「マイホームを買うならペアローンしかないけれど、本当に返していけるか不安…」「親に話したら『夫婦でローンを組むなんて絶対にやめなさい』と反対されてしまった」。

このように、物件価格が高騰する中でペアローンを検討しつつも、見えない将来への不安や周囲の反対に挟まれて悩むご夫婦も多いのではないでしょうか。

親世代の時代とは異なり、現在はペアローンを活用する共働き世帯も少なくありません。しかし、ペアローンは借入額を増やせる一方で、注意すべき点もあります。

この記事では、ペアローンに対する漠然とした不安の正体を紐解き、FP(ファイナンシャルプランナー)のアドバイスを交えながら「ペアローンをやめたほうがいい夫婦の特徴」と「単独ローンとのリスク比較」を分かりやすく解説します。

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そもそも、親世代がペアローンに反対する背景には、昔と今の住宅事情の違いや、将来の不確実性への心配があるのかもしれません。

 

親世代がペアローンに反対する理由には、「夫だけの収入で家を買うのが当たり前だった」という時代背景や、物件価格高騰による住宅購入への不安視が挙げられます。

 

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月)」では、年代によってペアローン利用者の割合が異なる結果が出ています。

年代

ペアローン利用割合

20~29歳

35.3%

30~39歳

30.9%

40~49歳

16.5%

50~59歳

12.6%

20~30代は、3割以上がペアローンを利用しているのに対し、40代以降でペアローンを選択する割合は2割以下と、比較的少ないことが分かります。

 

これは、親世代の「夫が稼ぐ」という時代背景と、若者世代の「夫婦で協力し合って家庭を支える」という意識の差が反映されているとも考えられるでしょう。

 

また、近年は建築コストや人件費の高騰に伴い、昔よりも住宅の物件価格が高騰しています。

 

一般社団法人 日本建設業連合会は、2021年1月から2026年3月にかけて建設にかかるコストが平均28~32%上昇したと発表(※)しています。

 

輸入資材の価格高騰は2026年現在も継続中であるため、特に新築の物件価格は上昇しています。

 

物件価格の上昇が続くなかで、単独ではなく夫婦二人の収入を合算して初めて希望のマイホームに手が届くといったケースもあります。

 

このような住宅事情の変化を考えると、現代においてペアローンを利用すること自体は、決して珍しいことではないといえるでしょう。

 

※ 一般社団法人 日本建設業連合会「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状[総括版](2026年5月)」

 

「将来離婚したらどうしよう」「もしパートナーが働けなくなったら?」など、将来への不確実性も、ペアローンに対する不安の根底にあるといえます。

 

近年は、価値観やライフスタイルの変化により、離婚を決断したり、転職したりするケースも少なくありません。

 

日本の離婚率は決して高いというわけではありませんが、離婚時のローンの名義変更でトラブルに発展する可能性もゼロではないのです。

 

ローンを組むときは想定していなかったとしても、育児・介護などを理由とした離職による収入減が、ローンへ影響を与えることも考えられます。

 

先の見えない将来へのリスク管理の一環と考えると、ペアローンを不安視するのは自然な心理といえるでしょう。

 

【FPからのアドバイス】
ペアローンを組む前のシミュレーションで、不安を解消

 

都市部では住宅価格が高騰し、住宅ローン金利も上昇しています。まだライフプランが確定していない段階でペアローンを組むと、子どもの教育費や老後の蓄えなどに影響を及ぼす可能性があり、ご両親がペアローンを不安視する気持ちも理解できます。

 

そこで、夫婦で確認をしておきたいのが、「どちらか一人の収入が減っても返済を続けられるか」という点です。「育休中の収入ダウンを乗り越えられるか」「時短勤務で収入減になっても対応できるか」など、ライフプランを立てて今後想定されるアクシデントを整理し、お金の流れ(キャッシュフロー)のシミュレーションを行ってみましょう。ローンを組んだ後の毎月の家計状況を書き出し、「見える化」してみるのもおすすめです。

 

数字の根拠や後ろ盾があれば、ご両親から反対を受けても、説得する材料になるはずです。そして何より、シミュレーション結果に基づいて「金融機関から借りられる上限」ではなく、「安心して返せる金額」でローンを組むことができれば、今後の生活の安心・安全をもたらします。

 

取材協力/FP事務所アイプランニング 飯村久美

 

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夫婦でペアローンを組むことを検討する場合、以下の特徴に当てはまる場合は、ペアローンには不向きといえます。

 

  1. 数年先の「将来設計(働き方)」が夫婦で共有できていない
  2. 万が一のペア解消時の「贈与税リスク」を理解していない

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

ペアローンを利用すると物件の選択肢の幅が広がりますが、将来設計ができておらず、返済計画が明確に見通せない夫婦には、ペアローンは不向きといえます。

 

たとえば、子どもが生まれた後はどちらかが時短勤務やパートになる可能性もあるでしょう。また、将来転職や病気などで、どちらかの収入が減ることも考えられます。

 

「今はお互い共働きだから問題ない」と考え、不測の事態を予想できていない夫婦は、返済不能によるトラブルのリスクが高まるため注意が必要です。

 

特に「現在の夫婦2人のフルタイム収入の合算」を前提に限界まで借りようとしている夫婦は、予想外の収入減に陥ったときに、返済不能のリスクが高くなる可能性があります。

 

ペアローンにおいて贈与税が発生するリスクを理解していない夫婦も、ペアローンの利用にあたっては注意が必要です。

 

たとえば、以下のケースでは贈与税が発生する可能性があります。

 

  • どちらかが仕事を辞めて、一方がもう一方のローン返済を肩代わりする場合
  • どちらかの資産でもう一方のローンを繰り上げ返済した場合
  • 毎月のローン返済額と、登記している所有割合が異なる場合(例:夫7割、妻3割のローンを組んでいるが、不動産の名義は50%ずつで登記している など)

 

贈与税は夫婦間でも適用され、一方がもう一方の住宅ローンを請け負う場合は贈与とみなされる可能性がでてきます。

 

パートナー解消等で一方が名義を外れる場合は、金融機関の承認や登記の手間もかかるため、「いざとなればパートナーが払えばいい」と安易に考えるのではなく、万が一のときの対応方法についても慎重に検討する必要があるでしょう。

 

【FPからのアドバイス】
将来の計画が未定、話し合いが不十分…そんな夫婦はペアローンに不向き

 

・ライフプランが未定

・家計に余裕がない

・育休や転職などで将来的に収入が下がる可能性がある

・夫婦でお金に対する考え方が一致していない

 

上記のようなケースは、ペアローンを組むと返済が苦しくなる可能性があるため、予算の見直しが必要です。

 

「今の収入だとぎりぎりだけれど、この先、収入が上がっていくと思うから大丈夫だろう」と考える人もいます。しかし、教育費のピークや老後資金の準備も含めて資金計画を立てる必要があるのです。

 

夫婦でお金に対する考え方が一致していないケースでは、一方は「繰り上げ返済を頑張ろう」と考え、もう一方は「旅行や趣味も楽しみたい」と考えているなど、2人の価値観の違いによって、住宅ローンが原因で夫婦間のストレスにつながることがあります。

 

家計にゆとりがあり、将来どちらかの収入が減っても生活を維持できるのであれば、ペアローンも有力な選択肢です。しかし、2人の現在の収入が常にあることが前提の返済計画の場合は、一度立ち止まって予算を見直すことをおすすめします。

 

取材協力/FP事務所アイプランニング 飯村久美

 

ペアローンと収入を合算して借りる単独ローンを、収入減や離婚時の財産分与、ローン契約者の死亡時のリスクで比較してみましょう。

比較項目

ペアローン

収入合算による単独ローン

借入限度額

夫婦それぞれが審査を受け、2本のローンを合わせることで、単独より借り入れ限度額を増やせる可能性がある

パートナーの収入の全額または一部を合算して計算するため、借入額を増額できる

将来の収入減

一方の収入が減っても原則2本のローン返済は続く

収入が減ると、家計全体へ影響。売却の可能性が高まる

離婚時の財産分与・売却

2本の住宅ローンと共有名義の整理が必要となり、手続きが複雑になる場合がある

収入合算者が連帯保証、連帯債務者となっている場合、離婚だけでその義務から外れるわけではなく、金融機関との手続きが必要

契約者の死亡時(団体信用生命保険(以下、団信))

万が一の場合は、契約者本人の債務のみ完済。配偶者のローンは継続する(ただし、ペアローン連生団信など例外の商品もある)

団信保障対象者が死亡した場合、保険から住宅ローンの残債が完済される

ペアローンも単独ローンも、それぞれに異なるリスクがあります。特にペアローンは2本の契約を結ぶため、離婚時や収入減少の対応が複雑になりやすい点に注意が必要です。

 

また、団信の保障範囲は、ペアローン・収入合算ともに商品や契約形態によって異なるため、契約前に確認することが大切です。

 

「将来の収入減へのリスクが心配」など、ペアローンへの不安が大きい場合は、無理してペアローンで高額物件を購入するのではなく、1人の収入で1本の契約を結ぶ単独ローンを検討するのもおすすめです。

 

「夫または妻の単独ローンで買える範囲に物件の予算を下げる」とあらかじめ決めておくと、心理的負担が減り、家族の安心にもつながるでしょう。

 

予算を下げると購入できる住宅の選択肢は限られる可能性もありますが、ローンのリスクを減らすために、無理のない返済計画を立てることを意識しましょう。

 

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ペアローンを組むかどうか迷っているときは、第三者の専門家に相談し、家計診断や返済計画のシミュレーションをしてもらうと、リスクを最小限に抑えられます。

 

親の意見やインターネットの情報だけで、ローンの種類を選択するのはあまりおすすめできません。どのローンを選択するかは、現在の貯蓄額や将来想定される子どもの教育費など、家庭の事情によっても変わってきます。親からペアローンを反対されているときこそ、冷静かつ客観的な意見に耳を傾けることが大切です。

 

LIFULL HOME’Sの「住まいの窓口」では、住まい選び・家づくりに関する相談はもちろん、住宅ローンなどの資金計画に関する相談にも対応しています。

 

中立な立場からのアドバイスを受けられ、相談は無料です。疑問や不安がある方は、ぜひ利用を検討してみてください。

 

【FPからのアドバイス】
マイホーム購入後も資金に余裕がある状態が、ローンを組むうえで理想の条件

 

お金の流れをシミュレーションすることは、不安の払しょくにつながります。将来のライフイベントにかかる費用を盛り込み、住宅ローンを組んだ後の家計状況でお金の流れをシミュレーションしてみましょう。

 

シミュレーションでは、このような複数のパターンを作成してみるのがおすすめです。

 

ケース1:家計に余裕がなくなる場合(例:子どもが私立高校・大学に進学し、教育費の負担が重くなったなど)

ケース2:転職をして収入が下がった場合

ケース3:金利が少しずつ上がっていく場合 など

 

もしものときのために、「今より家計が厳しい状況になっても返済し続けられるか」という視点で計算しましょう。

 

シミュレーションで確認するポイントは、以下の3つです。

 

・平均寿命(もしくは設定した年齢)まで金融資産が底をつかないか

・退職時点でのローンの残高が過大になっていないか

・留意すべき事情はないか(住み替えの有無、住宅のメンテナンス計画、両親への経済的援助の有無、車の買い替え、旅行などの希望 など)

 

マイホーム購入後も毎月の収支が黒字で、老後資金の積立を続けながら、年間で一定額を貯蓄できる状態が保たれていること。これが安心の指標です。

 

取材協力/FP事務所アイプランニング 飯村久美

 

ペアローンへの不安やご両親からの反対意見は、決して無視してはいけない「リスク管理のサイン」です。

 

近年の物件価格の高騰をふまえると、ペアローンは有効な選択肢のひとつですが、将来の働き方やライフプランが不透明なまま組むのはリスクが伴います。

 

まずは夫婦で将来設計を話し合い、必要に応じてプロのアドバイスも活用しながら返済計画を検討しましょう。

 

マイホーム購入に関する不安はなるべく早く解消しておくと、自分たちにとって最善な決断がしやすくなるでしょう。

 

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