2018年以降、在宅ワークスペースへの注目度高まる

新型コロナウイルス感染防止対策のため、2020年3月ごろから仕事を在宅でのリモートワークに切り替えた人は多いだろう。緊急事態宣言か解除された後も、感染者が増減することが考えられ、リモートワークが断続する可能性がある。そうした状況を踏まえ、また、実際に在宅での仕事を経験して、あらためて自分に合うワークスペースを検討している人は多いのではないか。

今回は、リノベーション会社の株式会社リビタから、快適に仕事をこなせる自宅のワークスペースづくりについて話を伺った。

「ここ数年、リノベーションの依頼の中に、会社から持ち帰った仕事などをこなす小さな書斎からフリーランスとして使用する本格的な仕事部屋まで、ワークスペースについてのご要望は増えていました。2018年に成立した働き方改革関連法や、それに伴う副業容認の影響もあると思います」と物件探しとリノベーションのコンサルタント「リノサポ」の担当者、飯田勇人氏は話す。

フリーランスの編集者が使用するワークスペースの一例(写真提供/特記以外、リビタ)フリーランスの編集者が使用するワークスペースの一例(写真提供/特記以外、リビタ)

家族の動線と交わらない、落ち着いた場所を選ぶ

住まいにワークスペースを設ける場合は、まず、場所選びが大切だという。
「仕事に集中できるように、家族の往来の少ないところがいいですね。特に、家事動線と重なる場所は避けたい」(飯田氏)

居心地の良さを求めるなら、自然光が差し込み、時間や季節の移ろいを感じられる窓辺などの場所がおすすめだ。
「たとえば、これまでリビングダイニングで勉強や持ち帰り仕事などをこなしてきた人は、LDKの一角でも支障ないと思います」(飯田氏)

ただし、利用時間が長くなったり、パブリックスペースでもあるので、他の家族の意見もしっかり反映してほしい。
「スペースを間仕切り壁などで仕切るか、オープンスペースの一角に配置するかは、おこもり感などの自分の好みや勤務時間の長さなどから検討を」(飯田氏)

そのほか仕事をこなしやすくするために、些細なことではあるが、下記のような点に留意するといいという。

① パソコンなどの配線も重要。デスクや収納家具とともに、コンセントの位置をしっかり計画。
② デスクのサイズは最低幅100㎝、奥行き60㎝を確保したい。パソコン、モニター、資料などを置いても余裕があるとよい。
③ 必要な収納量の確保を。机下に収納スペースを設けるなら、足元には十分な空間を持たせる、あるいは可動式にする。

リビングの一角を、腰高の本棚で仕切って設けたワークスペースの例リビングの一角を、腰高の本棚で仕切って設けたワークスペースの例

LDKにスペースを設ける場合は、家族や生活用品が目に入りにくい位置に

住まいで最も広いLDKの一角にワークスペースを設けることにした、というケースも少なくない。ここでは、リノベーション事例をもとに、LDKでのワークスペースづくりのポイントを紹介する。

「一時的と割り切る場合、ワークデスクやカウンターを設ける程度でも。他の用途にも転用できるよう、仕事場としてつくり込みすぎないようにします。他の家族がくつろぐ場や雑多な生活用品などが視界に入りにくいように、ワークデスクの位置を決めるといいでしょう」(飯田氏)

具体的には、[事例1]のように腰高窓を活かし窓辺に向かってワークデスクを設けたり、[事例2]のようにキッチン周りに奥行きの深いカウンターを取り付けるという工夫の仕方もある。[事例2]では調理台周辺に壁を立ち上げて中の雑多な様子を見えにくくしたり、パソコンや周辺機器などが使えるようにコンセントの位置や数を検討してある。

スペースを確保するため間仕切り壁を設けたいという人もいるだろう。ある程度の開放感も得たかったり、子どもの様子をうかがいながら仕事をしたいなら、天井までふさがず、[事例3]のように適度な高さに抑えておくといい。そのほかルーバーを使い、生活スペースと緩やかに仕切る方法もある。

上/[事例3]LDKや廊下を腰高の壁で間仕切り、ゆるくつながるワークスペース。左下/[事例1]窓辺に夫用に疲れない高さのワークデスクを造作した。右下/[事例2]キッチンに向かって右側のカウンターは、ワークスペースとして使えるように奥行きを深くした上/[事例3]LDKや廊下を腰高の壁で間仕切り、ゆるくつながるワークスペース。左下/[事例1]窓辺に夫用に疲れない高さのワークデスクを造作した。右下/[事例2]キッチンに向かって右側のカウンターは、ワークスペースとして使えるように奥行きを深くした

大型のダイニングテーブルにワークスペースを兼ねる

多くの書類や資料、サンプルなどを並べつつ仕事をしたい人には、大きめのダイニングテーブルを活用する手もある。[事例4]では、簡単な調理のできるキッチンカウンターからダイニングテーブル、ワークデスクまでを一体化した、大型のアイランドキッチンを設けている。食事をするときと、仕事をするときに向くテーブルの高さは異なるため、テーブルの天板の高さは一律にし、床面に段差を設けた。これにより、ダイニングスペースとワークスペースのゆるやかなゾーニングもかなえている。

[事例5]は階段室を挟むようにダイニングキッチンとリビングを配置している。ダイニングキッチンとリビングは緩やかに仕切られているため、ダイニングテーブルで仕事をしていてもリビングにいる家族の様子はほぼ気にならないという。その一方で、リビングにいる家族の気配が伝わってくるため、安心しつつ仕事をこなせる。

上/[事例4]大きなアイランドキッチンを造作し、カウンターに向かって右側をワークスペース、手前をダイニングスペースとして使用する。下/[事例5]ダイニングを妻のワークスペースとしても活用している。階段を挟み反対側はリビング上/[事例4]大きなアイランドキッチンを造作し、カウンターに向かって右側をワークスペース、手前をダイニングスペースとして使用する。下/[事例5]ダイニングを妻のワークスペースとしても活用している。階段を挟み反対側はリビング

本格的な独立型ワークスペースは、遮音にも有効

緊急事態宣言を機に在宅ワークが本格化し、長期間にわたる予定の人もいるのではないだろうか。諸事情で引っ越しが難しければ、住まいの広さに関わらず、リノベーションで本格的な仕事部屋をつくってしまう選択肢もある。長い時間、快適に仕事をこなすために、限られた空間であっても採光や遮音などの対策をしておきたい。

[事例6]は玄関すぐわきの個室を仕事部屋に変更した例だ。廊下との間はガラス窓で仕切ったので、部屋には開放感が生まれつつ、他の部屋からの生活音は遮ることができる。また、部屋の窓からの光が玄関まで差し込むという効果もある。

[事例7]では、キッチンから続くダイニングスペースを壁で間仕切り、ワークスペースとして独立させている。ただし、壁にはガラス窓を設けて、仕事中でも隣のリビング側にいる家族の様子が目に入るようにした。

「現在の外出自粛の期間は、ワークスペースを含め、わが家の使い勝手を見直す機会にもなりそうです。今後、住まいのリノベーションする際には、今回の経験がきっとプランニングに活きますね」(飯田氏)

上/[事例6]夫のワークスペース。ガラスで間仕切り、ワークスペースから玄関(写真手前)まで開放感が。下/[事例7]妻のワークスペース。集中したいときは内部のカーテンを閉める上/[事例6]夫のワークスペース。ガラスで間仕切り、ワークスペースから玄関(写真手前)まで開放感が。下/[事例7]妻のワークスペース。集中したいときは内部のカーテンを閉める

2020年 06月05日 11時05分