二世帯住宅に住むと相続税の軽減に。しかし、様々な問題がある

2015年1月より相続税の基礎控除額が引き下げられる。たとえば法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、今まで8,000万円が控除されたが、これからは4,800万円となってしまう(出典:国税庁HP)2015年1月より相続税の基礎控除額が引き下げられる。たとえば法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、今まで8,000万円が控除されたが、これからは4,800万円となってしまう(出典:国税庁HP)

近ごろ二世帯住宅を検討する人が増えているようだ。その背景としては、長期間続く不景気による経済的なことや東日本大震災をきっかけに家族の絆を再確認したことなどがある。
さらに拍車をかけたのが、今月から始まった相続税の増税が決まったことだろう。これによって課税対象者が大幅に増える。しかし、二世帯住宅で親と同居している場合などは、「小規模宅地等の特例」が適用され、土地の評価額が8割減となる。つまり相続税の軽減につながるのだ。
*くわしくは国税庁のサイトなどで確認してほしい。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm

とはいえ、いざ二世帯住宅に住み始めてみると、親世帯・子世帯ともに「一緒に住まなきゃよかった!」となるケースが多々ある。
おもな原因は何なのか、その対策はないのかを探ってみよう。

「いつも監視されているようで息が詰まる」(プライバシーの問題)

二世帯住宅の間取りを大きく分けると次の3つになる。

・寝室を除きすべての生活空間が一緒
・一部の生活空間を共有する
・完全に生活空間を分ける

すべての生活空間が一緒だと、プライバシーを確保するのが大変だということはご理解いただけると思う。しかし、意外に難しいのが一部の生活空間を共有するケースだ。この間取りにする理由としては敷地や経済的なこともあるだろう。また、「せっかく一緒に住むのだから仲良く」というお互いを思いやる気持ちも少なからずあるはずだ。
ところがたとえば玄関を共有してしまうと、一方が出入り際に「どこに行くのだろう」「帰りが遅くないか」と、ついつい確認したくなる人も多い。その結果いちいち顏を合わすことがストレスにつながるのだ。お客さんを呼ぶのも気兼ねすることになる。また、奥さんの親と同居するケースだと、残業や飲み会などで帰りが遅くなりがちな旦那さんは気苦労が絶えない。
玄関のほかにも洗面台やお風呂など水まわりを共有すると、その使い方は家庭によってそれぞれ違っていたりするので、一方の世帯の厳しいチェックが入るというケースもよく聞く話だ。

そして一部を共有し生活空間をあいまいにしていると、寝室などでくつろいでいるときでも断りもなく入られることもある。
このようなプライバシーの問題を減らすには、建築前にどの部分を共有するかを両世帯で話し合う必要がある。生活パターンの違いによっては玄関やお風呂などは別にした方がいいだろう。

また、同居前のルールづくりも重要だ。入ってはいけない部屋、連絡の方法、家事の分担、掃除の方法、子どもの世話を親世帯にどこまでお願いできるか、などトラブルの原因になりそうなことはすべてルール化する。「家族の中でそんな杓子定規なことはやりにくい」と思うかもしれないが、後々になって冷え切った関係にならないためにぜひ取り組みたい。

二世帯住宅では、3世代家族の和やかな団らんが理想だ。しかし、その実現には生活パターンのルール化などが必要な場合もある二世帯住宅では、3世代家族の和やかな団らんが理想だ。しかし、その実現には生活パターンのルール化などが必要な場合もある

「いつも家にいるのは親世帯なのに光熱費を折半するのはおかしい」(生活費の問題)

電話、ガス、水道、電気代、インターネット回線、そして住宅ローンなど、二世帯住宅にすることによって支払額を軽減できる生活費は多い。そのことにメリットを感じて同居を検討するケースも多いだろう。
ところが、これもトラブルの基となる場合がある。たとえば子世帯が共働きで日中は家にいない場合、「いつも家にいるのは親世帯なのに光熱費を折半するのはおかしい」という気持ちが強くなってくる。

一方で子世帯が子どもを含めて4人だったりすると、親世帯は「子世帯の方が人数は多いのになぜ生活費が折半に?」となることもある。
生活費の不公平感を減らす方法のひとつは、電気やガスの支払いを各世帯の使った分だけにすること。建物の構造によっては難しいこともあるが、建築する際に各種メーターを別々に設置するのだ。生活費の軽減はできなくなるが、こちらもトラブルの基となりそうなら検討したい。

「見たいテレビがいつも見られない」「下駄箱を占領されて困る」(家電・収納の問題)

二世帯住宅のリビングが1つだと、ありがちなのが一方の世帯でテレビを独占してしまうこと。独占するということは、家の中の権力が強いということなので「私にも見せて欲しい」とはなかなか言えない。
同じく家電を共有することで問題になりそうなのは冷蔵庫だ。どちらか一方の好きな食べ物ばかりになってしまい片方の世帯の食べ物が入らないといったことがある。
また、下駄箱など収納においても共有していると、片方の世帯の物でいっぱいになることもあり得る。
このような事態にならないようにするには、やはり世帯ごとに家電や収納を設けることだ。たとえばテレビに関しては、小さくても家事室や書斎などを作って一人でじっくり見られるようにすればストレス解消の空間としても活用できる。
収納に関しては、両世帯の生活動線に合った場所に設置して、間違って物を片付けないようにルールの徹底が必要だろう。

たとえ小さくても家事室や書斎を設けることで、ストレスの解消につながるたとえ小さくても家事室や書斎を設けることで、ストレスの解消につながる

事前の話し合いやルールの徹底が重要

このほかにも複数の二世帯住宅に住んだことのある人に話を聞くと、子育てに関することなど様々なトラブルがあるようだ。しかし、その多くは事前の話し合いやルールの徹底などで軽減できるはず。まったくストレスがゼロになることは不可能かもしれないが、後になってケンカ状態にならないように事前準備だけは怠らないようにしたい。

2015年 01月23日 11時06分