海に近い「デメリット」とは・・?

海の前の家ならば、バルコニーで海を眺めながらティータイムなんてのも可能。海の前の家ならば、バルコニーで海を眺めながらティータイムなんてのも可能。

憧れの「海が見える家」。
窓の外に目を向ければ海が広がり、天気の良い日はテラスに出て読書をする。その気になればいつでも浜辺に飛び出していけるし、波の音をBGMに眠る。まさに憧れの生活だ。

しかし実際は、海の近くの家に引っ越してきても1年程ですぐに出て行ってしまう人も少なくないという。原因は海そばの暮らしとは切っても切れない「塩害」。何となく知っていても、実際に海の近くに住んでみないと分からない部分も多いだろう。せっかく手に入れたオーシャンビューの生活を手放してしまうほどの現実とは、一体どんなことが起こるのか。ここでは、海辺でのリアルな暮らしについて紹介をする。

塩害といえば、まずはサビ。

塩害によって劣化したトラックと家屋塩害によって劣化したトラックと家屋

潮風に乗ってやってきた塩によって、あらゆるものがサビやすくなる。
筆者も海の近くのガードレールや自転車が錆びているのを見たことはあるが、長年手入れせずに放置されてるのだと思っていた。ところが物がサビるスピードというのは思った以上に早かった。
例えば、海から200メートルくらい道を入った住宅地の一角に取り付けた新品の鍵付きポスト。わずか1ヶ月足らずで鍵が回らなくなった。力ずくで回すと鍵が壊れるので、細めにオイルを差しながら使う。
ポストと同様、屋外にある金属なら車や自転車も例外ではない。大事な自転車は絶対家の室内に保管するというし、車もこまめな洗車で塩を落とす方が長持ちするだろう。頑丈な金属でも、サビが進めば簡単に穴が空いてしまうというから恐ろしい。
もちろんその影響は家にだって同じようにやってくる。エアコンの室外機や給湯器など屋外にある設備は、沿岸部じゃないところに比べれば劣化は早くなる。本体のサビもそうだが、部材に入り込んだ塩によっての故障も多いという。
塩害対策の設備というのもモチロン各メーカーから用意されおり、通常の仕様より内容が強化されてはいるが、必ずしもメンテナンスフリーというわけではない。メーカーの注意事項には、「腐食に対しては必ずしも万全ではありません。」「潮風に直接さらされるのを極力回避するような場所に設置してください」「定期的な清掃、水洗いをお願いいたします。」等の記載がされている。あまり聞かないが、24時間換気の換気口の位置も気をつけたい。できるだけ海側じゃない方に吸廃気口を持ってくるとか、無理ならば機械を使った1種換気(給気も換気も機械)を使って吸廃気口をまとめてしまう等の工夫はあった方がよい。従ってもし新築でこれから家を建てるのであれば、海辺の土地や環境に詳しい設計事務所や施行店を探すのがよいだろう。

サビ以外にもある塩害。

白くくもった海側の窓ガラス白くくもった海側の窓ガラス

金属でなくても塩による影響はある。海風に乗って塩が飛んでくるので、窓ガラスは白くなってしまう。風の強い日の後はまるで曇りガラスのように真っ白になることもあるという。そして雨ざらしになっていて雨水のかかるところはまだましで、庇の下等雨がかからないところは定期的な窓拭きは欠かせないという。そのため海沿いの家では、雨水が吹きさらしになっている方がいいのだ。

また風と一緒に飛んでくるものといえば、塩以外にも忘れてはいけないものがある。砂浜が近くにある場合は、砂のことも考慮しないといけない。気密性の高いサッシを閉めていても、全ては防ぎきれずに家の中に入り込んでくる。掃き出し部などには砂がたまり、窓を開け閉めする時にガリガリ擦れる。レール部の摩擦などが起こる為、この部分の劣化もやはりはやく起こりがちだ。風の強い日はたとえ天気がよくても窓などとても開けられない。庭に芝生や植物があれば、飛んできた砂が溜まれば埋まってしまうので注意も欠かせない。

台風や風の強い日の後は特に注意を。

海側の窓ガラスを開けるとレールに砂がたまっていた。海側の窓ガラスを開けるとレールに砂がたまっていた。

台風や強風の時には、さらに塩害の被害が多くなりがちだ。家の前を遮るものがない場合や高台等風を受けやすい土地は、まず直接的な暴風雨の影響もある。中古で買う場合は雨戸がついているかもチェックするポイントになるだろう。
そしてその暴風雨にのって普段より多くの海風をあびることになるので、できるなら塩が乾く前にたっぷりの水で塩を洗い流した方がいいのだそう。庭がある場合は植物も影響を受けて枯れてしまうこともあるので、植物にも水をたっぷりと。
塩害は塩分を水洗いにより落とすことが何よりの対策になるのだという。雪国の人が雪下ろしをするように、海沿いの地域の人たちの習慣や暮らしの知識になっている。

以上のことを念頭に家選びをする際は、新築の場合は窓の位置や設備機器の置き場、塩を洗い流す水道をつける位置等も、海辺の暮らしに精通した地元の設計会社や施行店に相談するといいだろう。
中古で買う場合は既にどこが劣化しやすいのかをチェックすることができる。家の中がザラザラしていたり、実際に見ることができるのでイメージしやすいだろう。賃貸の場合も同様だ。

これだけ塩害についての話を聞くと、海そばの暮らしには様々な試練が待っているように感じられるかもしれない。しかし自然を感じて暮らすのだから、自然とうまく付き合っていく必要があるだろう。
大事なのは、ちゃんとした備えをして、うまく付き合っていくこと。
マイナス面を加味しても、やっぱり海辺暮らしの魅力は大きいはず。
住んでみてこんなハズではなかったとならないように、しっかり準備をして、素敵なオーシャンライフを満喫しよう。

2014年 12月11日 11時11分