販売を目的としない住宅展示場。ギャラリー&モデルルームの【ハイムギャラリーパークみなと】
2018年5月26日、中京テレビハウジングみなと(名古屋市港区)内に、従来の住宅展示場とは異なるスタイルのショールーム【ハイムギャラリーパークみなと】がオープンした。
セキスイハイム中部株式会社の同ギャラリーは、家づくりを学べる体験型ショールーム。
住宅展示場といえば、自社商品や家づくりの技術を知ってもらうための“自社の魅力発信拠点”であることがほとんどだが、同ギャラリーは、3階建住宅の最新モデルを建屋のベースとして、各階に『スタディーギャラリー』と『モデルルーム』の2つのゾーンを設定。
日本の住宅の構造や建材、地震対策やスマートハウスについてなど住宅性能や建築に関するハード面の説明と、プランやインテリアなどソフト面の提案がされる複合施設で、家づくり検討者が、家づくりに必要とされる“一般的な知識”を得られる場所となっている。
「日本の建築・家づくりを知ってもらうこと」を先ずの目的とする施設のため、重きを置くのはユーザーの学び。
そもそも営業マンが常駐しておらず、販売を目的としないショールーム、というのは大きな特徴だろう。
『スタディーギャラリー』は3つのゾーンで構成
“家づくりを学ぶ体験型ショールーム”なので、今回は『スタディーギャラリー』に注目して話を進めたい。
『スタディーギャラリー』は、1階「家はシェルターZONE」、2階「一生モノ工場ZONE」、3階「スマートハイムZONE」の3構成。その各階で、日本の家づくりについてを映像や模型、実物展示で体感&納得しながら学べるスペースが用意されている。
1階「家はシェルターZONE」では、日本の住まいに共通する“失敗しない家づくりポイントや基本”が紹介され、訪れた人は体感型の映像や模型等でそれらを学ぶ。2階「一生モノ工場ZONE」は、一生に一度あるかないかの買い物である住宅を、品質やコスト面などから比較・体感。3階の「スマートハイムZONE」では、過去~現在~未来のエネルギーをテーマにして、来館者はこれからの暮らし方を考えていく…といった具合だ。
VRやARなどで臨場感たっぷりに体験。先進設備が「わかりやすい!」と好評
そして、各ゾーンでの体感の仕方がイマドキで面白い。
VR(バーチャル・リアリティ/仮想現実)やAR(オーグメンテッド・リアリティ/拡張現実)などを用いた先進の体感型設備が充実しているのだ。
例えば、VR体感装置を導入した「ハイムユニットVR」。
体感者は卵型の椅子に深く座り、ヘッドマウントディスプレイを頭に装着。360°の仮想空間に入り込んで、普段は見ることのできない建物の仕組みや構造、建築工程を、まさに建築中の建物内部にいる感覚で見ることができる。
また、「快適エアリーAR」はモデルルームの上質な住空間の中で体感できる先進設備。
リビングのソファにゆったりと腰掛け、そこに用意されているタブレットを起動すると、画面上にコンシェルジュが現れて説明を始める。それに従って床面や窓際にタブレットをかざすと、同社の空調システム「快適エアリー」での空気の流れなどが実際の居室上に“見える化”される、というものだ。
他にも、AIスピーカーやプロジェクションマッピング映像を使って、キャラクターと対話しながらスマートハウス生活を疑似体験するなど、ただ説明を聞く・展示を見るだけではなく、自らが参加するインタラクティブな設備ゆえに、家づくりに関する理解がより深まるように思った。
大地震に備える減災の家づくり。その必要性が胸に迫る「巨大地震体感音響シアター」
中でも筆者が印象に残ったのは「巨大地震体感音響シアター」。
南海トラフ地震が懸念される中部・東海エリアは地震に強い家づくりへの関心も高い。
1階「家はシェルターZONE」には広い音響体感シアターがあり、そこでは巨大地震のシミュレーション映像などが、「ゴゴゴーッ」と体に響き渡る地鳴りと共に大きなスクリーンに大音響で映し出される。この体感振動が臨場感を高め、大地震の恐ろしさを強く訴えてくる。さらに、熊本地震で被災された同社施主の体験談やメッセージも紹介され、大地震に備える家づくりや、「地震後も住み続けられる家」を持つ大切さがひしひしと伝わってくる。
実は、来館者が受付後にまず入室するのがこのシアター。
ここで減災住宅の重要性や必要性を臨場感たっぷりに体感した後、パネルや模型・部材などを用いて日本の家づくりの構造・工法や見極め方を紹介するコーナーへと進む。その先には、【ハイムギャラリーパークみなと】の床・柱・天井をスケルトン展示として見せている箇所もあり、さらに進むと、先ほど紹介したVR体感装置で、構造や建築工程を仮想体験できる流れになっている。
この一連で、来館者は施工・基礎・構造という家づくりに大切な3要素を学び、強く確かな家づくりをするための知識や理解を得られるというワケだ。
家づくりの基本を客観的に紹介。だから「行ってよかった!」「聞いてトクしちゃった!」の声
今回ギャラリーを案内してくれたのは、同社プロダクトマネージャーの後藤幸士さん。
来館者と同じように説明を受けながら一通り体験させて頂いたのだが、「今日はセキスイハイムの話は置いておいて…」との言葉に始まり、最後まで自社商品のプッシュや他社批判、大袈裟な表現はなく、建材や構造・工法についてもメリットとデメリット、その対策を中立性をもって紹介してくれた。
同社の家づくりについても説明はされたものの、あくまで一例としての紹介で、素直に耳を傾けられ、改めての勉強にもなった。
「いろいろな情報やデータを簡単に入手できる現代ですが、情報過多で正しいものを選択・判断するのは難しいものです。
ここは、家づくりに必要な一般情報・客観情報を分かりやすく提供することで、家づくりの判断基準をサポートするためのギャラリーです。
『家づくりの知識は欲しいけど、営業はして欲しくない』とお考えの方もいらっしゃいますよね?ご心配は無用です(笑)。
まずは当社のことは置いておいて、家づくりの最初の一歩として、また家づくりにお悩みの方も来て頂きたいと思います。」(後藤さん)
何だかキレイゴトにも聞こえてしまいそうだが、実は同社にとっても2つの点で魅力的な拠点なのだとか。
一つは、あくまで“学びの場”としているため、客観性・中立性を貫く対応に、来館者が心を開きやすく良好なコミュニケーションをとれること。
もう一つは、社員や施設の活かし方においても効果があるのだとか。
家づくりに関する一般的な知識にポイントを絞った説明パネルや模型、また先進の体感型設備によるプレゼンテーションを行うため、案内する側も深い専門知識は必要ない。言ってみれば誰でも説明が可能なほどで、まだ知識の浅い新人にベテランがついてフォローしたり、口ベタなスタッフを他の営業マンがサポートするなども不要。実際に、販売担当者が常勤することもなく、来場予約以外は受付スタッフが対応している。
また、住宅展示場にあるはずの「商談ルーム」もなく、じっくり話したい場合は3階の応接室を使う。しかも、同社の会議やミーティングで普段から利用するなど“場所を遊ばせていない”そうで、このように人材や施設の“モッタイナイ”も失くしているのだという。
営業をされることなく、知っておくと家づくりに役立つ知識や情報を得られる…だからこそ、「行ってよかった!」の想いも高まり、家づくり検討者の共感を得ているようだ。
従来の住宅展示場とはちょっと違うスタイルのショールーム。なかなか興味深かった。
■ハイムギャラリーパークみなと
http://www.816chubu.jp/exhibition/aichi/minato_desio01.html






