いつもと違う気分で仕事ができる、外にいるみたいなキャンピングオフィス

コロナ対策でテレワークが推奨される中、“働き方”が大きく変化している。
オフィスの縮小を検討する企業も珍しくはなく、“働く場所”の概念も変わってきている今、リモートワークを行う場所を自宅にしている人が多数かと思うが、「場所を確保しにくい」「集中できない」などの悩ましさがあって自宅以外の場所を検討することもあるだろう。
その一候補となるのがシェアオフィスではないだろうか?
今や全国各地にあるシェアオフィスだが、愛知県岡崎市に個性的なコワーキングスペースがあるので紹介したい。建物内にありながら、まるでアウトドアを楽しんでいる気分にすらなるキャンピングオフィス「osoto」だ。

岡崎市の中心街・康生通り沿いにあるCamping Office osoto Okazaki岡崎市の中心街・康生通り沿いにあるCamping Office osoto Okazaki

テントの中で…焚火台を囲んで… 人気アウトドアブランド・スノーピークのキャンプギアを利用するオフィス

2018年4月にオープンした「osoto岡崎」は、国内人気アウトドアブランド「Snow Peak」の子会社である株式会社スノーピークビジネスソリューションズが運営するコワーキングスペース・シェアオフィス。

本社が入っているビルの1階にあるのだが、入り口のドアを開け、まず目に飛び込んでくるのは鮮やかな緑の人工芝が敷き詰められたワークスペース。そこにはテントや焚火台、デッキチェアなどのアウトドアギアが置かれ、小鳥のさえずりがBGMに流れている。キャンパー憧れのブランドであるスノーピークのキャンプ道具をオフィス家具として利用しながら会員たちがノビノビと過ごしている姿に(正しくは「仕事をしている」だが…)ここが建物内であることを忘れてしまいそうになった。
100平米超あるフロアは、個室や仕切りが一切ないフルオープンスペース。キャンプギアは自由に移動可能で、利用者は伸びやかな空間で思い思いの仕事をしている。集中したいときなどは、例えば、幕を下ろしたテント内で打ち合わせや会議を行ったり、キャンプテーブルのある場所にロールスクリーンを引いて緩く閉ざして仕事に没頭するなどしているのだとか。とはいえ、アウトドア感覚になれるこの雰囲気が気持ちを穏やかにするのだろうか?個室のように完全に閉ざさずとも自分に向き合えると言うか、周りも他人を気にする様子はあまりなく、各々がリモート会議や打ち合わせをしていても、周囲の声がかえって心地よく感じられるのも不思議だ。

月額会員制のパートナー企業(法人)、キャストメンバー(個人)の他、ビジター利用もOK。岡崎市が活性化に力を入れるエリアでもあり、行政による空き家プロジェクトのワークショップ会場になったり、地域イベントが開催されるなどしている月額会員制のパートナー企業(法人)、キャストメンバー(個人)の他、ビジター利用もOK。岡崎市が活性化に力を入れるエリアでもあり、行政による空き家プロジェクトのワークショップ会場になったり、地域イベントが開催されるなどしている

人と人をつなぐキャンプの効果で、『自然と、仕事が、うまくいく』

株式会社スノーピークビジネスソリューションズ「osoto」コミュニティーマネージャーの飯田圭さん株式会社スノーピークビジネスソリューションズ「osoto」コミュニティーマネージャーの飯田圭さん

株式会社スノーピークビジネスソリューションズは、アウトドアメーカーのスノーピークと、岡崎市のIT会社が合同で起ち上げたBtoBの会社で2016年に創業。企業研修をはじめオフィス家具の販売やコンサルティング、チームビルディングのコンサルティング、働き方改革のツールやITシステムづくりなどを行っている。

コーポレートメッセージは、『自然と、仕事が、うまくいく』。

テクノロジーが発達する中で、自然に触れ合う機会が減っている現代。
人と人との関係性が課題でもあるビジネスシーンにおいて、人と自然を絡めることが良い影響をもたらすと考えている。
昨今のアウトドアブーム・キャンプブームがあるとはいえ、同社によると日本人のキャンプ人口は7%程度。キャンプ未経験者や自然に親しむ機会が少ない人が多い中、その機会を増やし、自然によって刺激される人の感性を豊かにしたいとの想いがあるそうだ。「キャンプを通じて『人間性の回復』を実現する」という思想で事業を展開しているのが興味深い。

コミュニティーマネージャーの飯田さんに話を伺うと、キャンピングオフィスでの仕事は「はかどる」のだと言う。
自然の中で仕事をする環境で脳波測定をしたところ、リラックス度や集中力が上がり、発想や創造力が高まるなど良い影響が結果として出ているそうだ。

「例えば、無機質な会議室で意見交換をするよりも、リラックスできる自然の中という環境自体が、最初のアイスブレイクになって相手との距離を縮めたりもします。ビジネスの上で人との関係性はとても大事ですから、人と仲良くなりやすい・つながりやすい環境というのは好ましいですよね。
自宅にグリーンを置いて癒しを求めるように、職場にもそれがあっていい。オフィスではリラックスしちゃいけない、なんてことはありませんから」(飯田さん)

自然の中で使うキャンプ道具を、オフィスの中でも使う楽しさ

フロア内にはキッチンスペースもあり飲食も可能。企業の懇親会やワークショップなどが行われることもある交流の場には、ダッチオーブンなどアウトドアで大活躍の調理器具も備わっていて自由に利用できるフロア内にはキッチンスペースもあり飲食も可能。企業の懇親会やワークショップなどが行われることもある交流の場には、ダッチオーブンなどアウトドアで大活躍の調理器具も備わっていて自由に利用できる

大事なのは『関係性』の向上。自然をツールに円滑なコミュニケーションを

「本物の自然と触れ合える場所も必要」と、外には天然芝のガーデンも設置。井戸もつくり、利用者は野菜やエディブルフラワー、ハーブなどを自由に育てて収穫を楽しみにしているそう。薪も置いてあり、消防署の許可を取って焚火会を実施したことも。コミュニティー形成にも一役かっているスペースだ「本物の自然と触れ合える場所も必要」と、外には天然芝のガーデンも設置。井戸もつくり、利用者は野菜やエディブルフラワー、ハーブなどを自由に育てて収穫を楽しみにしているそう。薪も置いてあり、消防署の許可を取って焚火会を実施したことも。コミュニティー形成にも一役かっているスペースだ

岡崎と名古屋の直営3か所に加え、各地のパートナーシップ企業が運営する拠点を合わせると8か所ある「osoto」。※2020年9月15日現在
働き方や働く場所が変わることで、人にも地域にも好影響が生まれると考え、人が本来の力を発揮しやすいリラックスした状態で心地よく働ける環境を増やせるよう拠点を拡大していきたいと話す。

「組織の成功循環モデル、という考え方があります。
良い『結果』を出すためには、はじめに『関係』の質を上げることが大切で、そうすると『思想』の質が上がり、次に『行動』の質が上がって、それが良い『結果』に結びつくというものです。
逆に、『関係』の質が下がれば『思想』も『行動』の質も下がり『結果』も悪くなってしまう。よって、まずは『関係』の質を上げることが大事で、ここがしっかりしていれば結果が変わってきます。

遊びゴコロがないと新しいワークスタイルは作り出せません。
オフィス=作業する場、ではなく『コミュニケーションする場』として、人と人との関係をより良くするために、自然をツールにして、人と人とがつながりやすく、心豊かに働ける場の提供をしたいと思っています」(飯田さん)

コロナ禍で、企業や在宅で仕事ができない人からの問合せも増えているそう。「働き方や働くことに対する指向がガラッと変わるのは、ある意味チャンスかもしれませんね」と飯田さん。
場所や方法にとらわれない働き方が加速する中、自然をビジネスツールとするワークスタイルも素敵に思った。

■Camping Office osoto https://osoto.net/
(新型コロナ感染対策についてhttps://osoto.net/news/detail/22

2020年 09月20日 11時00分