不動産会社の都合で売りたい・買いたい物件を紹介してもらえないこともある

以前こちら↓で紹介したように、
【どこの不動産会社でも同じ物件情報が出てくるのは何故?レインズの仕組みと課題に迫る】
流通する不動産の情報は、レインズという国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムに集約されている。

複数の不動産会社に行っても、同じ物件を案内されるのはそのためだ。
これにより、
売主は、不動産業界全体で買い手を探してもらえるので、早期の売却が期待できる。
不動産会社は、他社の扱っている幅広い物件を購入希望者に紹介できるためビジネスチャンスが広がる。
買主は、複数の不動産会社を回ることなく網羅的で最新の情報の中から物件を選択できる。
といった「三方良し」が実現する。

しかし、実際にはレインズ上に公開されていても、買主にその情報が伝わっていないケースがあるのをご存じだろうか。いわゆる「両手」を狙う不動産会社が買主への物件紹介を拒否することがあるのだ。

紹介拒否をしてもレインズからの罰則はなかった

売却を希望する物件のオーナーが一般人だった場合、多くが不動産会社へ仲介を依頼することになる。仲介には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類の契約形式がある。このうち後者2種類は物件のレインズへの登録義務がある。

ところが下のグラフでわかるようにレインズの物件登録数は意外に任意登録の一般媒介契約も多い。専属専任媒介を上回っている。
このことから不動産流通におけるレインズ登録物件の網羅率は、かなり高いことがうかがえる。

ところがいくら登録物件数が多くても、いざ問い合わせをした時に紹介を拒否されてしまえば意味がない。この理由は仲介手数料が売主側と買主側へ別々に支払われる仕組みのためだ。
手数料の上限は物件代金の3%+6万円。4000万円の物件なら126万円だ。これは売主も買主も両方支払うことになる。つまり、売主側の不動産会社は自社で買主を見つけてくればプラス126万円の合計252万円の収入となるのだ。この両方から手数料を受け取ることを業界用語で「両手」、片方から受け取ることを「片手」という。
この「両手」を狙う会社は、レインズに登録はするものの、「商談中」といった理由で紹介を拒否することがある。つまり「早く売りたい」と思っている売主、「いい物件がほしい」と思っている買主は、それぞれ知らないうちに物件を囲い込まれチャンスを逃しているのだ。これではせっかく高い網羅率を誇るシステムも台無し。しかし、明確な規程や罰則がなかったため長年大きな問題となってきた。

レインズにある不動産情報には登録義務のない一般媒介契約も多い。登録しなければならない専属専任媒介を上回っている(出典:不動産流通市場における情報整備のあり方研究会(国土交通省))レインズにある不動産情報には登録義務のない一般媒介契約も多い。登録しなければならない専属専任媒介を上回っている(出典:不動産流通市場における情報整備のあり方研究会(国土交通省))

東日本レインズが規程に「紹介拒否の禁止」を追加。全国にもその動きが

そこで2013年10月、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が「登録物件の正当な理由のない紹介拒否行為の禁止」を利用規程に追加した。これにより悪質な違反の場合は、利用停止や除名といった厳しい処分も可能になった。
この動きは全国にあるほかの3つのレインズにも広がっている。西日本レインズは、来年度の紹介拒否禁止に関する規程の導入を検討中だ。また、近畿、中部も時期は未定ながら同様の措置を検討している。全国的に紹介拒否が禁止される日はそう遠くないだろう。

さて、規程さえできれば安心なのだろうか。実は規程があっても商談中を実際に証明する方法がない。そのため「ザル規程」になる可能性も多々あるのだ。
とはいえこの紹介拒否禁止規程の追加によって問題が顕在化したことは間違いない。実効性の強化は次のステップということになるだろう。

2014年 01月15日 10時09分