地球温暖化とコロナ対策に省エネ住宅の普及を

地球温暖化対策やコロナ禍で落ち込んだ経済の回復のため、政府は太陽光発電システムなどを設置した省エネ住宅を推進する「グリーン住宅ポイント制度」を開始している地球温暖化対策やコロナ禍で落ち込んだ経済の回復のため、政府は太陽光発電システムなどを設置した省エネ住宅を推進する「グリーン住宅ポイント制度」を開始している

ここ数年、今まで想定していなかったような巨大で強力な台風が次々に上陸している。また、1日で大水害をもたらすような集中豪雨は、もはや珍しいとはいえない状況だ。これら異常気象の原因のひとつに地球温暖化があるといわれ、その地球温暖化を加速させるのが、私たちが排出するCO2だ。日本のCO2排出量の14.6%(2018年度・間接排出量シェア)を占める家庭部門。省エネルギーで生活することができれば、その排出量の削減につながる。菅義偉首相が表明した脱炭素社会を実現するには、省エネ住宅の普及が欠かせない。

また、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、日本経済へ大きな打撃を与えている。経済への影響が大きい住宅市場を活性化させることは、コロナ禍で落ち込んだ経済の回復への貢献が期待される。

そこで政府は、2020年12月15日より「グリーン住宅ポイント制度」を開始した。これは一定の性能を有する住宅を取得またはリフォームをする人に対して、さまざまな商品や追加工事に交換できるポイントを発行する制度だ。

類似の制度として、消費税10%への増税に伴う住宅取得への支援策として、2019年度まで実施されていた「次世代住宅ポイント制度」があるが、今回の「グリーン住宅ポイント制度」は、さらにコロナ禍の需要を反映した内容となっている。
その内容を分かりやすく解説しよう。

「新築住宅(持ち家・賃貸)」「既存(中古)住宅」「一定のリフォーム」が対象

GDPに占める住宅投資の割合は、フランス6.4%、ドイツ6.3%に対し、日本は3.1%と半分以下だ(2018年)GDPに占める住宅投資の割合は、フランス6.4%、ドイツ6.3%に対し、日本は3.1%と半分以下だ(2018年)

●ポイント発行の対象物件
2021年10月31日までに契約を締結した一定の省エネ性能を有する「新築住宅(持ち家・賃貸)」「既存(中古)住宅」「一定のリフォーム」が対象となる。

●「新築住宅(持ち家)」の場合の発行ポイント数
1.高い省エネ性能を有する住宅
 基本:40万ポイント/戸
 特例:100万ポイント/戸

2.省エネ基準に適合する住宅
 基本:30万ポイント/戸
 特例:60万ポイント/戸

高い省エネ性能を有する住宅とは、省エネ基準よりも厳しい基準をクリアしている住宅で、認定長期優良住宅、認定低炭素建築物 、性能向上計画認定住宅 、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)のことだ。省エネ基準も含めてそれぞれの内容は一般社団法人 住宅性能評価・表示協会のサイトなどで確認してほしい。
一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

特筆すべきは、特例だ。以下のいずれかに該当する住宅の場合、発行されるポイント数が増える特例が適用される。

1.東京圏から移住するための住宅
 一定期間、東京都、埼玉県、千葉県、 神奈川県(条件不利地域を除く)に在住し、東京 23 区内へ通勤している人が行う東京圏(条件不利地域を除く)以外への移住。

2.多子世帯
 18 歳未満の子3人以上を有する世帯 。

3.三世代同居仕様である住宅
 キッチン、浴室、トイレまたは玄関のうちいずれか2つ以上が複数ある住宅。

4.災害リスクが高い区域から移住するための住宅
 災害リスクの高い区域とは、土砂法に基づく土砂災害特別警戒区域または建築基準法に基づく災害危険区域(建築物の建築の禁止が定められた区域内に限る)。

コロナ禍の東京圏から地方への転出需要への対応だけでなく、「防災」や「少子化対策」など、政府の政策の実現につながるものを特例対象とすることで、その推進を図る内容だ。

もともと自分の住んでいた家を解体すればプラス15万ポイント

●「新築住宅(賃貸)」の場合の発行ポイント数
1.高い省エネ性能を有する(賃貸住宅のトップランナー基準に適合)すべての住戸の床面積が40m2以上の賃貸住宅。
 10万ポイント/戸

●「既存(中古)住宅」の場合の発行ポイント数
1.空き家バンク登録住宅
 30万ポイント/戸

2.東京圏から移住するための住宅(条件は上記)
 30万ポイント/戸

3.災害リスクが高い区域から移住するための移住(条件は上記)
 30万ポイント/戸

4.元の住宅を解体し、別に購入する既存住宅
 15万ポイント/戸

なお、1~3のケースで住宅の解体を伴うときは、合計45万ポイント/戸となる。
もともと自分の住んでいた家を解体して1~3のいずれかに該当する既存住宅を購入した場合、1~3の30万ポイントに、4の15万ポイントが加算され、45万ポイント発行されるということだ。

若者・子育て世帯には特例が

住宅のリフォームも対象となる住宅のリフォームも対象となる

●「住宅のリフォーム(持ち家・賃貸)」の場合
上限30万ポイント/戸(下の図の断熱改修やエコ住宅設備の設置などが対象)
 上限特例①:若者・子育て世帯がリフォームを行う場合は、上限を 45 万ポイントに引上げ(既存住宅の購入を伴う場合は、上限60 万ポイントに引き上げ)
 上限特例②:若者・子育て世帯以外の世帯で、安心R住宅を購入しリフォームを行う場合は、上限を 45 万ポイントに引き上げ。

若者世帯とは40歳未満の世帯。子育て世帯とは18歳未満の子がいる世帯だ。安心R住宅とは、「耐震性があり」「インスペクション(建物状況調査等)済」といった安心できる情報が明示されている既存住宅だ。詳しくは下記国土交通省のサイトなどを確認してほしい。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000038.html

住宅のリフォームも対象となるグリーン住宅ポイント制度の対象リフォーム工事とポイント数。赤枠内のいずれかを必ず行うことが条件となっている(出典:国土交通省「グリーン住宅ポイント制度の概要」)

「新たな日常」や省エネなどに貢献する商品と追加工事に交換

●ポイントの交換対象商品等
1.「新たな日常 」「環境」「安全・安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革 」「地域振興」などに有効な商品
 例えば時短家電のロボット掃除機なら2万ポイント前後からある。そのほか具体的な商品は、グリーン住宅ポイント事務局のサイトで確認できる。
交換商品を探す

2.テレワークや感染症予防などが必要となる「新たな日常」および「防災」に対応した追加工事
 例えば屋内ワークスペースや蓄電池の設置工事などが対象となる。工事自体がポイント交換の対象となるのは、これまでの「次世代住宅ポイント制度」と大きく異なる点だ。テレワークを行う人が増え、住まいに仕事の場を求めるニーズや、住まいの性能そのものを高めるニーズが増している。それらのニーズに対し、住宅投資を喚起する。
具体的な内容はこちらもグリーン住宅ポイント事務局のサイトで確認してほしい。
追加工事交換について

申請のハードルは意外に低い

ここまで、ポイント制度の詳細をお伝えしたが、ここからは申請方法について紹介する。

●申請方法
申請方法は、工事や住宅の引き渡し完了の前後によって異なる。

「完了前申請」
工事請負契約または売買契約

必要書類をそろえる

完了前ポイント発行申請

ポイント発行

ポイント利用

工事または住宅の引き渡し

完了報告(期限確認)

「完了後申請」
工事請負契約または売買契約

工事または住宅の引き渡し

必要書類をそろえる

ポイント発行申請

ポイント発行

ポイント利用

完了前申請は既存住宅の購入時は不可。完了後申請はリフォームの一括申請は不可となっている。一括申請とは、アパートや賃貸マンションなど同一建物内に複数の住戸がある物件をまとめてリフォームした際の申請方法だ。なお、完了前申請の場合は、引き渡し後に完了報告の提出が必要だ。また、ポイントの発行申請は、工事の請負事業者や住宅販売事業者が代理で行うこともできる。

申請は工事の完了前でも完了後でも可能。ただし、完了前は既存住宅の購入時は不可。完了後はリフォームの一括申請は不可となっている(出典:グリーン住宅ポイント事務局ホームページ)申請は工事の完了前でも完了後でも可能。ただし、完了前は既存住宅の購入時は不可。完了後はリフォームの一括申請は不可となっている(出典:グリーン住宅ポイント事務局ホームページ)

省エネ住宅と聞くと「特別な家」「高額な家」というイメージを持つ人もいるかもしれない。しかし、例えば建売住宅でも省エネ基準をクリアした建物は珍しくない。しかも面倒な申請は工事などを請け負う事業者が代行してくれるはずだ(要確認)。これほどハードルが低いにもかかわらず、家事が楽になるロボット掃除機などが手に入るならグリーン住宅ポイント制度を使用しない手はないだろう。

2021年 05月06日 11時00分