AIやIoT技術で操作性が高まる設備機器・建材

AI(Artificial Intelligence/人工知能)やIoT(Internet of Things/モノのインターネット)は、さまざまなアイテムに取り入れられている。暮らしや住まいの中にも数多くみられるようになり、日常生活の利便性や快適性を高める重要な要素のひとつとなってきているようだ。

住宅設備機器や建材の分野では、センサーやカメラなどとIoT技術を連携させ、スマートフォンやスマートスピーカーで操作することができるシステムなどがみられる。また、住まい全体のさまざまなコントローラーを一元管理し表示するディスプレイなども提案されている。

スマートフォンやスピーカーで操作が可能なアイテムとしては、たとえば照明や家電、給湯設備、玄関ドアや窓シャッターなど。スマートフォンで外出先から消し忘れた照明やエアコンなどの電源をオフにすることができたり、帰宅する時間に合わせお風呂を沸かしておくことも可能だ。また、戸締りに不安がある場合、外出先からカギの開閉履歴をチェックすることも。条件にもよるが遠隔操作で戸締りをすることもできる。

スピーカーを利用し音声で照明やエアコン、窓シャッターなどを一斉に操作することも可能。消し忘れやリモコンを探す手間もないので、外出の際にも便利だろう。

また、住まいの中に設置したセンサーやカメラなどをスマートフォンと連動させ、留守宅の見守りをすることも可能に。幼いお子さんがいる場合など、防犯対策のひとつとしても考えられる。ほかにも、玄関に設置した人感センサーとカメラにより、子どもの帰宅をメールで確認できる機能、ガスや電気、水道の使用量で生活状況を把握することなども。遠くに暮らす高齢の親の暮らしの見守りができるものだ。

(左上下)[住宅用窓シャッター] 専用アプリをインストールすると、手持ちのスマートフォンで開閉や登録したシャッターの開閉状態を確認することが可能。無線LANを介して、家中のシャッターをスマートフォンで一斉操作も。(右上)[スマートロックシステム FamiLock(ファミロック)] 手持ちのスマートフォンが玄関のカギになり、施解錠履歴の確認も可能。 (右下) [屋内カメラ] 動画や写真を撮影し、入退の記録や確認が可能に。 人感センサ機能も付いているので、センサ検知後の撮影と保存も (左上下)[住宅用窓シャッター] 専用アプリをインストールすると、手持ちのスマートフォンで開閉や登録したシャッターの開閉状態を確認することが可能。無線LANを介して、家中のシャッターをスマートフォンで一斉操作も。(右上)[スマートロックシステム FamiLock(ファミロック)] 手持ちのスマートフォンが玄関のカギになり、施解錠履歴の確認も可能。 (右下) [屋内カメラ] 動画や写真を撮影し、入退の記録や確認が可能に。 人感センサ機能も付いているので、センサ検知後の撮影と保存も

宅配ボックスやカーゲートなどエクステリアも注目

IoT技術は、住まいの外回り(エクステリア)でも活用されている。特に最近注目のアイテムは宅配ボックスだろう。スマートフォンとつながることが可能なタイプであれば、荷物の受け取りや集荷が便利に。複数の荷物が受け取れ、スマートフォンから集荷依頼をすることも可能な商品もある。

また、カーゲート用の通信ユニットを用いることで、車載のリモコンだけでなく、スマートフォンで開閉することも。そのほか、動作・音・温度を感知してスマートフォンに通知することができる屋外カメラも提案されている。利便性と防犯性を高めることができる。

(左)[スマート宅配ポスト]  不在時でも在宅時でも荷物の受け取りができ、発送も可能。スマートフォンと連携することで使い勝手も高まる。(右上)[カーゲート用通信ユニット]カーゲートをスマートフォンや車載リモコンで開閉、快適でスムーズな入・出庫が可能。(右下)[屋外カメラ] 動作・音・温度を感知してスマートフォンに通知する(左)[スマート宅配ポスト]  不在時でも在宅時でも荷物の受け取りができ、発送も可能。スマートフォンと連携することで使い勝手も高まる。(右上)[カーゲート用通信ユニット]カーゲートをスマートフォンや車載リモコンで開閉、快適でスムーズな入・出庫が可能。(右下)[屋外カメラ] 動作・音・温度を感知してスマートフォンに通知する

商品開発の現場でもAI技術が活用されている

AIの技術は、前述のような機器やセンサーなどをネットワークにつなげ、居心地のよさや使い勝手を高める、というだけでなく、新商品開発の現場でも活用されている。LIXILでは、キッチンにおける調理行動についてAIの技術を用い、ユーザーの行動観察、調査分析を実施しているという。研究施設であるキッチンラボを訪ね話を聞いた。

LIXILの社屋内に設けられたキッチンラボには、調理することができるシステムキッチンが2台セットされている。それを利用し、実際にユーザーの方に料理を作ってもらい、調理中の動き、調理器具の使い方や調理方法などを上部に設置したカメラで撮影。別室に設けたモニター画面で観察・分析を行っているという。

LIXILでは、これまでも調理行動の観察調査を実施してきた。安全や使い勝手の検証、潜在ニーズの分析などから、人によりそうキッチンが求められていることが明確になり、『Human Fit Technology』を根本的な考え方として商品開発へ反映。たとえば、ほしい道具が最小限の動きで取り出せ、軽く開いてしまうことができる収納などが商品化されている。

他にも、2段のレーンとプレート、水切りカゴの組み合わせで作業がはかどるシンク、センサーが物や手の位置と動きを感知して、吐水も止水も自動で行うハンズフリー水栓なども同様の考え方で商品化されたものだという。

しかし、キッチンには、食材はもちろん、調理道具など200点以上ものがあるといわれているとか。Technology Research本部 人間情報科学研究所の高久由香里さんは、「食材や道具などを使う際の立つ位置やそれらを置く場所、調理方法などの行動をひとつひとつ観察し記録、分析するのには、かなりの時間と労力が必要になります。そこで、人間情報科学研究所では、AIを利用し映像を解析、データを蓄積、分析を行うことになりました」と話す。

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AIによるモノの検出と追跡によりその分析スピードは向上

用いたAIシステムは、調理行動を分析し、行動パターンや人間中心設計の概念を元に キッチンの開発支援を行うオリジナルとか。

「AI(Deep Learning/大量のデータにより人間が指示しなくても自動的に特徴を抽出し、判断できる)を利用することで、以前は、3ヶ月かかっていた調査分析が、3時間で済むようになりました。これらの分析から生まれた商品はまだですが、今後もAIによる調査の精度を高め、具体的な商品開発につなげたいと考えています」(高久さん)

現実的な暮らしや住まいの中で、AI やIoTの活用は、まだ一般に普及しているとは言えないだろう。しかし、日々の快適さや使い勝手に大きく影響する住宅設備や建材商品の分野では、AIを用いた商品開発は今後進んでいくはずだ。特に、防犯や高齢化といった面では、適した機能を持たせることでメリットも多いのではないだろうか。

同時に、暮らしや人に寄り添った商品を生み出すためにも、AIの技術を生かすことも重要になるだろう。より多面的で細やかなデータが蓄積され、それら分析をもとに開発された機能やアイデアがスピーディーに商品化につながることを期待したい。

写真・取材協力/LIXIL

(上)キッチンラボはリニューアルを予定。新しいキッチンスタイルでの調査も予定しているとか。キッチンラボにて、調査・分析を担当する、左から濵龍太郎さん、高久由香里さん、齋藤梓さん (下)AIによるモノの検出と追跡の画像例。モノの場所、動きが確認できる(上)キッチンラボはリニューアルを予定。新しいキッチンスタイルでの調査も予定しているとか。キッチンラボにて、調査・分析を担当する、左から濵龍太郎さん、高久由香里さん、齋藤梓さん (下)AIによるモノの検出と追跡の画像例。モノの場所、動きが確認できる

2019年 12月05日 11時05分