世界各国に広がる新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルスの集団感染対策のため、政府は3つの“密”を避ける呼びかけを行っている<br>(出典:首相官邸HPより)新型コロナウイルスの集団感染対策のため、政府は3つの“密”を避ける呼びかけを行っている
(出典:首相官邸HPより)

新型コロナウイルスについての報道が続いている。国内のみならず世界各国で著名人が相次いで罹患したというニュースもあり、その衝撃はとても大きく、不安を抱いている人も多いだろう。

これまでに見つかっている“コロナウイルス”は数種類あり、そのうち4種類が一般的な風邪の原因ウイルス。2002年に発生した「重症急性呼吸器症候群(SARS)」、2012年以降の「中東呼吸器症候群(MERS)」も“コロナウイルス”が原因である。

今回の新型コロナウイルスでも、感染すると発熱や呼吸器にまつわる症状が出るとされる。当初は高齢者や糖尿病などの持病がある人が重症化しやすいなどとも言われていたが、世界では若い世代の死亡例も報告されている。

現時点で考えられている主な感染の仕方は、飛沫(ひまつ)感染と接触感染。飛沫感染とは、感染者のくしゃみや咳、つばとともに放出されたウイルスを口や鼻から吸い込んで感染すること。一方、接触感染は、感染者が咳などをしてウイルスが付いてしまった手で触れた電車のつり革やドアノブなどを未感染者が触れ、そのウイルスが付いた手で目、鼻、口を触ると粘膜から感染してしまうとされる。

感染しても症状が出なかったり、軽症で終わったりする人が多いとも聞く。しかし、重症度のリスクは季節性インフルエンザよりも高いという報告もあるそうだ。誰もが感染する可能性があるため、誰もが新型コロナウイルスに感染しないように注意しなければならない。

感染をなるべく防ぐには、風邪や季節性インフルエンザと同様、一人一人の予防対策が必要とされる。注意喚起のため、家庭でできる予防対策についてまとめておきたい。また、当サイトでは「感染症予防対策の知識。家庭で出来る予防対策とは?」を公開しており、そちらも併せて参照していただきたい。

同居の家族が感染したら…

季節性インフルエンザはワクチンや治療薬が開発されているが、新型コロナウイルスはまだ開発がされていない。予防するには、先の項の画像でご紹介した感染が広がりやすい場所に行かないこと、行動をしないことが大切。

しかし、どれだけ予防を心がけていても、残念ながら感染の可能性はゼロにはならない。もしも、自分、あるいは家族の感染が疑われたら、家庭内でどうしたらいいのか。感染したとしても、無症状あるいは軽症の場合は自宅療養となる可能性もあるのだ。

厚生労働省が一般社団法人 日本環境感染学会のとりまとめとしてホームページで紹介している注意事項は8つ。

1.感染者と他の同居者の部屋を可能な限り分ける
2.感染者の世話をする人は、できるだけ限られた方(一人が望ましい)にする
3.できるだけ全員がマスクを使用する
4.こまめにうがい・手洗いをする
5.日中はできるだけ換気をする
6.取っ手、ノブなどの共用する部分を消毒する
7.汚れたリネン、衣服を洗濯する
8.ゴミは密閉して捨てる

部屋をできるだけ分けることは難しいかもしれないが、感染者は極力1つの部屋から出ないようにし、食事や睡眠も別にして、他の家族との接触を減らすようにしたい。感染者と2m以上の距離を保つことや、部屋の換気も十分に行うこと。また、共有スペースであるトイレや浴室などは、清掃をこまめに行うのがよいとされる。

ウイルスの拡散を防ぐマスクは、なかなか手に入らない状況だ。一時、高額転売が目立つ悲しい状況にもなったが、購入金額よりも高い価格で転売することを禁止する法律ができた。国内メーカーは24時間体制で通常の3倍の増産を継続しているほか、「マスク生産設備導入支援事業費補助金」を活用した取組みも行っているという。一般用の販売は、必要性の高い医療機関などへの優先配布のあととなるといわれているが、布やガーゼを使った手作りマスクなどで代用しながら、待ちたい。

他者に感染させないよう飛沫を防ぐマスクがない場合は、ティッシュ、ハンカチ、袖、肘の内側などで口や鼻をおさえる“咳エチケット”を心がけたい。

家庭内でご注意いただきたいこと ~8つのポイント<br>
出典:厚生労働省ホームページ <br>
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf家庭内でご注意いただきたいこと ~8つのポイント
出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf

ウイルスを家庭内に持ち込まない。基本は手洗い

家庭でできる基本の感染症予防対策として推奨されている手洗い。新型コロナウイルスにも当てはまる。

ウイルスの除去には、水やお湯ですすぐだけでなく、石けんを使った丁寧な手洗いがすすめられている。図を参照に、親指、指の間、手首など洗い残しやすいとされるところも念入りに。爪は短く切っておき、時計や指輪を外してから手洗いするのが望ましい。

2006年の感染症学雑誌で発表された「手洗いの時間・回数による効果」では、残存ウイルス数が手洗いなしのときの約100万個に対し、流水で15秒手洗いすると約1万個に、ハンドソープで10秒または30秒もみ洗い後に流水で15秒すすぐと数百個に、ハンドソープで10秒もみ洗い後に流水で15秒すすぎを2回繰り返すと約数個になるという。

石けんで洗い終わったら、十分に水で流し、清潔なタオルやペーパータオルでよく拭き取ること。感染予防の観点では、タオルの共用は避けた方がいい。

自分でまだしっかりと手洗いができない小さな子どもには、市販されている手指消毒用アルコールやアルコールを含んだウェットティッシュが便利だが、需要が急増したことでなかなか手に入らない状況でもある。親子で歌に合わせたり、例えば東京都のYou Tubeチャンネルではキャラクターによる手洗いの動画が公開されていたりするので、そういったものを活用するといいだろう。

手洗いのタイミングとしては、外出から帰宅したときのほか、調理や食事の前後、トイレの使用後、感染した家族の世話をする前後など、できるだけこまめに行いたい。

東京都公式You Tubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/tokyo

感染症対策のチラシ<br>出典:首相官邸HPより<br>
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html感染症対策のチラシ
出典:首相官邸HPより
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

掃除や健康管理もポイントに 消毒液のつくり方

ドアノブや手すりなどの消毒には、塩素系漂白剤が有効とされる。塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を濃度0.05%に薄め、ドアノブなどを拭いたあと、水拭きをする。

厚生労働省のホームページでは次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする市販製品を使った、0.05%以上の次亜塩素酸ナトリウム液の作り方の例が紹介されている。例えば、花王の「ハイター」または「キッチンハイター」ならば水1Lに対して25mL(商品付属のキャップ1杯)、カネヨ石鹸の「カネヨブリーチ」または「カネヨキッチンブリーチ」、ミツエイの「ブリーチ」または「キッチンブリーチ」は、水1Lに対してそれぞれ10mL(商品付属のキャップ1/2杯)とのこと。商品パッケージや公式サイトの説明も確認しよう。

ドアノブや手すりのほか、テーブルや照明スイッチ、水道の蛇口、壁、床など手がよく触れる場所の消毒ができるが、金属は腐食する場合があるため消毒後に水拭きを必ず行う。

次亜塩素酸ナトリウム液の使用にあたっては、皮膚への刺激があるために家事用手袋を着用すること、換気を十分にすること、他の薬品と混ぜないことなど、注意も必要だ。

食器や箸などは、80℃の熱湯に10分間さらすと消毒ができるそうだ。

また、一般的な感染症対策では、栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠といった健康管理も大切とされる。免疫力が低下すると、感染症のリスクが高まるといわれているからだ。

高齢の家族は、感染を防ぐために外出を控えすぎてしまうと、フレイル=「身体的機能や認知機能の低下」につながる可能性もあるので、気をつけたい。

身の回りを消毒するための方法についてのポスター(出典:経済産業省、厚生労働省)<br>
https://www.meti.go.jp/covid-19/mask.html<br>
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000614437.pdf身の回りを消毒するための方法についてのポスター(出典:経済産業省、厚生労働省)
https://www.meti.go.jp/covid-19/mask.html
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000614437.pdf

正確な情報を得ること

新たに発生した感染症で、まだ不明なことも多い新型コロナウイルス。東京都や大阪府などに緊急事態宣言が発令されるまでに至った現状で、外出自粛など一人一人が冷静に対応することが必要とされる。

現代社会ではさまざまな情報をすぐに知ることができるが、なかには不確かなものも。厚生労働省、あるいは各自治体のホームページで対策情報が取りまとめられている。日々状況が変化するなか、正確な情報を取り入れてほしい。

自分自身を、そして家族をはじめ身近な人々を守るために、今一度、できる対策をしっかりと見直しておきたい。



参考文献:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
    
厚生労働省「手洗いの時間・回数による効果」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000105095.pdf
   
首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
   
「呼吸器内科医が解説!新型コロナウイルス感染症 COVID-19」(医療科学社)

2020年 04月14日 11時05分