家を売却するときには、不動産会社に査定依頼を行い、仲介をお願いする依頼先を見つけるのが一般的です。難しい手続きは不動産会社に任せる部分も大きいですが、売却を成功させるためには、売主自身もきちんと準備を進めておくことが大切となります。今回は査定依頼を行う前に準備すべき事柄を5つに分けて見ていきましょう。
【あわせて読みたい】
▶︎家を売るにはどうする?事前準備や手順・費用など売却の知識を解説
もくじ
準備すべきことその1:売却の流れと手順を押さえておく

家を売るときには、引き渡しまでの手順や期間を把握したうえで、スケジュールを逆算しておく必要があります。どのくらいの期間をかけられるのかによって、取るべき手段が異なるためです。
ここではまず、売却の流れと手順を見ていきましょう。
家を売却するまでの流れ
|
主な手続き |
目安の期間 |
|
|---|---|---|
|
売却前 |
情報収集・下準備 |
1週間 |
|
査定依頼 |
1週間 |
|
|
不動産会社との媒介契約 |
1週間 |
|
|
売却活動中 |
売却活動スタート |
3ヶ月 |
|
内見対応 |
||
|
売り出し後 |
売買契約の締結 |
1ヶ月 |
家を売却するまでの手順は、売却前、売却活動、売り出し後の3つのステップに分けることができます。売却の準備を始めてから引き渡しが完了するまでは、4~6ヶ月程度の時間がかかるのが一般的です。
このうち、もっとも時間を要するのは売却活動であり、理想的な買い手が見つからなければ目安期間よりも長くなってしまうケースは珍しくありません。そのため、スケジュールには十分にゆとりを持たせる必要があります。
売却方法の種類
紹介した手順は、個人の売主が不動産会社に依頼して、個人の買い手を見つける「仲介」という売却方法の流れです。家の売却については、多くの場合、この仲介によって手続きが進められています。
しかし、スケジュールに余裕がない、すぐにでも現金化したいといった場合には、仲介ではなく「買取」という方法も検討する必要があります。買取とは、買取会社に直接物件を買い取ってもらう方法であり、最短では数日~1週間で手続きが完了することもあるのです。
ただし、買取は仲介と比べて7~8割程度の価格になってしまうため、メリットとデメリットの両面を理解して判断することが大切です。
【あわせて読みたい】
▶︎家を売りたい人必見!家を売る方法や売却相場の調べ方、流れを徹底解説
準備すべきことその2:自分でも相場を調べておく

査定依頼前に行うべきことの2つ目は、自分で相場を調べておくことです。ここでは、相場を把握する重要性と具体的な方法をご紹介します。
あらかじめ相場を把握しておくメリット
相場を把握する重要性は、「会社選びに役立つ」点にあります。不動産の査定額は会社によっても異なるため、通常は複数の会社に依頼したうえで、価格の違いなどを比較することになります。
このときに重要な判断基準となるのが、自分で調べた相場です。価格の適正範囲を知らない状態では、不動産会社の提示が妥当であるかどうかを見極められず、適した依頼先を見つけるのが難しくなってしまうのです。
自分で相場を調べる方法
相場を調べる方法には、「実際の取引事例から調べる方法」と「不動産情報ポータルサイトで調べる方法」の2種類があります。取引事例から調べる方法とは、国土交通省が公表している「土地総合情報システム」や、不動産流通機構が運営する「レインズマーケットインフォメーション」で、過去に行われた不動産取引の価格をチェックすることを指します。
これらのデータを通して、物件のタイプや築年数、広さなどについて似たような条件の取引をいくつか比較すれば、売りたい物件がどのくらいで売却できそうか判断できるのです。また、不動産情報ポータルサイトで調べる方法とは、実際に売り出されている物件データをチェックすることを指します。
過去の取引事例と同じように、類似した条件を持つ不動産の売り出し価格をいくつか確認すれば、そこから適正範囲を調べられるのです。
【あわせて読みたい】
▶︎家を売りたい人必見!家を売る方法や売却相場の調べ方、流れを徹底解説
ポータルサイトの機能を活用するのもおすすめ
不動産情報ポータルサイトには、サイトごとにさまざまな機能が備わっており、相場を調べるのにも有効活用することができます。たとえば、LIFULL HOME'Sの「住まいインデックス」では、地図から所在エリアの相場を一目で確かめることができます。
駅や住所を入力するだけで、簡単に坪単価相場をチェックできるため、手軽に価格を確かめたいときに便利です。また、特定のマンションの相場については、LIFULL HOME'Sの「プライスマップ」を利用してみるのもおすすめです。
プライスマップでは、売りたいマンション名を入力するだけで、参考価格を簡単に調べることができます。建物全体だけでなく、一戸ごとの価格も調査できるので、より現実的な数値を割り出すことが可能です。
準備すべきことその3:住宅ローンの残債を確認しておく

査定依頼前にすべきことの3つ目は、住宅ローン残債の確認です。ここでは、住宅ローンが残った家を売るときの注意点を踏まえて、残債の確認がなぜ大切となるのか解説します。
住宅ローン残債の確認が必要な理由
住宅ローンが残っている家を売却する場合には、引き渡しまでに住宅ローンを完済して、金融機関の抵当権を抹消することが絶対条件となります。ローンの支払いには売却代金を充てることができますが、残高よりも売却代金が低い場合は自己資金などで差額を埋め合わせなければなりません。
そのため、査定を依頼する前に残債をチェックして、問題なく売却できるかどうかを判断することが大切となるのです。万が一自己資金でも埋め合わせができない場合は、売却のタイミングを見送ってローン返済を続けるか、住み替えローンなどを利用して新たな借り入れを行うかを決める必要があります。
【あわせて読みたい】
▶︎ローンが残っている家を売却する方法とは? 注意点や住み替えの手順も解説
準備すべきことその4:売却にかかる費用と税金についてチェックしておく

不動産を売却するときには、手数料や税金などのコストがかかります。売却の計画を立てるうえでは、査定依頼前に費用の目安を理解しておくことが大切です。
家の売却に必要な費用と税金
家の売却時には、以下のような費用が発生します。
|
項目 |
内容 |
費用の目安 |
|---|---|---|
|
仲介手数料 |
不動産会社に支払う成功報酬 |
売却代金×3%+6万円+消費税が上限 |
|
印紙税 |
売買契約時の契約書にかかる税金 |
1万~3万円 |
|
登録免許税 |
抵当権の抹消登記にかかる税金 |
1,000円 |
|
司法書士依頼料 |
登記の手続きを代行してもらう費用 |
1万~2万円 |
|
一括返済手数料 |
住宅ローンを借りている場合に発生する手数料 |
1万~3万円 |
|
譲渡所得税 |
売却によって利益が出た場合にかかる税金 |
譲渡所得×所有期間に応じた税率 |
仲介手数料は売却が成功したときに不動産会社へ支払う費用であり、法律によって上限が決められています。売却時の費用としてはもっとも大きなコストとなるため、あらかじめ上限額を計算しておくことが大切です。
譲渡所得税は、売却代金から取得費や売却にかかったコストを差し引いた金額に対して課される税金のことです。しかし、マイホームの売却ではさまざまな特例が使えるため、譲渡所得税の大幅負担減少や免除が可能です。
そのため、事前に特例の内容を調べておくといいでしょう。
【あわせて読みたい】
▶︎家を売るのに税金がかかる?マイホームの売却前に知っておくべき「税金の仕組み」
▶︎家を売るときの費用はいくらかかる?売却時の費用を抑えるポイントも
準備すべきことその5:査定依頼と会社選びのコツを押さえておく

最後に、査定依頼のコツと注意点、不動産会社選びのポイントを見ていきましょう。
査定依頼のコツと注意点
前述のとおり、不動産の査定額は会社によって異なる場合もあるため、査定依頼は必ず複数の会社に対して行いましょう。ただ、必ずしも高い査定価格を提示した不動産会社が最適とは限らない点に注意が必要です。
不動産会社のなかには、相場よりも高い価格を提示するところもあります。自分で調べた相場とあまりにも大きな差がある場合には、査定額の根拠を確かめることが大切となります。質問への対応を通して、会社の信頼性を見極めることもできるのです。
【あわせて読みたい】
▶︎家の売却でやってはいけないこと16選!高く売るためのコツも解説
会社選びのポイント
不動産会社選びにおいては、「専門性と実績」を確認することが大切です。不動産会社はそれぞれ「都心のマンション売買に強い」「駅近の一戸建てに強い」「郊外の一戸建ての取扱いに長けている」といった異なる個性を持っています。
そのため、売りたい物件に適した専門性を持つ会社を選ぶことが成功への第一歩となるのです。また、会社だけではなく、担当者の力量や人柄にも目を向けておきましょう。
多くの場合は、売主自身は不動産売却に不慣れであるため、担当者の力量や誠実さが成功を左右する大事な要素となるのです。査定依頼でのやりとりを通じて、しっかりと担当者とコミュニケーションを図りながら、仲介を任せられるかどうかを見極めましょう。
LIFULL HOME'Sの「売却査定」を利用してみよう
LIFULL HOME'Sの「売却査定」は、一度の条件入力で複数の不動産会社にまとめて査定依頼を行うことができます。また、売りたい物件のエリアやタイプ、売主の事情や希望を入力すれば、すぐに適した会社を絞り込めます。査定依頼は無料で行えるので、家の売却を検討するときには、上手に利用してみてください。
まとめ
- 家の売却には4~6ヶ月程度の期間がかかるため、スケジュールにゆとりを持つ
- 査定依頼前に自分でも相場を調べておくことが大切
- 住宅ローンが残っている場合は、あらかじめ残債を確かめておく
- 売却にかかるコストの内訳や目安を把握しておく
- 査定依頼のコツと不動産会社選びのポイントを理解しておく
記事監修
