マンガ家志望者に気付きを与え道を示すシェアハウスに

トキワ荘事業「妙蓮寺荘(男子寮)」 京都市上京区トキワ荘事業「妙蓮寺荘(男子寮)」 京都市上京区

2013年8月23日、多くの報道陣に囲まれ京都におけるマンガ家志望者を支援する「京都版トキワ荘事業」のオープニングセレモニーが行われた。

東京で約7年の実績を持つ「トキワ荘プロジェクト」が運営するこの事業は、マンガ家を目指す18歳から30歳くらいまでの若者を対象にシェアハウスを通じて、夢を実現するための支援活動を行っている。

マンガ家を目指す多くの人が陥るのは、周囲にマンガ家の仲間がいないことで
孤独になりやすく、その業界のことをリアルに体験できないこと。
自分の描く原稿の善し悪しといった、自身のレベルを知ることができないことだという。

このプロジェクトは、生活費の出費が抑えられるよう、比較的安価な家賃が提供できるシェアハウスというシステムを採用している。また、手塚治虫・石森章太郎・藤子不二雄といった、著名なマンガ家たちが住んでいた有名なアパート「トキワ荘」のように、同じ志を持つ者同士が集まり情報や意見交換などをしながら、お互いに切磋琢磨できる環境を提供したいという考えもあるようだ。

同じ目標を持つ者がどれだけの実力を持ち、どのような努力をしているのかを
目の当たりにすることで、刺激と気付きになればとトキワ荘プロジェクトの菊池さんは話す。

若者支援活動の地として、京都を選んだその理由とは

妙蓮寺荘、階段横の共用部妙蓮寺荘、階段横の共用部

多くの都市がある中で、京都を選んだ
その理由はいったい何だったのか。

それは、編集社・出版社といったマンガ産業は東京に集中しているが、マンガ教育は京都に集中しているという背景にあるという。

現在、京都市内には京都精華大学、京都造形芸術大学、京都嵯峨芸術大学の3校がマンガ学部や学科を設け、院生を含め計1,100人ほどの学生がその教育を受けている。日本はもとより、マンガを学びたいという海外からの留学生も多く世界一のマンガ教育都市として、京都がその地位を確立しているのだ。

藤子不二雄A氏の『まんが道』にもあるようにマンガ家を目指す者は、マンガ産業の中心地・東京へ行くというイメージがあったが、インターネットの普及によりその風潮が変化しつつある。

日本の文化として、海外からも高い評価を得ているマンガ。
マンガ教育都市のインフラ整備の取りかかりとして、「トキワ荘プロジェクト」が京都市から事業委託を受け運営することになった。

京都では、第一号となる「妙蓮寺荘」の男子寮を皮切りに今年10月に、北野白梅町で女子寮をオープンする予定だという。今後、数年かけて10軒程度までシェアハウスを増やしたいとの考えだ。

風情や建物の状態は、今までの中で一番良い町屋のシェアハウス

2階の個室(和室6畳)2階の個室(和室6畳)

京都での第一号荘となる「妙蓮寺荘(男子寮)」は、もともとは西陣織の工場だったという築140年余りの町屋だ。

トキワ荘プロジェクトでは、入居者のコミュニケーション促進や家賃負担の軽減に考慮しマンションではなく、一戸建てにこだわりってシェアハウスを運営している。東京では、21軒・116部屋のシェアハウスを有しそのほとんどは、築20〜30年程のよくある普通の一戸建てだという。

京都でも同じように一戸建てを探しているが事業委託を受けた際、京都市から「できれば町屋を活用して欲しい」との要望を受け町屋でのシェアハウスが実現した。現在も、一般的な一戸建て、町屋を問わず京都での物件を検討している。

「妙蓮寺荘」の築年数は、今までの物件の中でも群を抜いているが情緒や雰囲気、建物の状態は21軒の中でも一番良いという。担当者自身もここに住みたいと口にするほどだ。

この町屋をシェアハウスとして運営するにあたり、非常灯やプライベート確保のため1ヶ所だけ壁を加えたものの、それ以外は一切手を加えていないというから、今までの手入れの良さが伺える。

本気でマンガ家を目指す人の家計に配慮した家賃設定

家具付き個室(1階、洋室6畳)家具付き個室(1階、洋室6畳)

冷蔵庫や洗濯機、エアコンは最初から備え付けられているため引越しのイニシャルコストも抑えられる。

入居時に一律30,000円の入居金は必要だが、それ以外の敷金・礼金といった初期費用や保証人は不要。月々45,000円から50,000円の家賃には、水道代、光熱費、家具、家電、インターネット回線料が含まれている。

京都には、古式ゆかしい寺社仏閣をはじめ名建築や名庭園などが多く、春の桜、夏の緑、秋の紅葉、冬の雪景色といった四季の表情も豊かなため、マンガを描くうえで良いインスピレーションを与えるはず、まして町屋に住むとなればますますその影響は大きいのではないかと担当者の菊池さんは言う。


取材協力:京都版 トキワ荘プロジェクト/NPO法人NEWVERY
http://www.tokiwa-so.net/kyoto/

2013年 09月12日 11時23分