数はあるけどこれといって

「お客さんに“これいいですよ!”と薦められる不動産が少なくなったような気がする」…昨年の秋ぐらいから不動産関係者と話すとこのような話題が出るようになった。価格と内容がマッチしていてかつ難点があまりない不動産が数少なくなっているようだ。
更に話を聞くと、今年の1月には顧客に薦められる不動産も大多数は契約が終わり、このままでは売れる物件がなくなるのでそれはマズイと、2月からは不動産の仕入れに邁進しているとのことである。

私もコンサルの過程で顧客と一緒に条件を整理し不動産を探すことが多い。
物件の探索をかけると「ないないと言う割には結構売っている不動産は多いな」と思うのだが、資料を拾って物件の精査をかけていくと「これはお薦めできるな」と思う不動産が少ないことに気づく。
一言でいうと価格と内容が合っていると思う不動産がそんなに多くないのである。首都圏では物件における売れ易い・売れにくいの二極化は前から起きていたが、価格と内容のミスマッチを見ると、今年は更にその傾向に拍車がかかるような気がする。

2014年は“期待感”と“様子見”の年か?

世相自体が不動産価格は上昇する基調であり、その雰囲気に飲まれた不動産市場が形成されつつある世相自体が不動産価格は上昇する基調であり、その雰囲気に飲まれた不動産市場が形成されつつある

これらの現象をどう考えて、どう対応するかを考えてみた。
売手サイドで考えると今無理に売らなくとも、今後価格が上昇するかもしれないので、しばらく様子を見るかと言ったところだろう。もしくは、価格上昇を見込んで高めに売り出すか。
とすれば、“期待感”と“様子見”がキーワードとなる2014年かもしれない。

現に私がコンサルをしている都内某社の土地はこの期待感によって親族一同と協議の結果、しばらく駐車場として寝かすことが決まった。
本来は売ることによって現金を手当てする予定だったが、将来売却するのを前提で担保として融資を受けることで現金を工面することになった。その選択の方が利益が大きいと考えた結果だった。ちなみに親族全員、価格が下がる可能性は考えていないようだ。
このように世相自体が「これから不動産価格は上昇する」と思っているのだから、その雰囲気に飲まれた不動産市場が形成されつつある。現実が伴わなくとも雰囲気で市場は様変わりするから不思議だ。

また、某デベロッパーの担当者は年初の挨拶で会った際に「戸建はそこまでではないが、マンションは建築単価が高くなってしまって、どうお買い得感を出すか悩んでいます。これから供給するマンションは仕様設備のグレードを落とすか、価格に転嫁するしかなさそうです。」と言明していた。他のデベロッパーの担当者も大なり小なりではあるが、似たようなことを言っている。
ほぼ全員が似たような事をいうので、多少疑問を感じ、「なんか雑誌の受け売りで、価格を上げて利益を出すため、そう言っておけということじゃないんですか?」と聞いたら「本当なんですよ。価格を上げても消費者がついてきてくれるか分からないじゃないですか。でも、建築費を考えるとそうもいかない。上げない方向で知恵を絞るしかないですね」そう言っていた。

40代は判断に迷う1年となる

首都圏では更に五輪という要素も抱えているので、この価格上昇へという流れに追い打ちがかかる。とすると、2020年まで、もしくはその1~2年前ぐらいまでこの流れは続くかもしれない。

20代や30代の方で切実な事情がない方は“何も今買わないでこの流れが終わるまで待つ”という選択肢がある。その一方、40代の方はより切実だ。ここから数年待つとなれば年齢を考えると融資審査の方がより厳しさを増す。

例えば、30代と40代の融資期間35年は意味が大きく違う。
前者が定年退職前後にはほぼ完済に迫っているのに対して、後者はまだ定年退職後もかなりの年数を支払いにあてていくことになる。とすると、貸す金融機関も後者はより審査に慎重にならざるを得ない。更に自営業者の方だと退職金が見込めないこともあるので、より審査は厳しくせざるを得ないようだ。全く同じではないのだ。融資審査には年代による格差がある。

上記のような意味でも40代は“価格上昇の前に早めに買う”“今ある不動産の中で選んで買う”方が得と考えるか、もしくは“融資が厳しくなっても流れを見極めて買う”方を選ぶのか、市場と融資の狭間で頭を悩ますことが多いだろうと思う。
40代の不動産購入検討者は判断に迷う1年となる。

首都圏では更にオリンピックという要素も抱えているので、</br>この価格上昇へという流れに追い打ちがかかる予測がある首都圏では更にオリンピックという要素も抱えているので、
この価格上昇へという流れに追い打ちがかかる予測がある

買いたい不動産なら買いたい時にすぐ買う

そうは言っても判断せざるを得ない時がある。その時はどうしたら良いだろうか?
そのことで考えるのが2008年まで続いた不動産ミニバブル時のことである。あの頃はどのような判断が後で振り返って見て良かったのか。
その頃不動産取引のお手伝いをしていて、またその後お客さんの感想を聞いて感じたことを以下に3点あげてみる。

1) 買いたい不動産なら買いたい時にすぐ買うこと。
よい物件はすぐになくなると考え、事前にしっかりと自分の購入したい不動産を把握して、判断に迷うことなく買うのが良い。
2) 資金計画上、想定から外れるような価格の不動産でも、多少の無理で買えるようなら購入を検討してみる。
価格上昇期は誰もがよいと思う不動産ほど高い売出価格になる。この時期に価格面で買いやすい不動産は特殊な事情が介在しない限り、後日価格が下がる不動産であると考えられる。そこに手を出すと売却する時に大変だ。
3) 希望する条件は優先順位をつけ、下位の希望は捨てること。
価格上昇期は希望条件をすべて満たしてくれる不動産は売りに出てこない、もしくは売りに出てきても高いかすぐに売れて買うことができない。したがって、できるだけ下位の希望条件は捨て、選択肢を広げて早い決断ができるようにするのが好ましい。希望条件にこだわるなら予算を底上げすることを考える。あとはひたすら待つという選択肢のみである。

お客さんごとの個別事情により購入方針は定めていくのが正解なのは当然として、あえて上記3点をあげてみた。
今年1年の不動産市場の動きに消費者の方々がどう反応するのか。とても興味深く見ている。

2014年 02月06日 11時01分