オール電化住宅に温水循環式床暖房が向いている理由
床暖房は大きく電気ヒーター式と温水循環式に分かれます。オール電化住宅では、電気料金が割安な夜間にお湯をつくって蓄えられる温水循環式(特にエコキュートやヒートポンプを熱源とするタイプ)がランニングコスト面で好相性です。その仕組みと根拠を、方式ごとの特徴とあわせて整理します。
エコキュート式とヒートポンプ式、どちらを選ぶべきかの判断軸
同じ温水循環式でも、「これからオール電化にする新築・買い替え」ならエコキュート式、「すでにオール電化で床暖房だけ後付けしたい」ならヒートポンプ式が基本線です。暖房面積・湯切れリスク・工事規模という3つの軸で、自分の家ならどちらかを判断できるようになります。
導入後に後悔しやすい落とし穴と回避策
故障すると給湯まで止まる、タンク容量が足りず湯切れする、寒冷地で一般仕様を選んでしまう。温水循環式には事前に知っておくべき注意点があります。契約前に確認すべき項目をチェックリスト化し、失敗パターンごとの回避策を紹介します。

朝、ベッドから出た足の裏がひやりとする—オール電化の家を検討しはじめてから、「せっかくなら床暖房も」と考える方は少なくありません。

ただ、いざカタログを開くと「電気ヒーター式」「温水循環式」「エコキュート」「ヒートポンプ」と似た言葉が並び、どれが自分の家に合うのか分からなくなってしまいがちです。

しかも床暖房は、一度床下に組み込むと簡単には交換できない設備。方式選びを間違えると、電気代や修理費という形で何年も付き合うことになります。

この記事では、オール電化住宅という条件に絞って、床暖房の方式をどう選べばよいのか、費用と注意点も含めて順番に整理していきます。
床暖房のある物件を探す床暖房のある中古マンションを探す床暖房のある中古一戸建てを探す

床暖房と一口にいっても、熱のつくり方によって大きく2つの方式に分かれます。まずはそれぞれの仕組みを押さえたうえで、オール電化住宅との相性を考えてみましょう。

電気ヒーター式は、床材のすぐ下に発熱体(または蓄熱体)を敷き、電気を流して直接床を暖める方式です。構造がシンプルなため施工しやすく、トイレや洗面所のような小さなスペースにも設置できる柔軟さが持ち味です。立ち上がりが比較的早い製品が多いことも長所といえます。

 

一方で、床を暖めるエネルギーをすべて「その時間帯の電気」でまかなうため、日中の割高な時間帯に長時間使うと電気代がかさみやすいのが弱点です。また、発熱体に接する部分の温度が上がりやすく、同じ場所に座り続けたり寝転んだりすると低温やけどのリスクがある点にも注意が必要です。

温水循環式は、床下に張り巡らせたパイプに温水を流し、床全体をむらなく暖める方式です。お湯をつくる熱源機は屋外などに設置し、熱源にはガス・灯油・電気(ヒートポンプ)などが使えます。床の表面温度が上がりすぎにくく、広い面をやわらかく暖められるため、リビングなど長時間過ごす空間に向いています。

オール電化住宅の電気料金プランは、一般に夜間の単価が割安に、日中の単価が割高に設定されています。ここに温水循環式の「お湯をつくって蓄え、あとで使う」という性質がかみ合います。割安な夜間電力でお湯を沸かしておき、朝や日中の暖房に回せるため、電気ヒーター式のように「使うその瞬間の電気」に頼る方式よりも、ランニングコストを抑えやすいのです。

 

暖房と給湯は、家庭のエネルギー消費のなかでも大きな割合を占める用途です(出典:環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」)。つまり、この2つを効率よくまかなえるかどうかが光熱費の総額を左右します。給湯と床暖房をまとめて夜間電力でカバーできる温水循環式は、オール電化住宅の家計構造そのものと相性がよい、と整理できます。

築浅中古マンションを探す

温水循環式のなかでも、オール電化住宅で候補になるのは「多機能型エコキュートで給湯と床暖房を兼ねるタイプ」と「床暖房専用のヒートポンプ式熱源機を追加するタイプ」の2つです。どちらも大気の熱をくみ上げて効率よくお湯をつくるヒートポンプ技術を使いますが、向いている状況がはっきり分かれます。

これからオール電化住宅を建てる・買う段階なら、床暖房機能付きの多機能型エコキュートを最初から選ぶのが合理的です。給湯器と床暖房の熱源機を1台にまとめられるため、熱源機を別に置くスペースも、二重の設置工事も不要になります。

 

すでにオール電化住宅に住んでいて床暖房だけを追加したい場合は、ヒートポンプ式床暖房(専用熱源機+床暖房パネルの追加)が基本線です。いま使っているエコキュートを多機能型に丸ごと交換するのは、撤去費も含めて費用がかさみやすいためです。ヒートポンプ式なら、既存の給湯設備に手を付けずに床暖房を足せます。

エコキュート式は貯湯タンクのお湯を床暖房にも使うため、暖房できる面積に上限があり、家族が入浴などでお湯を多く使う日には湯切れのリスクも意識する必要があります。リビングの一角だけ、といった限定的な使い方なら十分ですが、複数の部屋を長時間暖めたいなら、専用熱源機で必要なだけ熱をつくれるヒートポンプ式のほうが余裕を持って運転できます。

ヒートポンプ式の後付け工事は、屋外に熱源機を設置し、床暖房パネルを組み込むのが中心で、給湯まわりの大がかりな工事は発生しません。一方、多機能型エコキュートへの交換を伴う場合は、既存給湯器の撤去・基礎工事などが加わり、工期も費用も膨らみます。「床暖房のためにどこまで工事するか」を最初に線引きしておくと、見積もり比較がぐっと楽になります。

 

3つの軸を一覧にすると、次のようになります。

比較項目多機能型エコキュート式ヒートポンプ式(専用熱源機)電気ヒーター式(参考)
向いている状況新築・買い替えでこれからオール電化にするオール電化済みの家に床暖房を後付けするトイレ・洗面所など小面積の部分暖房
暖房できる範囲タンク容量に依存し上限あり広範囲に対応しやすい小〜中面積向き
湯切れリスクあり(給湯と共用のため)ほぼなし(暖房専用)なし(お湯を使わない)
工事規模給湯器交換を伴うと大きい熱源機追加+床パネルで比較的小さい小さい
ランニングコスト夜間電力活用で抑えやすい夜間電力+高効率で抑えやすい日中利用が多いと割高になりやすい
無料でリフォームについてオンライン相談する

温水循環式はオール電化住宅と好相性ですが、「導入してから気づいた」という後悔ポイントがいくつかあります。契約前に知っておけば避けられるものばかりなので、ここで押さえておきましょう。

多機能型エコキュートで給湯と床暖房を兼ねている場合、本体が故障すると床暖房だけでなくお風呂もキッチンもお湯が出なくなります。真冬に「暖房もお湯も使えない数日間」が発生し得るということです。

 

回避策としては、①メーカーや販売店の延長保証に加入しておく、②修理・交換時の代替手段(電気ポット、近隣の入浴施設など)を家族で共有しておく、③保証内容に床暖房系統が含まれるかを契約前に確認する、の3点が現実的です。故障リスクを給湯と切り離したい方は、あえてヒートポンプ式(暖房専用熱源機)を選ぶという考え方もあります。

エコキュート式では、床暖房の運転時間が長いほど多くのお湯(熱)を消費します。家族の入浴時間が重なる冬の夜に床暖房もフル稼働させると、想定より早くお湯が減り、湯切れや昼間の沸き増し(割高な電気での追加加熱)につながることがあります。見積もり段階で「床暖房を1日何時間、何畳分使うか」を具体的に伝え、それに見合うタンク容量・機種を選定してもらうことが重要です。容量に余裕を持たせるほど本体価格は上がるため、暖房面積とのバランスで決めましょう。

ヒートポンプは外気の熱を利用する仕組み上、外気温が下がるほど効率が落ちます。寒冷地で一般仕様の機種を導入すると、カタログどおりの暖房能力が出ない、配管が凍結するといったトラブルの原因になります。寒冷地では必ず寒冷地仕様(耐凍結配管や低外気温対応の機種)を選び、施工実績のある地元の業者に依頼するのが安全です。お住まいの地域の気候条件に合う仕様かどうかは、見積書の型番レベルで確認しておきましょう。

床暖房の導入で最初に驚くのは初期費用かもしれません。ただ、内訳を分解して「何にいくらかかっているのか」が見えると、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。

温水循環式床暖房の初期費用は、大きく「熱源機まわり」と「床まわり」に分かれます。目安として、エコキュート本体はおよそ40万円台から(容量・機能で変動)、設置工事費が10万〜15万円程度、床暖房パネルの設置が6畳あたり約65万円からとされています。既存のガス給湯器からの切り替えでは、撤去費用も上乗せされます。金額は機種・床材・住宅の構造によって大きく変わるため、必ず複数社から内訳の分かる見積もりを取り、「本体」「工事」「撤去」「床材」の項目ごとに比較することをおすすめします。

オール電化住宅のランニングコストを左右するのは、電気の使用量そのものに加えて「使う時間帯」です。温水循環式なら夜間の割安な電力でお湯をつくり置きできるため、暖房に使うエネルギーの多くを安い時間帯に前倒しできます。逆に、日中の在宅時間が長く、沸き増しが頻発するような使い方だとメリットが目減りします。導入前に、家族の生活時間帯と契約中の電気料金プランを照らし合わせておくと、効果を実感しやすくなります。

リフォームで床暖房を後付けする場合、工事費と工期はどうしても発生します。もし住み替えのタイミングが近いなら、「最初から床暖房・オール電化に対応した物件を選ぶ」ほうがトータルで合理的なケースもあります。相場感をつかむ意味でも、いまの予算でどんな設備の物件があるのか、一度眺めてみるのも判断材料になります。

▶ LIFULL HOME’Sで床暖房のある物件を見てみる

最後に、ここまでの内容を「契約前に確認する項目」として一覧にまとめます。見積もりを取る前・比較する際に、上から順に確認してみてください。

  • 導入の状況整理:新築・買い替えか、既存オール電化住宅への後付けか(→ 前者はエコキュート式、後者はヒートポンプ式が基本線)
  • 暖房計画:床暖房を入れる部屋・畳数・1日の使用時間を具体的に決めたか
  • 機種選定:暖房負荷に見合うタンク容量・熱源機能力か(湯切れ対策)
  • 地域仕様:寒冷地なら寒冷地仕様の型番になっているか
  • 保証:故障時の保証期間・保証範囲(床暖房系統を含むか)を確認したか
  • 故障時の備え:給湯停止時の代替手段を家族で共有したか
  • 見積もり:複数社から「本体・工事・撤去・床材」の内訳付きで取得したか
  • 料金プラン:家族の生活時間帯と電気料金プランの時間帯区分を照合したか

間取り設計の段階から床暖房を組み込めるのが新築の強みです。オール電化住宅を得意とする施工会社のカタログを見比べると、標準仕様に床暖房が含まれるプランや、熱源機の設置スペースまで考慮した設計例が見つかります。

▶ LIFULL HOME’Sでオール電化住宅の住宅カタログを見てみる

後付けの場合は、床の構造や既存設備との取り合いによって工法・費用が大きく変わります。方式選びの段階で迷ったら、特定の施工会社に相談する前に、中立的な窓口で条件を整理してもらうと比較がスムーズです。

▶ 無料でリフォームについてオンライン相談する

オール電化住宅の床暖房は、夜間の割安な電力でお湯をつくり置きできる温水循環式が有力候補です。そのうえで、これからオール電化にするならエコキュート式、すでにオール電化なら後付けしやすいヒートポンプ式、という使い分けが基本線になります。故障時の給湯停止・湯切れ・寒冷地仕様という3つの落とし穴は、契約前のチェックリストでほぼ回避できます。

 

「いつか床暖房を」と思いながら毎年冬を迎えると、その間の寒さや暖房費はそのまま積み上がっていきます。かといって、今日決断する必要もありません。まずは、床暖房やオール電化に対応した物件がどのくらいの価格帯で出ているのかを眺めて相場感をつかむ。その小さな一歩だけでも、検討はぐっと具体的になります。

▶ LIFULL HOME’Sでオール電化に対応した物件を見てみる

▶ LIFULL HOME’Sで床暖房のある新築一戸建てを見てみる

Q1. オール電化住宅で電気ヒーター式床暖房を選んではいけないのですか?

いけないわけではありません。トイレや洗面所など小面積の部分暖房であれば、施工が簡単な電気ヒーター式が合理的な場面もあります。ただし、リビングなど広い面積を毎日長時間暖める使い方では、日中の割高な電気をその場で消費し続けることになり、夜間電力を活用できる温水循環式に比べてランニングコストが不利になりやすい、というのが本記事の趣旨です。

 

Q2. エコキュートで床暖房を使うと、お風呂のお湯が足りなくなりませんか?

タンク容量と暖房負荷のバランス次第です。床暖房の使用時間が長い家庭ほど多くの熱を消費するため、容量が小さい機種では湯切れが起こり得ます。見積もり時に「床暖房を何畳・何時間使うか」を伝え、それに見合う容量の機種を選定してもらえば、通常の使い方で湯切れが頻発する事態は避けられます。

 

Q3. マンションでも温水循環式床暖房を後付けできますか?

住戸内の床構造や管理規約(床材の遮音等級、専有部の工事制限など)によって可否が分かれます。戸建てに比べて制約が多いため、管理規約の確認とリフォーム会社への現地調査依頼が先決です。マンションで床暖房を重視するなら、最初から床暖房付きの物件を選ぶのも有力な選択肢です。

 

Q4. 床暖房だけで冬を越せますか? エアコンは不要になりますか?

住宅の断熱性能と地域の気候によります。断熱性の高い住宅なら床暖房主体で快適に過ごせるケースもありますが、一般には立ち上がりの早いエアコンと、じんわり暖める床暖房を併用するのが現実的です。特に寒冷地では、床暖房は「ベース暖房」、エアコンやその他の暖房を「補助」と位置づける設計が多く採用されています。

 

あわせて読みたい関連記事

床暖房そのものの種類や、方式ごとの費用・電気代をより幅広く知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

更新日: / 公開日:2020.02.04