がローンを払い続けることにすれば、夫婦の間では“財産分与”に関しては解決します。しかし、問題となるのは、マンションの名義変更です。

この場合、妻の名義に変更しておかないと、実態と名義が違っており、妻に財産分与したとは言えません。しかし、妻に一定の収入がないと、ローン契約の変更はできず、名義の変更もできません。

どうしても名義変更ができなかった場合、マンションをそのまま夫の名義にしておき、ローンが完済した時点で、夫から妻へ名義変更を行う方法もあります。しかし、夫がローンの返済中に死亡した場合、マンションとローンの残債は、夫の法定相続人が引き継ぐことになり、同時に妻は住む場所がなくなることになります。

またローン返済中のマンションが夫婦の共同名義になっている場合も、注意が必要です。例えば、妻がマンションを財産分与として受け取る場合、ローンの財産の半分ずつを夫と妻で負担した上で、ローンを完済し、妻の単独名義にしなければなりません。

しかし、住宅ローンの残債が大きく、完済が難しい場合は、夫がローンの契約者、妻が連帯保証人のままですから、夫婦両方に支払い義務が残ったままになります。もし、離婚後に夫の支払いが滞った場合には、妻が支払うことになり、それでも支払えない場合には、“抵当権”が実行され、競売されることになります。

このように、離婚する夫婦に不動産、特にローンの返済が終わっていない家やマンションがあった場合、その処理については、十分に気を付ける必要があります。

年金分割について

法律改正によって、2007年4月から、夫婦が婚姻中に“厚生年金”に加入していた場合、離婚した妻も年金が受給できるようになりました。改正前は、夫婦の各名義分だけしか受給でなかったので、夫が会社員で厚生年金に入っていて、妻がその保険の扶養に入っていれば、年金支給額の最大2分の1まで、妻が受給できるようになったのです。

それまでは、年金に関して専業主婦は不利な立場に置かれ、離婚後の生活に不安を持った人がなかなか離婚したくても踏み切れない状態でした。しかし、この改正によって、専業主婦と働いている妻との年金の受給額の格差が、かなり解消されることになったのです。

ただし、いくつか条件があります。まず、離婚後2年以内に、社会保険事務所に請求しなければなりません。しかも、分割受給できる時期は、元夫の受給開始年齢ではなく、元妻本人の受給開始年齢です。したがって、若い年齢で離婚した妻にとって、年金開始はかなり後になってしまいます。

また、2007年の改正では、年金の分割は夫婦の合意か、裁判所の決定が必要でしたが、2008年4月から、第3号被保険者(専業主婦など)であれば、夫婦の合意なしに、どちらか一方の請求によって、年金分割請求ができるようになりました。

しかし、この場合、分割されるのは、平成20年4月以降の婚姻期間分です。それ以前の分は、夫婦の合意か裁判所の決定が必要ということになります。

養育費について

未成年の子どもがいる夫婦が離婚する際には、どちらが子どもの“親権”を持つか決めなければなりません。「離婚した後で、話し合って決めます」ということは認められておらず、“離婚届”に必ずどちらが“親権者”になったかを記載しなければなりません。

これは、未成年の子どもの福祉と教育を尊重した制度です。離婚は大人の事情ですが、極力子どもには影響を与えまいとする考え方です。

同じような考え方が、“養育費”にも言えます。今まで夫婦共同で育てていた子どもを、離婚後はどちらかの親が一人で育てていくことなります。その代わり“親権者”でない親は、子どもの養育、教育、福祉のために、費用を分担するという趣旨が、“養育費”だと言えます。

“養育費”の額は、基本的に夫婦の話し合いで決めます。目安としては、家庭裁判所が“養育費算定表”を作成していますので、それを参考にした上で、それぞれの事情に応じて額を決めることになります。

また子どもが何歳になるまで支払うかということですが、“20歳に達するまで”としている場合が、一般的です。しかし、大学に進学した場合、卒業が22歳ですから、夫婦で話し合って、“20歳まで、または大学卒業まで”と決めておいてもいいでしょう。

“養育費”について注意したいのは、支払い期間が長いため、途中で未払いになる可能性が高いということです。そうならないためには、離婚時に“養育費”の支払いに関する事項を“公正証書”にして残しておきます。こうしておけば、もし将来“養育費”が未払いになっても、差し押さえ手続きがスムーズにできます。

まとめ

離婚は夫婦の合意で成り立ち、“離婚届”の提出で完了するものです。しかし、その間に様々な解決すべき問題点が待っています。

特に、“養育費”を含めた金銭関係は避けて通れない問題です。多くの離婚した夫婦が、“こんなに多くの決め事が必要なのか”と驚くのも頷けます。しかし、はっきり決めず曖昧にしたままで離婚をすると、後で思わぬトラブルに発展する可能性があります。

わからないこと、なかなか決まらないことは、離婚を専門とする弁護士やカウンセラーなどに相談しましょう。

(2017年11月)

当サービスは、ご本人またはご家族が所有する不動産の売却を希望する、個人のお客様向けサービスです

以下の査定依頼はお断りしています。恐れ入りますがご了承ください。
弁護士、不動産業者など、物件所有者以外からの査定依頼
競売物件の価格調査など、売却を目的としない査定依頼

※査定依頼物件が、依頼者の所有物件ではないと弊社が判断した際、依頼内容を削除する場合があることをあらかじめご了承ください