- 一軒家のフルリフォーム費用の全体像がつかめる
- フルリフォームの費用は坪単価17〜60万円程度が目安で、30坪の家なら総額510万〜1,800万円ほどと大きな幅があります。キッチン・浴室などの水回り、外壁・屋根、内装といった工事別の相場を積み上げながら、自分の家ならいくらかかりそうかをイメージできるようになります。
▶ リフォーム・リノベーションについて相談する - 見積もりに表れにくい「隠れ費用」を事前に把握できる
- 仮住まい費用や解体後に発覚する補修工事、旧耐震基準の家で必要になる補強費など、契約前の見積書だけでは見えにくい費用があります。あとから予算オーバーに慌てないために、最初から見込んでおくべき項目を具体的に確認できます。
- 建て替えと迷ったときの判断軸が手に入る
- 「フルリフォームと建て替え、結局どちらが得なのか」は家の状態と住む年数によって答えが変わります。再建築の可否・構造の健全性・居住予定年数など、5つの質問に答えるだけで自分に合う方向性を整理できるチェックリストを用意しました。
長年住み慣れた家の床がきしむ、冬の寒さが年々こたえる、間取りが今の暮らしに合わない。それでも「建て替えるほどの決心はつかない」というもどかしさを抱えていませんか。
実は、柱や骨組みを活かしたまま住まいを新築同様によみがえらせるフルリフォームなら、建て替えよりも費用と工期を抑えつつ、愛着のある家に住み続けられる可能性があります。
ただし費用の幅が大きく、進め方を誤ると「建て替えたほうが安かった」という逆転も起こり得るのがこの選択の難しいところ。ここでは費用相場の実感値と、後悔しないための判断軸を順番に整理していきます。
注文住宅について住まいの窓口に相談するリフォームVS建て替え講座
フルリフォームとは? 建て替えにはないメリット

フルリフォームとは、建物の構造躯体(柱・梁・基礎など)を残し、設備や内装を全面的につくり替える改修方法です。骨組みだけの状態まで解体することから「スケルトンリフォーム」と呼ばれることもあります。
工期が短く、住み慣れた家を壊さずに済む
基礎や骨組みを解体・新設する工程が不要なため、一般に建て替えよりも工期を短くできます。仮住まいの期間が短くなれば、その分の家賃や引越し費用も圧縮できるため、総費用の差は工事費だけでは測れません。また、思い出の詰まった柱や梁を残せることは、金額に換算できない大きな価値でもあります。
予算に合わせて工事範囲を調整できる
建て替えは「家一軒まるごと」が前提ですが、フルリフォームは工事の範囲やグレードを予算に応じて組み替えられます。「水回りと断熱は最優先、外壁は塗装のみ」といったメリハリのつけ方ができるため、資金計画の自由度が高いのが特徴です。
税制優遇や自治体の支援制度を使える場合がある
耐震・省エネ・バリアフリー・同居対応などの性能向上リフォームは、一定の要件を満たすと所得税の控除などの減税措置の対象になることがあります(出典:国税庁)。また、自治体ごとに独自のリフォーム支援制度が設けられており、住宅リフォーム推進協議会の検索サイトでお住まいの自治体の制度を調べられます(出典:住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」)。
一軒家のフルリフォームには2つのパターンがある
同じ「フルリフォーム」でも、どこまで解体するかによって費用も自由度も大きく変わります。見積もりを取る前に、自分の家がどちらのパターンに近いのかをイメージしておきましょう。
内部スケルトンリフォーム:外壁は残して中身を一新
外壁は残したまま、内装・間取り・設備を骨組みレベルからつくり替える方法です。間取り変更や階段の位置変更まで対応でき、表層だけのリフォームよりも工事は大がかりになりますが、外壁解体を伴わない分、次に紹介する内外部スケルトンより費用を抑えやすい傾向があります。
内外部スケルトンリフォーム:骨組みだけ残す最大規模の工事
内壁も外壁も取り壊し、構造躯体のみを残して再構築する、フルリフォームの中で最も大規模な方法です。断熱材の全面入れ替えや耐震補強、外観デザインの刷新まで踏み込めるため自由度は最も高い一方、費用も新築に近づきやすくなります。この規模を検討する場合は、建て替えとの比較見積もりが事実上必須と考えてください。
【工事別・坪数別】フルリフォーム費用の相場シミュレーション
フルリフォームの総額は「どの工事を、どのグレードで組み合わせるか」の積み上げで決まります。まずは工事別の目安を押さえましょう。
水回り・内装・外装の工事別相場
| 工事箇所 | 工事内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| キッチン | 本体交換 | 50万〜100万円 |
| 浴室 | ユニットバス交換など | 50万〜150万円 |
| トイレ | 便器交換など | 10万円台〜 |
| 洗面所 | 洗面台交換など | 20万円台〜 |
| 床 | 張り替え | 1畳あたり1万〜7万円 |
| 壁 | クロス張り替え | 1㎡あたり800〜1,500円 |
| 外壁 | 塗装/張り替え | 50万〜180万円/130万〜230万円 |
| 屋根 | 塗装/葺き替え | 30万〜80万円/60万〜300万円 |
外壁と屋根の工事費には足場の設置費が含まれるため、両方に手を入れる予定があるなら同時に依頼したほうが足場代を二重に払わずに済みます。
坪数別の総額イメージ
一軒家のフルリフォーム費用は、坪単価でおおむね17万〜60万円程度が目安です。坪数に当てはめると、総額のレンジは次のようになります。
| 延床面積 | 総額の目安(坪単価17万〜60万円で試算) |
|---|---|
| 25坪 | 約425万〜1,500万円 |
| 30坪 | 約510万〜1,800万円 |
| 40坪 | 約680万〜2,400万円 |
幅が大きいのは、解体範囲(内部のみか内外部か)、設備のグレード、耐震・断熱工事の有無で金額が大きく動くためです。この段階で正確な金額を求めるより、「下限は表層中心、上限はスケルトン+性能向上」という構造を理解し、複数社の見積もりで自宅の実額を確かめるのが現実的な進め方です。
どんな会社に頼めるのか、施工事例を眺めるところから始めると相場感が早く身につきます。
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意外と知られていない落とし穴:見積書に表れにくい3つの費用

フルリフォームで「予算オーバーだった」と後悔する人の多くは、工事費そのものではなく、契約前の見積書に載っていなかった費用でつまずいています。代表的な3つを最初から資金計画に組み込んでおきましょう。
解体してみないとわからない追加工事
壁や床を剥がした結果、土台の腐食やシロアリ被害、雨漏り跡が見つかり、補修工事が追加になるケースがあります。特に築年数が古い家ほどこのリスクは高くなるため、見積額とは別に総予算の1〜2割程度を予備費として確保しておくと、途中で計画が破綻しにくくなります。
旧耐震・2000年基準以前の家は耐震補強が前提になる
1981年以前の旧耐震基準の建物はもちろん、木造住宅は2000年の建築基準法改正で接合部などの基準が強化されているため、それ以前に建てられた家では耐震診断のうえ補強工事が必要と判断されることが少なくありません。せっかく内装を一新しても構造が不安なままでは本末転倒なので、フルリフォームは耐震性を見直す機会と捉え、診断費・補強費を織り込んでおきましょう。
仮住まい・引越し・トランクルームの費用
大規模なスケルトンリフォームでは、工事中に住み続けることが難しく、仮住まいが必要になります。家賃だけでなく、往復2回分の引越し費用や家財の一時保管費もかかるため、数十万円単位の出費になることもあります。また、自治体の助成金は「着工前の申請」が条件になっているものが多いため、工事契約を急ぐ前に申請時期を必ず確認してください。
フルリフォームと建て替え、どっちが得? 5つの判断軸チェックリスト
「結局どちらがいいのか」に一律の正解はありませんが、次の5つの質問に答えると方向性が見えてきます。
- その土地は建て替えできるか:接道義務を満たさない再建築不可物件などでは、そもそも建て替えという選択肢が取れません。この場合はフルリフォーム一択になります。
- 構造躯体は健全か:基礎や土台の傷みが激しい場合、補強費がかさみ、フルリフォームが新築費用を上回る逆転が起こり得ます。耐震診断などで構造の状態を先に把握しましょう。
- あと何年住む予定か:20年、30年と長く住み続けるなら性能を根本から見直せる建て替えの合理性が増し、10年前後で住み替えや売却の可能性があるならフルリフォームで費用を抑える判断が有力になります。
- 間取りをどこまで変えたいか:構造上動かせない柱や壁があるため、フルリフォームの間取り変更には制約があります。「ゼロから理想の間取りにしたい」なら建て替え、「今の骨格を活かして更新したい」ならフルリフォームが向いています。
- 両方の見積もりを比較したか:最終判断は必ず「フルリフォームの見積もり」と「建て替えの概算」を並べてから。片方だけの金額で決めると、数百万円単位の判断ミスにつながりかねません。
3つ以上が建て替え寄りの答えになった方は、建て替え費用の内訳を解説した記事もあわせて確認しておくと、比較の精度が上がります。詳しくは「一軒家の建て替えはリフォームよりお得? 費用の相場から内訳、安く済ませる方法まで解説」をご覧ください。
判断に迷う段階なら、中立的な立場のアドバイザーに整理を手伝ってもらうのも近道です。
まとめと次のステップ
一軒家のフルリフォームは、坪単価17万〜60万円程度と幅のある世界です。だからこそ、工事別の相場で全体像をつかみ、隠れ費用を予備費として織り込み、建て替えとの比較見積もりまで行った人ほど、納得感のある選択にたどり着けます。逆に「そのうち考えよう」と先送りしている間にも、住まいの劣化は静かに進み、傷みが広がるほど補修範囲と費用は膨らんでいきます。数年後に同じ工事をより高い金額で行うことになるのは、少しもったいない話です。
とはいえ、今日いきなり契約する必要はありません。まずは自宅と似た築年数・広さの家がどう生まれ変わったのか、事例を眺めて「うちならこうしたい」という基準をつくるところから始めてみてください。
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「リフォームか建て替えか」の見極め方は、ハウジングアドバイザーが実例で解説した「家の建て替えVS.リフォーム どちらがいい?【ハウジングアドバイザーが教えます】」も参考になります。仮住まいの探し方は「リフォーム中の一時引越しは必要? 仮住まいを選ぶ際のポイントや必要な手続き、注意点とは」、マンションの場合は「中古マンションのフルリフォーム、目安となる費用」をあわせてお読みください。
よくある質問
Q1. 一軒家のフルリフォームは1,000万円あればできますか?
A. 延床30坪前後の家であれば、内装・水回り中心のフルリフォームなら1,000万円以内に収まるケースもあります。ただし外壁・屋根の全面改修や耐震・断熱の性能向上まで含めると1,000万円を超えることも珍しくありません。優先順位を明確にし、複数社の見積もりで確かめるのが確実です。
Q2. フルリフォーム中は家に住み続けられますか?
A. 内外部スケルトンのような大規模工事では、水回りが使えない期間が長く、住みながらの工事は現実的ではありません。仮住まいの家賃・引越し費用・家財の保管費まで含めて資金計画を立てておきましょう。
Q3. 築40年の家でもフルリフォームできますか?
A. 構造躯体が健全であれば可能です。ただし旧耐震基準の建物では耐震診断と補強工事が前提になることが多く、費用がかさんだ結果、建て替えのほうが合理的になる場合もあります。まず耐震診断で構造の状態を確認し、両方の見積もりを比較してから判断してください。
Q4. 補助金や減税は必ず使えますか?
A. 制度ごとに対象工事・性能要件・申請時期などの条件があり、誰でも自動的に使えるわけではありません。特に自治体の助成金は着工前の申請が条件のものが多いため、契約前に自治体の窓口や検索サイトで最新の条件を確認しましょう(出典:住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」)。
更新日: / 公開日:2020.11.18










