リフォーム瑕疵保険は「第三者検査」と「保証」がセットの公的な仕組み
国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人が引き受ける保険で、工事中や完了後に建築士による現場検査が入ります。引渡し後に欠陥が見つかれば補修費用等が保険でカバーされ、依頼したリフォーム会社が倒産していても発注者が直接保険金を請求できる点が最大の特徴です。
保証期間は工事内容で1年・5年・10年に分かれ、保険金には計算ルールがある
柱・壁など構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分は5年、それ以外の部分は1年、増築特約を付けた増築部分は10年が目安です。保険金は「(補修費用等−免責10万円)×80%」が原則で、事業者倒産時は100%支払われるなど、事前に知っておくべき数字を整理します。
「加入できる会社かどうか」は契約前にしか確認できない
瑕疵保険を使えるのは保険法人に事業者登録したリフォーム会社だけで、保険料は多くの場合施主負担です。加入すべきか迷ったときの4つの判断軸と、見積もり・契約前に確認したいチェックリストを紹介し、後悔しない依頼の進め方がわかります。

数百万円をかけたリフォームなのに、引渡しから半年で雨漏りが始まったら。そう考えると、契約書にサインする手が一瞬止まってしまう。リフォームを検討している方なら、一度はそんな不安がよぎったことがあるのではないでしょうか。

新築住宅には法律で10年間の瑕疵担保責任が義務付けられていますが、リフォーム工事にはそうした一律の義務保証がありません。だからこそ知っておきたいのが「リフォーム瑕疵保険」です。工事中に第三者の建築士がチェックに入り、引渡し後に欠陥が見つかれば補修費用が保険でまかなわれる。しかも依頼した会社が倒産していても守られる。そんな公的な枠組みが、実はすでに用意されています。

ただし、この保険は「どの会社に頼んでも使える」わけではなく、費用負担や保証範囲にも見落としやすいポイントがあります。制度の仕組みから費用の目安、加入すべきかどうかの判断軸まで、契約前に押さえておきたい情報を順番に整理していきます。
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瑕疵とは、工事の結果が本来備えているべき品質や性能を満たしていない状態のことです。リフォームでいえば、「屋根の葺き替えをしたのに雨漏りが始まった」「床の張り替え後に床鳴りや沈みが出た」「外壁塗装がすぐに剥がれた」といったケースが典型例です。

 

やっかいなのは、こうした欠陥の多くが引渡しの時点では見えず、住み始めてしばらく経ってから表面化することです。発覚した時点で施工会社と連絡が取れなかったり、補修費用の負担を巡って揉めたりするトラブルは少なくありません。リフォーム瑕疵保険は、まさにこの「あとから見つかる欠陥」に備えるための制度です。

リフォーム瑕疵保険は、民間の損害保険会社が自由に売っている商品ではなく、国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社「住宅瑕疵担保責任保険法人」が引き受けます。現在5つの法人が指定されており、いずれも全国を対象に業務を行っています(出典:国土交通省「リフォームかし保険」)。

 

この保険の大きな特徴は、リフォーム工事の施工中や工事完了後に、第三者検査員(建築士)による現場検査が行われることです。つまり「万一のときにお金が出る」だけでなく、「そもそも欠陥が生まれにくい施工品質を担保する」機能を兼ねています。施主にもリフォーム会社にも利害関係のない建築士が現場を確認するため、素人では判断できない下地や防水処理の品質までチェックが入ります。

保険契約を結ぶ(被保険者になる)のはリフォーム会社側です。ただし加入は任意のため、施主が「この工事では瑕疵保険を使いたい」と会社に依頼し、加入してもらうのが基本の流れになります。

 

そして重要なのは、工事に欠陥が見つかった場合、補修費用等の保険金は事業者に支払われますが、事業者が倒産等している場合は発注者(施主)に直接支払われるという点です。「直してもらう先がなくなった」という最悪の事態でも、施主が金銭的に泣き寝入りせずに済む設計になっています。

保険金の支払い対象は、大きく次の3つです。

  1. 補修費用:欠陥部分を直すための工事費
  2. 調査費用:欠陥の原因や補修方法を特定するための調査にかかる費用
  3. 仮住まい・転居費用:補修工事のために一時的な転居が必要になった場合の費用

補修工事そのものだけでなく、原因調査や仮住まいまでカバーされるのは、住みながら直すことが多いリフォームならではの安心材料といえます。

見落とされがちですが、保険金は補修費用の全額が出るわけではありません。原則として次の計算式で支払われます。

 

保険金 =(補修費用等 − 免責金額10万円)× 80%

 

1事故につき10万円の免責が引かれ、さらに縮小てん補割合80%が適用される仕組みです。たとえば補修に110万円かかった場合、(110万円−10万円)×80%=80万円が保険金となり、残りは瑕疵担保責任を負うリフォーム会社側の負担で補修が行われるのが基本です。

 

ただし例外があります。リフォーム会社が倒産等で補修責任を果たせない場合、施主へ支払われる保険金は縮小されず100%(免責10万円控除後の全額)となります。「会社が存続しているなら会社と保険で直す」「会社がなくなったら保険が施主を直接守る」という二段構えです。

リフォーム業界は参入障壁が低く、小規模な事業者も多い業界です。工事の腕が良くても、数年後にその会社が存続している保証はどこにもありません。アフター保証を自社独自で謳う会社もありますが、会社そのものがなくなれば独自保証は消滅します。保険法人という第三者に保証の裏付けを移しておけること。これがリフォーム瑕疵保険の本質的な価値です。

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保証期間は「どこを工事したか」「工事後にどんな状態か」で決まります。

対象部分保証期間
構造耐力上主要な部分(柱・壁・床・屋根など)/雨水の浸入を防止する部分工事完了確認日から5年
上記以外の保険対象部分(内装・設備まわりなど)工事完了確認日から1年
増築部分の構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分(増築特約)工事完了確認日から10年

起算日となる「工事完了日」は、職人さんが作業を終えた日ではなく、施主とリフォーム会社が立ち会って工事完了を確認した日を指します。壁紙の張り替えや和室から洋室への変更といった内装中心の工事は保証1年と短いため、「自分の工事はどの区分か」を契約前に必ず確認しておきましょう。

瑕疵保険の対象は、次のいずれかに当てはまる住宅の改修工事です。

  1. 一戸建て住宅
  2. 延床面積500㎡未満かつ地下を含む階数が3以下の共同住宅
  3. 上記以外の共同住宅(マンション等)の場合は、専有部分のみ

築年数や工法に制限はありません。マンションの専有部リフォーム(キッチン交換、間取り変更など)も対象になるため、中古マンションを買ってリノベーションする場合にも活用できます。

一方で、次のような工事は原則として対象外です。

  • 新築工事(別の保険制度の対象)
  • 増築工事を含む工事(※特約を付ければ対象にできる)
  • 配管・設備の解体のみを行う工事
  • 清掃のみの作業
  • 保険対象建物の住宅部分以外の工事

増築は「増築特約」を付けることで10年保証の対象にできるため、増築を含むリフォームを予定している場合は、特約の有無を契約書で必ず確認してください。

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瑕疵保険を利用できるのは、保険法人の審査を経て事業者登録を済ませたリフォーム会社だけです。契約直前になって「瑕疵保険を付けてほしい」と伝えても、その会社が未登録なら利用できません。登録事業者は保険法人への登録が必要で、保険法人では登録事業者の保険利用件数などの情報も公開しており、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会の「登録事業者等検索サイト」から探すことができます。会社選びの段階、つまり相見積もりを取る前に候補を絞り込んでおくのが正解です。

被保険者はリフォーム会社ですが、実務上、保険料と検査手数料は工事費に上乗せされ、施主が負担するケースが大半です。金額は工事内容と請負金額によって変わりますが、キッチン交換など100万円前後の工事で3万円程度、屋根・外壁改修など200万円規模で5万円程度、増築を含む大規模工事で10万円弱が一つの目安とされています(保険法人・工事内容により異なるため、正確な金額は見積もり時に確認してください)。

 

また、第三者検査で指摘事項が出れば是正工事が必要になり、外装工事では天候によって検査日程がずれることもあります。「検査が入るぶん、工期に余裕を見ておく」ことも織り込んでおきましょう。

保証期間を過ぎた不具合、経年劣化、施主が指定した資材や工法に起因する問題などは保険の対象外です。内装中心の工事なら保証は1年。「瑕疵保険に入ったからどんな不具合も10年守られる」という誤解は、後々のトラブルのもとになります。

保険料を払ってでも加入する価値があるかは、次の4つの軸で考えると整理しやすくなります。

  • ① 工事金額の大きさ:100万円を超える工事なら、数万円の保険料は「補修費全額自己負担」のリスクと比べて十分に合理的です
  • ② 工事箇所の重要度:屋根・外壁・構造・水まわりなど、欠陥が生活に直結し補修も高額になる部位ほど加入メリットが大きくなります
  • ③ 施工会社との関係性:初めて依頼する会社、設立から日が浅い会社、実績を自分で確認しにくい会社ほど、第三者検査と倒産時保証の価値が高まります
  • ④ 住宅の今後の予定:将来の売却を視野に入れているなら、第三者検査を受けた記録は住宅の信頼性の裏付けにもなります

逆に、数十万円程度の小規模な内装工事で、長年付き合いのある信頼できる会社に頼むなら、加入を見送る判断もあり得ます。「全員入るべき」ではなく、自分の工事のリスクに合わせて選ぶのがこの保険との正しい付き合い方です。

 

なお、施工会社選びの段階から品質や保証体制を比較したい場合は、実績のある会社を横並びで見られる検索サービスを使うと効率的です。まずはどんな会社があるのか眺めてみるだけでも、相場観がつかめます。

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  1. 登録事業者からリフォーム会社を選ぶ:検索サイトで所在地や保険利用実績を確認
  2. 見積もり時に加入の意思を伝える:保険料・検査手数料込みの総額で比較する
  3. 工事請負契約と保険申し込み:増築特約の有無、保証期間の区分を契約書で確認
  4. 施工中・完了時の現場検査:建築士による検査。指摘があれば是正後に再確認
  5. 工事完了確認・保険証券等の受領:保険付保を証する書類は保証期間中ずっと保管
  • □ 依頼先は保険法人の登録事業者か(検索サイトで確認したか)
  • □ 見積もりに保険料・検査手数料が明記されているか
  • □ 自分の工事の保証期間は1年・5年・10年のどれに当たるか
  • □ 増築を含む場合、増築特約が付いているか
  • □ 検査日程を含めた工期の余裕が見込まれているか
  • □ 保険証券や付保証明の受け取り方法を確認したか

この6つを契約前に潰しておけば、「加入したつもりが対象外だった」「保証期間を勘違いしていた」という典型的な後悔はほぼ防げます。

リフォーム瑕疵保険は、第三者の建築士による検査で施工品質を高めつつ、引渡し後の欠陥には保険金で備え、依頼先が倒産しても施主を直接守ってくれる制度です。保証期間は工事内容により1年・5年・10年、保険金は「(補修費用等−10万円)×80%(倒産時は100%)」という明確なルールがあり、利用には登録事業者への依頼が必要。ここまで押さえれば、制度の全体像は十分つかめています。

 

一方で、この保険は会社選びの段階でしか選択肢に入れられないという性質があります。「そのうち調べよう」と先送りして未登録の会社と契約してしまえば、あとから加入したくてもできません。せっかくの備えを使える状態にしておくためにも、候補となる会社の情報収集だけは早めに始めておく価値があります。

 

まずは、どんなリノベーション・リフォーム会社があるのかを眺めて相場観をつかむところから。疑問が残る場合は、中立的な立場のアドバイザーに無料で相談してみるのも近道です。

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Q1. リフォーム瑕疵保険の保険料は誰が払うのですか?

保険契約者(被保険者)はリフォーム会社ですが、実務上は保険料・検査手数料が工事費に含まれ、施主が負担するのが一般的です。金額は工事内容と請負金額で変わるため、見積もり段階で「保険関連費用がいくら含まれているか」を明示してもらいましょう。

 

Q2. どんな不具合でも保険の対象になりますか?

なりません。対象は保険を付けた工事部分の瑕疵(本来の性能を満たしていない状態)で、経年劣化や保証期間経過後の不具合、施主指定の資材・工法に起因する問題などは対象外です。また内装など構造・防水以外の部分は保証期間が1年と短い点にも注意してください。

 

Q3. 依頼したリフォーム会社が倒産してしまったらどうなりますか?

保証期間内であれば、施主が保険法人へ直接保険金を請求できます。この場合の支払割合は縮小されず、免責10万円を差し引いた補修費用等の100%が支払われるため、補修の資金を確保したうえで別の会社に工事を依頼できます。

 

Q4. 瑕疵保険を使えるリフォーム会社はどうやって探せばよいですか?

保険法人に事業者登録している会社のみ利用できます。一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会の「登録事業者等検索サイト」で、地域ごとの登録事業者や各社の保険利用実績を確認できます。相見積もりを取る前の段階で、候補が登録事業者かどうかをチェックしておくとスムーズです。

 

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更新日: / 公開日:2020.11.06