win-winな関係を生み出す産学連携プロジェクト

最優秀賞の「利休気分」デザインのイメージ画最優秀賞の「利休気分」デザインのイメージ画

近年、企業と学生がコラボレートする「産学連携プロジェクト」が盛んになっている。企業にとっては、学生たちのフレッシュな感覚を取り入れることで、今までになかったアイデアを生み出すことができるし、学生にとっては、企業から物質的な援助を得て夢を実現でき、実際の現場を体験できる、win-winな企画だからだろう。
そして今般、株式会社レオパレス21と学校法人・専門学校 大阪モード学園、そして株式会社サンゲツによる産学連携のコラボレーション企画の第二弾が開催された。第一弾は名古屋で開催され、名古屋モード学園の学生が参加。その様子は以前にHOME'S PRESSでも紹介した。今回は、大阪モード学園の学生が「大阪独自の魅力を発信する部屋」をデザインし、株式会社サンゲツが提供した素材で、レオパレス21のショールームに施工するものだ。
サンゲツ、レオパレス21の社員、およびネット投票の結果、10チームの中から最優秀賞に選ばれたデザインは牧野晃帆さんと宮武祐佳さんの「利休気分」。そして王英里奈さんと星旭さんの「KUIDAORE room」が優秀賞に選ばれた。
そこで、最優秀賞・優秀賞の二組に取材させてもらった。

大阪の歴史的価値も知ってもらいたい

壁にとりつけ予定の「窓」を持ち、自分たちのデザインした部屋でくつろいでほしい、レオパレスには珍しい和室を楽しんでほしいと語る牧野さん(左)と宮武さん(右)壁にとりつけ予定の「窓」を持ち、自分たちのデザインした部屋でくつろいでほしい、レオパレスには珍しい和室を楽しんでほしいと語る牧野さん(左)と宮武さん(右)

壁にとりつけ予定の「窓」を持ち、自分たちのデザインした部屋でくつろいでほしい、レオパレスには珍しい和室を楽しんでほしいと語る、「利休気分」をデザインした牧野さんと宮武さん。

「大阪は、明るく派手な町ですが、歴史的な価値もちゃんと持っているということを改めて発信したかった」と語るのは牧野さん。適塾など、歴史遺物は少なくないが、デザインとして取り組みやすく、万人に発信しやすい和のイメージから、茶室を選んだのだそうだ。若いお二人にとって、利休は偉大な茶人というより、「地元の人」なのだとか。

壁紙は黄金の茶室をイメージした金色。金色の壁紙は珍しいように思うが、意外にたくさんの種類があったという。
「黄金の茶室のイメージはもっと派手な金色ですが、部屋にいて落ち着く、ほっとする色がいいと思いました。大阪には雑多なものが存在し、互いに矛盾しながらも調和しています。黄金とわびさびもある意味相反するものですが、調和させるよう、二人で頭をひねりました」と宮武さんは教えてくれた。
壁の松や竹の模様の切り出しは、自分たちで行った。竹の模様は、下書きをするといろいろなことを考えてしまって元のイメージが壊れてしまうので、思い切って下書きなしで、切り出したのだとか。

「窓」は外をイメージ喚起させるための装置

和室でよく見かける格子天井だが、どのように表現するかが難題だったとか和室でよく見かける格子天井だが、どのように表現するかが難題だったとか

この部屋で一番のこだわりは、壁にとりつける予定の窓だとか。茶室といえば窓ということもあるが、それだけではないそうだ。その理由を牧野さんはこう説明してくれた。
「窓は外と中を分ける仕切りの意味もありますが、窓がそこにあるだけで、『この向こうにも何かある』と思わせる、空間を感じさせるための装置でもあるのです」

また、格子模様が入った天井は、いかにも和のテイストだが、施工には苦労したと二人は語る。
「デザインの段階では深く考えていませんでしたが、実際に施工するとなると、ただの線なのか、厚みがあるのか考えないといけません。現実と、パソコンの中だけの世界の違いを感じました」と宮武さん。
二人とも、将来は、建築関係のデザインに携わりたいという夢を持っている。今回の経験は自信につながった部分と、自信喪失した部分が半々だという。でも、「夢がグンと近づいた感じ」なのだそうだ。現実にできることとできないことが見えてきたので、その境目を埋めないといけないと感じ、誰かが使うことを考えたデザインを志したいと熱く語ってくれた。

気分に合わせて壁の色を配置

「継ぎ目部分の施工が難しかったと業者さんに言われました」と、星さん(左)と、王さん(右)「継ぎ目部分の施工が難しかったと業者さんに言われました」と、星さん(左)と、王さん(右)

優秀賞の「KUIDAORE room」をデザインした王さんと星さんにとっても、大阪は、「活気があり、明るい町」という印象だとか。ただ明るいだけでなく、住んでいて落ち着くという印象もあるそうだ。そこで、正反対の印象をもつ赤と青を使いながらも、調和を表現した。
「カラーセラピーでとらえたとき、赤は元気をくれる色。そして青は落ち着く色です。だから、落ち着いて勉強したいときは青、でかける前に鏡をみながら『今日もがんばろう』と喝を入れるときは、赤の壁が見えるよう工夫しました」と、王さん。
しかし、赤と青は、ただ動と静の表現だけではないという。星さんは、
「赤と青はくいだおれ太郎の色でもあります。道頓堀のくいだおれ太郎は、大阪の元気の象徴だと思いました。ポップな色合いがいかにも大阪らしい活気を表していると思ったのです」と教えてくれた。

こだわったのは、赤と青を使いながら、極端にならず、居住空間として調和させること。
「デザインするのは頭の中の作業。それが実現したのは初めてのことです。将来はインテリアコーディネーターになりたいのですが、実際にやってみると見落としがたくさんありました。プロになる前の予行演習としては、最高の経験だったと思います」と王さんは語るが、具体的にどんな見落としなのだろうか。
星さんに尋ねると、「赤い壁につけた白い枠は大変だったみたいで、業者さんには、「難しい」「厳しい」といわれました。プロになれば、施工しやすさも考えなくてはいけないですね」と答えてくれた。

学生のデザインから学ぶこと

株式会社レオパレス21学校法人担当の松居克洋氏(左)、同営業副部長の横山雅志氏(中)、株式会社サンゲツの平山仁規氏(右)株式会社レオパレス21学校法人担当の松居克洋氏(左)、同営業副部長の横山雅志氏(中)、株式会社サンゲツの平山仁規氏(右)

今回の企画の主旨について、株式会社レオパレス21 営業副部長の横山雅志氏は、
「『大阪らしい部屋』をテーマにしたのは、本プロジェクト第一弾の名古屋も『名古屋らしい部屋』がテーマだったので、郷土愛で競ってもらおうという考えがありました」
と語る。結果として、大人では発想できない、学生だからこそのアイデアに触れられたと実感したという。
「もちろん、社員もユニークな設計をしますが、自社の決まったパターンを応用した部屋がどうしても多いのです。その点、学生は柔軟で、型にはまらないのが興味深い。もしかしたら、今回の作品が今後、レオパレスの定型パターンになるかもしれませんね」
と松居氏も話してくれた。

しかし、プロのデザインとは違う苦労もあったようで、
「デザインを現実の部屋に置き換えるのは、素材的にも技術的にも難しいと感じました。ですが、さすがに優秀な学生さんだけあって、選び方にプロ顔負けのセンスを感じましたね」
とはサンゲツの平山氏の弁だ。

今後も地域密着した形で、学生さんたちと一緒にできるイベントを考えたいという。インテリアの一部として壁紙を変えるという方法が普及しつつある中で、これから新しい壁紙を生み出す際、学生さんたちのアイデアは多いに参考になるのだとか。
また、この部屋は、施工が完成したら、オープンルームとして見学可能。テーマに併せて壁紙が選べる「お部屋カスタマイズ」のパターンの一つとしてのサービス提供を考えているそうなので、「この部屋に住んでみたい」という方は、まずショールームに足を運んでみてはいかがだろう。

2015年 03月20日 11時07分