羽アリが出てきたら「やってはいけないこと」「やると良いこと」

ヤマトシロアリの羽アリ。パートナーを見つけて新しい家族を作っていく。ヤマトシロアリの羽アリ。パートナーを見つけて新しい家族を作っていく。

前回、羽アリとシロアリの関係や、羽アリの出る条件について述べたが、今回は、羽アリが出てきた家、もしくは羽アリが飛んできて棲みついた家がどのような対策をとっていくと良いのかを考えていきたい。

『羽アリが自宅から出てきた!』

羽の付いた虫がゾロゾロと自宅から出てくる・・・虫の苦手な方は特に、群れを成して出てくるその様子に慌ててしまいがちで、中にはパニックになってしまう方も。

しかし、羽アリが出てきたということは前回述べたとおり。既にいるからといって、1日2日で家が倒壊するという危険はなく、羽アリ自体が人体に影響を及ぼすこともないので、まずは一呼吸おいて頂きたい。

羽アリの群飛を見つけて一番やってしまいがちな行動で、専門家からすると一番避けてほしい行動、それは「殺虫剤を撒く」。
殺虫剤がかかれば羽アリは死ぬし、群飛孔(ぐんひこう)と言われる羽アリの出てくる場所にスプレーすれば、その個所から羽アリは出てこなくなるだろうが、これは根本的な解決にならないだけでなく、その後の施工の妨げにもなりかねないのでグッと堪えて頂きたい。

では、まず何をしたらよいか? 目的を2つに分け、次のような行動をとることをお勧めする。

(羽アリを一先ず目にしないようにするために行うこと)
・掃除機で吸い取る
・ほうきで掃く

(後にシロアリかどうかを判断するために行うこと)
・写真を撮る
・セロテープで個体を採っておく

いずれも駆除にはならない。
あくまでも羽アリを一先ず目にしないためであり、時間が経過すると姿を見せなくなってしまう羽アリを、本当にシロアリか否か後に同定したりするための行動なので、その後はしっかり専門家による調査を受け、実際の被害状況をきちんと把握して頂きたい。

シロアリ対策。保証は何年?

シロアリ施工の保証期間は【5年】が基本。</br>異なっている場合は、その根拠を確認しておきたい。シロアリ施工の保証期間は【5年】が基本。
異なっている場合は、その根拠を確認しておきたい。

残念ながらシロアリの被害に遭ってしまった場合、これ以上の被害を拡げないためには何かしらの対策を講じることになる。

最もポピュラーで、且つ、長年の実績を持つ方法は「薬剤を使用しての施工」。
ドラッグストアやホームセンターでも薬剤を購入することは可能だが、セルフ駆除はお勧めできない。なぜならば、適切な処理ができなければ翌年以降も羽アリが発生し、床下などの蟻害が進行し続ける【再発】の恐れが非常に高いからだ。
また、場合によってはシロアリ業者と建築業者が連携して部材の交換や補強を行った方が良いこともあるので、そこはやはり熟練の専門業者のチェックを受けて、状況に応じた策をとって頂きたい。

ところで、この薬剤処理を行う際に気になるポイントの一つが「保証期間」ではないだろうか。

結論から言うと、既設住宅のシロアリ対策の場合、駆除でも予防でも保証期間は『5年』だと思って頂きたい。
中には『10年』『15年』と謳った会社もあり、消費者としては長い保証期間が魅力的に映ると思われるが、その保証期間の根拠はどこにあるのか、どんな保証内容なのか、施工会社にしっかり確認して欲しい。
現在、公益社団法人日本しろあり対策協会で認定されている薬剤全ての効果は「最長5年」。薬剤効果がなくなってしまっているのに何の根拠もなく保証を長期化させている場合、実際に保証を利用したい状況となった時にスムーズに利用できなかったり、トラブルが生じることもあるので気を付けたい。

薬剤効果がなくなるとシロアリ被害に本当に遭いやすくなるのか?

次に、一度受けた施工はその後どのタイミングで行っていくとよいのだろうか?
費用も発生することなので、できればその頻度は少なく済めばよいのに・・・とお考えの方もいるだろう。

薬剤効果が最長5年なので、薬剤処理をした時を最大として効果は年々減少し、処理後5年以降の薬剤効果はほぼ認められなくなると思われる。
よって、薬剤によるシロアリ対策をベストな状態でキープしておくには「5年ごと」に薬剤処理をするのが良いだろうが、中には、一度処理をすればもう必要ないと勘違いしている方もいる。

そこで、『施工タイミング』を考える一つの目安となる、調査結果があるのでご紹介しよう。
日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合が「蟻害の有無と建物の様々な条件との相関を調べることで、蟻害リスクを検証する」ことを目的に行ったもので、調査対象区分は下記の通り。

A区分:防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分:防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分:過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)

このうち、A区分(防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件)において保証満了日からの経過年数別蟻害発生率を示したのが以下の表である。
保証期限切れ、つまり、薬剤効力の有効期限切れの翌年から蟻害の再発生は起こり始め、経過年数が長くなるにつれ被害発生率も増して行っている。保証満了以後10年経過で被害発生率は約20%ほど、更に10年経過すると30~40%ほどの再発が認められた。
A区分のデータ数は2,615件。その30%となる800件弱の建物が、保証満了後に処理を施さないことで蟻害を再び受けているこの結果を、多いとみるか少ないとみるか。。。

日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合実施「全国シロアリ被害実態調査」より『保証満了日からの経過年数別蟻害発生率』</br>同調査は、平成24年12月25日~平成25年3月8日の期間、全国5000件以上の木造住宅を対象に行われた。日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合実施「全国シロアリ被害実態調査」より『保証満了日からの経過年数別蟻害発生率』
同調査は、平成24年12月25日~平成25年3月8日の期間、全国5000件以上の木造住宅を対象に行われた。

住まいも恋から愛へ。

『春はシロアリの恋の季節』と題したが、住まいと恋愛は少し似ているような気がしてきた。

ドキドキ・ワクワクと胸を躍らせ新築を建てたが、長年連れ添う中でときめきはいつか雨ざらしの外壁の変化のように色褪せ、存在の大切さも忘れがちになってはいないだろうか。
しかし、「長期優良住宅」が謳われ、時代は確実にストック型に変わっていく。そうすると今まで以上に【今あるものを長持ちさせること】に意識を向けることが大切になってくる。
人生のパートナーのことをそこに居て当たり前と思うのではなく、声をかけ、思いやりの心をかけて良好な関係で末永く連れ添っていくように、住まいもまた、心をかけ、手をかけて、良い状態を長く維持していく努力が必要な時代に突入しているのだ。
そのために知識を得、自分でできること・プロの力を借りることを上手に暮らしに取り入れていくことが、今後ますます住まい手に求められるのではないかと著者は考える。

取材協力 : 関東白蟻防除(株)代表取締役 南山和也氏 http://kanto-shiroari.com/
データ参照 : 日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合実施「全国シロアリ被害実態調査」

2014年 05月09日 14時36分