
狭小住宅は一般住宅よりも需要が低く、売りにくいケースがあります。しかし、狭小住宅が売れないといわれる理由を理解し、早く・高く売るコツを押さえておくことで、スムーズに売却しやすくなるでしょう。
この記事では、狭小住宅が売れないといわれる理由について解説します。その上で、狭小住宅を早く・高く売却するコツや注意点も紹介するので、売却する際の参考にしてください。
この記事で分かること
- 狭小住宅とは?
- 狭小住宅が売れないといわれる理由
- 売れない狭小住宅を早く・高く売るコツ
- 狭小住宅を売却するときの注意点
【あわせて読みたい】
▶︎一戸建て売却の基礎知識!流れや費用・価格相場を徹底解説
もくじ
そもそも狭小住宅とは?

狭小住宅に明確な定義はありませんが、一般的に15〜20坪程度の土地に建てられた住宅のことをいいます。ここでは、狭小住宅について以下の順で見ていきましょう。
- 狭小住宅の主な特徴
- 狭小住宅の主な売却方法
参考:狭小住宅【きょうしょうじゅうたく】ーLIFULL HOME'S不動産用語集
狭小住宅の主な特徴
狭小住宅の主な特徴は以下の通りです。
- 地価が高い都市部に多い
- 不整形地に建てられることが多い
- 独特な間取りのケースが多い
狭小住宅は、地価が高い都市部に多い傾向があります。地価が高いと、土地の購入費用も高くなりやすくなりますが、狭小住宅は土地の面積が狭いため、比較的安く購入可能です。
また、狭小住宅は三角形や台形などの不整形地に建てられるケースもあり、間取りも独特なものが多いといえます。
狭小住宅の主な売却方法
狭小住宅の売却方法は、主に以下の2つが考えられます。
- 不動産仲介
- 不動産買取
不動産仲介とは、不動産会社に狭小住宅の売却を依頼し、買主を探してもらう方法です。不動産会社に売却活動から引渡しまでサポートしてもらえるため、不動産売却に慣れていない人でも安心です。
ただし、買主が見つかるまでに時間がかかるケースもあるため、スケジュールに余裕を持っておいた方が良いでしょう。
一方、不動産買取とは、狭小住宅を不動産会社が直接買取する方法です。不動産仲介のように買主を探す手間がなく、最短1週間でスムーズに売却できます。
ただし、売却価格は不動産仲介よりも安くなるケースが大半です。
狭小住宅を売却する際は、まずは不動産仲介で買主を探し、見つからなければ最終手段として不動産買取を検討するという流れで進めると良いでしょう。
【あわせて読みたい】
▶︎不動産売却の「買取」と「仲介」の違いとは?メリット・デメリットで比較
狭小住宅が売れないといわれる理由

ここでは、狭小住宅が売れないといわれる理由を4つ紹介します。
- 特殊な間取りや仕様によって需要が低いから
- 購入後の施工費用や維持費が高額になりやすいから
- 住宅ローン審査に通りにくいから
- 隣家と近いケースが多くトラブルが起こりやすいから
特殊な間取りや仕様によって需要が低いから
狭小住宅の間取りや仕様が特殊な場合、生活のイメージがしにくくなるなどの理由で、需要が低くなってしまいます。
狭小住宅は、狭い土地や不整形地などの制約のなかで建てられるため、一般的な間取りで建てられないケースが多くなっています・
狭小住宅が3階建ての場合は、眺望や日当たりの良さなど、特殊な間取りや仕様のなかでもアピールできるポイントを探し、買主の購入意欲を高めることが重要です。
購入後の施工費用や維持費が高額になりやすいから
狭小住宅は購入後のリフォーム費用や維持費が高額になりやすいとされています。
土地が狭いと、工事車両の駐車スペースや資材置き場の確保が難しく、余計な費用が発生するケースが多い傾向にあります。また、外壁や屋根をメンテナンスするための足場の設置スペースがないと、メンテナンス費用も高額になりやすいでしょう。
狭小住宅は、リフォーム費用や維持費が一般的な住宅よりもかかりやすい点が、デメリットといえます。
住宅ローン審査に通りにくいから
狭小住宅は、土地の面積が狭さや需要の少なさによって、住宅ローン審査に通りにくい傾向があります。
住宅ローンの審査において、不動産の担保価値は重要な要素です。狭小住宅は担保価値が低くなりやすく、買主が住宅ローンの審査に通らない、希望額で融資を受けられないなどのリスクが高くなります。
たとえ買主が見つかっても、住宅ローン審査に通らなければ売却できず、新たな買主を探さなければなりません。こうした要素も狭小住宅が売れないといわれることにつながります。
隣家と近いケースが多くトラブルが起こりやすいから
狭小住宅は、隣家とのスペースに余裕がないケースが多く、騒音や窓の位置などでトラブルが起こりやすいといえます。
隣家とトラブルが起こりやすい状況だと、売却しにくくなります。買主が安心して購入できるように目隠しを設置したり、日頃から隣家と良好な関係を築いたりしておくことが重要です。
売れない狭小住宅を早く・高く売るコツ

売れない狭小住宅を早く・高く売るには、以下のコツを押さえておきましょう。
- 立地の良さを積極的にアピールする
- 内覧時の対応を工夫する
- 更地にしてから土地のみを売却する
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 狭小住宅の売却実績が豊富な不動産会社に仲介を依頼する
立地の良さを積極的にアピールする
狭小住宅は都市部にあるケースが多いため、立地の良さを積極的にアピールすることで買主の購入意欲を高めることができます。
駅やバス停までの近さや、周辺に学校や商業施設があるなど、住みやすい環境が整っていれば、狭小住宅であっても早く・高く売れやすいでしょう。
内覧時の対応を工夫する
購入検討者が内覧する際は、住宅を購入したいと思ってもらえるように入念に準備をしておきましょう。
具体的には以下のような準備を内覧までにしておき、良い印象を持ってもらうことが重要です。
- 室内の整理整頓
- 水回りを中心に室内の掃除
- におい対策
内覧することは、購入検討者が狭小住宅に興味を持っている証拠です。購入検討者から質問があった際は丁寧に対応し、住宅のアピールポイントや立地の良さなどを正確に伝えられるようにしておきましょう。
【あわせて読みたい】
▶︎内覧をしてもらって印象アップ! 家を少しでも高く売却する方法
更地にしてから土地のみを売却する
狭小住宅の需要が少ない場合には、更地にしてから土地のみを売却するのも1つの方法です。
ただし、狭小住宅を解体するには費用がかかり、売却価格にすべて上乗せできるとは限りません。自己判断で更地にすると逆効果となるケースもあるので、不動産会社に相談した上で進めましょう。
【あわせて読みたい】
▶︎更地の定義とは?費用相場や放置するデメリットも解説
複数の不動産会社に査定を依頼する
狭小住宅を早く・高く売るには、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。
不動産会社1社のみに狭小住宅の査定を依頼しても、査定価格の妥当性を判断できません。複数の不動産会社に査定を依頼することで、査定価格や担当者の対応を比較検討できます。
1社ごとに査定を依頼するのが大変だと感じている人は、LIFULL HOME’Sの不動産一括査定がおすすめです。
LIFULL HOME'Sの不動産一括査定では、複数の不動産会社から自分に合った不動産会社を選ぶことができます。不動産会社の社員画像や店舗画像、強みなどの詳細情報を一覧で見て選べるため、査定を依頼しながら比較検討できます。
複数の不動産会社から、狭小住宅の売却を依頼したい会社をじっくり選べるので、ぜひご利用ください。
狭小住宅の売却実績が豊富な不動産会社に仲介を依頼する
狭小住宅は、一般住宅よりも売るのが難しいケースが多いため、売却実績が豊富な不動産会社に仲介を依頼しましょう。
不動産会社によって、売却の得意分野は異なります。そのため、不動産会社のホームページなどで狭小住宅の売却実績を確認するのがおすすめです。
狭小住宅の売却実績が豊富な不動産会社は、これまで培った経験やノウハウを持っているため、売却を成功させやすいといえるでしょう。
狭小住宅を売却するときの注意点

狭小住宅を売却する際は、以下の点に注意しましょう。
- 相場よりも極端に高い価格で売出さない
- むやみにリフォームしない
- 住宅の不備やデメリットは正直に伝える
相場よりも極端に高い価格で売出さない
一般的に狭小住宅の購入検討者はそれほど多くないと考えられるため、相場よりも極端に高い価格で売出さないように注意しましょう。
相場よりも極端に高い価格を設定すると買主が見つからず、想定期間内に売却できないおそれがあります。狭小住宅の売出し価格は、不動産会社と相談しながら相場の範囲内で設定しましょう。
むやみにリフォームしない
狭小住宅を早く売却したいからといって、むやみにリフォームしないようにしましょう。
狭小住宅をリフォームすることで、購入検討者に興味を持ってもらえる可能性は高くなりますが、リフォーム費用が必要になります。
リフォーム費用をそのまま売却価格に上乗せできるとは限らず、場合によっては損失を被る可能性があります。
また、リフォームによって売却価格が高くなると、かえって売りにくくなるケースもあるため、自己判断せずに不動産会社と相談した上で決めるようにしましょう。
【あわせて読みたい】
▶︎不動産売却前にリフォームは必要? メリット・デメリットや費用を解説
住宅の不備やデメリットは正直に伝える
狭小住宅を売却する際は、不備やデメリットを正直に買主に伝えることが重要です。
狭小住宅の不備やデメリットを知っているにもかかわらず買主に伝えなかった場合、契約不適合責任を問われる可能性もあります。
契約不適合責任とは、売却した狭小住宅が契約内容に適合していなかった場合に売主が負う責任のことです。
住宅の不備やデメリットを正直に伝えることで、トラブルに発展するリスクを回避できます。
【あわせて読みたい】
▶︎契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや免責についてわかりやすく解説
狭小住宅の売却に関するよくある質問

狭小住宅の売却に関するよくある質問を2つ紹介します。
- 都心の狭小住宅の資産価値はないって本当?
- 3階建ての狭小住宅は売却しやすい?
都心の狭小住宅の資産価値はないって本当?
都心は地価が高いため、狭小住宅であっても一定の資産価値は期待できます。
ただし、建物は日々劣化し、木造住宅の場合は築年数が22年を経過すると、資産価値はゼロになるといわれています。
しかし、土地の価値は大きくは減らないため、都心の狭小住宅でも一定の資産価値はあるといえるでしょう。
3階建ての狭小住宅は売却しやすい?
3階建ての狭小住宅は、上下階の移動が多いため、平屋や2階建てよりも売却しにくいといわれています。
子どものいる家庭や高齢者にとっては不便を感じやすいため、買主が限定されてしまいます。
しかし、立地や周辺環境が良かったり、住宅の性能が高かったりする場合は、3階建ての狭小住宅であっても売却しやすいでしょう。
売却をスムーズに進めるには、狭小住宅のアピールポイントを多く伝えて、買主の購入意欲を高めることが重要です。
狭小住宅の売却で後悔しないためには複数社に査定依頼しよう

狭小住宅は土地が狭く、特殊な間取りで需要が低いなどの理由で、売れないといわれることがあります。しかし、立地の良さをアピールしたり内覧時に工夫したりすることで、売却の成功率を上げられるでしょう。
また、狭小住宅の売却実績が豊富な不動産会社に依頼することも重要なポイントです。複数の不動産会社に査定を依頼し、査定内容などをじっくり比較検討するようにしましょう。
一度に複数の不動産会社に査定を依頼したい人には、LIFULL HOME’Sの不動産一括査定がおすすめです。
LIFULL HOME’Sの不動産一括査定は、全国4,500社以上(2024年6月時点)の提携している不動産会社から、査定を依頼する会社を選べます。不動産会社の特徴や強みも細かく掲載しており、詳細情報を一覧で見て確認できるのが特徴です。
狭小住宅の売却で後悔しないためには、LIFULL HOME’Sの不動産一括査定を活用して、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
記事執筆・監修
矢野 秀一郎(やの しゅういちろう)
不動産会社で2社勤務。1社目では時間貸駐車場の開発営業を中心に携わり、2社目では不動産売買の仲介営業や、一戸建ての分譲工事のプロジェクト、および新築・リフォーム工事の現場監督など、幅広く業務を担当。現在はフリーのライターとして不動産や金融に関する内容を中心にライティング・記事監修を実施。