移住者向け住宅ローンとは

東京一極集中の是正や地方の担い手不足の解消を目的に、国や地方自治体は移住を推進している東京一極集中の是正や地方の担い手不足の解消を目的に、国や地方自治体は移住を推進している

地方創生を目的として、国や地方自治体はさまざまな施策を進めている。あの手この手で地方への移住者を増やす取り組みも行われており、その一つが移住者向け住宅ローンだ。

移住者向け住宅ローンとは、自治体と地方銀行が連携し、通常の住宅ローンよりも金利を低く提供しているローンである。自治体の移住支援制度が元となっており、財源となる税金によって金利を低くしている仕組みだ。移住者向け住宅ローンは、主にその地域の地方銀行がサービス提供を行っている。要件は銀行によって多少のバラつきがあるものの、県外や市外から移住してきた人を対象としている点は共通だ。あまり細かい要件が設定されていないのが特徴で、単純に転勤などで地方に引越す場合でも利用できる。

ただし、残念ながら東京へ移住するための移住者向け住宅ローンはない。移住者向け住宅ローンは、そもそも東京一極集中を避け、地方への移住を促すための施策であるため、自然と人口が増えている東京への移住者向け住宅ローンはないのだ。

移住者向け住宅ローンを利用したい場合には、まず自分が移住する地方においてサービスを提供している銀行があるかどうかを確認することが第一歩となる。住宅ローンの金利が低くなるメリットがあるので、地方移住が確定したなら、検討することをおすすめする。

勤続年数は問わない銀行が多い

移住者向け住宅ローンの特徴は、全体的に融資の審査基準が都市銀行と比較して厳しくないことだ。また、低金利という好条件で借りることができるため、都市銀行の審査基準に満たない人にはかなりのメリットがある。

審査基準として比較的多いのが、「勤続年数を問わない」という要件だ。通常、住宅ローンの審査基準では、勤続年数を3年以上としているところが多いが、移住者向け住宅ローンでは勤続年数を問わないとしているところが多い。地方移住の場合、そのタイミングで転職や独立することも多いため、条件に勤続年数を課されてしまうと借りられない人が増えてしまう。勤続年数が要件となると、移住の気概をそぐ結果になりうるため、勤続年数を要件としない銀行が多いのだ。

ただし、銀行によっては3年以上の勤続年数を条件に課しているところもある。このような銀行の場合、ターゲットはサラリーマンの転勤者となる。

一般的な住宅ローンと同等の要件を課している銀行もあるので、要件については十分に確認していただきたい。

いろいろある移住者向けの住宅ローン

では移住者向け住宅ローンにはどのようなものがあるのか、具体的に見ていきたい。

最初に紹介するのは、十六銀行が行っている愛知県一宮市への移住者向け住宅ローンだ。この住宅ローンは、一宮市外から一宮市への移住を要件としている点が特徴だ。近隣市区町村の人も利用できるため、県外からの移住を要件としたローンと比べると、かなり使いやすいと言える。また、「勤続年数は不問」、「年収は100万円以上」としており、一般的な住宅ローンと比べると審査基準が緩やかだ。

金利は、十六銀行の最優遇金利の住宅ローン商品である「金利引下げプラン」を適用することになっており、低金利で借りることができるのがメリットとなっている。

次に紹介するのは、豊和銀行が行っている大分県への移住者向け住宅ローンだ。この住宅ローンは、県外から大分県への移住者を対象としている。「勤続年数は不問」であり、年収も「安定継続した収入が見込める人」であれば前年度年収は問わない。

金利については、通常の住宅ローンより0.1%下げることを明記している。他の銀行はどれくらい金利が下がるか明記していない銀行が多い中、優遇金利がしっかり明記されており分かりやすい。

地域活性化型との違い

地域活性化型は空き家バンクからの購入が要件となっていることが多い地域活性化型は空き家バンクからの購入が要件となっていることが多い

移住者向け住宅ローンの類似の制度として、フラット35が提供する地域活性化型住宅ローンというものがある。

地域活性化型住宅ローンとは、地域活性化に積極的な地方公共団体が行うUIJターンなどでのマイホーム取得者に対し、当初5年間の借入金利を年0.25%引き下げる制度だ。地域活性化型住宅ローンを利用するには、移住先の地方公共団体が住宅金融支援機構と連携していることが条件となる。

また、連携自治体の空き家バンクに登録されている物件を購入することが条件となっていることが多く、購入できる物件が限られている。要件が厳しくないことが特徴の移住者向け住宅ローンとは、かなり性質が異なる。

空き家バンクとは自治体が行っている空き家の流通システムである。空き家バンクで空き家を購入する人であれば、地域活性化型住宅ローンを利用できないか、確認してみるのがいいだろう。

移住者向け住宅ローンを使うにあたっての2つの注意点

最後に移住者向け住宅ローンを使うにあたっての2つの注意点を紹介したい。

移住者向け住宅ローンを使って移住するということは、その本質は住み替えに他ならない。住み替えの場合、1つ目のポイントとして「住宅ローン残債が売却価格よりも低い状態で売却すること」が注意点となる。住宅ローン残債が売却価格よりも低いことをアンダーローンと呼び、住宅ローン残債が売却価格よりも高いことはオーバーローンと呼ぶ。移住者向け住宅ローンを使って住み替えを行う場合は、アンダーローンの状態で売却することが必須だ。

移住者向け住宅ローンは、現在返済中のローン残債も併せて借り換えができる住み替えローンとは異なるため、売却物件のローン残債は残さないことが基本となる。

また、2つ目のポイントとしては、移住者向け住宅ローンを利用する場合は「必ず事前審査を通しておくこと」が注意点となる。移住者向け住宅ローンを提供している多くの銀行が事前審査サービスを提供しているため、事前審査は行うべきだ。地方に移住する場合、物件価格を安く抑えるために中古物件を購入することも多い。中古物件の売買は、売買契約から引き渡しまでの間が1ヶ月程度しかなく、購入者はその間に住宅ローンの本審査を通さなければいけない。

あらかじめ事前審査を通しておけば、本審査も通しやすく、中古物件を売買するスピード感にも対応できる。また、事前審査を通しておけば、利用できると思っていた移住者向け住宅ローンが使えなかったという事態を極力避けることができる。そのため、移住先で新築物件を購入するとしても、事前審査は通しておいた方がよい。

これから移住者向け住宅ローンを利用する場合には、「住宅ローン残債が売却価格よりも低い状態で売却すること」と「必ず事前審査を通しておくこと」の2点にはご注意いただきたい。

2019年 09月25日 11時00分