契約書記載事項に変更があったらすぐ連絡

家族構成が変わるようなことがあったら、必ず連絡をしておきたい家族構成が変わるようなことがあったら、必ず連絡をしておきたい

賃貸では部屋探し時はもちろん、暮らし始めてからも不動産会社とお付き合いするケースは多々想定される。そんな時に気持ちよく対処してもらい、楽しい暮らしを送るためには、不動産会社の仕事や役割、どんなことをしてもらえるのかなどを知っておくと何かと便利。これは日夜様々なトラブルに対処してきた不動産会社の裏話に耳を傾け、より良い暮らしのためのノウハウを学ぶ連載の第10回目。今回は毎日の生活の中で、こんなことがあったら不動産会社に連絡したほうが良いという状況を見ていこう。

「忘れられがちですが、必ず連絡していただきたいのは契約書に記載された事項に変更があった場合です。具体的には家族が増えた、減った、保証人が亡くなった、会社が変わった、電話番号が変わったなどです」というのはハウスメイトパートナーズ東東京支店元支店長・谷尚子さん。「子どもの足音がうるさいという苦情をいただいたものの、子どものいないご家庭のはずなのにということがしばしばあります。知らないうちに電話番号が変わっていて繋がらず、そのために漏水などの緊急時に対応が遅れるその他トラブルに繋がることも。変更があったらすぐに教えてください」。

ちなみにカップル、ファミリーで住んでいて子どもが増えた場合は問題ないが、単身者向け物件に単身で契約していた場合で「家族が増えました」はNG。契約違反になるので注意したい。「そうした場合にはたいてい、建物内の他の入居者から連絡を頂きます。匿名で電話を頂く場合もあり。黙っていたらばれないということはないのでご注意ください」。無断でペットを飼っている場合にも同様のケースが多いそうである。

結露、カビ、漏水……。室内の異変は放置しない

早期に修理、手入れをすればさほどの問題にならないことも多い。何か、変だなと思ったら、相談してみよう早期に修理、手入れをすればさほどの問題にならないことも多い。何か、変だなと思ったら、相談してみよう

結露やカビ、漏水なども必ず連絡したいところ。「発生した時点では入居者の責任とならなくても、それを放置して悪化させたとなると入居者の非となります。気づいた時点でご連絡いただければ原因が分かり、対処できることもあれば、生活の仕方などをアドバイスできることもあります。よく、『この家はかびやすいね』などと聞きますが、家のせいである場合もないではありませんが、暮らし方のせいであることも多く、ほんの少し注意して暮らすようにするだけで解決します」。

建具の合板ドアの割れ、剥がれや敷居の割れ、ドアノブや建具の歪みその他も気づいたら連絡しよう。「早い時期なら簡単に修理できることを放置したために、金具が壊れたり、部材が割れたりすると修繕費用がかさみます。被害を拡大させたとして入居者の責任が問われ、修繕費を負担しなければならなくなる場合もあります。退去時に高い修繕費を負担する羽目になるより、入居中の、修繕費も安いうちに修理して、快適に住んで頂いたほうがいいと思います。スマホを利用、異変のある箇所を撮影してそれをメールで送っていただければ、私たちも状況が分かり、判断しやすいので、お勧めです」。

送ったメールを保存しておけば退去時の証拠にもなる。原状回復を巡るトラブルのひとつとしていつ、誰が傷をつけたかが分からなくなってしまうことが挙げられるが、記録があれば、責任の所在がはっきりする。ただし、使い方が悪くて壊れてしまった、不注意で傷つけたものなどは本人の責任である。連絡さえすればいいというわけではないので、その点は間違えないようにしたい。

共用部の異変は詳細な情報を添えて通知を

駐車場、駐輪場、ゴミ置き場など部屋以外の場所でのトラブルも意外に多い駐車場、駐輪場、ゴミ置き場など部屋以外の場所でのトラブルも意外に多い

共用部、敷地内の異変も教えてもらえるとありがたいと谷さん。「共益費をむやみに高額にしないために建物巡回に割ける予算は決まっており、毎日巡回できるわけではありません。ですから、廊下の電球が切れている、冷蔵庫が不法投棄されているなど、気づいた時に教えていただければ早く対処できて助かります」。

共用部にゴミが捨てられていようが、私物が放置されていようが誰も気にしない、無関心な物件は荒れることが多く、住環境は劣化しがち。自分の住む環境を良くしたいのであれば、気づいたことは連絡するようにしたい。加えて、その際には詳細な情報があればベター。「特に不法駐車などで連絡を受けて現場に行っても、その時にはもういないこともあります。であれば、連絡の際に車種、ナンバーなどを教えてもらっていれば、その後の対応がしやすくなります。不法投棄でもいつ、どんな人が捨てたなどが分かっていればこっそり教えていただきたいところです」。

もちろん、その場で注意できることであれば注意したいところだが、最近は注意したことで逆恨みされるなどの事態もありうる。そうした危険を回避するためには、やはり、専門家に入ってもらい、ビジネスライクな対処をしてもらうほうが安全だろう。

また、連絡をしてくる人の中には「すぐに見に来い、24時間、駐車場を見張っていろ」などと無理難題を言う人もいるそうだが、自分の仕事に置き換えて考えてみれば、それがいかに理不尽かは分かるはず。不動産会社と良い関係を保ちたいなら「お知らせしておきます、ご相談したいのですが」などといった言い方がよいだろう。

連絡しても、不動産会社では対処できないこともある

飲食店街では害虫や騒音、臭いなどのトラブルが発生することがあるが、1軒だけの問題ではないので解決しにくい飲食店街では害虫や騒音、臭いなどのトラブルが発生することがあるが、1軒だけの問題ではないので解決しにくい

室内、共用部など異変があったら連絡したほうが良いわけだが、連絡してもすぐに対処が難しい、または対処ができないこともある。代表的なものは音や臭い。「建物の不備と分かれば修繕の方法が分かり、対処しようがありますが、いくら調べても原因が分からないなど、対処に困る場合もあります。調べに行った時にはその現象が起こらない場合も同じです。また、隣の物件の夫婦喧嘩や商店街の音楽がうるさいなど、不動産会社の管理の及ばない部分に問題があるなどの場合の対処は非常に難しいです」。

同じ問題が生じても対処できる場合、できない場合があることもある。「例えば住宅街でネズミ、虫が出るなら駆除会社を依頼するなどして対処できないことはありませんが、飲食店街の中にある建物の場合、周辺一帯にネズミ、虫が出ているとしたら、駆除してもきりが無く、古い物件だと侵入を防ぐにも限界があるので、一軒だけで解決を図るのは難しい。そうなると率直なところ、打つ手がありません」。

また、古い物件に入居する場合、新築や築年の浅い物件と同じレベルを求めるのは無理がある。「古い物件では建付けが悪い。落ちない汚れが残っているなどを許容していただくことも必要です。入居中に不具合が起きても修理に限界があり、これ以上は直せないので我慢してくださいとお願いする場合も。そもそも、不備を承知の上、現況を優先する代わりに家賃を相場より安くしていることもあります。古いことが分かっているにも関わらず完璧を求め、入居時点では納得したことに後から苦情を言い続ける方がいますが、それを修繕していたら、その家賃では入居できなかったと考え、現況で住んでいただくしかないと思います」。

商品の値段はその価値に従って決められる。賃貸住宅の家賃も同様で、5万円の家賃で10万円の住宅は借りられないのである。また、更新料その他の条件にも言えることだが、契約時に署名押印をするということは契約書にある内容を納得したということである。一度、イエスと言ったことを、後になって「やっぱりダメです」というのは普通の人間関係でも良しとはされない。契約書を交わすような状況で良いわけはなく、そうした事態を避けたいなら、契約の時点で注意をすることである。

2015年 10月08日 11時06分