人生100年時代のお金と住まいの留意点

人生の長い時間を過ごすことになる住宅。快適に過ごすために、住空間の充実も検討したい人生の長い時間を過ごすことになる住宅。快適に過ごすために、住空間の充実も検討したい

ここまで、2回の記事を通して、長寿化に伴う、お金の寿命と住まいの寿命について考えてきた。
・老後資金の不安は先ず試算から。自宅の資産活用も選択肢に
・「リ・バース60」リバースモーゲージ型住宅ローンの特徴と利用条件は?

人生100年時代だからと言っても、100歳時のことを100歳時に考えればよいのではない。まさしく今、未来の自分の生活設計を考える必要がある。リタイア後に支払いが残る住宅ローンや教育費、保険料は、大きな家計負担となる。安心安全快適に暮らすための住空間も充実したい。まだまだ、お金が必要だ。

だがもちろん、お金がすべてではないし、住宅がすべてでもない。自分と家族にとっての豊かな暮らしとはどのような暮らしなのか。何があれば豊かで幸せなのかについて考えたい。広すぎる住宅は不要かもしれないし、心身ともに健康であれば、ストレス解消のための余計な支出も減るというものだ。自分の未来を見据えた、まさしく長期視点で、仕事も住まいもお金も健康も家族との時間も総合的に考えてみたい。そして、豊かな暮らしのための必要資金に不安があるならば、働いて稼ぐことや、支出を減らすこと、運用投資などでお金を殖やすことを考えたい。さらに、所有する住宅があるならば、ただ住むだけでなく、資産としての活用を考えていくことが、これからのトレンドでもある。その選択肢の一つが「リ・バース60」リバースモーゲージ型住宅ローンなのだ。

前回記事で、「リ・バース60」リバースモーゲージ型住宅ローンの特徴を伝えたが、今回は利用にあたってのポイントやコスト、利用法などについてみていこう。

「リバースモーゲージ型住宅ローン」の利用の流れ」

リバースモーゲージ型住宅ローンを利用する際は、まず金融機関によるカウンセリングを受けることになるリバースモーゲージ型住宅ローンを利用する際は、まず金融機関によるカウンセリングを受けることになる

【利用の流れ】
「リバースモーゲージ型住宅ローン」の利用の流れは、下記の通り。申込みは取扱い金融機関(※)となる。どの金融機関でも取り扱っているわけではない。また、金融機関によって利用条件が異なる。事前に調べておこう。
(※)住宅金融支援機構のサイトによれば、9月1日時点で54行が掲載されている。

「カウンセリング」⇒「融資の申込み」⇒「審査合格」⇒「融資実行」

・カウンセリング

「リバースモーゲージ型住宅ローン」では、最初に金融機関によるカウンセリングが申込者に愛して行われる。金融機関では、相続人の代表者の同席を必須とするところが多い。当住宅ローンは、死亡時に住宅を売却して完済するとことが前提であるため、相続財産にも影響するデリケートな問題だ。相続人の同席は互いの安心材料となるだろう。なお、利用中や契約終了時に残債を完済すれば、住宅を売却する必要は無い。

「リバースモーゲージ型住宅ローン」のポイント/「同居の妻はどうなる?」

【夫の死亡時、同居の妻はどうなる?】

リバースモーゲージの相談を受けていると妻から、「私はどうなるの?」と心配の声をよく聞く。夫が契約者であり、女性の平均寿命が長いことを考えれば、当然の心配だろう。詳細は金融機関によって異なるが、契約時に妻を連帯債務者とすれば、夫が死亡した後、妻が死亡するまで契約が継続する。連帯債務者は、主債務者の親族(配偶者、6親等以内の血族または3親等以内の姻族)で、かつ当該住宅の同居人、などとする金融機関が多い。

なお、連帯債務者でなかった場合も、金融機関の承諾を得て、契約者である夫死亡後、最長3年間の居住が可能だ。この間に態勢を整え、今後の生活設計をして引越し、となる。だが、できれば契約当初、せめて契約中におおよそのプランニングをしておきたい。子どもなど相続人がいるならば、方向性を共有しておきたい。金融機関が行うカウンセリングは良い機会だと捉えよう。金融機関によっては、同居の配偶者が満60歳以上の場合は連帯債務者とすること、と規定しているところもある。なお、「リバースモーゲージ型住宅ローン」は、団体信用生命保険への加入は無い。

「リバースモーゲージ型住宅ローン」のポイント/「支払いは続くが残債は減らない!?」

【手数料等コスト】
通常の住宅ローンと同じく手数料が必要だが、これも金融機関によって様々だ。下記は、参考例。

・融資事務手数料:融資額×2.00%+税
・事務取扱手数料:100,000円+税


別途、契約に伴う印紙税、抵当権設定にかかる登録免許税や司法書士報酬が必要となるのも、通常の住宅ローンと同じ。なお、繰り上げ返済手数料は有料とする金融機関が多いが、一般的な住宅ローンほど頻繁に行われるという想定はなさそうだ。

【支払いは延々と続くが、残債は減らない!?】
一般的な住宅ローンと「リバースモーゲージ型住宅ローン」の大きな違いは、契約中の支払いが利息のみに限定されることだ。おかげで、毎月の支出いが少額で済む。だが、もう一方の側面を抑えておきたい。それは、残債が減らない、ということ。「完済すれば支払いが終わる」という感覚は通用しない。生きている限り、払い続けなければならない。そして、死亡時に住宅を売却するか、現金で、残債を支払いって完済する。契約の終期は契約者の死亡時だが、その年月は未知数だ。利息の支払い期間が長ければ長いほど、総支払い額は増額する。

例えば、下記の住宅ローンの借り換えの例で試算してみよう。

(例)40歳で住宅ローンを3,000万円借り入れ。返済期間35年、固定金利1%。
60歳時に残高1,400万円を「リバースモーゲージ型住宅ローン」で借り換え。変動金利2.675%。


◎毎月の支払い額は、84,685円から31,208円に減額。家計負担が減少する。
◎60歳から100歳まで40年間支払った場合の総額は、変動金利がずっと同一だった場合で1,497万9,840円(31,208円×12ヶ月×40年間)となり、元本を上回る。

支払い期間の長さがポイントとなるが、借り入れ残高が減らないということは、相続時まで負債を持ち越すこととなり、相続財産の減額要因ともなる。

一般的な住宅ローンとリバースモーゲージ型住宅ローンの返済方法(イメージ図)<br>住宅金融支援機構のホームページ「リ・バース60」より一般的な住宅ローンとリバースモーゲージ型住宅ローンの返済方法(イメージ図)
住宅金融支援機構のホームページ「リ・バース60」より

注文住宅取得、新築マンション購入の利用が64%と圧倒的に多い

定年などを機に、交通の便のよい場所や新しい住宅に住み替えたいという需要も定年などを機に、交通の便のよい場所や新しい住宅に住み替えたいという需要も

住宅金融支援機構のデータによれば、2017年4月~2019年6月の付保申請の累計においては、注文住宅が38%、新築マンションが26%と合計で64%を占める。続いて、一戸建てリフォームが21%、借り換えが10%と続く。

「リバースモーゲージ型住宅ローン」は、利用範囲が広い。例えば、以下のようなケースも考えられる。定年後、夫婦2人には広すぎる一戸建てのマイホーム。元気なうちに、駅に近く、病院にも買物施設にも近い住宅に住み替えたい。だが、老人ホームという選択は、まだもう少し先だと認識している。シニアの住み替えの例だ。

年金暮らしになると、住宅ローンの審査は通りにくい。住宅購入は現金決済がメインだ。手元の金融資産と持ち家の売却代金を充当するケースが多いだろう。問題となるのは、持ち家の売却価格と売却のタイミングだ。住み替え先が先に決まれば、早期の現金決済を迫られる。売却が先行し、住み替え先が決まらなければ、賃貸暮らしという余計な費用が加わる。引っ越しも1回多くなり、コストも手間も増えるのは必至だ。

このようなよくある事例に「リバースモーゲージ型住宅ローン」を活用してみよう。
まず、住み替え先の住宅を担保に入れて、購入資金を「リバースモーゲージ型住宅ローン」で借り入れる。新居に住替えた後、自宅は良い条件での売却を待つことができる。また、売却のタイミングを待つ間、賃貸住宅として活用する方法もある。そして、売却後、売却代金で「リバースモーゲージ型住宅ローン」を完済すれば、月々の支払いもなく、新居で暮らし続けることができる。

住み替え相談では、この「タイミング」の悩みを多く聞く。「リバースモーゲージ型住宅ローン」を利用することで、この悩みを軽減することが可能だ。

「リバースモーゲージ型住宅ローン」は、住宅を「住む」から「利用する」へ転換できる大きなツールと言える。人生100年時代の自分と家族のライフプランニングの際は、「リバースモーゲージ型住宅ローン」を活用し、選択肢を広げてはいかがだろうか。

(参照)住宅金融支援機構/60歳からの住宅ローン「リ・バース60」
https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/yushihoken_revmo/index.html
※「リバースモーゲージ型住宅ローン」の窓口は各金融機関です。金融機関によって、住宅ローンの条件などが異なります。利用にあたっては、事前に比較検討ください。

2019年 11月05日 11時00分