九州で新しい働き方をカタチに!九州アイランドワークの挑戦

1月16日に福岡で開催されたイベントには80人以上がつめかけ、熱心に話を聞き交流していた1月16日に福岡で開催されたイベントには80人以上がつめかけ、熱心に話を聞き交流していた

「九州を一つの島と捉え、この島の中で旅するように働くことができる社会インフラを提供する」。そんな理念を掲げて、2019年に宮崎市で設立された九州アイランドワーク株式会社(以下、KIW)。2020年1月には東京と福岡、宮崎で、事業概要の説明と共に「ONE KYUSHU」を語り合うイベントを開催した。1月17日に不動産クラウドファンディングをスタートすると、わずか2時間44分で目標金額3,340万円を達成。周囲からの期待の高さがうかがえた。

KIWは、「世界があこがれる九州をつくる」をビジョンとした、主に食品事業を展開する株式会社一平ホールディングスのグループ企業。会長の村岡浩司さんは、宮崎市の寿司店の息子として生まれ、2012年に「九州パンケーキ」ブランドのパンケーキミックスを開発して海外にも進出。「九州未来アワード」をはじめ数々の賞に輝き、メディアに取り上げられて、一躍脚光を浴びた。一方で、まちづくりの活動や起業家の支援にも力を入れ、「九州廃校サミット」を立ち上げるなど、「ONE KYUSHU」のかけ声のもとで九州活性化の旗振り役として奔走している。

そんな村岡さんが、志を同じくする仲間たちと議論を重ねて始動したのがKIWだ。社長を務める馬渡侑佑さんは、宮崎出身でチームラボキッズ株式会社に入社。仕事で訪れた大分県竹田市に移住し、まちの活性化を目指して活動していたところ、村岡さんと意気投合してKIWの設立に至ったという。

月額1万5,000円で九州各地のワークプレイスを使い放題

宮崎自動車道上り線の山之口サービスエリアに設置された「KIW Workbox山之口SA」宮崎自動車道上り線の山之口サービスエリアに設置された「KIW Workbox山之口SA」

1月16日に福岡で開催されたイベントのテーマは、「ONE KYUSHU!福岡から新時代の九州を語ろう!〜旅するように働く自由を、九州で〜」。Facebookの告知には想定を上回る申込みがあり、数日前に受付が締め切られ、当日は立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。

イベントで発表されたKIWの事業は、「はたらくをオフィスから解放する」をコンセプトに、「分散型ワークプレイス」として2025年までに九州全域335か所にコワーキングスペースを展開するというもの。月額1万5,000円(税別)で、九州各地のワークプレイスを使い放題というサービスを提供する。ワークプレイスは、駅から徒歩圏内にあるビジネス街の空きスペースや地域の空き家、廃校などをリノベーションしたり、九州に300か所ある無人駅を利活用するなどして、直営や提携で設置する。

さらに2020年1月20日から2021年3月31日までの予定で、西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)および宮崎大学と連携して、宮崎自動車道上り線の山之口サービスエリアにワークプレイス「KIW Workbox山之口SA」を設置する社会実験事業をスタートした。広さ約11m2のトレーラーハウスに冷暖房やWi-Fi、電源コンセントを備え、一般道からもアクセスが可能。高速道路のサービスエリアにワークプレイスを設置するのは、全国初の試みだ。

働く場を介して多様な人やスキルが交わることで地域の課題を解決

村岡さんと馬渡さんは、自身が九州内で働く際、仕事ができるスペースがなくて困った経験がある。KIWの想定によると、九州の人口約1,300万人のうち、フリーランスは94万人、出張で九州を訪れる人は年間976万人以上にのぼる。「日本では少しずつテレワークが普及し、フリーランスや副業という働き方が増え、休暇を兼ねてリモートで働くワーケーションの需要も出てきました。今後も多様な働き方が広がっていくでしょう。KIWは分散型ワークプレイスで働き方を変え、働く場を介した人やスキルの流動を促し、チーム九州で地域の課題解決を図りたい。アジアにおけるワーケーションの聖地になれるポテンシャルもある」と村岡さんは意気込む。

イベントには村岡さんと馬渡さんのほか、九州を代表する企業や団体等の4人が登壇した。産学官民一体のシンク&ドゥタンク福岡地域戦略推進協議会の石丸修平事務局長は「人口減少に対応した地域づくりが求められている。例えば九州に来る人の6割強は福岡から入るため、福岡から送客する仕組みを作り、いかに九州全体の魅力を高めてPRしていくか、本質的・総合的に議論していく必要がある」と指摘。クルーズトレイン「ななつ星in九州」で“オール九州”という概念を顕在化した九州旅客鉄道株式会社(JR九州)で、まち創造担当部長を務める小池洋輝さんは「九州の魅力を再定義し鉄道や駅を活用して、九州活性化のビジョンを楽しく描いていく」と話した。そしてNEXCO西日本九州支社の濱野昌志さんは、高速道路のサービスエリアに無人のワークプレイスを設置するという、日本初の事業を実現させた立役者。「高速道路を起点としたまちづくりを積極的に進めていきたい」と宣言した。

左からKIWの村岡さんと馬渡さん、クラウドリアルティの幸田さん、福岡地域戦略推進協議会の石丸さん、JR九州の小池さん、NEXCO西日本の濱野さん左からKIWの村岡さんと馬渡さん、クラウドリアルティの幸田さん、福岡地域戦略推進協議会の石丸さん、JR九州の小池さん、NEXCO西日本の濱野さん

投資型クラウドファンディングでは即日3,340万円の満額を達成

株式会社クラウドリアルティ執行役員の幸田泰尚さんからは、「KIW宮崎プロジェクト」の説明が行われた。本プロジェクトの目的は、KIWが宮崎市内に直営のワークプレイスをオープンするための内装工事等の資金を調達すること。運用期間中のKIWからの賃料収入を基に期中分配を行いつつ、プロジェクト終了時には内装部分を売却することで、出資金の払戻しを行うという仕組みだ。幸田さんは「不動産に特化した投資型クラウドファンディングを通して、まちづくりをサポートしていきます」と話した。そしてイベント翌日の1月17日、このプロジェクトは2時間44分という異例の速さで目標金額3,340万円を集めて成立した。

春にはまず、現在リノベーション中のワークプレイスをはじめ、KIWの親会社・一平ホールディングスの本社オフィスが入るムカサハブ、カフェ、KIW Workbox山之口SAの4か所を利用できるサービスが始まる。その後は九州全域で数百か所のワークプレイスコミュニティを構築し、ワークスペースを中心に様々なシェアサービスを会員向けに展開していく予定だ。2020年春、「新しい働き方」への大きな挑戦が九州で始まった。

写真上/KIWが宮崎で新しく作っているワークプレイス、左下/廃校を活用したムカサハブ、右下/会員が利用できるワークプレイスの一つとなるカフェ写真上/KIWが宮崎で新しく作っているワークプレイス、左下/廃校を活用したムカサハブ、右下/会員が利用できるワークプレイスの一つとなるカフェ

2020年 02月11日 11時00分