騒音トラブルの中でも事前に察知しにくいのが夫婦喧嘩

騒音トラブルは夕方から夜間にかけて発生することが多く、悩まされる側からすると精神的にも、肉体的にも苦痛騒音トラブルは夕方から夜間にかけて発生することが多く、悩まされる側からすると精神的にも、肉体的にも苦痛

賃貸では部屋探し時はもちろん、暮らし始めてからも不動産会社とお付き合いするケースは多々想定される。そんな時に気持ちよく対処してもらい、楽しい暮らしを送るためには、不動産会社の仕事や役割、どんなことをしてもらえるのかなどを知っておくと何かと便利。これは日夜様々なトラブルに対処してきた不動産会社の裏話に耳を傾け、より良い暮らしのためのノウハウを学ぶ連載の第11回目。今回は住まいを巡る男と女のトラブルをテーマに知恵を拝借しよう。

音問題は発生すると解決が難しいトラブルのひとつ。中でも事前に察知しにくいのが夫婦喧嘩。建物内ですれ違っている分には仲が良さそうなのに、夜中になると大喧嘩が始まるというケースもあり、うっかり隣に住んでしまうと騒音などに悩まされることにもなりかねない。

「夜中になると隣から殺される~、助けて~という叫び声がするなど、頻繁に苦情が入り、警察も呼ばれている部屋がありました。他の入居者からの苦情で何度も電話をしたり、手紙を出したりはしたのですが、全く反応がありません。しばらくして退去することになり、立ち合いましたが、壁は穴だらけ、建具やドアもボロボロで、これは夫婦喧嘩か、家庭内暴力があったのだろうなと思いましたが、不動産会社としては立ち入れず。あまりにひどいケースでは騒音に耐えかねてお隣の入居者が退去されることもありました」(ハウスメイトパートナーズ東東京支店元支店長・谷尚子氏)。

ただ、こうしたケースでも騒音を止める手立てがないわけではない。「法人契約の場合には会社に相談しますよ、親が保証人になっている場合には保証人に連絡しますよと伝えるとたいていは収まります。保証人が妻の親の時には特に効き目があります。ただ、保証会社だけで保証人を立てていないケースでは本人に連絡を取り続けるしか方法がないため、難航してしまいます」。保証人を依頼しなくてはいけないのは面倒だが、ご近所との関係でいえば保証人が必要な契約のほうが安心という場合もあるわけだ。

また、事前にそうした不安を解消しておくためには事前に不動産会社に「前の部屋がうるさかったから今度は静かな部屋に住みたい」と強く要望しておくこと。「隣はどんな人ですか?」という質問では個人情報との兼ね合いで答えてもらえないが、今までに騒音関係の苦情が出ていたかどうかは、管理している不動産会社なら分かるはず。ただし、仲介だけをやっている会社の場合にはそこまでは知らないことが多い。

ちなみに隣から子どもの泣き声、叫び声が聞こえるというケースでは児童虐待というケースもあり得る。かわいそうなので何とかして欲しい、うるさいので注意して欲しいと不動産会社に連絡してくる人も多いらしいが、そんな場合の窓口になるのは不動産会社ではなく、近くの児童相談所。不動産会社では対応できない。

離婚後は名義変更をお忘れなく

別れた後で相手の親族などに迷惑がかからないよう、関係を解消する時には保証人をどうするかも同時に決めて行動を別れた後で相手の親族などに迷惑がかからないよう、関係を解消する時には保証人をどうするかも同時に決めて行動を

別れた後のトラブルで問題が深刻になりがちなのが名義変更。離婚後、2人で住んだ部屋に住み続けるのは女性が大半だが、退去した男性より収入が少ないケースでは家賃の支払いが問題になる。

「離婚後、同じ部屋に妻が住み続ける場合、名義変更、保証人の変更が必要です。実際には変更をしないで、そのままになっているケースが多く、そこで滞納が生ずると面倒なことになります。元夫の父親が保証人になっている例が多いので、そこに連絡が行ってしまうのです」。

元夫の父親からすれば、すでに他人になってしまった元嫁の滞納である。払う義理などないと思うだろうが、他人になっていても名義が変更されていない限り、保証人としての責務には代わりはない。保証人である限りは他人の債務も払わなくてはいけないことになるのである。そんな事態に陥らないためには離婚届と名義変更は同時にが鉄則だ。ちなみに同棲の場合には双方の親に保証人になってもらうケースが多いので、退去する側の親を保証人から外す手続きが必要だ。

もうひとつ、離婚後、その部屋に住み続ける際に問題になるのは、女性の年収である。たいていの場合、男性の収入を基に部屋を選んでいるので、女性だけで住み続けるには無理があるケースが多いのである。「自分の収入だけでは足りないからと、慰謝料を収入として書く人も少なくないのですが、残念ながら慰謝料はしばらくすると払われなくなるケースも多く、収入と認めにくいもの。もし、離婚を考えるのなら、自分で部屋を借りる可能性を考え、お金の工面をしておく、保証人になってくれる人を作っておくなど準備が必要でしょう」。

これは同棲時も同じ。単独でも入居審査が通るだけの経済力がないと、別れた後は大変。結婚時、同棲開始時に別れる時のことまで考える人は少ないかもしれないが、人生、何があるか分からない。可能な限り、自分ひとりで部屋が借りられる状態をキープしておくことも大事だろう。

勝手に同棲は契約違反。ご近所からの通報でばれるケース多々

ペット不可、単身者専用などとなっている物件でそれを無視した場合、退去を通告される可能性があるペット不可、単身者専用などとなっている物件でそれを無視した場合、退去を通告される可能性がある

単身者向きの物件で勝手に同棲を始めるのもご法度。たいていの場合、ご近所からの通報でばれるケースが多いと谷さん。「ご近所から『夜、毎日、うるさいんです』というような連絡があり、それでばれることが多いですね」。

私自身、壮絶(!)なばれ方に立ち会ったことがある。雑誌でペットを飼っているカップルを取材、掲載したところ、それが同棲不可でかつペット不可という物件だったという例である。取材申し込み時に入居者である男性に2人で住んでいること、ペットを飼っていることを公表しても問題がないかは確認していたが、当人はたいしたことではないと聞き逃していたのだろう。実はどちらも不可だったのだ。

たまたま、雑誌記事を見た不動産会社が気づいたことから問題が発覚。不動産会社は契約違反だと激怒、突然にその男性宅を急襲した。そこで彼女、犬がいることを確認し、不動産会社は即日、退去を通告したのだが、彼は犬は友人から預かったものと弁明、かつ彼女は勝手に転がり込んできただけで、付き合っているわけではないと言い訳した。黙って退去したのであれば、部屋は失っても彼女を失うことはなかっただろうが、その言い訳に彼女が激怒。そのまま、2人は破局、彼はいろいろなモノを失う結果となった。

ただ、彼女にとってそのトラブルは良い教訓になったようで、後日、人を介して「あの一件で男の本性が分かった。あのまま付き合わなくて良かった」という言葉を聞いた。個人的にはそもそも、契約違反を分かっていてやるような男とは付き合わないほうが良い気がするが、それでも結婚前に本性が分かって良かったのではないかと思う。ちなみにペットも同棲同様、周囲の人からの通告でばれることが多い。

妻でも愛人宅の契約解除は不可

一般の人にはあまり縁がない話だろうと思うが、世の中には愛人のために部屋を借りるケースもある。これは同棲と違い、ばれにくい。「ワンルームや1Kで同棲していればばれますが、単身用物件に女性が一人で住んでいる場合、契約者が誰かということは近隣は知り得ません。だから単身女性の部屋に彼氏が遊びに来ているとしか思わないからです。また、世帯数が多いところなら入居者の入れ替わりも多く、誰が住んでいるか関心がない方が多いので、ばれる心配は少ないようです」。

とはいえ、たまにばれるケースもある。「ある日、会社に女性が訪れて『この部屋を即刻解約してくれ』と言い出したことがありました。契約者でも保証人でもないのに、なぜ?と聞くと、少し前に目黒で10数万円のワンルームを借りた30代男性の妻とのこと。独身男性が一人で住むケースと思っていたのですが、実は愛人のために借りていたことが分かりました。ただ、彼女の気持ちは分かるものの、契約には彼女は無関係。解約するわけには行きませんと説明したのですが、その後は泣き出す、ヒステリーを起こすと大変な騒ぎ。幸い、翌日には解約の申込みが入りましたが」。

ちなみに以前就職関連情報雑誌の仕事で浮気などを主に調査している探偵さんの話を聞いたことがあるが、愛人宅を借りると浮気はばれやすくなるという。というのは、都度都度違う場所を利用するのと違い、逢瀬の場所が固定されると男は気が緩み、妻に勘づかれやすくなるのだという。殿方はご用心されたい。

色っぽい話の苦情はとりあえず管理会社に

男と女の問題は余人が口を挟みにくい。できれば問題は当人同士で解決していただきたいところだ男と女の問題は余人が口を挟みにくい。できれば問題は当人同士で解決していただきたいところだ

お隣の夜の声がうるさい、不特定多数の男性、女性が出入りしているなど、色っぽい話の苦情は他の苦情同様、直接ではなく、とりあえず管理会社に連絡するのが無難。直接隣人に文句を言ったら、出入りしている男性に凄まれた例などもあるためだ。管理会社も注意の仕方は工夫しているそうで、「クレーム対応に慣れている私たちでも注意しにくく、相手も注意されたくないであろうデリケートな問題のため、相手に恥ずかしい思いをさせないように、可能な限り、男性の入居者には男性が、女性の入居者には女性が注意するようにしています。『夜のお声がうるさいと苦情が来ております』というような言い方で察していただけるケースが大半です」。

また、死角になるような場所がある物件ではそこに部外者が入り込んで何やら、怪しげなことをというケースもある。「1階に駐車場があるようなマンションではそこが暗く、死角になりやすいため、部外者が入り込んで騒ぐケースがあり、苦情を頂くことも。そうしたケースでは苦情を頂いた時点の相手に対して注意をしても、他の人が入ってくるようでは意味がないので、そもそも入ってきにくくなるよう、人感センサーを付けて人が入ってくるとライトが付くようにするなどの対処をします。以前、非常階段の最上階で中学生のカップルがいちゃいちゃしているのに腹を立てた入居者がそこの壁に『ここで●・●●するな』と落書きをしたことがありましたが、それでは効果はなく、逆に迷惑な話。義憤は堪え、管理会社にご連絡ください」。

もうひとつ、以前、当連載「【不動産会社のびっくり事件簿③】鍵付きでも、8階でも覗かれる危険があるってホント?」でも書いたが、相手と別れたら鍵を返却してもらうのはもちろん、鍵を変えることも大事。相手によっては勝手に入り込むような事態も想定できるためで、それを考えると鍵を渡すのはある程度相手を見定めてからのほうが安心かもしれない。

2016年 02月05日 11時09分