リモデルは住宅性能とウェルビーイングの追求へ変化した
2010年からの15年間で、リモデルの定義は大きく変化しました。かつては部分的な設備交換や家族のだんらん配慮が中心でしたが、現在では断熱や耐震といった住宅性能の改善を土台にしつつ、心と身体の健康(ウェルビーイング)を叶えるトータルデザインへと進化しています。
詳しくは、「2010年から15年間で見える住まいのリモデルの変化」をご覧ください。
2010年代は家族の絆づくりから中古リノベの個性表現へ進化した
2010年代前半は東日本大震災の影響から家族のつながりや省エネ・安全性が重視され、オープンなLDK空間が広がりました。後半になると中古住宅購入とリノベーションが定着し、個々の趣味や歴史的価値を活かす十人十家のデザインへとシフトしていきました。
詳しくは、「【2010年代後半】「中古物件のリノベ」の定着と、個々の趣味や住宅の歴史を活かす「十人十家」の個性派デザイン」をご覧ください。
2020年代以降は断熱性能の向上と心身を整える空間づくりが主流
2020年代はコロナ禍による在宅時間の増加や気候変動、エネルギー価格高騰を背景に、断熱や耐震といった基本性能の向上が必須となりました。2025年には徹底した断熱施工と上質なデザインを融合させ、五感で心地よさを感じて心身を整える住まいが評価されています。
詳しくは、「【2025年最新】「こころとからだを整える」ウェルビーイング(心身の健康)な住まいへ」をご覧ください。

 

TDYアライアンスは、各住宅設備分野での専門領域をリードするTOTO(水回り)、DAIKEN(床材・内装ドア・収納)、YKK AP(窓・玄関ドア・エクステリア)の3社が、暮らしの価値向上を目指し、各社専門のリモデル分野で連携する取り組み。

 

住まいのリモデル(リフォーム・リノベーション)の価値を社会に広めることを目的に創設されたものです。

 

このTDYアライアンスが主催するリフォーム作品コンテストが2025年で41回目を迎えた「TDYリモデルデザインアワード」(旧:TDYリモデルスマイル作品コンテスト)です。

 

このコンテストは、単なる設備の交換や住宅のリフォームの美しさだけを競うものではありません。

 

お施主さまが毎日の暮らしの中で感じていた悩みに対し、リフォームのプロがどのようなアイデアと提案・設計で解決に導き、期待以上のライフスタイルを実現したか、という「快適な暮らしのストーリー」を総合的に評価する点が特徴となっています。

 

この記事は、2010年から2025年までの15年間にわたる、全国最優秀賞をはじめとする上位受賞作品を振り返り、住まいに対する価値観が社会とともにどのように変遷したかをお伝えします。

 

時代や社会背景の変化に対応し、リモデルが「家族のつながり」も含めさらに「暮らしのこだわり」、そして「住宅性能とウェルビーイング」へと進化していくことが受賞作品から感じられます。

 

それでは、2010年からの今までの大きな傾向から、2010年代前半、2010年代後半、そして2020年代~2025年までの代表的な受賞作品を見てみましょう。

【リモデルの変化のポイント】

年代

キーワード

社会背景・ニーズ

代表的な上位受賞作品

2010年代前半
(2010-2014)

家族の絆、だんらん、省エネ・環境配慮

東日本大震災後の住まいの安全・家族との絆意識の高まり、グリーンリモデルの推進。

2011年:
「家族ひとつの空間で」
(喜多ハウジング)

2012年:

「リフォームでリビング階段は可能か?」(一・番家工務店)

2010年代後半
(2015-2019)

中古リノベ、趣味の最大化、古今調和、個性が輝く十人十家

中古住宅+リノベの一般化、個性の表現、古民家や蔵の再生。

2016年:
「瀬戸内海を望み、100%海を感じられる家」(マエダハウジング)

2019年:「古民家リモデルの処方箋!」(創造工舎)

2020年代~
(2020-2025)

おうち時間の職住合わせた充実、性能(断熱・耐震)向上、心と身体のウェルビーイング

コロナ禍による在宅勤務、気候変動(過酷な暑さ寒さ)、エネルギー高騰、心身を整える空間ニーズ。

2021年:
「Welcome Beer Bar!! 毎日の晩酌が楽しくなる玄関から始まるLDK空間」(Toivo)
2022年:
「継承 ~築127年の蔵とステキに暮らす~」(ノーブルホーム とちぎリフォーム部(旧:とちぎリフォーム))
2025年:
「贅沢なワタシの暮らし ~こころとからだを整える~」(Toivo)

※本表はLIFULL HOME’S 編集部が独自に作成したものです。

 

各年度の受賞作品から見る評価ポイントの比較表が示すとおり、2010年からのこの15年間で「リモデル」の定義は根本から変化しました。

 

かつては『家族の夕べのだんらん』や『省エネ設備の導入』といった住まいの機能の部分的な変更や、夕方や休日の家族のコミュニケーションへの配慮が中心でした。

 

しかし現在では、『断熱や耐震性能の改善』という住宅性能のアップを土台にしつつ、『心と身体の健康(ウェルビーイング)』を求めていくトータルデザインへと、リモデルの傾向が大きく進化していることが分かります。

 

東日本大震災(2011年)を境に、住まいに求められる重要テーマは「安心・安全」「省エネ」、そして改めて見直された「家族のつながり」へとシフトしました。

 

それまでの個室中心の間取りから、家族全員が孤立せず、どこにいてもお互いの気配を感じ合えるオープンな空間設計が増加しました。

代表事例:2011年度 全国最優秀賞「家族ひとつの空間で」(施工:喜多ハウジング株式会社/石川県)

 

 

BEFORE
BEFOREの間取り図

 

AFTER
AFTERの間取り図

 
 

この作品は、従来の戸建てには多かった部屋を隔てていた壁を取り払い、一つの大きくて開放的なLDK空間にするという事例。

 

東日本大震災をきっかけに「いつも家族がそばに感じられること」の価値が再認識されたことを示す、まさに震災を経て得た住まいの役割の新たな価値観を設計に盛り込んだ作品です。

 

喜多ハウジング 株式会社
住所: 〒921-8062
石川県金沢市新保本3丁目3番地
TEL: 076-249-4211

 

また、2010年代は地球環境や社会インフラへの配慮から、水回りの省エネ・節水機能への関心が急速に高まった時期でもありました。

 

TOTO、DAIKEN、YKK APの3社連携による「グリーンリモデル」が推進され、ただ新しい設備に入れ替えるだけでなく、持続可能でエコロジカルな暮らしを提案する作品が増加しています。

 

代表事例:2012年度 グリーンリモデル優秀賞「リフォームでリビング階段は可能か?」(施工:有限会社 一・番家工務店/埼玉県)

 

 

BEFORE

 

AFTER

 

寒さ、暗さ、無駄の多い動線、収納の少なさなどの問題点をきめ細かい配慮で解消。

 

1階全体を大きなリビングと考えてコーナーを割り振り、お施主さまの夢だったリビング階段のあるLDKを実現。

 

断熱材や断熱サッシの採用で、快適で環境にも優しい住まいに生まれ変わらせた事例でした。

 

有限会社 一・番家工務店
住所: 〒343-0823
埼玉県越谷市相模町1-94-1
TEL: 048-986-3196

 

新築一辺倒だった住宅市場から、価格が手頃で希望の立地に手に入りやすい「中古住宅を購入してリノベーションする」動きが幅広く一般化しました。

 

2018年にはアワードのコンセプトテーマとして“10人いれば10通りの暮らしの想いがある”というそれぞれの暮らしにより向き合う「十人十家(じゅうにんといえ)」が正式に掲げられました。

代表事例:2016年度 全国最優秀賞「瀬戸内海を望み、100%海を感じられる家」(施工:株式会社マエダハウジング/広島県)

 

 

BEFORE

 

AFTER

 

築33年の中古マンションをリモデルした事例です。お施主さまの「海が好き」という趣味やこだわりを全面的に設計やデザインに落とし込みました。

 

リビングの扉を開けた瞬間に目の前の瀬戸内海を一望できる工夫を施し、室内は白とブルーの爽快な地中海リゾートスタイルに統一。

 

船の窓を模した丸い抜き窓の建具など、職人技とディテールが詰まった個性的なプランが高く評価されています。

 

株式会社マエダハウジング
住所: 〒732-0014
広島市中区八丁堀10-14 八丁堀マエダビル2・3・4F
TEL: 082-511-7552

代表事例:2019年度 全国最優秀賞「古民家リモデルの処方箋!」(施工:株式会社 創造工舎/奈良県)

 

 

BEFORE

 

AFTER

 

築66年の古民家の美しさを活かしながら新しさも取り入れたリモデル事例。

 

天井の古い梁(はり)と、モダンで踏み心地の良いコルクタイルなどを絶妙に調和させ、新旧のバランスとメリハリによって美しさとダイナミックさが混在する新しい空間を実現させています。

 

株式会社 創造工舎
住所: 〒634-0812
奈良県橿原市今井町4-11-17
TEL: 0744-29-2090

 

2020年の新型コロナウイルスの世界的流行は、人々の住まいへの価値観を根底から変容させました。

 

「ステイホーム」「テレワーク」が当たり前になり、住まいは「仕事をする場所」であり、同時に「プライベート時間を楽しむ場所」へと役割を拡大させました。

 

また、審査員の講評においても「断熱改修は特別なことではなくなった」と指摘される通り、2020年代中盤に入ると、世界的な猛暑や冬の寒さ、さらにはエネルギー価格の高騰などの課題から、住宅の「断熱」や「耐震」といった基本性能の向上がコンテスト全体の大きな評価軸となりました。

代表事例:2021年度 全国最優秀賞「Welcome Beer Bar!! 毎日の晩酌が楽しくなる玄関から始まるLDK空間」(施工:株式会社 Toivo/埼玉県)

 

 

BEFORE

 

AFTER

 

マンションの限られた空間でありながら、通常はプライベートな寝室や水回りが配置されがちな玄関側に、あえてLDKを大胆に配置。

 

毎日の帰宅後にビアバー感覚で本格的なお酒や団らんを楽しめるという独創的なプランです。

 

「家で静かに過ごす」だけではなく、「家にいる時間でも非日常を楽しめる」というコロナ禍の暮らしに希望を与える作品となりました。

 

株式会社Toivo
住所: 〒330-0064
埼玉県さいたま市浦和区岸町4-21-12 第一鶴見マンション1階
TEL: 048-711-2715

代表事例:2022年度 全国最優秀賞「継承 ~築127年の蔵とステキに暮らす~」(施工:株式会社ノーブルホーム とちぎリフォーム部(旧:とちぎリフォーム株式会社)/栃木県)

 

 

BEFORE

 

AFTER

 

お施主さまの祖父母から受け継いだ築127年の「蔵」を大胆に改修したプラン。

 

蔵の1階を趣味の音楽を楽しむためのプレイスペースとし、吹き抜けにつながる2階にはエキスパンドメタル(金属製網)の床を採用。

 

そこに差し込むトップライトの光で、スタイリッシュなワークスペースを構築しています。

 

母屋のモダンな空間デザインとの対比も見事で、「歴史をただ守るだけでなく、家での仕事を含む現代の暮らしに融合させる」という新たな職住空間と趣味空間を実現しました。

 

株式会社ノーブルホーム とちぎリフォーム部(旧:とちぎリフォーム株式会社)
住所: 〒328-0075
栃木県栃木市箱森町20-24
TEL: 0282-28-6770

 

2025年、TDYリモデルデザインアワードと新たに名前を変えて迎えた新しいトレンドが「住環境性能の大幅な向上」と「空間デザインの洗練」の双方が一体となった「ウェルビーイング(こころとからだを整えること)」の実現でした。

代表事例:2025年度 全国最優秀賞「贅沢なワタシの暮らし ~こころとからだを整える~」(施工:株式会社 Toivo/埼玉県)

 

 

BEFORE

 

AFTER

 

築35年のマンション角部屋高層階がリモデルの舞台。最上階・角部屋ゆえにお施主さまを悩ませていたのが、「夏の強烈な暑さ」と「冬の過酷な寒さ」でした。

 

この深刻な課題に対し、二重窓(内窓)の設置や、目に見えない躯体への断熱施工を徹底的に実施。

 

冷暖房のエネルギー効率を格段に高めた全室空調システムを導入することで、どこにいても常に均一で快適な温熱環境を実現しました。

 

さらに、この高い「性能」だけにとどまらず、室内にふんだんにあしらわれた無垢の木材や、高層階ならではの景色を楽しむための開口設計、ホテルのようにスムーズな回遊型家事動線を「融合」。

 

まさに「五感で心地よさを感じ、暮らしそのものが健康につながる」というこれからの住まいづくりが目指すべきひとつの方向性を示したリモデルプランです。

 

株式会社Toivo
住所: 〒330-0064
埼玉県さいたま市浦和区岸町4-21-12 第一鶴見マンション1階
TEL: 048-711-2715

 

TDYリモデルデザインアワードの2010年から2025年までの15年間を振り返ると、住まいは「古くなったから新しくする」対象から、「社会・自然環境の変化から家族を守り、一人ひとりが自分らしく心と身体をリフレッシュできる」空間へと変化してきました。

 

これからのリモデルで大切なのは、お施主さま一人ひとりの「十人十家」というあこがれの暮らしにプラスして、断熱や耐震、家事動線といった『住まいのハード部分(基本性能)』と、自分らしいデザインや趣味といった『暮らしのソフト部分(豊かさ・楽しさ)』を、いかに高次元で調和させられるかが求められます。

 

過去の優れた受賞作品は、お施主さまの暮らしへの夢と希望を追い求めて生まれたストーリーであり、私たちが理想の住まいと暮らしをかなえるためのモデル事例となってくれるはずです。

左:TOTO株式会社 リモデル営業推進部 小野慶子さん、右:TOTO株式会社 リモデル営業推進部 進藤まゆこさん

事務局のTOTO株式会社の小野 慶子さん、進藤 まゆこさんから「TDYリモデルデザインアワード2026」へ期待のコメントをもらいました。

 

【小野 慶子さん】

こうして15年間を振り返りますと、リモデルが社会を映す鏡として作品に投影され、環境問題や社会構造、お客様の価値観や生活様式の変化に寄り添った提案が重ねられてきたことが分かります。

ぜひ多くの方にリモデルの魅力や可能性を知っていただき、理想の住まいの実現に役立てていただきたいと考えております。

次回42回目を迎える本アワードですが、今後50回、60回と回を重ねるごとに、アワード自体も更なる進化を遂げていきたいと思います。

【進藤 まゆこさん】

15年間の受賞作品を振り返ると、住まいに求められるものが時代とともに変化する一方で、「こんな暮らしをしたい」というお客様の想いに寄り添い、それをかたちにするリモデルの本質は変わらないことを感じます。

一つひとつの作品には、お客様の暮らしに向き合った工夫やアイデアが詰まっています。この記事を通じて、リモデルだからこそ実現できる住まいの可能性や、理想の暮らしをかなえるヒントを感じていただければ幸いです。

「TDYリモデルデザインアワード2026」でも、どのような新しい暮らしの提案が生まれるのか、ぜひご注目ください。

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