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相続税が払えない場合はどうなる?対処法や負担軽減のポイントも解説

相続が発生した場合、多くの人が直面する課題の一つが相続税の支払いです。

現金や預貯金だけでは足りず、不動産など換金しにくい資産が多い場合には払いたくても払えない状況に陥ることもあります。特に土地や建物といった不動産を相続した場合、納税資金の確保に悩むケースも少なくありません。

相続税を滞納すると延滞税や差し押さえのリスクもあるため、早期の対応が求められます。一方、延納や物納といった制度、資産の売却や借入れなど、状況に応じた対処法を選ぶことで負担を軽減することも可能です。

この記事では相続税が払えない場合に考えられる原因や、取るべき対処法、納税負担を減らすためのポイントを解説します。不動産を含む相続財産を適切に管理し、スムーズな相続を実現するための基礎知識としてぜひご活用ください。

この記事で分かること

  • 相続税が払えない一般的な理由
  • 相続税が払えない場合はどうなる?差し押さえの可能性
  • 相続税が払えないときの対処法
  • 遺産分割が進まず相続税が払えないときの対処法
  • 相続税の支払い負担を軽減するポイント

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もくじ

相続税が払えない一般的な理由

ここでは、相続税が払えない場合の主な理由を紹介します。

  • 遺産分割協議がまとまっていないから
  • 相続財産から支払う現金が足りないから

遺産分割協議がまとまっていないから

相続が発生すると被相続人の財産は法定相続人の共有財産となります。

なかでも、預貯金は金融機関に死亡の連絡が入った時点で凍結され、個人の判断で引き出すことはできません。凍結を解除するには相続人全員で遺産分割協議を行い、合意した内容に基づいた手続きが必要です。

協議がまとまらないと預貯金を引き出すこともできず、納税資金の確保も困難になります。

遺産分割協議とは相続人全員で話し合って、誰が何を相続するかを決める法的手続きです。 未成立のままでは財産を処分したり名義を変更したりすることができません。

相続税の支払いを滞りなく行うためにはできるだけ早期に相続人同士で協議を進め、必要な現金が確保できるよう体制を整えることが重要です。

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相続財産から支払う現金が足りないから

相続税は、原則として現金一括納付が求められます。

相続財産のなかに現金や預貯金が少なく、代わりに不動産や株式など換金しにくい資産が中心の場合、納税資金が手元にないといった事態が起こります。

たとえば、被相続人が自宅と賃貸アパートを所有していて現金が100万円程度の場合、相続税評価額が高くなるものの納税に必要な現金を確保できず、結果として物納や延納といった制度の利用を検討せざるを得ません。

物納とは、現金の代わりに不動産などを使って納税する制度です。ただし、物納が認められるには厳しい条件があるため、誰でも簡単に使えるわけではありません。

現金以外の資産が多い相続では事前の納税資金の準備が重要になります。不動産の売却や活用方法も含めて早めに専門家へ相談するのが得策です。

相続税が払えない場合はどうなる?差し押さえの可能性は?

相続税を納期限までに支払えないと延滞税や加算税といったペナルティが課され、最終的には財産の差し押さえに至るおそれがあります。

差し押さえまでの主な流れは、以下のとおりです。

  1. 被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内に申告・納付する
  2. 納期限までに納税できなかった場合、税務署から督促状が届く
  3. 延滞税・加算税が発生し、税額が増える
  4. 税務署が強制執行を申立てる
  5. 差し押さえが実行される

相続税の納付は、相続発生(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことが法律で義務づけられています。期限までに支払いが完了しないと、税務署はまず督促状という支払いの催促文書を送付することが一般的です。

督促状を無視した場合、税務署から延滞税や加算税が請求されます。納税者が事情を申し出れば延納や物納が認められるケースもありますが、対応もせずに滞納を続けると財産の差し押さえに踏み切ることがあります。

差し押さえ対象は預貯金や株式、不動産などで、それらを換金して滞納税額に充当されることになります。

相続税を滞納すると想像以上に早くペナルティが重なり、最終的には財産を失うリスクもあります。延滞や放置を防ぐには、早期の対策と税務署への相談が不可欠です。

ここでは、以下の2つの項目について解説します。

  • 加算税の主な種類
  • 延滞税の税率

加算税の主な種類

加算税とは本来納めるべき税金の申告が遅れたり、不正があった場合に課される罰則的な税金で、状況に応じて以下のように分類されます。

種類 課されるケース 税率(原則)
無申告加算税 申告期限までに申告をしなかった場合 納付額のうち50万円までの部分は15%、それ以上は20%の税率(一定の事由の場合300万円を超える部分は30%)
過少申告加算税 申告はしたが、税額が少なすぎた場合 10%
※期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%
重加算税 意図的に隠蔽や仮装があった場合 最大40%

※参考:加算税の概要|財務省

加算税は不注意によるものから悪質なものまで段階的に設定されており、対応の遅れや申告ミスもペナルティの対象となるため、早めの対応が重要です。

延滞税の税率

延滞税は納税期限までに税金を納めなかった場合に課される利息のようなもので、納付が遅れるほど金額は増えていきます。

延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月以内は年7.3%または延滞期間中の特例基準割合+1%のいずれか低い方です。2ヶ月を超える場合、年14.6%または特例基準割合+7.3%のいずれか低い方が適用されます(令和7年時点)。

特例基準割合は財務大臣が年に一度告知する割合のため変動しますが、低金利であっても延滞税は加算税とあわせて大きな負担となります。

※参考:延滞税の割合|国税庁

相続税が払えないときの対処法

ここでは、相続税が払えないときの対処法を紹介します。

  • 金融機関から借入れする
  • 相続税を分割(延納)して支払う
  • 相続財産を物納する
  • 相続財産を売却する
  • 相続放棄する

金融機関から借入れする

相続財産の多くが不動産の場合、現金化に時間がかかることがあります。

すぐにまとまった現金が必要なケースでは、一時的に銀行や信用金庫などから相続税対応ローンを借りることで納税に充てることが可能です。

金融機関からの借入のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
● 大きな納税額を長期で分割できる
● 相続財産をすぐに売却しなくてもよい
● 利息がかかる
● 担保が必要な場合がある

金利や返済計画には注意が必要ですが、延滞税よりも低い利率で借りられる可能性があるため、メリット・デメリットを理解したうえで利用を検討しましょう。

相続税を分割(延納)して支払う

相続税を一括で支払えないときは、分割払い(延納)の制度を利用する方法があります。最大20年の分割納付が認められ、毎年少しずつ納めることで資金繰りの負担軽減が可能です。

相続税を分割(延納)して支払うメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
● 大きな納税額を長期で分割できる
● 相続財産をすぐに売却しなくてもよい
● 利子税がかかる
● 担保が必要な場合がある

延納が認められるためには、次のような要件を満たす必要があります。

● 相続税額が10万円を超えること
● 相続税を現金で一括納付するのが難しい特別な事情があり、その事情に見合った金額に限っての分割払いであること
● 分割で支払う相続税と利子に見合う担保(不動産など)を用意すること(支払う税額が100万円以下で、支払期間が3年以内なら担保は不要)
● 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること

※参考:No.4211 相続税の延納|国税庁

また、利子税(年0.1〜0.7%程度※)が発生する点にも注意が必要です。長期的な資金繰りを可能にする制度ですが、申請期限や利子税の負担など条件をよく確認したうえで利用しましょう。

※令和5年1月1日現在の「延納特例基準割合」0.9パーセントで計算した場合

相続財産を物納する

相続税を現金で納めるのが難しい場合、不動産などをそのまま税として納める物納の利用が検討できます。

相続財産を物納するメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
● 不動産などを納税に充てられる
● 現金がなくても納税できる
● 申請が複雑で審査が厳しい
● 財産に優先順位がある
● 相続税評価額で評価されるため不動産は時価よりも安くなりやすい

物納できる財産には優先順位があり、国にとって管理しやすい国債・不動産・株式などの財産から優先されます。また、物納申請には事前の審査があり、申請書を相続税の納期限または納付すべき日(物納申請期限)までに提出しなければなりません。

物納が認められるためには、次のような要件を満たす必要があります。

(1)延納(分割払い)を使っても現金での納税が難しい特別な事情があり、その事情の範囲内での物納であること

(2)物納に使える財産は、もともと相続税の対象となった日本国内の財産に限られ、以下の優先順位に従うこと

<第1順位>

1.不動産、船、国債・地方債、上場株式など(特別な法律に基づく一部の社債や出資証券を含むが、短期社債などは対象外)

2.上記のうち、価値や性質の面で劣るとされる物納劣後財産に該当するもの

<第2順位>

3.非上場株式など(特別な法律に基づく一部の社債や出資証券を含むが、短期社債などは対象外)

4.上記のうち、物納劣後財産に該当するもの

<第3順位>

5.動産

(3) 物納に使える財産は、国が管理・売却できないような不適切なものではないこと及び、物納劣後財産を使う場合は他に適した財産がない場合に限る

(4) 物納しようとする相続税の納期限または納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること

※参考:No.4214 相続税の物納|国税庁

物納は現金の用意が困難なときの最後の手段ですが、申請手続きが煩雑なため早めの準備と専門家への相談が不可欠です。

相続財産を売却する

相続税の支払いに必要な現金が用意できない場合、相続財産を売却して資金を確保する方法があります。特に、不動産など換金性の高い財産がある場合は有効な手段となりますが、売却には相続人全員による遺産分割協議がまとまっていなければなりません。

換価分割とは不動産や株式を一人が代表して相続し、売却で得られた現金を他の相続人と分け合う方法です。

相続財産を売却するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
● まとまった現金を得やすい
● 他の相続人と財産を分配しやすい
● 延滞税や加算税の回避が可能
● 売却までに時間がかかる可能性がある
● 相場以下での売却になる可能性がある
● 譲渡所得税の申告が必要になる可能性がある

相続税の納税期限内に売却を進めるためには、早い段階から不動産会社へ査定依頼を行うことが重要です。複数社の査定価格を比較できる不動産一括査定サイトなどを活用すれば、売却価格の相場を把握し、納得できる条件での売却がしやすくなります。

ホームズの一括査定では無料で複数社に査定依頼ができ、相続税納付のための売却をサポートしてくれる不動産会社を見つけるのに役立ちます。

売却は納税資金を手早く確保する現実的な方法であり、査定の早期依頼と情報収集が成功のカギです。

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相続放棄する

相続財産よりも負債のほうが多いと判断される場合は、相続放棄の選択肢があります。

相続放棄を行えば相続人は最初から相続人ではなかったことになり、借金や相続税を支払う義務からも解放されるでしょう。

手続きの期限は相続を知った日から3ヶ月以内であり、放棄するとプラスの財産も一切取得できないため慎重な判断が必要です。

相続放棄のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
● 相続税を支払わずに済む
● 借金を背負わずに済む
● プラスの財産も受取れない
● 家族関係によって他の相続人に負担が移るおそれがある

相続放棄はリスク回避の手段ですが、手続き期限と影響を十分理解したうえで選択することが大切です。

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遺産分割が進まず相続税が払えないときの対処法

遺言書がない場合、相続財産の分け方は相続人同士で話し合って決める必要がありますが、遺産分割協議がまとまらないとそれぞれの相続税額も確定せず、納税資金があっても申告できない事態に陥ることがあります。

相続税の申告・納付期限は相続開始から10ヶ月以内と定められており、期限を過ぎると延滞税や加算税が課されることが一般的です。納税が滞れば財産の差押えなどのリスクも考えられます。

こうした事態を防ぐため、遺産分割が進まないなかでも相続税の納付に対応できる方法を知っておくことが大切です。

税額分の遺産分割だけ話し合いで決める

遺産全体の分割が難航している場合でも、まずは税額分に相当する財産だけを対象に限定して協議する方法があります。

たとえば相続税を現金で納めるために、預貯金の一部を一時的に特定の相続人が取得し、納税後に清算することが可能です。申告期限経過のペナルティを回避する目的であるため、各相続人の理解を得やすくなります。

さらに、後で揉めないように税額分だけを扱うことを明確にし、書面で取り決めを残すことが理想と言えます。納税資金の確保を優先しつつ、分割協議を柔軟に進める現実的な選択肢といえるでしょう。

相続税の支払い負担を軽減するポイント

ここでは、相続税の支払い負担を軽減するポイントを紹介します。

  • 養子縁組を行い法定相続人を増やす
  • 生前贈与を行う
  • 生命保険を有効活用する
  • 賃貸アパート・マンションを建てる
  • 控除・特例制度を利用する

養子縁組を行い法定相続人を増やす

養子縁組によって法定相続人の数を増やすと基礎控除額が拡大され、相続税の負担軽減につながります。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるため、相続人が多いほど非課税枠が増える仕組みです。

ただし、養子が税法上カウントされるのは実子がいる場合は一人、いない場合は二人までとなっています。節税対策のためだけに行う養子縁組は税務署に否認される場合があるため、正当な理由がある場合に限り、慎重に検討すべきです。

生前贈与を行う

生前贈与を活用すれば相続財産を減らすことができ、将来の相続税の負担を軽減する効果が期待できる場合があります。なかでも暦年贈与と呼ばれる制度では一人あたり年間110万円までの贈与が非課税となるため、比較的手軽に取り組める方法として利用されています。

また、子どもや孫の教育費や結婚・子育て費用については、1,500万円または1,000万円まで非課税となる一括贈与の特例もあります。

ただし、贈与が有効と認められるには、贈与契約書の作成や贈与用口座の分離など、形式面の整備が不可欠です。2024年以後に行った贈与については相続前7年以内の贈与が相続財産に加算されるため、長期的視点で計画することが重要です。

生命保険を有効活用する

生命保険を活用することで、相続税対策と納税資金の確保を同時に行うことができる場合があります。生命保険の死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」までの非課税枠があり、現金で受取れるため納税資金にも充てやすいのが特徴です。

ただし、受取人の指定や保険契約の内容によって課税対象になる場合もあるため、契約内容は事前に確認し、必要であれば専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

賃貸アパート・マンションを建てる

賃貸物件を建てて運用することで土地や建物の評価額が下がり、相続税を抑えられる場合があります。貸家建付地や貸家の評価減と呼ばれる制度によるもので、たとえば同じ土地でも賃貸用として活用されている場合、相続税評価額は自用地よりも低くなります。

ただし、建築費用や管理コスト、空室リスクを考慮せずに建てると節税どころか負担が増えることもあるため、慎重な事業計画が必要です。

控除・特例制度を利用する

相続税には多くの控除や特例が用意されています。

以下の表に代表的な制度をまとめました。

制度名 内容 主な要件
小規模宅地等の特例 居住用や事業用の土地評価額を最大80%減額 同居家族などが継続居住・事業していること
配偶者の税額軽減 配偶者が取得する財産には相続税がかからない(配偶者の法定相続分又は1.6億円のいずれか多い金額まで非課税) 相続人が配偶者であること
未成年者控除・障害者控除 年齢や障害の程度に応じて一定額が控除される 相続人が未成年や障害者であること
相続時精算課税制度 2,500万円まで贈与税が非課税。超過分は一律20%課税。相続時にまとめて精算する 60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与で選択可能
取得費加算の特例 相続税の一部を譲渡資産の取得費に加算でき、譲渡所得税を軽減できる 相続開始から3年10ヶ月以内に譲渡し、かつ相続税を納付していること

※参考1:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
※参考2:No.4158 配偶者の税額の軽減No.4164 未成年者の税額控除、No.4167 障害者の税額控除|国税庁
※参考3:No.4103 相続時精算課税の選択No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

控除・特例制度を上手に活用することで税負担を大幅に軽減できますが、要件を満たさなければ適用されないため、必ず税理士など専門家のサポートを受けて活用しましょう。

相続税が払えないときは迅速な対処が非常に重要

相続税が払えない場合でも延納や物納、借入れ、相続財産の売却などの対処法がありますが、なかでも不動産の売却は現金化しやすく、納税資金を確保する有効な手段の一つと言えます。

ただし、対応が遅れると延滞税や差し押さえのリスクが高まるため、早期の行動が不可欠です。

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記事監修

橘慶太氏prof” class=橘 慶太(たちばな けいた)

円満相続税理士法人代表。「最高の相続税対策は、円満な家族関係を構築すること」をモットーに活動を行い、これまで手がけた相続税申告は500件以上、相談実績は5,000人以上に及ぶ。2018年にはYouTubeにて「円満相続ちゃんねる」を開設し、2026年1月時点のチャンネル登録者数は21万人超。著書に『ぶっちゃけ相続』などがある。
HP:円満相続税理士法人
Youtube:【円満相続ちゃんねる】税理士橘慶太
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