長期優良化リフォーム推進事業

2014年度の住宅施策から、国土交通省の補助事業「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を紹介したい。もっと早く取り上げたかったのだが、補助金の公募が始まるのを待っていた。4月25日に受付が始まったので、その背景を含めて解説したい。

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、中古住宅の性能を向上するリフォーム工事に国が補助金を交付する事業。
性能をどれだけ高めるかで補助額に差があり、ハードルが低いほう(A基準と呼ぶ)が最大で100万円(工事費用の3分の1が上限)。ハードルが高いほうが最大200万円だ(同※こちらの募集は7月から始まる予定)。

中古住宅のリフォームを計画している方は、依頼先(候補)にこの補助金が使えるか聞いてみてほしい。
100万円/200万円というのは大きな金額だ。ただし、受付の期限があるうえ、審査も行われるので、必ず補助金をもらえるわけではない点には注意が必要だ。

先に新築住宅でスタート

補助金の名称にある「長期優良住宅」とは、国が「長持ちする良い家」にお墨付きを与える認定制度。これまでの対象は新築住宅だ。
耐震性能や断熱性能などの条件を満たした新築住宅を認定、減税措置や金利優遇などのメリットを与えることで、「長持ちする良い家」の普及を図っている。「長期優良住宅ブランド化推進事業」という100万円の補助事業も行われている。

なぜ「長持ちする良い家」の普及を図る必要があるかといえば、日本の住宅の「平均寿命」は統計的には30年ぐらいとされ、実際はそれ以上使われているとみられるものの、アメリカの44年、イギリスの75年(これも統計的数字だが)と比べると短い。

モノは長く使うほどお得になる。だが日本では「新築」を重視する傾向が住み手・つくり手ともに強く、どんどん古い家を取り壊してどんどん新しい家を建ててきた。その結果、筆者が「住宅貧乏」と呼ぶ弊害が出てきている。

出所:国土交通省資料出所:国土交通省資料

日本は「住宅貧乏」

住宅が貯金箱になる=売ったり貸したりしやすくなれば、もっとカジュアルに住宅を取得できる住宅が貯金箱になる=売ったり貸したりしやすくなれば、もっとカジュアルに住宅を取得できる

住宅を長く使い子孫に住み継いでいけば、子孫は住宅費を節約できる(出費は維持修繕やリフォームぐらいで済む)。ヨーロッパなどでは実際こうしていて、節約した住宅費でアートを買ったり家具や雑貨を買ったりして生活を楽しんでいる。
一方で日本のように毎世代が家を建てると、毎世代が住宅ローンに苦しみ、生活の余裕がなくなる。
これが「住宅貧乏」だ。

もしくは住宅が売ったり貸したりしやすければ、住宅は貯金箱や年金になる。アメリカでは住宅を住み替えて貯金箱的に使う人が多く、それが行き過ぎてサブプライムローン問題を引き起こしたものの、住宅が財産として機能している。
新築を偏重してきた日本では中古住宅市場も戸建賃貸市場も育っておらず、建物の財産価値は20年でゼロと査定されてしまい、貯金箱や年金にならない。
これも「住宅貧乏」だ。

国が長期優良住宅を推進する理由のひとつは、脱「住宅貧乏」を進めるためだ。まずは新築段階で「長持ちする良い家」を増やし、それが今後中古住宅・賃貸市場に出てきた際に適切に評価されることで市場が健全化・活性化され、住宅が貯金箱・年金になることを目指す。
とはいえ、長期優良住宅の認定件数は戸建てで累計40万戸超、新築住宅に占める割合も30%以下に過ぎない。いまある既存の住宅をどう長く使うかが本丸ということで、今回の「長期優良住宅化リフォーム事業」はその方法を探る実験的事業といえる。

住宅もひとのからだと同じ

この補助金を受けるには、性能を向上するリフォームを行い工事後に一定レベルを満たすことに加え、「インスペクション」を受け、「住宅履歴」と「維持保全計画」を作成する必要がある。

どの性能をどれだけ高める必要あるかは下に図で示しておくが、専門的になるので詳細はつくり手にきいてほしい。

インスペクション=建物調査で、とくにアメリカでは生活者や不動産事業者が中古住宅の購入前にインスペクションを行うことが一般化していて、これによって中古住宅を売買する際の不安を軽減している。日本でも国がインスペクションの普及を図っていて、今回も補助の要件とすることで認知・実践を進めたい考えだ。
 
「履歴情報」「維持保全計画」は新築版の長期優良住宅でも義務付けられているしくみ。たとえるなら、「履歴情報」=住宅のカルテ、「維持保全計画」=健康診断・身体のメンテナンスの予定だ。
ずっと健康でいるには、かかりつけのドクターに定期的にみてもらうのが基本。住宅も同じで、定期点検を行い、必要なメンテナンスを行う必要があり、それを行うかかりつけのドクター=家を建てた/リフォームしたつくり手だ。

ひらたく言えば、この補助金はリフォームに使えるお得な補助金だ。
だが、背景にはこうした「住宅貧乏」の現状があることを知っていただきたいし、「長く使うことが最大のエコ」「使い込むことが文化を生む」ということも伝えておきたい。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象工事のイメージ(出典:国土交通省資料)</br>どの性能をどれだけ高める必要あるかの詳細は、つくり手に確認してほしい長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象工事のイメージ(出典:国土交通省資料)
どの性能をどれだけ高める必要あるかの詳細は、つくり手に確認してほしい

2014年 05月14日 10時07分