圧倒的に高い日本の高齢化率

国連などの定義では高齢化率7%~14%が高齢化社会、14%超~21%が高齢社会、21%超が超高齢社会とされている。25.78%の日本は当然超高齢社会だ                           国連などの定義では高齢化率7%~14%が高齢化社会、14%超~21%が高齢社会、21%超が超高齢社会とされている。25.78%の日本は当然超高齢社会だ                

日本は世界のどこの国も経験したことのない超高齢社会へ突入している。世界銀行のデータによると、2014年の高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)は25.78%で世界一位。2位のイタリアが21.45%、3位のドイツが21.25%なので圧倒的に高い。

高齢化率の上昇にともない高齢者が住む世帯も増加している。内閣府の2014年度版高齢社会白書によると、1990年の高齢者が住む世帯数は1,081万7,000世帯で全世帯の26.9%だった。これが22年後の2012年には2,093万世帯となり、全体の43.4%を占めている。

同時に高齢者の一人暮らし世帯も増加し続けている。1990年には161万3,000世帯で世帯全体の14.9%だった。これが2012年には486万8,000世帯で同23.3%を占めている。つまり、65歳以上の人が住む家の約4世帯に1世帯は一人暮らしなのだ。

このように高齢者世帯が増える一方で、我が国の高齢者向けの住まいの整備は進んでいるとはいえない。2005年の全高齢者に対する介護施設・高齢者住宅等の割合は4.4%。デンマークは10.7%、イギリスは11.7%なので欧州諸国に比べると、まだまだ少ない。

そこで2011年10月、高齢者住まい法の改正にともない登場したのがサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)だ。この住宅に関する法律は、2015年4月にも改正されているので、そこも踏まえて解説しよう。

今は元気でも近い将来に対する不安や孤独感が

以前から高齢者向けの住まいとしては、公的な特別養護老人ホームや民間の有料老人ホームなどがあった。しかし、前者の入居者は介護が必要な者に限られるうえに入居希望者が多く、なかなか入ることができない。後者の多くは数百万円から数千万円の入居一時金がかかるといった障壁があった。

また、健康な高齢者が安価に入れる住まいとして高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)や高齢者専用賃貸住宅(高専賃)なども存在した。しかし、広さや設備、サービスなどの明確な登録基準がないため、常駐の介護スタッフがいる施設がある一方で、バリアフリー構造でない施設もあるなど、玉石混淆の状態だった。そのため2011年の法改正でサ高住に一本化された。

サ高住の位置づけは、心身は健康だったり、経済的な蓄えの少ない高齢者でも入居可能な賃貸住宅だ。賃貸住宅なので行動を規制するものはない。外出はもちろん、海外旅行も好きなときに行ける。初期費用は敷金などで一般的な賃貸住宅とほとんど変わらない。毎月の利用料は、家賃、管理費のほか、ほとんどの施設は食費、水道光熱費、生活サービス費などがかかる。

各自治体が登録、指導、監督を行い、おもな登録基準には次のようなものがある。

●各専用部分の床面積は、原則25m2以上
(ただし、居間、食堂、台所そのほかの住宅の部分を高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合は18m2以上)

●各専用部分に台所、水洗トイレ、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること
(ただし、共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備または浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備または浴室を備えずとも可)

●バリアフリー構造であること

●常駐する専門家による安否確認サービスの提供(少なくとも日中)

●常駐する専門家による生活相談サービスの提供(少なくとも日中)

筆者は以前、有料老人ホームに住むお年寄りにインタビューする機会があった。そこで聞いた入居の動機は、「今は元気だけど、急に倒れることがあるかもしれないので心配だった」、「配偶者に先立たれ、周りに同世代の話し相手がいなくてさびしかった」といったものが多かった。

公的な高齢者の線引きは65歳以上となっている。しかし、この年代の人のほとんどはまだまだ元気。そのためいわゆる老人ホームには入りたくないが、近い将来に対する不安や孤独感から住み替えを検討するケースが多い。サ高住はこういった自立した生活ができる高齢者のニーズに応える。

また、もし入居中に介護が必要な状態になっても、介護保険を利用して外部サービスを受けることが可能だ。

地域のニーズに即した様々なコンセプトのサ高住の登場に期待

サ高住の登録戸数は2016年3月末現在で19万9,056戸と着実に増えている。ところが本当に必要な地域に供給されているかといえば、そうでもないケースも目立つ。たとえば、以前から次のような意見が出ていた。

・将来の高齢者人口等を勘案した立地に供給されていない
・公共交通機関の利用しやすい立地ではない
・医療機関や介護施設へのアクセスが悪い立地にある

このような意見に応えるため2015年4月の法改正では、各市区町村のまちづくりに即した支援の重点化を図り、医療・介護施設との連携の充実も図ることにした。具合的には、上記登録基準を各市区町村単位で変更できるようになった。たとえば、医療施設や交通機関が充実していても従来は法律などによってサ高住が建てられなかったエリアでも建築が可能になる。

また、サ高住整備に対する補助金の上限も増えた。従来は新築の場合その費用の10分の1で上限100万円/戸だったが上限120万円に、改修の場合その費用の3分の1で上限100万円/戸だったが上限150万円となった。

今までの高齢者向けの施設は、郊外にひっそりあるといったものが多かった。しかし、前述のように最近のお年寄りは元気。老人扱いを嫌い、活発に行動したい人も多い。今後はそのような人に向けて、「都心の真ん中」「畑付き」「ゴルフ場付き」といったように様々なコンセプトに特化したサ高住が増えていくことに期待したい。

サ高住は年々増え続けている。2016年3月末時点で19万9056戸(出典:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム)サ高住は年々増え続けている。2016年3月末時点で19万9056戸(出典:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム)

2016年 05月25日 11時05分