
実家の売却は、経済的な価値とは別に家族の思い入れが加わるため、慎重に進める必要があります。また、売却のタイミングによって、相続税などが変化する場合もあるため、考慮する要素が多くなります。
この記事では、実家の売却時に後悔しないためのポイントを、事例と対策を交えて解説していきます。
この記事で分かること
- 実家の売却が「後悔」につながりやすい理由
- 実家売却時に後悔しないために知っておくべきこと
- 実家売却でよくある「後悔」4選と対策
- 実家売却で後悔しないための注意点
- 実家の売却でよくある質問
- 家の売却ならホームズの一括査定がおすすめ
もくじ
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実家の売却が「後悔」につながりやすい理由

実家の売却が後悔につながりやすい理由は、主に以下の3つが挙げられます。
- 感情的な理由
- 家族関係が悪化するリスク
- 知識が不十分で余計な金銭的負担がかかる
感情的な理由
実家の売却を後悔する大きな理由のひとつに、感情的な理由によるものがあります。合理的に考えれば、特に考慮する必要はない要素にも思えますが、実際に無視することは困難な場合が多いと言われています。
実家は、自分が生まれ育った場所であり、家族と楽しく過ごした思い出のある場所です。思い出の詰まった実家を売却することで、家族の集まる場所が失われるため、親族の中には寂しさや喪失感を抱く人もいるでしょう。
特に、親が亡くなって相続した実家を売却した場合は、感情的になりやすく、このことが売却後の「後悔」という感情につながる場合があります。
家族関係が悪化するリスク
実家の売却に家族全員が賛成していれば問題ありませんが、反対する家族が1人でもいれば、実家の売却によって家族関係が悪化するリスクが考えられます。
実家を売却する前に家族でしっかり話し合い、後悔することがないような配慮が必要です。
知識が不十分で余計な金銭的負担がかかる
実家を売却する際には、売却費用や税金などの支払いが発生します。知識が不十分な状態で売却をしてしまうと、本来支払う必要がない余計な金銭的負担がかかる可能性があります。
例えば、実家の売却に時間がかかった結果、固定資産税の負担が増えたり、売却にあまりプラスとならないリフォームをしたりしてしまうといったケースが考えられます。
実家の売却を検討した段階で、売却や税金に関する知識を徐々に深めていくことで、後悔するような事態を防ぐことができるでしょう。
実家売却時に後悔しないために知っておくべきこと

ここでは、実家の売却時に後悔しないために知っておくべきことを2つ紹介します。
- 親が所有者である場合には認知症のリスクがある
- 空き家になった場合でも維持コストがかかる
親が所有者である場合には認知症のリスクがある
認知症のリスクは、加齢とともに高まるのが一般的です。実家の所有者である親が認知症になってしまうと、たとえ実子であっても代理で実家を売却できません。
親が認知症になった場合の対策としては「成年後見制度」があります。成年後見制度とは、家庭裁判所に選ばれた後見人が、認知能力がない本人の代理として実家の売買契約などの法律に基づいた行為ができる制度です。
後見人になるには、家庭裁判所で手続きする必要があります。ただし、認知症の症状が軽く、判断能力に問題がないと診断された場合は、売却できる可能性があります。
【あわせて読みたい】
▶︎成年後見制度とは?法定後見・任意後見の違いや手続きの流れ
空き家になった場合でも維持コストがかかる
実家を売却せずに空き家のまま所有していても、以下のような維持コストがかかります。
- 固定資産税や都市計画税
- 火災保険料の支払い
- 光熱費
- 建物の修繕費用
実家の管理を管理会社に委託する場合は、管理委託費も必要です。空き家を所有するとしても維持コストがかかることを理解しておくことで、売却を先延ばしにして後悔することを防ぐことができるでしょう。
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▶︎空き家を持て余してしまったらどうする? 買取などの選択肢を解説
実家売却でよくある後悔4選と対策

ここでは、実家の売却でよくある4つの後悔と対策について解説していきます。
・売却時に想像以上に高額な税金がかかる
▶︎対策:利用できる特例などを理解しておく
・売却に時間がかかり想定外の費用がかかる
▶︎対策:早めに動き出す
・固定資産税が大幅に増えてしまった
▶︎対策:建物の管理や扱いについて不動産会社に相談しておく
・売却の方針をめぐって家族間で揉めてしまう
▶︎対策:早い段階から家族で方針を話し合っておく
売却時に想像以上に高額な税金がかかる
実家を売却するには、以下のような税金がかかります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)
- 相続税(相続して売却した場合)
不動産は高額であるため税金も高額になりやすく、特に譲渡所得税がかかる場合は、家計への負担も大きくなります。その救済措置として、税金の控除などの特例があります。
もし、特例を把握せずに高額な税金を納めてしまった場合、後悔につながるでしょう。
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▶︎家を売るのに税金がかかる?マイホームの売却前に知っておくべき「税金の仕組み」
対策:利用できる特例などを理解しておく
実家の売却で利用できる特例などを事前に調べて理解しておくことが重要です。 例えば、以下のような特例が利用できる場合があります。
【利用できる特例】※一例
- 軽減税率の特例:売却時に所有期間が10年を超えていれば、譲渡所得税の税率を軽減できる
- マイホーム買換え特例:実家の売却時に譲渡所得が発生している場合、買換えた自宅を売却するまで譲渡所得税を繰り延べられる制度
- 3000万円特別控除:不動産の売却益から、最大3,000万円まで控除できる制度
上記の特例を活用するためには、事前に詳細な内容や適用条件を把握し、適切に申告や手続きする必要があります。税金の計算や利用できる特例などをひとりで調べるのは困難なため、ノウハウのある不動産会社に相談すると良いでしょう。
売却に時間がかかり想定外の費用がかかる
売却する場合には、購入してくれる買主を見つける必要があります。
買主を見つけるのに想定よりも時間がかかってしまうと、固定資産税など想定外の費用がかかってしまうケースがあります。
対策:早めに動き出す
実家の売却を決断したら、後回しにせずに早めに行動することが大切です。
LIFULL HOME’Sが実施した売却経験者のアンケート調査によると、不動産の売却までにかかった期間は以下の通りでした。
| 不動産の売却が完了するまでにかかった期間 | 割合 |
|---|---|
| 3ヶ月未満 | 19.60% |
| 3ヶ月〜6ヶ月未満 | 24.30% |
| 6ヶ月〜1年未満 | 28.20% |
| 1年〜1年6ヶ月未満 | 12.40% |
| 1年6ヶ月〜2年未満 | 5.60% |
| 2年以上 | 4.90% |
| 分からない・覚えていない | 4.70% |
| 不動産会社に連絡・接触していない | 0.3% |
※参考:首都圏の売却経験者に聞いた!目的・期間・困りごと・満足度…不動産売却に関するデータをまとめて紹介
約5人に2人は、半年以内で売却完了している反面、約5人に1人は1年以上売却まで期間を要しています。不動産の売却にはある程度の時間がかかるため、早めに売却に向けて行動しておくことが重要です。
実家を売却する場合には、まずは実家がいくらで売れるかを知るために、不動産会社に査定を依頼するところからはじめましょう。
査定の依頼は、複数の不動産会社に依頼することが重要です。1社のみに査定を依頼しても、査定価格が高いのか安いのか判断できません。1社ずつ連絡して査定を依頼するのは手間がかかるため、不動産一括査定サービスを利用するのがおすすめです。
LIFULL HOME'Sでは、複数の不動産会社に一括で不動産の売却査定を依頼できるサービスを提供しています。
固定資産税が大幅に増えてしまった
実家を解体して更地にした場合や、特定空き家に指定されてしまった場合は、固定資産税が大幅に増える可能性があります。
住宅として住んでいた土地と建物は、「住宅用地の特例」によって、固定資産税の課税標準額が3分の1もしくは6分の1まで減額できます。しかし、実家を解体して更地にすると住宅ではなくなるため、特例が適用されません。
また、特定空き家に指定された場合も固定資産税が大幅に増えるでしょう。2015年から「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。この法律は、空き家の放置で発生するさまざまなトラブルを解消し、空き家の活用や処分を推進するための法律です。
特定空き家に指定される物件は、以下のいずれかに該当する場合です。
- そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
※参考:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針 (ガイドライン) |国土交通省
特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が適用されないため、固定資産税が大幅に増えてしまいます。
他にも、自治体の命令に従わずに違反となった場合は、50万円以下の過料が科せられます。
※参考1:空家等対策の推進に関する特別措置法|衆議院
※参考2:特定空家とは|NPO法人
対策:建物の管理や扱いについて不動産会社に相談しておく
建物の管理や扱いについては、専門家である不動産会社に相談することをおすすめします。建物の管理を、不動産会社に委託することも可能です。
不動産会社に相談することで、建物の管理や運用方法についてアドバイスがもらえるでしょう。
売却の方針をめぐって家族間で揉めてしまう
売却の方針をめぐって、家族間で揉めてしまうこともよくあります。家族間の関係が悪化すれば、「相続」が「争続」となり、後悔につながるでしょう。
売却価格やタイミング、売却方法など、不動産売却に関する多くの判断が家族の将来に大きな影響を与えるため、家族間での意見の相違がトラブルの原因となることがあります。
対策:建物の管理や扱いについて不動産会社に相談しておく
売却時に家族間で揉めることがないように、早い段階から家族で売却方針などを話し合い、不動産会社にも相談しておくと良いでしょう。建物の状態や管理に関する情報は、売却価格や買い手の興味を大きく左右するため、事前にプロのアドバイスを受けることが不可欠です。
また、不動産会社に相談することで、修繕が必要な箇所やクリーニングが望ましい部分など、売却に向けた建物の改善点を具体的に把握できます。適切な管理方法や売却後の建物の扱いについてもアドバイスが得られるため、将来的なトラブルを回避することが可能です。
実家売却で後悔しないための注意点

実家の売却で後悔しないための注意点として、主に以下の3つがあります。
- 相続登記しておく
- 相続人が複数の場合、全員の同意を取る
- 家財を処分しておく
相続登記しておく
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続きです。相続した実家を売却するには、相続登記が必要です。
相続登記は、これまでは義務ではなく任意でしたが、2024年4月1日からは相続登記の申請が義務化されます。相続によって不動産を所有したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が必要です。相続登記をしなければ、10万円以下の過料が科される場合があります。
不動産を相続した際は、忘れずに相続登記を行っておきましょう。
※参考:あなたと家族をつなぐ相続登記 ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
相続人が複数の場合、全員の同意を取る
相続人が複数人いる場合は、実家を売却する際に全員の同意を取っておきましょう。
被相続人の財産を相続する方法は、法定相続によって決められた割合で相続するか、遺言書があればその内容で相続することが一般的です。相続人全員の同意を取っておかなければ、後にトラブルとなる可能性があるため注意しましょう。
家財を処分しておく
実家の売却までに、不要な家財を処分しておきましょう。実家には思い出の品が数多く残っていることが多く、必要なものと不要なものを選別して処分する作業は非常に大変です。
面倒だからと後回しにしてしまうと、いざ売却の時に焦ることになりかねません。時間に余裕をもって家財を処分することで、売却がスムーズに進められます。
実家の売却でよくある質問

最後に、実家の売却に関するよくある質問を2つ紹介します。
- 相続しても住む予定のない実家はどうすべき?
- 実家を空き家にしておくことの問題点は?
相続しても住む予定のない実家はどうすべき?
相続しても実家に住む予定がなければ、なるべく早く売却する方が良いでしょう。
空き家を所有していても維持コストがかかります。売却することで、管理の手間や維持コストから解放されます。また、実家を売却して現金化することで、相続人同士の遺産分割がしやすくなるため、相続人同士でトラブルが起こりにくくなるでしょう。
【あわせて読みたい】
▶︎相続不動産を売却する際のポイント ・税金の軽減制度
実家を空き家にしておくことの問題点は?
実家を空き家にしておくことで考えられる問題点として、以下が挙げられます。
- 建物の老朽化による崩落や倒壊の危険性
- 放火や不法侵入などの犯罪リスクの上昇
- 景観の悪化や近隣クレームの発生
実家を空き家にすると上記のようなリスクが高まるうえに、維持コストがかかります。空き家のままで使い道がなければ、早めに売却した方が良いでしょう。
実家売却で後悔しないためには早めに不動産会社に相談しよう

実家の売却で後悔しないためには、早い段階で不動産会社に相談するのがおすすめです。
経験豊富かつノウハウのある不動産会社に相談することで、的確なアドバイスが期待できます。相続した実家を売却するには、複数社に査定依頼して比較検討することが重要です。
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記事執筆・監修
矢野 秀一郎(やの しゅういちろう)
不動産会社で2社勤務。1社目では時間貸駐車場の開発営業を中心に携わり、2社目では不動産売買の仲介営業や、一戸建ての分譲工事のプロジェクト、および新築・リフォーム工事の現場監督など、幅広く業務を担当。現在はフリーのライターとして不動産や金融に関する内容を中心にライティング・記事監修を実施。