住宅市場には、いろいろな区分の仕方がある

たとえば、新築市場が縮小傾向にあると思えば、リフォーム市場に進出する企業が出てくる。法規ひとつを考えても、新築とリフォームは全く違う。新築住宅と既存住宅は明確に区分できる。そして、それは不動産業の中でも、同じように必ず分けて扱われている。

もうひとつ、マルチファミリーとシングルファミリーという区分もある。集合住宅と一戸建て、つまりマンションと戸建て住宅である。すでに市民権を得たマンションは、戸建て住宅とすっかり比較されて検討されるようになった。

確かに、新築・既存住宅の区分はわかりやすい。それと集合住宅と戸建てもわかりやすい。そして業界もそのように分かれているようだ。
しかし、正直言って私にはしっくりこない。

家を求めている人にとっては、新築と既存住宅で本当に差があるのだろうか。
思い切って、次のように考えてみよう。
日本には新築と既存の間に差があるからこそ諸々の問題が生まれ、海外では差がないから資産形成ができるのだ。新築も既存住宅も関係なく、リフォームして資産を増やしながら暮らせばその方がよい。

それでは、戸建て住宅と集合住宅(マンション)でも差があるのだろうか。
持ち家として住めるのであれば、本来はどちらでも良い。自分のライフスタイルと、利便性と住環境とコストを天秤にかけて、判断しているに過ぎない。
ただし混在することによって、一方の環境が破壊されることが問題となる。多くの場合は、戸建ての閑静な住宅街に、集合住宅が建てられることが問題を生み出すことになる。これも海外では守られ、日本では守られていない。

マルチファミリーのマンションと、シングルファミリーの戸建て住宅。どちらの暮し方を比べても、好き嫌い程度の差でしかない。金銭的な面での多少の損得はあるが、資産として守られなければいけない。マルチファミリーのマンションと、シングルファミリーの戸建て住宅。どちらの暮し方を比べても、好き嫌い程度の差でしかない。金銭的な面での多少の損得はあるが、資産として守られなければいけない。

さらに、もうひとつの区分

欧米ではマルチファミリーの居住区と、シングルファミリーの居住区が、しっかり分かれている。戸建て住宅の町並みを、マンションやアパートが壊すことはない。日本では皇后陛下の実家も壊される。欧米ではマルチファミリーの居住区と、シングルファミリーの居住区が、しっかり分かれている。戸建て住宅の町並みを、マンションやアパートが壊すことはない。日本では皇后陛下の実家も壊される。

それは国土交通省でも統計が取られている、持ち家住宅と賃貸住宅という区分だ。同じ住宅でも、この差だけは消費者にとっては大きな違いがある。住まい手はどのような家に住むかという以前に、この2つの選択をしなければならない。それ以上に建て主が、持ち家と賃貸住宅ではまったく違う。当然のことながら目的もまったく違う。居住目的か、事業目的かという違いは雲泥の差をもたらす。

この差は、車で例えれば、自家用車とトラックくらいの違いだ。自家用車業界のマーケティングとトラック業界のマーケティングでは、販売価格も顧客層も製品デザインもまったく違う。自家用車の傾向で新作トラックを企画することもできなければ、トラックの性能で自家用車のトレンドを決めることもできない。でも住宅業界では、多くのデータがこの差をひとくくりにして語られていることが多い。

先の国土交通省のデータも住宅施策として考えるので、世帯に対応する戸数を基本しているようだ。戸数で考えれば、持ち家も賃貸住宅もひとくくりの統計の中に入ってしまう。多くのマスコミで住宅業界のトップメーカーとして紹介されている企業も、戸数でいえば賃貸住宅の方がずっと多い企業だ。トラックを中心に作っている企業を、自家用車のトップとして扱っていることになる。

資産価値を考えたら、先の新築と既存住宅、戸建て住宅と集合住宅は区分しない方が賢明だと思うが、持ち家と賃貸住宅はしっかりと区分するのが正しいのではないだろうか。

事業目的と居住目的

賃貸住宅市場は、減価償却ができなければ成り立たない。そして寿命が短いからこそ、市場に活気が出る。日本の住宅市場は賃貸住宅市場の流儀で動いているようだ。賃貸住宅市場は、減価償却ができなければ成り立たない。そして寿命が短いからこそ、市場に活気が出る。日本の住宅市場は賃貸住宅市場の流儀で動いているようだ。

日本の家は、20年もすれば価値がなくなると言われている。

良いではないか。価値がなくなる仕組みがなければ、住宅業界は困ってしまう。経済も成り立たない。20~30年程度の安普請の住宅を建てて、壊してはまた建てれば、収益があがって、なおかつ減価償却で税金を節約できる。安全が確保できれば、面倒なインスペクションは要らない。賃貸住宅を建てる動機は事業目的であり、賃貸住宅オーナーの多くは短期で価値がなくなる方が良いのだ。そして合法的にその制度を活用しているから賃貸住宅の市場が支えられている面がある。

しかし居住目的で住宅を建てると、20年で価値がなくなった家に、あと15年もローンが残る。どうせ価値がなくなるのであれば、減価償却を認めてしまう方が良い。減価償却に比べれば、ローン減税程度の施策はお茶を濁しているとしか思えない。しかもローン金額を増やす方向性は、結果的には住宅価格を高くする側に働くことになる。その上、スクラップ&ビルドの時代に戻ることになる。余程、賃貸に住んだ方が損をしないのではないかと思うが、結局は賃貸住宅のオーナーの収益になっていることを考えると、格差社会をつくるだけの話しだ。

事業目的の賃貸住宅と、居住目的の持ち家は、ここまで違うものなのだ。

これを考えると、結局、日本の住宅は賃貸住宅的な住宅市場になっているようにしか思えない。それはとりもなおさず賃貸住宅事業者と住宅メーカーのための住宅市場であり、国民が持ち家によって豊かになるための住宅市場ではないということだ。もっと、持ち家と賃貸住宅をガツンと区別し、市場が分かれるくらいの住宅施策が欲しい。

消費税が良いチャンスになる

普通に家を建てた人が、減価償却をしている話しを聞くことはほとんどない。それなのになぜ、20年そこそこで価値がなくなってしまうのか。消費税を払うのであれば、価値がなくならない仕組みを!普通に家を建てた人が、減価償却をしている話しを聞くことはほとんどない。それなのになぜ、20年そこそこで価値がなくなってしまうのか。消費税を払うのであれば、価値がなくならない仕組みを!

個人的には、目の前にある消費税が良い機会だと思う。

そもそもアベノミクスの目標でもある消費者物価指数には、住宅の価格は含まれていない。総務省の考え方では、住宅は消費財ではないという判断だ。代わりに住宅は賃貸住宅の家賃が物価指数に含まれる。一方、財務省の消費税では、住宅を消費財とし土地は消費財としない。そのため建売住宅では、土地と建物の価格を明確に分けて消費税を算出する。とうてい分けて売ることもできないものであることを考えるとおかしいことだ。
また、既存住宅は個人の売買であれば消費税がかからず、事業者の売買であれば消費税が掛かる。隣同士の家で不動産取引があったとしても、消費税が掛かったり掛からなかったりする。いわば軽減税率のような2種の消費税がすでに実施されているようなものだ。

これらを考えると、事業用と居住用の住宅で区分して消費税が配慮されて良いのではないだろうか。もちろん減価償却する建築物は、消費財として消費税は掛かるのは当然だ。
しかし、居住用で減価償却しないものは、資産価値を保つことを願う耐久財である。減価償却もしないものに、そもそも消費税が掛かるのがおかしいのではないのか。逆に消費税を払っていないものは、減価償却はできないようにすればよい。事業目的であれば、減価償却を選び高い消費税でも喜んで払うに違いない。少なくとも、今の住宅着工戸数でいえば、約半数に消費税が掛かることになる。

もちろん、消費税の判断の詳細では難しいこともたくさんある。
それを新たに解決するヒントは、実は建築業法20条にあると思う。

2013年 12月28日 11時53分