9割の人は知らない、我が家の床下…

「ご自宅の床下を見たことがある方?」の質問に、手が上がることは稀「ご自宅の床下を見たことがある方?」の質問に、手が上がることは稀

「ご自宅の床下を見たことがありますか?」

セミナーや学習会の講師として立たせて頂く中で、冒頭に必ず確認しているのがこちら。
この質問を約9年重ねた経験から、9割以上の方がご自宅の床下に潜ったことがないと分かった。
私のセミナーは築20年以上の方を対象にお話しすることが多いのだが、暮らし始めたばかりの新築ではなく、住み慣れた我が家であっても意外と知らない場所というのはあるようだ。

気にはなるけれど、自分では確認できない(もしくは、したくない)
それが床下なのかもしれない。

今回は“シロアリ対策業界唯一のママ社長”でもある筆者が、
この春、実際に目の当たりにしたシロアリ被害、お施主様のビックリ行動、床下に関するトラブルを紹介し、『あなたの知らない床下事情』をこっそりお教えすると共に、トラブル対処法や木造戸建を持ったら心に留めて頂きたい点などをお伝えする。

見たくないものには蓋。様子見に1・2年。

日ごろ目にすることのない床下。
それ故、外壁塗装などのように目に触れる箇所に比べると、状況把握やメンテナンスについて考えて頂く機会も少なくなるのは仕方のないことかもしれないが、我々専門会社へ床下調査を依頼されるのはやはり、「気になるから」「心配だから」。
何がきっかけになったのかを尋ねてみると、以下のようなものが挙げられた。

①築年数(経年)
②CMや広告による情報
③隣近所でのシロアリ施工
④自宅から突然大量に出てきた羽アリとの遭遇 など

日本のほぼ全域に生息するヤマトシロアリは、4月から6月に羽アリが群飛する特徴を持つため、この時期の調査依頼のきっかけは④が大半だ。
さて、そうして調査に訪問した先で、“専門会社の私からするとおかしな行動”が何件か共通してとられていることに気付いた。

それは
■シロアリ被害にガムテープを貼る(もしくは何かで埋める)
■最初の羽アリ発生から1・2年様子見
の2点。

上を『見たくないものには蓋!行動』、下を『何かの間違いだといいな~行動』と、筆者は勝手に名づけている。

まず、ガムテープを貼ったり、何かで埋める『見たくないものには蓋!行動』について。
これは羽アリが出てきた穴であったり、働きアリが加害してできたものに対して施されているのだが、

■出口を塞ぎ、出口を求めて羽アリやシロアリが他へ移動する=被害範囲が拡がる恐れ
■駆除対策にならない
こうした理由から、止めて頂いている。

また、異変に気づいてから1・2年様子を見る『何かの間違いだといいな~行動』も止めて頂きたい。
その理由は
■様子を見ている(=放置している)期間が長ければ長いほど、蟻害は進行する
■羽アリなどによって隣家にも影響を及ぼす可能性もある

塞がない!放置しない!! これを改めてお願いしたい。

通常1~2台の○○○が、7台も!!

築30年以上の木造住宅。
「羽アリが出た」ということで早速、床下調査に訪問した。
どの辺りから羽アリが出たか?
異変に気付いたのはいつごろか?
過去にシロアリの駆除や予防はしたことがあるか?
などを確認し、いざ床下へ。

そこで目にした驚きの光景は…

通常、1台ないし2台の設置が一般的である撹拌型床下換気扇(床下の空気の澱みを循環させる目的)が、なんと7台。
しかも、それが部屋の各所に設置されているというより“ただ一列に置かれてあるだけ”と表現するのがピッタリの状態で、ひとまとめに設置されてあった。

更には排気型換気扇も複数台取り付けられており、困ったことに「電気代がかさむと思って」と、その電源をお施主様が切ってしまっていたため全ての換気扇は稼働しておらず、床下の空気を排気させるどころか、ただ『通風口を塞いでいるだけのモノ』と化していたのだ。

また、換気扇取付時に床下に潜ったはずなのに、蟻道(ぎどう:シロアリの作るトンネル状の道)が各所に上がっていたり、蟻害があったりしており、到底プロの会社が携わった床下とは思えなかった。
被害を見落としたのか、目的(今回の場合は換気扇取付)以外のトラブルへの対策は不要だと考えたのか、はたまたシロアリの駆除方法を知らなかったとでもいうのか・・・
いずれにせよ、大切なお住まいを支えていると自負している仕事が、こうした会社と「同業」と一括りにされてしまうのかと思うと非常にやるせなくなる。

床下には大量の撹拌型床下換気扇が置かれてあった…床下には大量の撹拌型床下換気扇が置かれてあった…

訪問販売会社には依頼しない

全ての訪問販売会社が悪質という訳ではない。
しかし、どの会社が信頼でき、どの会社が危険なのかの見極めが難しい、被害に遭わないか不安だというのであれば「訪問販売会社には頼まない」という会社選びの基準を持つのも一つだと考える。

この手の会社の悪いところは、
1、過剰販売
2、高額販売
3、追加販売
この3点が挙げられる。

1、過剰販売は、必要以上の数や種類を販売されるというもの。
2、高額販売は、相場より高い単価で販売されるというもの。
3、追加販売は、施工期間中、または施工後の点検などと称して後日訪問し、追加の販売をされるというもの。

商品自体は粗悪でなくとも、不必要な数や、相場より高値販売されてしまうのは悔しい。
「何かおかしいかも?」と疑心が湧いても、自分が騙されたとは思いたくないものなのかもしれないが、こうした心理が問題を表面化させず、また次なる被害を生みかねない。
周囲で急な(計画的でない)施工の話が持ち上がったら内容をぜひ確認してみて欲しい。 早く気づくことができれば『クーリングオフ』を適用できることも。

クーリングオフとは…(警視庁HPより抜粋)

訪問販売や電話勧誘販売などで商品等の購入契約をした後でも、これを解約することができる制度。 クーリング・オフには、期間の制限があり、契約書面を受け取った日から8日以内(マルチ商法は20日以内)であれば、書面によって解約ができる。

クーリング・オフ(解約)をしたいときは…

●書面を発送する日が契約書面を受け取った日から8日以内にあたるか確認する。
●内容証明郵便か書留郵便で販売業者に「解約」を通知する。
●購入した商品を送り返すときには、発送の費用はすべて先方負担(料金受取人払い)で処理する。
●現金で買った場合でも契約書類や領収書は、必ずとっておく。

クーリング・オフを行った場合、損害賠償金や違約金を払う必要はない。また、代金を支払っていても、全額返してもらえる。

警視庁 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/anote/anote4.htm

自分でできるシロアリ対策・メンテナンスを知っておく

建物外部もモノは極力置かないようにしたい。「シロアリの巣」となる場合も。建物外部もモノは極力置かないようにしたい。「シロアリの巣」となる場合も。

悪質訪問会社による被害が起きてしまう要因の一つは、言葉巧みに不安を煽られてしまうからだと思われる。
「知識を持つこと」「現状把握」によってそうした被害は軽減できるのではないか?
冒頭のようなセミナーの開催には、そうした思いも込められている。

そこで、シロアリに関する【自分でできるチェック・メンテナンス】を簡単にご紹介しよう。

・建物外周に蟻道(砂で作られたような筋)が上がっていないか
・庭の杭などがシロアリのエサや棲み家になっていないか
・建物に木材などが立てかけられていないか
・通風口周辺にモノが置かれていないか

チェックした上で気になる点が見つかったら、公益社団法人 日本しろあり対策協会に最寄りの協会の紹介を依頼してみると良いだろう。

以前、こちらに【春はシロアリの恋の季節②】住まいを長持ちさせるための対策は?その効果は??という記事を書かせて頂き、その中で「住まいも恋から愛へ」と表現したのだが、様々な現場に触れるにつけその想いは一層増している。

メンテナンス意識を持っている方のお住まいは、なんとなく分かるものだ。
センスが良い、整っている、という特別なお宅ばかりでは決してない。
手入れを感じられたり、暮らすことを楽しんでいる様子が伝わってくるとでも言おうか…
そして、そうしたお宅は総じて床下の不具合に早い段階で気付けている。

恋して手に入れた我が家。ぜひ、月日を重ねるごとに愛を深めて頂きたいと願ってやまない。


公益社団法人 日本しろあり対策協会 http://www.hakutaikyo.or.jp/

独立法人 国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html

2015年 09月03日 11時06分